梅干し1個で熱中症予防?子どもや高齢者にもおすすめの摂取法を解説

暑い季節は熱中症のリスクが高まります。特に子どもや高齢者は体温調節が難しく注意が必要です。夏場は熱中症対策に、スポーツドリンクを常備している家庭も多いのではないでしょうか?

しかしスポーツドリンクは果糖ぶどう糖液糖が多く含まれ、飲み過ぎると肥満や虫歯、糖尿病のリスクが高まる可能性があります。

より自然な方法で熱中症から家族を守りたい」と考える方には梅干しがおすすめです。

この記事では、梅干しが熱中症対策に有効な理由を科学的に解説します。子どもや高齢者が安心して食べられる摂取方法もご紹介。

梅干しを毎日の生活に上手に取り入れて、家族全員が健康に夏を乗り切りましょう!

もくじ

熱中症は体温調節できない状態

熱中症は体温調節できない状態

熱中症とは、単なる「暑さ負け」ではなく、体温調節が難しくなることで起こる深刻な症状です。特に気温が高くなる季節に発生しやすいため、注意が必要です。

総務省消防庁のデータによれば、2021年5月から9月にかけて、全国で熱中症により救急搬送された人の累計は47,877人でした。特に高齢者は暑さを感じにくく、自宅でも熱中症になる例が多発しています。

ここでは熱中症について以下の観点から詳しく解説します。

  • 熱中症の主な症状
  • 夏場に熱中症が増える理由
  • 熱中症になりやすい人の特徴

それぞれ見ていきましょう。

参考:総務省 令和3年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況

熱中症の主な症状

熱中症を防ぐには症状を正しく理解し、早めに対処することが重要です。

放置すると重症化し、命の危険があるからです。暑い時期は熱中症の初期症状を見逃さないようにしましょう。熱中症の主な症状を厚生労働省の資料を参考にまとめました。

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重症度主な症状・身体の変化初期対応・応急処置
I度(軽症)めまい・失神(立ちくらみ)
筋肉痛・筋肉の硬直(こむら返り)
手足のしびれ気分の不快感
1.直ちに涼しい場所へ移動し、衣服を緩める
2.体を冷やす(保冷剤や冷たいタオルなど)
3.スポーツドリンクや経口補水液などで水分・塩分を補給
4.症状の改善状況を見守る
5.症状が長引いたり、悪化する場合は医療機関を受診
II度(中等症)頭痛吐き気・嘔吐全身倦怠感・脱力感虚脱感
(ぐったりする)
軽い意識障害(いつもと様子が違うなど)
1.I度と同様に涼しい場所へ移し、衣服を緩めて体を冷やす
2.水分や塩分の摂取が難しい・嘔吐がある場合は無理をせず医療機関へ
3.意識レベルを随時確認し、回復しない・悪化する場合は救急搬送を検討
III度(重症)意識障害(呼びかけや刺激への反応が鈍い/ない)
けいれん(全身がガクガクとひきつる)
手足の運動障害(まっすぐ歩けない、倒れるなど)
触ると皮膚が熱い(高体温)
肝機能・腎機能障害、血液凝固障害など
1.すぐに救急車を呼ぶ
2.可能な範囲で衣服を緩め、体を冷やす(首・脇の下・鼠径部などを冷やすと効果的)
3.意識がない場合やけいれんがある場合、水分摂取させない
4.医療機関到着までそばを離れず、状態の変化を見守る
参考:厚生労働省 熱中症を防ごう

症状が軽い場合は、涼しい場所で休み、水分や塩分を補給すると回復しやすくなります。
しかし、重症化すると意識障害やけいれんを引き起こすこともあるため、注意が必要です。

環境省の「熱中症予防情報サイト」では、暑さ指数(WBGT)に基づいた注意喚起を行っています。
WBGTが31以上の猛暑日には、自治体もこまめな休憩や水分補給を呼びかけています。

熱中症は進行すると対処が難しくなるため、早めの対応が大切です。猛暑の中で体調に異変を感じた場合は、すぐに周囲に助けを求めましょう。

夏場に熱中症が増える理由

夏に熱中症が増える主な理由は、気温と湿度の上昇によって体の熱を逃がしにくくなるからです。人間は発汗によって体温を調整します。そのため湿度が高いと汗が蒸発しにくくなり、体温が下がりにくくなるのです。

さらに、夏休みには子どもの屋外活動が増え、高齢者も日中に庭仕事をする機会が多くなります。炎天下で長時間過ごすと、水分や塩分が失われ、脱水症状が進みやすくなります。

