バルサミコ酢は体に悪い?知っておきたいデメリット2選と安全に摂るコツ

バルサミコ酢は体に悪いという噂を耳にし、不安に感じたことがある方も多いのではないでしょうか。
バルサミコ酢は、健康に良い調味料として知られていますが、摂り方や製品の選び方を間違えると、体に負担をかけてしまう可能性もあります。
この記事では、バルサミコ酢は本当に体に悪いのかどうかを、実際の研究結果をもとに解説します。バルサミコ酢のデメリットと、安全に摂取するコツもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
バルサミコ酢のデメリット2選

バルサミコ酢は健康に良い調味料として知られていますが、場合によっては体に負担をかけることもあります。ここでは、特に注意したい2つのデメリットについて解説します。
- 胃や喉への刺激に注意
- 歯へのダメージに注意
それぞれ詳しく見ていきましょう。
胃や喉への刺激に注意
バルサミコ酢を原液のまま空腹時に摂取するのは、胃腸や喉に刺激を与える可能性があるため注意が必要です。
バルサミコ酢の主成分は酢酸であり、レモン果汁や米酢と同じくらい強い酸性です。強酸性の食品を空腹時に原液のまま摂取すると、胃や食道、喉の粘膜を刺激するおそれがあります。特に以下のような方は注意しましょう。
- 胃が弱い方
- 胃炎・胃潰瘍の経験がある方
- 逆流性食道炎のある方
- 空腹時に胸やけや胃もたれを感じやすい方
とはいえ、推奨された濃度に薄めて飲む場合や、料理に少量使う程度であれば心配はありません。「健康のために」と空腹時に原液をそのまま飲む習慣は避けたほうが安心です。
歯へのダメージに注意
バルサミコ酢などのお酢を原液のまま長く飲み続けると、歯が溶けるおそれがあります。
これは、お酢に含まれる酢酸が、歯の表面(エナメル質)を少しずつ溶かすためです。通常は酸っぱいものを口にした瞬間に唾液が分泌され、中和してくれるため、普段の食事で過度に心配する必要はありません。注意すべきなのは、原液のまま長時間にわたって繰り返し摂取する場合です。
実際に、黒酢を毎日朝晩コップ1杯ずつ何年も飲み続けていた人が、歯がしみる・歯の表面が削れるといったトラブルを起こしていたという調査報告もあります。バルサミコ酢にも、黒酢とほぼ同じ量の酢酸が含まれているため、同様のリスクが考えられます。
そのため、バルサミコ酢を飲むときは、水や炭酸水で薄めて摂取するのがおすすめです。もし原液で飲んだ場合は、飲んだあとに水で口をすすぐなど、歯への負担を減らす工夫をすると安心でしょう。
バルサミコ酢は体に悪いのか

バルサミコ酢には、前述のように注意すべき点もありますが、基本的には栄養価が高い優秀な調味料です。この記事では、バルサミコ酢の栄養面での特長に加え、太りやすさや妊娠中の摂取可否など、日常的に安心して取り入れるためのポイントを解説します。
バルサミコ酢は健康に良い
バルサミコ酢は、栄養バランスに優れた調味料です。
特に注目されているのが、ぶどう由来のポリフェノールです。バルサミコ酢には、黒酢の約3倍ものポリフェノールが含まれており、美容や健康を意識する方に好まれています。
また、酢酸・クエン酸・リンゴ酸・乳酸といった有機酸や、カリウムやカルシウムなどのミネラルも豊富な点も魅力です。
よって、バルサミコ酢は、他の酢と比べても栄養価が高い点が大きな特徴です。少量加えるだけで料理に深みとコクを与え、塩分や脂肪を控えたい食事にも取り入れやすいのも魅力といえるでしょう。
太る心配は少ない
バルサミコ酢は基本的に太りにくい食品です。大さじ1杯あたりのカロリーは15〜25kcalと低く、少量でもしっかり味が出るため、ドレッシングやソースの量を減らすのにも役立ちます。
ただし、製品の選び方と使い方次第では太る原因になるため、注意が必要です。安価なバルサミコ酢には、砂糖やブドウ糖果糖液糖などが加えられているものもあり、糖質・カロリーが高くなりがちです。また、サラダに使う場合でも、チーズやオイル、ナッツを大量に使うとカロリーは高めになってしまいます。
そのため、バルサミコ酢は適切に使えば太る心配は少ない調味料だといえます。
妊娠中でも摂取可能
バルサミコ酢は、妊娠中でも基本的に安心して摂取できる調味料です。
妊娠中はアルコールの摂取に不安を感じる方も多いかと思いますが、バルサミコ酢のアルコール分は1.5%未満と非常に低いです。そのため、一般的な使用量であれば、過度に心配する必要はありません。
バルサミコ酢は酸味とほのかな甘みが特徴で、料理の味を引き立てて減塩の助けにもなるため、妊婦さんにはおすすめの調味料です。
ただし、砂糖やカラメル色素などの添加物が含まれている製品は、カロリーが高くなる傾向があるため注意が必要です。 妊娠中に取り入れる際には、ラベルを確認し、無添加のバルサミコ酢を選ぶと安心です。
また、妊娠中は体調や味覚が変化しやすく、酸味に敏感になり、胃の調子が不安定になりがちです。少量から試してみて、体に合わないと感じた場合は無理に摂らずに、医師や栄養士に相談するようにしましょう。
バルサミコ酢を安全に摂るコツ3選

