梅干しの選び方|塩分濃度・熟成年数・添加物による違い

同じ梅を使っていても、製法によって味や食感に大きな違いが生じます。

そこで、この記事では、塩分濃度・日本の規格上の分類・漬け方による違い・熟成年数・梅の品種の違いを詳しく解説します。自分好みの梅干しを探すときのヒントとして、ぜひ参考にしてください。

もくじ

梅干しの塩分濃度による違い

壺に入った梅

梅干しの塩分濃度によって次のような違いがあります。

塩分濃度特徴
20%前後・カビが発生しにくい
・常温で保存できる
・塩辛い
・すっぱい
・ご飯のおとも向き
・ミネラルが多い
・塩分を控える必要がある人には向かない
10%台・冷蔵庫保存を推奨
・塩味は控えめ
・すっぱい
・ご飯のおとも向き
8%・冷蔵庫保存
・万人受けしやすい塩味
・梅の甘味を感じやすい
・ご飯のおとも向き
5%以下・冷蔵庫保存
・甘口
・子どもでも食べやすい
・味付け次第ではご飯には向かない
・お茶請けやおやつ向き
3%・冷蔵庫保存
・甘口
・ご飯には向かない
・お茶請けやおやつ向き

塩分濃度が20%を下回るとカビや傷みが発生しやすいため、冷蔵庫保存がおすすめです。

常温で販売されていても、開封後はかならず冷蔵庫に入れましょう。

梅干しと調味梅干し

梅干しと塩

日本農林規格(JAS)の農産物漬物品質表示基準による分類では「梅干し」と「調味梅干し」に分けられます。

  • 梅干し:梅の果実を塩または梅酢、梅酢+塩水に漬けて干したもの(しそ漬け含む)
  • 調味梅干し:梅干しを糖類・食酢・梅酢・香辛料・削り節などで漬けて干したもの

梅干しは梅と塩または梅酢で漬け込んだシンプルなものです。

赤じそと塩で漬け込んだ場合も梅干しにに分類されます。塩分濃度が高い傾向にあり、塩辛さとすっぱさを楽しめるのが特徴です。

調味梅干しは梅干しにしたものを、はちみつや出汁などの調味料で漬けたものです。

梅干しと比べると塩味が控えめなものが多く、すっぱさよりも甘味が強いものもあります。

梅干しの漬け方による違い

梅干し

梅と塩のみの昔ながらの漬け方以外にも、さまざまな漬け方があります。

漬け方別の味や特徴の違いを表で見てみましょう。

漬け方味や特徴
塩漬け昔ながらの梅と塩だけで漬ける方法。塩辛くすっぱい。
赤じそ漬け赤じそと塩で漬け込む昔ながらの方法。紅色が鮮やか。塩辛くしっぱいものが多いが、風味はさわやか。
梅酢漬け梅干しを作るときにできる梅酢で漬けたもの。梅の旨味が凝縮されており、塩辛さよりもすっぱさが強い。
はちみつ漬け甘くまろやかで塩味は控えめ。お茶請けにおすすめ。塩分濃度によってはご飯にも合う。
だし漬けこんぶ出汁で漬けたものが多く、ご飯に合う。塩辛さは控えめ。

塩漬けと赤じそ漬けは昔ながらの製法で、塩辛さとすっぱさが強い梅干しが多い傾向にあります。

梅酢漬けも分類は調味梅干しではなく梅干しで、昔ながらの製法ですが塩味よりもすっぱさが強い傾向にあります。

はちみつ漬けやだし漬けは調味梅干しで、塩味は控えめです。

ご飯で塩辛さを中和しなくても食べやすいので、お茶請けとしても向いています。

梅干しの熟成年数による変化

梅干し

梅干しを漬け込む年数によっても違いがあります。年数別の傾向を見てみましょう。

漬け込み期間味・食感・特徴
1カ月塩辛いが梅のフルーティな風味が残っている。皮がやわらかく果肉感は強め。
1年塩辛さが落ち着いた食べやすい味。市販されているものに多い。
3年まろやかな味で、食感はねっとり。水分が抜けており果肉感は少ない。塩が結晶化していることが多い。
5年3年ものよりねっとりして、皮は固め。味は濃くなるが、果肉感やフルーティな風味はほとんどなくなる。
12年水分が抜けきって歯切れのよいサクサク食感になる。

漬け込み期間が長くなるほど、梅の果実感は少なくなり独特の旨味や食感が生まれる傾向にあります。

意外なことに、塩味が落ち着いてくるのも特徴です。

なお、1年を超えて漬け込む梅干しは梅と塩のみのシンプルなもので、なおかつ塩分濃度が18%を超えているものに限ります。

塩分濃度が低いと漬け込んでいるうちにカビや傷みが発生する可能性が高くなるからです。

梅の種類による違い

梅

梅干しに使われる梅の種類でも違いが出てきます。代表的なものを表で紹介します。

梅の種類特徴
南高(なんこう)「紀州南高梅」として販売されることの多い梅。
皮が薄く果肉が多い梅で、フルーティかつとろける食感。
小粒南高南高よりも小さいもの。その他の特徴は南高と似ている。
白加賀(しらかが)大粒で果肉が厚く、酸味が強め。
豊後(ぶんご)梅と杏子の交配種で、酸味よりも甘味が強め。大粒で肉厚。
紅映(べにさし)種が小さく果肉が厚い。やわらかな食感でコクがある。
小梅(こうめ)小粒でお弁当用の梅干しなどに使われる。酸味は強め。

「紀州梅」と表記している商品もありますが、これは品種ではありません。

南高をはじめとして紀州で作られている梅という意味です。紀州梅は品質が高いことで知られています。

なお、梅干しにする場合は、上記のような品種が黄色く熟すのを待ってから収穫します。

梅の種類としては他にも鶯宿(おうしゅく)や古城(ごじろ)などがありますが、これらは青い内に収穫して使う梅酒や梅シロップ向きの品種です。

カリカリ梅と梅干しの違い

カリカリ梅

カリカリ梅も梅干しもお弁当に入っていることが多いため、印象としては似ていますが使用する梅の種類・製法ともに別物です。

比較項目カリカリ梅梅干し
梅の品種竜峡小梅、甲州小梅など南高、白加賀、豊後など
製法青い梅を収穫

塩とカルシウムで漬け込む
黄色く熟した梅を収穫

塩漬け

天日干し

カリカリとした食感は、梅が持つペクチンとカルシウムが結合することで保たれます。

梅干しとカリカリ梅は使い方や味など似ていますが、異なるものということがわかりました。

参照
https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/attach/pdf/kokujikaisei-97.pdf
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/02/s0218-7j.html

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この記事を書いた人

90年代生まれ。猫が大好きなのに猫を飼っていない人。食べ物も大好きで、家庭菜園が趣味ですが料理も栽培もなかなか上達しません。

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