また、気温の急激な上昇に体が適応できないことも、熱中症の原因となります。気温が急に高くなると、汗のかき方や血流量の調整が間に合わず、熱を逃がしにくくなるからです。特に気候が大きく変動する梅雨明け直後は、熱中症の危険度が高まるでしょう。

熱中症になりやすい人の特徴

熱中症になりやすい人には、いくつかの共通点があります。

まず、高齢者や幼児は体温調節がうまくできないため、熱中症のリスクが高いです。また、持病のある人や体調不良の人も注意が必要です。特に糖尿病・心疾患・腎疾患を抱えている場合、水分バランスや血流の調整が難しくなり、熱中症のリスクが高まります。

日本救急医学会の「熱中症診療ガイドライン2024」では、糖尿病、高血圧症、心血管疾患、呼吸器疾患などの基礎疾患が、熱波時の入院数増加や死亡率増加と関連していると報告されています。

さらに、暑さに慣れていない人も熱中症になりやすい傾向があります。夏場に運動を始めたばかりの人や、冷房の効いた室内で長時間過ごす人は注意が必要です。

梅干しが熱中症対策に有効な理由

梅干しが熱中症対策に有効な理由

梅干しにはさまざまな健康効果があります。特に熱中症対策におすすめの成分が豊富です。梅干しが熱中症対策に有効な理由を以下の観点から解説します。

  • 塩分補給による体内バランスの維持
  • クエン酸による疲労回復のサポート
  • 食欲増進による栄養補給
  • 抗菌作用による食中毒の予防

それぞれ見ていきましょう。

塩分補給による体内バランスの維持

熱中症対策には梅干しに含まれる塩分も重要です。汗とともに失われるナトリウムの補給に役立つからです。

ナトリウムが不足した状態で水だけを飲むと、体内の塩分濃度を維持するために排尿が増え、脱水症状が進行します。そのため塩分と共に水分補給をしないと、熱中症のリスクが上がる可能性があるのです。

文部科学省の日本食品標準成分表(八訂)増補2023年によると、梅干し1個(約10g)には約720mgの塩分が含まれているとされています。そのため、汗を大量にかいたときの塩分補給に効果的です。

ただし、塩分の過剰摂取は高血圧などのリスクを高める可能性があります。摂取する際は1日1個程度とし、適量を守ることが大切です。特に高齢者や持病のある人は、医師や栄養士の指導を受けながら調整しましょう。

また、水分と一緒に梅干しを摂ると、体内のミネラルバランスを維持しやすくなります。梅干しは熱中症になりにくい身体づくりをサポートします。

参考:厚生労働省 職場における 熱中症を予防しよう!

クエン酸による疲労回復のサポート

梅干しにはクエン酸が豊富に含まれています。

クエン酸は疲労回復や筋肉痛の軽減に役立つとされ、スポーツ選手の間でも注目されています。

特に夏は体力が奪われやすく、食事が偏りがちです。クエン酸を摂取することで、体の回復力をサポートできるでしょう。

この成分は、エネルギー生産に関わる「クエン酸回路」を活性化させる働きがあります。また、疲労物質とされる乳酸の分解を促進するともいわれています。

暑い季節の健康維持のために、梅干しをうまく活用してみてください。

参考:化学と教育 57 巻 (2009) 9 号 細胞のエネルギー代謝 : 解糖系,クエン酸回路,電子伝達系(講座:生命に係わる化学物質・反応)

食欲増進による栄養補給

梅干しの強い酸味や香りには、唾液や胃酸の分泌を促す作用があるとされています。

そのため、食欲が落ちやすい夏場に摂取すると、ごはんや副菜が食べやすくなるでしょう。特に子どもや高齢者は、暑さで食欲が低下しやすく、食事量が減ることがあります。

しかし、梅干しを少量混ぜた料理や飲み物を取り入れれば、食欲が増して栄養を自然に補えます。食欲がない日は梅干しをおにぎりやおかゆに混ぜるのがおすすめです。

栄養不足は免疫力の低下を招き、熱中症だけでなく、他の疾患のリスクも高めます。食欲増進効果のある梅干しを夏場に食べるのは、合理的といえます。

抗菌作用による食中毒の予防

梅干しは古くから弁当やおにぎりの具材として親しまれてきました。

経験則として食中毒のリスクを減らすことが知られていたためです。梅干しに含まれる有機酸には細菌の繁殖を抑える働きがあり、食材の安全性を高めると考えられています。

夏場は高温多湿の影響で食材が傷みやすく、食中毒のリスクが高まります。食中毒によって体力が落ちると、熱中症にもかかりやすくなる可能性があります。そのため、夏場は特に衛生管理を徹底し、食事から体調を整えることが重要です。

