梅干しで下痢になりにくい体質に!でも食べ方を間違えると逆効果?

「またお腹がゴロゴロ…」と急な下痢に悩むことはありませんか?外出先や仕事中にお腹の調子が悪くなると、不安で落ち着かないものです。
さまざまな効果がある梅干しは、下痢対策にも役立ちます。殺菌・抗菌作用があり、腸内環境を整える効果も期待できるからです。毎日の食生活に取り入れれば、下痢になりにくい体質をサポートできるでしょう。
この記事では、梅干しが下痢対策に有効な理由と正しい摂取方法を詳しく解説します。梅干しが逆効果にならないための注意点もご紹介。ぜひ最後まで読んで、下痢対策に梅干しを活用してみてください!
下痢になる主な原因

下痢になる原因は多様です。また複数の要因が重なり、症状を引き起こすケースも少なくありません。
ここでは、下痢の主な原因を4つ紹介します。
- 腸のぜん動運動が過剰になっている
- 腸管からの水分や電解質の分泌が過剰になっている
- 腸内に吸収されにくい物質がある
- 腸内の表面積が少なくなっている
原因を把握すれば、適切な対策をとりやすくなるでしょう。
腸のぜん動運動が過剰になっている
ぜん動運動とは、腸が食べ物を先へ送る波のような動きです。
ぜん動運動が過剰になると、腸内の通過が速まり、水分吸収が不十分になります。その結果、便が柔らかくなりすぎて、下痢になりやすくなるのです。
特に、ストレスや自律神経の乱れはぜん動運動を刺激しやすいことで知られています。試験前や仕事のプレッシャーなど、精神的な負担も大きく影響するでしょう。
また、カフェインや香辛料など刺激の強い飲食物を摂りすぎると、腸が敏感に反応し、ぜん動運動が過剰になりやすくなります。
過剰なぜん動運動は一時的な下痢だけでなく、慢性的な腸トラブルにつながる可能性もあるため注意が必要です。腸のぜん動運動を適度に保つには、精神面と食事の両方を意識しましょう。
リラックスできる時間を確保し、刺激を抑えると腸内環境が整いやすくなります。
腸管からの水分や電解質の分泌が過剰になっている
下痢の原因の一つに、腸管が水分や電解質を過剰に分泌する場合があります。
多くはウイルスや細菌の感染症が引き金です。例えばノロウイルスやロタウイルスに感染すると激しい下痢を引き起こします。
感染症以外にも、食あたりやアレルギー反応によって腸管が過剰に分泌を行うことがあります。この状態では便に大量の水分が含まれがちです。水様便となりやすく、脱水症状のリスクも高まります。
家庭での料理が原因となることもあるため、普段から適切な調理と衛生管理を心がけましょう。体調がすぐれないときは、食材の取り扱いを特に慎重にすることが大切です。
感染症が流行する季節には、手洗いや食器の消毒を徹底するのも有効な予防策になります。
参考:感染性胃腸炎(ウイルス性胃腸炎を中心に) | 東京都感染症情報センター
腸内に吸収されにくい物質がある
腸で吸収されにくい物質が過剰にあると、薄めようとして腸内の水分が多くなります。
特に濃度の高い糖分は吸収されにくいです。便に水分が多く含まれるため、下痢を引き起こしやすくなります。
例えば甘いお菓子やジュースを大量に摂取すると、お腹を下すことがあります。余分な糖分が腸内にとどまり、周囲の水分を吸収してしまうためです。特に果糖を多く含む飲料を急激に摂取すると、お腹を下しやすくなります。
また、人工甘味料も腸内で吸収されにくいと指摘されています。またお酒の飲みすぎや食べ過ぎも下痢の原因となるので注意が必要です。
下痢を防ぐには食事の際は栄養バランスを整え、糖分や人工甘味料の量にも気を配るとよいでしょう。
参考:下痢 – 01. 消化管疾患 – MSDマニュアル プロフェッショナル版
腸内の表面積が少なくなっている