バルサミコ酢は健康に役立つ一方で、摂り方や選び方を間違えると、かえって体に負担をかけてしまうことがあります。ここでは、バルサミコ酢を安心して取り入れるために押さえておきたい3つのポイントをご紹介します。
- 原液摂取は避ける
- 過剰摂取は避ける
- 添加物入り製品は避ける
それぞれ詳しく紹介します。
原液摂取は避ける
前述したように強い酸性の酢酸が胃や喉、歯の表面に与える影響があるため、バルサミコ酢を原液のままで摂取するのは避けましょう。
バルサミコ酢を取り入れる際は、以下のような使い方がおすすめです。
- 食事に少量を加える
- ドレッシングやソースに混ぜる
- 5~10倍に薄めて飲む
実際の研究でも、原液よりも希釈して飲んだ場合の方が、胃腸への刺激が抑えられ、安全性が高まると報告されています。これは、酸性度が中和されることに加え、飲む速度がゆっくりになり、身体への負担が軽減されるためです。
よって、バルサミコ酢を摂る際は原液は避け、日常の料理や飲み物として活用すると安心でしょう。
参考:食酢飲料の安全性の検討 伏見宗士(2005)
酸蝕症の病態と臨床対応 北迫勇一(2015)


過剰摂取は避ける
バルサミコ酢は、摂りすぎに注意が必要です。
ある研究では、体重50kgの人が酢の原液を約1リットル摂取した場合、急性中毒のリスクがあると報告されています。とはいえ、日常生活で大量に摂ることは考えにくいため、過度に心配する必要はありません
実際に、1日90mlのお酢を4週間継続して摂取しても、健康への悪影響は見られなかったという研究結果もあります。通常の使い方や料理に加える程度の量であれば、安心して取り入れられる調味料といえるでしょう。
よって、バルサミコ酢を取り入れる場合は過剰摂取は避け、1日あたり15〜30ml(大さじ1〜2杯程度)を目安にしましょう。
参考:マウスにおける米酢の急性毒性と脂質代謝に及ぼす作用について 谷澤久之(1983)
食酢飲料の安全性の検討 伏見宗士(2005)
添加物入り製品は避ける
バルサミコ酢を選ぶ際には、添加物入りを避けるなど、以下の条件を参考に選ぶと安心です。
- 添加物が含まれていない無添加のもの
- 原料がぶどう果汁のみで作られているもの
- IGPやDOPなど、品質を保証する認証マークがあるもの
伝統的な製法で作られたバルサミコ酢は、ぶどう果汁だけを原料とし、長い時間をかけて自然に熟成させています。一方、市販の安価な製品には、カラメル色素や香料、砂糖、ブドウ糖果糖液糖などの添加物が使われていることがあります。
これらの添加物が直ちに健康に悪影響を与えるわけではありませんが、糖質やカロリーが高くなりがちで、バルサミコ酢本来の栄養価が損なわれる可能性があります。
シンプルな原材料で作られた、伝統的なバルサミコ酢を選ぶ目安としては、IGPやDOPといった認証マークが付いている製品を選ぶと安心でしょう。