弁当やおにぎりに梅干しを加えることは、古くから日本の食文化に根付いた知恵といえるでしょう。ただし、梅干しだけで完全に食中毒を防ぐことはできません。適切な保存と調理を心がけ、食中毒のリスクを減らす工夫が大切です。

参考:【読み物版】生活の中の食品安全 -お弁当も、食中毒に気をつけよう!-その2 ◆Q&A◆平成29年4月14日配信 | 食品安全委員会 – 食の安全、を科学する

子どもや高齢者にもおすすめの梅干しレシピ3選

そのまま食べると酸っぱい梅干しでも、調理法や味付けを工夫すれば、食べやすくなります。ここでは、梅干しを使った簡単なレシピを3つ紹介します。

  • 梅干しの炊き込みごはん
  • いわしの梅煮
  • 鶏むね肉の梅ポン酢炒め

子どもや高齢者でも食べやすいレシピなので、ぜひ食卓に取り入れてみてください。

梅干しの炊き込みごはん

梅干しの炊き込みごはん

最初に紹介するのは、梅干しを加えたシンプルな炊き込みごはんです。炊飯器に白米・水・種を除いてほぐした梅干しを入れ、一緒に炊きましょう。梅の酸味がごはん全体に広がり、食欲が落ちたときでもさっぱりと食べやすくなります。

梅干しの炊き込みごはんは、暑い日の朝食やお弁当にぴったりです。弁当箱に詰める際は、しっかり冷ましてからフタを閉めると傷みにくくなります。ただし、高温多湿の環境では安全とは言い切れないため、できるだけ早めに食べましょう。

いわしの梅煮

いわしの梅煮

次に紹介するのは、いわしの梅煮です。梅干しの酸味が魚の生臭さをやわらげるため、魚が苦手な方でも食べやすくなります。

いわしはカルシウムが豊富で、夏場に不足しがちな栄養素を補えるのも魅力です。カルシウムは骨の健康だけでなく、筋肉の収縮や神経伝達にも関わるため、熱中症対策や体調管理にも役立ちます。

この梅煮は保存しやすく、作り置きして冷蔵しておくと忙しいときの主菜として便利です。柔らかく仕上がるので、高齢者にも食べやすいおかずとしておすすめします。

鶏むね肉の梅ポン酢和え

最後に紹介するのは、鶏むね肉を使ったさっぱり料理です。茹でた鶏むね肉を、叩いた梅干しとポン酢を合わせたソースで和えるだけの簡単レシピです。クエン酸とたんぱく質を手軽に補えるうえ、ポン酢と梅干しの酸味が合わさり、爽やかな後味になります。

高齢者向けには、一口サイズを小さめにしたり、低温で調理して柔らかく仕上げたりすると食べやすくなります。手軽なレシピを活用し、梅干しの持つ健康効果を日常の食事に取り入れてみてください。

梅干し以外の熱中症対策

梅干し以外の熱中症対策

梅干しは熱中症対策に役立つ食材ですが、これだけで万全とはいえません。ここでは日常生活の中で意識したいポイントをいくつか紹介します。

  • こまめな水分補給
  • 塩分の適切な摂取
  • 涼しい環境の確保
  • 通気性の良い衣服
  • 定期的な休憩

猛暑が続く現代では、暑さ対策や正しい水分・塩分補給の知識が欠かせません。梅干しのような食材を活用しつつ、さまざまな方法で熱中症リスクを減らしましょう。

こまめな水分補給

熱中症予防において最も重要なのは、こまめな水分補給です。運動時は発汗量が増えるため、意識的に水分を摂る必要があります。

特に子どもや高齢者は、のどの渇きを感じにくい傾向があります。周囲が積極的に声をかけ、定期的な水分補給を促すことが大切です。

のどの渇きを感じてからの水分補給では遅れることがあります。朝起きた時や入浴、運動の前後など、こまめに水分を摂り、脱水を防ぎましょう。

参考:厚生労働省 熱中症予防のために

塩分の適切な摂取

水分補給とともに、適切な塩分(ナトリウム)の摂取も重要です。

汗にはナトリウムだけでなく、カリウムやマグネシウムなどのミネラルが含まれています。水分のみを補給すると、電解質バランスが崩れがちです。そのため、大量に汗をかいたときは、水分と塩分を適度に摂取しましょう。

塩分補給には、梅干しが役立ちます。ですが、梅干しが苦手な人には以下の方法がおすすめです。

  • 市販の塩飴を舐める
  • 経口補水液を飲む

特に、子どもが屋外で活動するときやスポーツをするときは、水分とともに塩分補給も意識しましょう。ただし、塩分の過剰摂取には注意が必要です。高齢者で塩分摂取を制限している場合は、医療専門家と相談しながら調整するのが望ましいです。

