乳酸菌は死んでしまっても役に立つ!乳酸菌のあれこれを東京農業大学・田中尚人教授に聞きました

健康志向の高まりとともに、乳酸菌の重要性が注目されています。
そこで、東京農業大学生命科学部分子微生物学科教授であり、同学微生物リソースセンター長の田中尚人さんに、乳酸菌の多岐にわたる働きや最適な摂取方法について詳しく伺いました。
その効果を引き出すための摂取タイミングや自分に合う乳酸菌を見つけるヒント、さらには動物性乳酸菌と植物性乳酸菌の違いについても解説いただきました。

東京農業大学・田中尚人教授

プロフィール

東京農業大学生命科学部分子微生物学科教授

同学微生物リソースセンター長

田中 尚人

1973年北海道生まれ
東京農業大学農学部農芸化学科応用微生物学研究室で6年間ひたすら土壌細菌を培養して細胞形態や構造、ストレス応答について研究し博士号取得。
その後、国立遺伝学研究所では培養せずコンピュータを使って微生物の研究ができるバイオインフォマティクス分野を経験し、引き続き東京理科大学薬学部では同分野によるゲノム解析に取り組んできた。
博士号取得から6年後、東京農業大学に講師として戻り、所属先の菌株保存室(現 微生物リソースセンター)で初めて乳酸菌と触れ合う。
現在は分子微生物学科で乳酸菌を培養する研究と培養しない研究により、様々なところにいる乳酸菌との一期一会を大切にし、出会った乳酸菌の能力を引き出すことに取り組んでいる。

乳酸菌は体内の菌のバランスを整えてくれる

河島

早速ですが、乳酸菌は一言でいうと、どのような物なのでしょうか?

田中教授

乳酸菌は、いろんな生物と共生できるバクテリアです。動物や植物とも共生しますが、害を与えることは少ないですね。
多様な細菌の中で進化的には黄色ブドウ球菌やボツリヌス菌に近いですが、病原性がほとんどないというちょっと変わったキャラクターです。

河島

乳酸菌を摂取することで、人の身体にはどのようないい影響が期待できますか?

田中教授

いろいろありますが、1番は腸内環境の改善です。
生きた状態で大腸に届けば腸内環境の改善、死菌の場合は免疫活性を上げるというところですかね。

乳酸菌のイメージ
河島

乳酸菌は腸に届く前に死んでしまうこともあるんですね。
どうすると死んでしまうのでしょうか?

田中教授

主に胃酸や胆汁酸が原因です。酸は菌の中を異常にしてしまいます。
胃酸や、十二指腸から分泌される胆汁酸には殺菌作用があり、胃酸は細胞内を異常にして死滅させ、胆汁酸は細胞膜を壊す、つまり細胞の中身が出た状態にするということです。

田中教授

生菌として生き残れるかは、これらの環境に耐えられるかどうかで決まります。

生きた乳酸菌は腸内環境を整えてくれる

河島

生菌と死菌では、それぞれ人体にどんな影響が期待できるのでしょうか?

田中教授

生菌には、腸だけでなく皮膚や口の中の菌叢(きんそう)を安定させ、改善する効果があるとの報告もあり、全身にいい影響をもたらすと考えています。
ただ、残念ながらいずれにおいても乳酸菌が定着することはほとんどありません。

田中教授

人体に影響を与えるのは、乳酸菌の代謝産物で、そのほとんどが乳酸なんですが、特に腸内ではその乳酸が微生物たちにいい影響を与え、菌のバランスを整えるんです。

田中教授

例えば、乳酸菌が活性化すると善玉菌が安定して、悪玉菌の活動が抑えられるという現象があります。
乳酸菌はほかにも有用な物質を作って皮膚や口の中の菌叢を安定させています。

河島

乳酸菌の腸内での働きというと主にどのようなことがあるのでしょうか?

田中教授

生菌の場合、乳酸菌の腸内での主な働きは2つあります。
ひとつは、乳酸を作って腸内を酸性化することです。
これにより、ほかの細菌を抑える環境が整います。

田中教授

もうひとつは、ほかの細菌を殺したり抑えたりする抗菌活性物質を作る働きです。

腸内菌叢のイメージ図
出典:ヘルシスト282号
田中教授

腸内環境の改善というと、よくオリゴ糖や食物繊維の話が出てきますが、それらは悪玉菌が食べられない物質で、善玉菌と呼ばれる乳酸菌やビフィズス菌が比較的食べやすい特徴があります。
餌を独占できることで、乳酸菌が活性化し、乳酸を作り、酸性化することでほかの有害な菌の活性を抑えます。