最後に挙げるのは、腸内の表面積の問題です。
腸壁には多数の絨毛(じゅうもう)があり、表面積を広げることで栄養や水分を効率的に吸収しています。しかし、疾患や炎症、慢性的な腸トラブルがあると、絨毛がダメージを受け、吸収能力が低下しがちです。
特に過敏性腸症候群や潰瘍性大腸炎では、腸粘膜の炎症によって表面積が減少することがあります。この場合、専門的な治療が必要です。
慢性的な下痢が続く場合は医療機関を受診しましょう。
梅干しで下痢になりにくい体質になる3つの理由

梅干しが下痢に与える影響について解説します。「梅干しは身体に良い」と昔から言われていますが、これは科学的根拠に基づく部分も多くあるのです。
ここでは、梅干しの3つの主な作用を紹介します。
- 殺菌・抗菌作用
- 腸内環境を整える作用
- 消化を促進する作用
それぞれの仕組みを理解し、梅干しを効果的に取り入れてみましょう。
殺菌・抗菌作用がある
梅干しの酸味成分であるクエン酸には、雑菌の繁殖を抑える働きがあります。お弁当に梅干しを入れると腐りにくくなるのは、殺菌・抗菌作用によるものです。
雑菌の繁殖を抑える作用は腸内でも一定の効果を持ちます。そのため悪玉菌の増殖を抑える可能性が指摘されています。特に、湿度や温度が高い時期には食あたりのリスクが増えるため、梅干しの抗菌力が役立つ場面も多いでしょう。
ただし、梅干しだけですべての感染症を防ぐことはできません。大腸菌やサルモネラ菌のような強力な細菌が繁殖している場合、梅干しの力だけでは不十分です。そのため、手洗いや衛生管理とあわせて活用することが重要です。
参考:日本健康科学学会誌 日本健康科学学会誌/38 巻 (2022) 1 号 ユズ果汁中のクエン酸とリンゴ酸がマウス腸内乳酸菌を増やす
腸内環境を整える作用がある
梅干しに含まれるクエン酸は、腸内を適度な酸性に保つ働きがあります。
腸内が酸性に保たれると、乳酸菌などの善玉菌が活発に働きやすくなり、悪玉菌の繁殖を抑えやすくなります。
その結果、下痢や便秘といった腸の不調を防ぎやすくなるでしょう。
また、梅干しに含まれるポリフェノールやフラボノイドも腸内細菌のバランスに影響を与える可能性があります。
これらの成分には抗酸化作用があり、腸粘膜を保護し、腸管の状態を良好に維持する働きが期待されています。
個人差はありますが、日常的に梅干しを摂取することは腸内フローラの改善に役立つと考えられます。
ただし、市販の梅干しには添加物が多く含まれるものもあります。無添加の梅干しを選ぶと、腸内環境を整える効果をより活かしやすくなるでしょう。
参考:日本農芸化学会 化学と生物 Vol. 60, No. 4, 2022 ポリフェノールの機能作用についての最近のアプローチ
消化を促進する作用がある
梅干しの酸味成分は、唾液や胃液の分泌を促し、消化をスムーズにする働きがあります。クエン酸などの有機酸が胃腸を適度に刺激し、消化酵素の働きを高めるためです。
消化を促進すにより、食べたものが胃や腸に滞留しにくくなります。その結果、腸内に未消化物が溜まりにくくなり、下痢や便秘のリスクを軽減しやすくなるのです。
ただし、酸味を摂りすぎると胃腸を刺激しすぎることがあります。特に慢性的な胃炎や胃酸過多の人は、梅干しの過剰摂取で胃痛や胸やけを引き起こす可能性があるため注意が必要です。
適量を摂取することで、消化を促進し、胃腸の働きを整えるのが理想的です。よく噛んで唾液をしっかり分泌させながら食べると、より効果的に消化をサポートできるでしょう。
下痢のときに梅干しを食べる際の注意点

梅干しは体に良いとはいえ、無制限に食べれば良いわけではありません。下痢の症状を悪化させないために、量や組み合わせ、タイミングに配慮が必要です。