参考:人間と生活環境 1995年 運動による発汗後の水分補給の実態と飲食指導

涼しい環境の確保

暑さを避ける工夫も重要です。エアコンや扇風機を活用して室温を調整しましょう。屋外では、日陰を選んだり帽子をかぶったりして、直射日光を避けるのが大切です。

近年、ヒートアイランド現象の影響で都市部の気温が上昇し、猛暑日が続く地域が増えています。環境省が推奨する「室内の適正温度」は夏場で28℃前後とされています。

ただし、湿度が高いと暑さの感じ方が変わるため、体感に応じて温度を調整しましょう。

参考:環境省 適正な室温とは/COOLBIZ|COOLCHOICE未来のために、いま選ぼう。

通気性の良い衣服

夏場の服装選びも、熱中症対策として重要です。通気性の良い素材や、ゆったりとしたデザインの衣服を選びましょう。汗が蒸発しやすくなり、体温を下げやすくなります。

吸水速乾性のあるポリエステルは運動時に便利です。一方で、綿や麻などの天然繊維は通気性が高く、肌への刺激が少ない場合もあります。

また、帽子や日傘を活用すると、直射日光を防げます。特に頭部は熱を受けやすいため、日差しを遮ることで体力の消耗を抑えられるでしょう。

衣類の工夫は、子どもだけでなく高齢者にとっても重要です。快適で健康的に夏を過ごすためにも、熱中症対策を視野に入れた衣類選びが重要です。

参考:東京都環境局 令和5年度都民の皆さまから寄せられた選りすぐりの「熱中症予防」実践事例集

定期的な休憩

夏場は無理をしないことも大切です。暑い環境で長時間活動すると、体の冷却機能が追いつかず、熱中症のリスクが急激に高まります。適度に休憩を取りながら、水分や塩分を補給しましょう。

子どもや高齢者は、自身の疲労や体調の変化に気づきにくいことがあります。周囲の大人や家族が声をかけ、適切なタイミングで休憩を促すことが重要です。

農作業中の熱中症による死亡事故は、日中の最高気温が30℃を超える日が多い7~8月に発生する傾向があるとされています。

日中は無理を避け、早朝や夕方など涼しい時間帯に活動するのがおすすめです。​猛暑日は屋外活動を控え、室内で涼しく過ごすと良いでしょう。

参考:農林水産省 農作業中の熱中症対策について

梅干しを活用して熱中症を予防しよう!

梅干しは、単なる酸っぱい漬物ではありません。

熱中症対策に役立つ塩分補給や疲労回復をサポートするほか、抗菌作用による食中毒予防にも効果が期待できます。特に、子どもや高齢者のように体調を崩しやすい方でも、調理方法を工夫すれば無理なく取り入れられるでしょう。

ただし、梅干しだけで熱中症を完全に防ぐことはできません。こまめな水分・塩分補給、涼しい環境の確保、適度な休憩など、基本的な対策と組み合わせると、効果を最大限に引き出せます。

梅干しによる熱中症予防に関するQ&A

梅干し1個で熱中症予防になりますか?

梅干しには塩分が含まれ、汗で失われるナトリウム補給に役立ちます。クエン酸が疲労回復を助けますが、こまめな水分補給とあわせて摂ることが大切です。

子どもの熱中症対策に梅干しを食べさせても大丈夫ですか?

1日1個程度なら問題ありません。おにぎりに混ぜたり、スープにすると食べやすくなります。塩分の摂りすぎに注意しましょう。

高齢者の熱中症対策に梅干しは効果的ですか?

適度な塩分補給に役立ちますが、塩分制限がある場合は注意が必要です。おかゆやそうめんに加えると食べやすくなります。

梅干しのおすすめの食べ方はありますか?

炊き込みごはんや鶏むね肉の梅ポン酢炒めにすると食べやすくなります。スープに溶かせば水分と塩分を同時に補給できます。

梅干し以外の熱中症対策には何がありますか?

こまめな水分補給、適度な塩分摂取、涼しい環境の確保、通気性の良い服装などを心がけましょう。

いつ梅干しを食べるのが効果的ですか?

運動後や暑さで食欲がないときに摂ると効果的です。水分と一緒に摂ると塩分補給の効率が上がります。

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この記事を書いた人

読み物コンテンツ担当。ダイエットのため筋トレを始めるも、食事にも気をつけないと痩せないことに気づく。1日1杯のはちみつレモンが至福の時間です。料理が趣味。ついつい味見の量が多くなってしまうのが悩みの種です。

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