田中教授

さらに、乳酸菌は「抗菌活性物質(※)」を作り出し、比較的、害のあるほかの微生物の活性を抑制してくれます。
つまり、乳酸菌は腸内を酸性化してpHを下げ、抗菌活性物質を作り出す2つの働きで有害な菌の活性を抑え、腸内の菌のバランスをよくしてくれるのです。

※抗菌活性物質:細菌を殺したり、その生育を止めたりする物質のこと

河島

乳酸菌を摂るだけでなく、餌になるオリゴ糖や食物繊維も大事そうですね。
オリゴ糖や食物繊維のほかに、乳酸菌と一緒に摂るといいものはありますか?

田中教授

乳酸菌以外に、酪酸菌やビフィズス菌などを組み合わせて摂るのがいいです。
例えば、乳酸菌と一緒にこれらの菌を含むサプリメントを摂ると効果的です。
これらの菌が腸内で共存し、互いにいい影響を与えるカクテルのようなイメージですかね。

サプリメントを摂る女性
田中教授

また、乳酸菌は栄養素の競合の面でもほかの微生物よりも有利に働きます。
例えば、乳酸菌はアミノ酸を優先的に取り込んで、ほかの微生物が食べないようにしているんです。
さらに乳酸菌が作り出す物質を、善玉菌に部類されるほかの微生物の栄養として使ってもいます。

田中教授

こうした流れを乳酸菌が作って、菌叢を改善、安定させて、短鎖脂肪酸(※)を作る、ほかの腸内細菌が働きやすい環境にしています。
恐らく、口の中や皮膚でも腸内と同様に乳酸菌による菌叢改善が起きているのではないかと考えられています。

※短鎖脂肪酸:腸内細菌が食物繊維やオリゴ糖などを餌として作り出す有機酸の一種

河島

ということは、乳酸菌を摂れば、短鎖脂肪酸はおのずと摂取できているということなんですね。

田中教授

そうです。
乳酸菌を摂ることで自然と腸内に酪酸などの短鎖脂肪酸が生成されるので、それらを直接摂らなくてもいいんです。
でも、もともと腸内に短鎖脂肪酸を作る細菌が少ない人は、残念ながらこの効果はあまりないかもしれません。

河島

単純に乳酸菌を食べることが腸内に影響を与えるのではなく、いくつものプロセスがあるんですね。

田中教授

そうなんです。
あとは、1点、注意するとしたら、腸内細菌の中で乳酸菌は優先的に存在することができません。腸内に定着しづらいんですね。
だから乳酸菌は毎日摂取することが大切で、継続的に摂り続ける必要があります。

腸内のイメージ
河島

なるほど。
こういったメカニズムはいつ頃わかってきたことなんでしょうか?

田中教授

ここ数年でメカニズムについての研究が盛んに行われ、現在は具体的なことが報告されつつあります。
同時にポストバイオティクス(※)という概念がはっきりと認識され始めましたね。

※ポストバイオティクス:乳酸菌や腸内細菌達の間でやりとりをして作り出される健康によい代謝産物のこと

死んだ乳酸菌は免疫力の向上をサポート

河島

死菌の場合はこのメカニズムとはまた別のものがあるのでしょうか?

田中教授

死菌体そのものを摂ることで免疫細胞にいい刺激を与えます。

河島

つまり、死菌に免疫細胞が触れると何か動き出すみたいな、そんなイメージでしょうか。

田中教授

そうですね。
免疫細胞は外から入ってきた異物を認識して排除するために存在しますよね。
でも、乳酸菌の死菌体は異物として認識はされるものの、免疫細胞に過剰な反応はさせず、ほどよい免疫活性を誘導するという不思議な特性を持っているんです。

田中教授

例えば、花粉症や黄色ブドウ球菌のような、人に害を与える物質に対して、「抗原提示細胞(※)」の「樹状細胞」や「マクロファージ」が異物として認識して過剰に反応します。
抗原提示細胞は、異物の種類も、異物が持つ成分によって認識できる性質を持っています。

※抗原提示細胞:免疫系に関わる血球の一種

4種類の抗原提示細胞のイメージ
田中教授

死菌を摂取した場合は、抗原提示細胞に異物と認識されて免疫細胞に作用し、免疫スイッチが入るのですが、過剰には働かないため、適度に免疫が活性化されるんです。

河島

この抗原提示細胞は、乳酸菌の死菌を異物と認識をするのに、排除はしないということですか?