特に下痢のときは腸が弱っており、水分や電解質のバランスも崩れがちです。以下の3つのポイントを押さえ、安全かつ効果的に梅干しを活用しましょう。
- 適量の摂取を心がける
- 胃腸の状態に合わせて摂取する
- 消化に良い食材と組み合わせる
順に解説していきます。
適量の摂取を心がける
下痢対策に梅干しを食べる際は、塩分の摂り過ぎに注意が必要です。梅干しに含まれる塩分量は高く、1個あたり約1gの塩分を含むことがあります。
厚生労働省が推奨する1日の食塩相当量は男性7.5g、女性6.5gです。複数の梅干しを食べると1日の食塩摂取量が基準を超える人も多くなるでしょう。
下痢のときは水分と電解質のバランスが崩れやすいため、梅干しで適度に塩分を補給するのは有効です。しかし、食べ過ぎると塩分過多となり、体内の水分バランスがさらに乱れる可能性があります。1日に1~2個を目安にし、体調に合わせて調整するとよいでしょう。
また、梅干しにはクエン酸などの酸味成分も含まれるため、多量に摂ると胃や腸への負担が増します。特に下痢がひどいときは、少量から試し、胃腸に負担をかけない範囲で摂取するのがおすすめです。
梅干しは主食としてではなく、あくまで補助的に活用するのが適切です。全体の食事バランスを考えながら、適量を見極めるようにしましょう。
胃腸の状態に合わせて摂取する
激しい腹痛や嘔吐を伴う下痢の場合、症状を悪化させる恐れがあります。梅干しの酸味や塩分が腸への過剰な刺激となるからです。
一方で、軽い下痢やお腹が少し緩い程度であれば、少量の梅干しを摂ると消化を促進します。お粥やうどんなど消化に優しい主食に梅干しを添える程度であれば、胃腸への負担を抑えられるでしょう。
ただし、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの持病がある人は、医師に相談するのがおすすめです。
症状が急性で激しい場合は、無理に食べず、水分補給を優先しましょう。軽症であれば梅干しも有効ですが、症状が重いときは医療機関への受診が最優先です。
消化に良い食材と組み合わせる
梅干しは、消化に良い食材と組み合わせると、胃腸への負担を抑えつつ効果を得やすくなります。例えば、お粥や煮込んだ野菜スープなど、やわらかく消化しやすい食事と合わせるとよいでしょう。
梅干しに含まれるクエン酸やリンゴ酸と、タンパク質やビタミンが豊富な食材を組み合わせると、栄養の吸収率を高めながら胃腸の調子を整えやすくなります。特に、鶏肉や豆腐などの消化に優しいタンパク源との相性は抜群です。
また、脂質や糖分の多いメニューは下痢のリスクを高めます。そのため、下痢対策には梅干しを使ったさっぱりしたメニューにするのがポイントです。煮物や和え物に梅干しを少量加えると、風味が引き立ちます。
下痢の際に梅干しを取り入れるのであれば、できるだけ胃腸に優しいメニューを選びましょう。
梅干し以外の下痢対策

下痢を防ぐには、生活習慣や食事全体の見直しも重要です。腸をいたわる習慣を身につければ、下痢を起こしにくい体質へと改善しやすくなります。
具体的な対策は以下の通りです。
- 水分補給を適切に行う
- 腸内環境を整える
- 刺激物を避ける
- お腹を温める
- 十分に休息してストレスを解消する
それぞれ見ていきましょう。
水分補給をしっかり行う
下痢が続くと、普段よりも多くの水分や電解質が失われます。そのため、こまめな水分補給が大切です。特に、下痢の最中や直後は脱水状態になりやすいため、意識して水分を摂りましょう。
ただし、冷たい飲み物を一気に飲むと腸を刺激し、下痢を悪化させることがあります。なるべく常温か、体を冷やさない程度の温度に調整して飲むのがおすすめです。