田中教授

いえ、排除はしますが、過剰には反応しないんです。
抗原提示細胞、例えばマクロファージや樹状細胞が乳酸菌を認識し、シグナルを出して免疫細胞が動き出します。

田中教授

しかし、乳酸菌に対しては過剰に反応せず、ほどよく反応して抑制するんです。
過剰な反応をしないので、身体に悪い影響を与えることは少なく、適度な反応を起こすことにより、免疫を活性化してくれるのです。

河島

異物として認識はするのに過剰に反応することはない。
そして適度な反応を起こして免疫を活性化してくれる。面白いですね。

河島

生菌はいずれ腸内で死菌になるので、死菌の摂取は少しであっても、生菌を摂れば同じメカニズムが生まれるんですか?

田中教授

そうですね。
また、胃酸や胆汁酸に触れると菌体成分が壊れる可能性があるので、大腸に届くまでの途中のストレスから守るために生菌も死菌もカプセルに入れて摂取するといいかもしれないですね。

河島

乳酸菌のほかに抗原提示細胞を程よく刺激してくれるものはあるんですか?

田中教授

酢酸菌(※)も乳酸菌と同じような働きをしてくれます。
ただし、乳酸菌と酢酸菌はそれぞれ異なる受容体を刺激するので、異なるパターンで免疫細胞を活性化させます。

※酢酸菌:食用の発酵菌の一種。アルコールを酢酸に変える働きを持ちお酢造りに使われる

田中教授

そのほかには、あまり聞かないですね。
酢酸菌も最近注目され始めたばかりです。
両方とも抗原提示細胞を活性化させますが、ほかの細菌だと過剰反応して炎症を引き起こす可能性があります。

河島

乳酸菌と酢酸菌は希少な存在なんですね。
乳酸菌とお酢を摂っていれば、乳酸菌も酢酸菌も摂取できて免疫の活性化にいいということなんでしょうか?

田中教授

残念ながら、市販のお酢に酢酸菌は入っていません。
製造工程で酢酸菌を濾過してしまうので。

河島

なるほど。
ごく一部ですが酢酸菌を濾過をしていないお酢があります。
無濾過のお酢であれば酢酸菌を摂取できるんですかね?

樽が並ぶお酢の製造風景
田中教授

はい。無濾過のお酢であればそうですね。

河島

なるほど。
お酢はよく吟味する必要がありそうですね。

河島

腸以外の器官でも、死菌がそれぞれの器官にいる免疫細胞に働きかけるというメカニズムがあるんでしょうか?
冒頭で乳酸菌が皮膚にもいい作用をもたらすというお話がありましたが、これはどんな仕組みなんでしょう。

田中教授

それに関してはまだあまり明らかになっていない部分ではあるのですが…。乳酸菌の作る物質や菌体成分が深く関係していると考えられます。
例えば、ニキビは要は肌の炎症なので、その炎症を抑える効果や肌の保湿効果をもたらしてくれるのが乳酸菌なんじゃないかと思います。

河島

なるほど。つまり、死菌が腸内でシグナルになって免疫が活性化されると、腸内だけじゃなくて体のほかの部分にも影響するということなんですかね。

田中教授

そうですね。

乳酸菌はたくさん摂ってOK!ただし乳製品で摂るなら注意が必要

河島

さきほど、乳酸菌は毎日摂取することが大切というお話がありましたが、乳酸菌の摂取量の目安はありますか?

田中教授

たくさん摂っても問題はないと言われていますね。

河島

そうなんですか…?
例えば何十兆個摂ったら健康被害が起きるなど、過剰摂取のリスクもないのでしょうか?

田中教授

乳酸菌に関しては、過剰摂取による弊害は特に聞いたことがありませんね。

田中教授

以前、ある方がヨーグルトを毎日500g食べてお腹を壊したという話を聞いたことがありますが、これは乳酸菌ではなく乳成分の摂り過ぎが原因だった可能性があります。
農林水産省が推奨する1日のヨーグルト摂取量は200gだそうなので、乳酸菌よりもほかの栄養分の影響が大きいと考えられます。

カップ入りのヨーグルト
河島

逆に少なすぎても効果は期待できないんじゃないかと思うのですが、そのあたりはどうなんでしょう?

田中教授

実際に腸内でどれくらいの数が必要かはわかりません。
ですが、実験では、1日の摂取量としてだいたい200億から2兆個ぐらいの乳酸菌を使っていますかね。

河島

では、どれぐらいの乳酸菌を摂るといいという目安はないのでしょうか…?

田中教授

あまり考えたことはありませんが、摂れるだけたくさん摂ってもいいと思います。
一般的な市販のヨーグルトの量であれば問題ないと思いますよ。
体内で効果が出るまでに壊れてしまう乳酸菌もあるので、絶対数を確保するためにはたくさん摂るのがいいかもしれません。

河島

たくさん摂っても、乳酸菌単体であれば問題ないと。
ただ、ヨーグルトなどの乳製品で取る場合は乳糖不耐症(※)などの影響が出る可能性を考慮する必要がありそうですね。

※乳糖不耐症:乳成分に含まれる乳糖を消化吸収できず、下痢などの症状を引き起こす病気

河島

あとは、例えば妊娠されてる方とか、赤ちゃんが乳酸菌を摂取する際に気をつける点はありますか?

赤ちゃんに顔を寄せる女性
田中教授

特に気をつける点はないと思います。妊娠中の方や赤ちゃんでも問題なく摂取できますかね。

睡眠の質改善なら朝、腸内環境を整えるなら夜に乳酸菌を

河島

乳酸菌を摂取するのにおすすめの頻度や時間帯はありますか?

田中教授

頻度については、1日1回でもいいと思います。
朝食か夕食かについては、目的によって異なりますかね。
というのも、乳酸菌が体内時計に関与しているという話がありまして。

田中教授

乳酸菌が腸内環境を改善し、腸内細菌が様々な物質を出すことで、それが脳に影響を与えます。
腸の環境が脳と連動しているという「腸脳相関」という言葉もありますね。

田中教授

質の良い睡眠のためには、朝に乳酸菌(生菌)を摂って腸内細菌がビタミン類を生成して、腸から来るそれらとアミノ酸を原料に脳内でセロトニン(※)が作られ、それが夜にはメラトニン(※)に変わって睡眠を促すというリズムを作るのがいいかもしれません。
そのためにはお肉を食べて、セロトニンに必要なトリプトファンというアミノ酸を得ることも大事です。

※セロトニン:心身をリラックスさせる効果を持つ神経伝達物質
※メラトニン:睡眠と覚醒のコントロールをするホルモン

暗い部屋でぐっすりと眠る女性
田中教授

しかし、腸内環境の改善という目的では、夜に乳酸菌を摂るのがいいとも言われています。
朝は胃酸が多く、生きたまま腸に届きにくいので、夜に摂って寝ている間に腸内菌が働くようにするのがいいという考えもあります。
目的によって朝か夜かを使い分けるのがいいかもしれませんね。

河島

なるほど。朝夜いずれも違う目的が期待できるんじゃないか、ということですね。

お通じがありすっきりとした表情の女性
河島

ちなみに、朝の胃酸のお話ですが、食事を摂った後の方が胃酸の乳酸菌への影響が抑えられるみたいな話を聞いたことがあります。

田中教授

はい、その通りです。食事を摂ることで胃酸が希釈され、食べ物の中に乳酸菌が包まれるので、胃酸に直接触れることが少なくなりますね。

河島

乳酸菌のサプリなどもありますが、それも食後に食べる方が確実ってことなんですね。

田中教授

そうですね。食後の方がサプリメントの中の乳酸菌が胃酸に直接触れることが少なくなるので、より効果的だと思います。

自分に合う乳酸菌を見つけるには、いろいろな種類を試すしかない!

河島

乳酸菌のサプリやヨーグルトを生活に取り入れたとして、どれくらいの期間続けたら影響が出てくるのでしょうか?

田中教授

これは難しいところですが、実験では最低2週間は続けることで何かしらの効果が出ると考えられています。
長い場合は2~3か月続けることもありますが。

カレンダーに書き込む
河島

2週間というのは、既存の菌のバランスがあって、それを変えるのに必要な期間ということですか?

田中教授

恐らくそうですね。腸内の菌のバランスを変えるために、最低でも2週間は必要だと考えられています。

河島

乳酸菌にもいろいろな種類がありますが、自分に合った乳酸菌はどのように選ぶのがいいのでしょうか?
そもそも自分に合う合わないみたいなことが、あるものなんでしょうか。

田中教授

あると思いますね。例えば、ヨーグルトのR-1が合う人もいれば、ヤクルトが合う人もいますし…。
体質によって違いがあるので、自分に合ったものを見つけるには、1個ずつ2週間ずつ試してみるしかないですかね。

河島

食べてみないとわからないということですね。人によって変わると。

田中教授

あとは体質によってさきほどのセロトニンの誘導がしやすいかどうかなども関係しています。
乳酸菌を摂って菌叢がよくなったとしても、そもそもセロトニンが誘導されにくい体質の人であればあまり意味がないでしょうし。
こういうのはおそらくパターンがあるので、今後、AIや機械学習の力でもっと分かりやすくなるかもしれませんね。