水分補給は一度に大量に摂るのではなく、少量をこまめに摂る方が胃腸への負担を抑えられます。梅干しで適度に塩分を補給しながら、水分も計画的に摂取しましょう。
腸内環境を整える
下痢が続くと、腸内細菌のバランスが乱れやすくなります。善玉菌が減少すると悪玉菌が増えやすくなり、下痢が慢性化することもあります。そのため、善玉菌やそのエサとなる成分を含む食品を意識的に摂るとよいでしょう。
梅干しも腸内バランスの改善に役立つとされていますが、発酵食品と組み合わせることで相乗効果が期待できます。例えば、ぬか漬けやキムチと一緒に摂ると、さまざまな種類の乳酸菌を取り入れやすくなります。
腸内環境を整えるには、日々の継続が欠かせません。梅干しや発酵食品を上手に活用し、長期的に腸内細菌を育てていきましょう。
刺激物や脂肪分の多い食品を避ける
下痢の原因の一つに、唐辛子やカフェインなどの刺激物や、脂肪分の多い揚げ物やファストフードがあります。腸に強い刺激を与えてぜん動運動を過剰に促進し、下痢を引き起こす可能性があります。
特に辛い料理、コーヒー、アルコール類は、下痢が治りかけのときに摂取すると症状が再び悪化することがあります。胃腸が落ち着くまでは控えめにしましょう。また、脂肪分の多い食事は消化に時間がかかるため、下痢の回復を妨げることがあります。
刺激物や脂肪分の多い食品を避けると、体調の回復をスムーズに進められます。症状が完全に治るまでは、胃腸に優しい食生活を意識しましょう。
お腹を温める
お腹が冷えると腸内の血流が悪くなり、ぜん動運動が不安定になりがちです。特に冬は外気で腹部が冷えやすく、夏は冷房と屋外の温度差で体温調節が難しくなる季節です。
湯たんぽや腹巻きを使ってお腹を温めると、血流が促進されます。そのため腸の機能を安定させる効果が期待できます。また、お風呂にゆっくり浸かることもリラクゼーションと血行促進に役立つためおすすめです。
温かい食べ物や飲み物を摂ることも効果的です。スープやハーブティーなどで体を内側から温めるとよいでしょう。特に下痢のときは、胃腸への負担を減らすために温かい食事を選ぶのが望ましいです。
普段から腹部を温める習慣をつけると、急な冷えによる下痢のリスクを下げられます。温度管理に気をつけ、お腹を冷やさない工夫をしましょう。
十分に休息してストレスを解消する
過度なストレスや睡眠不足は、腸のぜん動運動を乱し、下痢や便秘を引き起こす原因となります。忙しくても、質の良い睡眠を確保し、心身をリセットする時間を設けることが重要です。
精神的な負荷が高まると、自律神経のバランスが崩れやすくなります。自律神経には交感神経と副交感神経があり、これらがうまく切り替わらないと腸の動きが乱れやすくなります。適度なリラックスを心がけると、下痢体質の改善につながるでしょう。
また、運動はストレス解消だけでなく、腸の動きを活発にする効果もあります。ウォーキングや軽いストレッチを取り入れると、血流が良くなり、腸内環境が整いやすくなります。
ストレス社会の現代だからこそ、意識的に休息や気分転換の時間を作ることが必要です。梅干しや食事の工夫とあわせて、心身のケアも忘れずに行いましょう。
参考:腸内細菌学雑誌 第19巻 25–29頁 ストレスと腸内フローラ
梅干しを毎日の食生活に取り入れて下痢対策をしよう

ここまで、下痢の主な原因や梅干しの下痢対策への効果、注意点や他の対策方法を解説しました。梅干しには殺菌・抗菌作用、腸内環境を整える機能、消化を促進する作用が期待できます。適切に取り入れることで、下痢になりにくい体質づくりの助けになるでしょう。
ただし、梅干しには塩分と酸味が多く、食べ過ぎや体調に合わない摂取方法は逆効果になることもあります。特に症状が重いときや慢性的に続く場合は、医療機関を受診し、医師のアドバイスを優先してください。