河島

食べてみないとわからないとはいえ、非常にいろいろな乳酸菌の製品が出回っている中で、片っ端から試すわけにもいかないので、ある程度の目安があったらうれしいのですが…。

田中教授

うーん…。そもそも商品ごとに入っている菌の種類が分からないと選びにくいですね。
例えば、ヤクルトに含まれている乳酸菌はラクチカゼイバチルス・カゼイという乳酸菌の種類の中の「シロタ株」と言います。

田中教授

株(※)はいわば人間でいうところの個人のようなもので、同じ種類の乳酸菌であっても異なる環境から採れた株では効果が異なることがあるんです。
ですから、効果があるかどうかは、株ごとに試してみないとわかりません。

※乳酸菌の株:菌株とは1つの細菌から分裂増殖した菌の集まり。乳酸菌は糖から大量の乳酸を作る細菌の総称で、菌属さらには菌種に分類でき、菌種の中にさまざまな菌株がある

6種類の乳酸菌のイメージ
河島

なるほど。逆に言うと、いろんな株の乳酸菌を多く摂っていれば、どれかは当たるかもしれませんね。

田中教授

どれかは当たる、そうですね。今のところ、それしかないとも言えます。

動物性乳酸菌よりも植物性乳酸菌の方がたくましい

河島

動物性乳酸菌と植物性乳酸菌という区分がありますが、何が違うのでしょうか?

田中教授

違いとしては、乳酸菌自体の強さですね。
動物性乳酸菌は動物の腸内などの温度やpHの変動も少ない、栄養豊富な環境で育つため、自分で栄養を作る能力が低いです。
急にストレスがかかると弱ってしまい、生育できなくなってしまいます。

田中教授

一方、植物性乳酸菌は野ざらしで育つ植物からイメージできる通り、栄養が限られた環境で生きているため、最低限の栄養を摂ったうえで、必要な栄養素を自分で合成する能力を持っています。
温度やpHの変動などのストレスにも強いです。

アスファルトのひび割れに咲くタンポポ
河島

なるほど。それも踏まえて、乳製品以外で乳酸菌を摂るなら何がおすすめですか?

田中教授

日本人にとっては漬物がいいでしょうね。漬物には乳酸菌が豊富に含まれていますので。

河島

乳酸菌を含む食品の中でも、昔ながらのなじみのあるものの方が体に合いやすいということでしょうか。

田中教授

乳酸菌を含む食材や食事であっても、栄養バランスが悪いと影響を受けてしまいますので、野菜を使った漬物なら栄養面でもいい影響があります。
実際に現地でサンプリングを行ったこともあり、漬物をたくさん食べている地域の人たちは元気なイメージがありますね。

河島

なるほど。例えば野菜の漬物だったら、食物繊維と一緒に乳酸菌を摂ることができるため、それによる効果などもあるのでしょうか?

田中教授

はい、その通りです。食物繊維と一緒に乳酸菌を摂ることで、乳酸菌が働きやすくなります。

河島

漬物が体にいいと言われる背景には、きちんとした理由があったんですね。

皿に盛られた5種類の漬物
河島

田中先生が今注目している乳酸菌があれば、ぜひお教えください。

田中教授

現在、さまざまな乳酸菌を探しています。
わたしの大学には5000株ほどの乳酸菌が保存されており、その中から免疫調節作用を示す株や胃酸や胆汁酸に強い株、美味しい発酵食品を作る株などを研究しています。
その中でも特に発酵食品を美味しくする乳酸菌に注目していますかね。

田中教授

乳酸菌は発酵過程で酸味を変えるだけでなく、うま味成分も作り出すことができます。
長野県の木曽地方で作られる「すんき」という塩を使わない漬物は、しじみの味がするんです。
このように、乳酸菌を使って美味しい発酵食品を作ることに興味がありますね。

田中教授

また、乳酸菌が有機酸などの栄養分を増やすことで味を変えたり、悪い成分を取り除いたりすることも可能です。
美味しい発酵食品を作る乳酸菌は非常に興味深いと思います。

河島

なるほど。体にいいだけでなく、美味しさにも影響を与えてくれるとは興味深いですね。
本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました!

かわしま屋おすすめの乳酸菌の商品


この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

この記事をシェアする

この記事を書いた人

読み物コンテンツ担当。乾燥肌を改善すべく化粧品成分をチェックするのにハマり化粧品成分上級スペシャリストを取得。趣味は読書とお昼寝、自然スポットめぐり。