カカオニブの食べ方と効果。食べ過ぎ厳禁?簡単おいしいレシピも
記事の監修
管理栄養士
鶴田ようこ
調理師・管理栄養士。2つの資格を生かし食用油脂製造会社にて品質管理に従事。
菜種油、オリーブ油の品質に関する分析、衛生管理等を行う。
幼い頃から野菜作りの手伝いをしていたことから、季節の野菜料理が得意。
「神の食べ物」という意味の学名をもつカカオの木。
そのカカオからとれるカカオニブが、美味しくて手軽なスーパーフードとして注目を集めています。
今回は、チョコレートの香りと絶妙な歯ざわり、数々の健康効果をもつというカカオニブについて、食べ方や効能、レシピなどをご紹介します。
カカオニブとは
皆さんご存知のチョコレートの原料、カカオ(英語:Cacao)。
アオイ科の常緑樹で、主にアフリカ大陸やインドネシア、南米などで栽培されています。
その種子がいわゆる「カカオ豆」で、その胚乳を発酵させて割ったものがカカオニブ(英語:Cacao Nibs)です。
ポリフェノールが豊富に含まれ、リラックスやダイエットなどの健康効果が高いとして近年高カカオチョコレートが人気ですが、カカオニブは糖分や乳成分を含まない100%カカオ。
一般的なチョコレートのカカオ分は30~40%ということですから、実に2~3倍の成分を含んでいることになります。
味には苦みがあり、チョコレートのような甘みはありませんが、「香り高さとほろ苦さがクセになる」「コクがある」と愛好者も多いカカオニブ。
お菓子やデザートの材料として使えるだけでなく、そのままカリカリと食べることもできるお手軽なスーパーフードです。
カカオニブとカカオペーストの違い
カカオ豆は、加工の過程でさまざまな状態になり、それぞれ呼び名が異なります。
まぎらわしい呼び名と状態、特徴をまとめました。
カカオ豆 | カカオの木の種子 |
カカオニブ | カカオ豆の胚乳を発酵、焙煎して粗く砕いたもの |
カカオペースト | カカオ豆の胚乳を発酵、焙煎してすりつぶしたもの。 液状のものをカカオペースト(カカオリカー)と呼ぶ |
カカオマス | カカオ豆の胚乳を発酵、焙煎してすりつぶしたもの。 冷えて固まったものをカカオマスと呼ぶ |
カカオバター | カカオマスから抽出した油分 |
ココア | カカオマスからカカオバターを除いたもの |
チョコレート | カカオマス+カカオバター+砂糖+乳ほか |
最も加工の度合いが低いのがカカオニブだということが分かりますね。
変質の度合いも低く、ココアやチョコレートと比べてカカオの健康効果をしっかり摂れるといえそうです。
カカオニブの選び方
カカオニブには次のような種類があります。
- ・フォラステロ種…大部分のカカオニブはこちら。力強く”フルボディの味わい”。
- ・ナショナル種…ポリフェノールとタンニンが多く、苦みが強い。複雑で繊細な香り。
- ・クリオロ種…苦みが少なく、テオブロミンの量も少なめ。リッチな味わい。
- ・トリニタリオ種…フォラステロよりも酸味が少ない。
それぞれ、味も成分も異なるので、好みで選んでみてください。
また、カカオニブと一言で言っても、慣行栽培のものと有機栽培のものがあり、さらにローストタイプと低温ローストタイプのものがあります。
低温で処理されたものはローカカオニブと呼ばれ、油分が酸化していないためより身体にやさしいといわれています。
カカオニブを選ぶときは加熱処理の方法もチェックしてみるとよいでしょう。
カカオニブの食べ方・使い方
カカオ豆のコクと香りがそのまま楽しめるカカオニブ。
でも、慣れないと少し食べづらいという意見も…?
カカオニブの魅力を堪能できる美味しい食べ方をご紹介します。
カカオニブの味と香り
チョコレートをさらに香り高く、力強くしたような香りのあるカカオニブ。
その味はほろ苦く、酸味もあるため、最初はそのままでは食べづらいと感じる方も多いようです。
食感はカリッ、サクッとしたもので、歯にあたる感触はありますがそれほど堅くはありません。「慣れたらそのままでも美味しく食べられる」「酸味を爽やかに感じるようになった」「逆に苦みがクセになる」という意見も多く、カカオニブをそのまま食べている方も多いです。
食べ方・使い方
カカオニブにはオメガ3系脂肪酸といって、加熱に弱い脂肪酸が含まれています。調理の際は加熱しすぎないように注意しましょう。
<焼き菓子に入れる>
クッキー、マフィン、パウンドケーキなど、焼き菓子全般に使えます。
苦みがあるため、甘めの生地やドライフルーツなどと合わせると相性が良いです。
<ヨーグルト、スムージーに>
ヨーグルトにかけるという食べ方も一般的です。
バナナやラズベリーなど、カカオの香りと相性のよいフルーツを添えてもいいですね。
同様に、果物とヨーグルトや豆乳、カカオニブ、ハチミツなどの材料でスムージーを作ることも可能。ヨーグルトやスムージーと組み合わせることで、毎日の習慣に組み込みやすくなります。
<グラノーラに>
オートミールなどの穀類やナッツ、ドライフルーツやココナッツオイルなどと一緒にグラノーラにするのもおすすめです。
特にベリー系のフルーツやオレンジピールなどの入ったグラノーラとは相性良好。
熱に弱いため、作る際は他の具材を焼いた後に混ぜるのがいいでしょう。
<トッピングとして>
アイスクリームのトッピングに使うと、ほろ苦さと食感がアクセントになってくれます。
ザッハトルテなどのチョコレート系のケーキに使うのもおすすめです。
シリアルやオートミールなどに加える方も多いようです。
<その他>
クリーム系のパスタに振りかけてアクセントを加えるなど、スイーツだけでなく料理にも使えます。
特にさつまいもや栗、ごぼうなどの野菜とは相性がよいようです。
牛肉などの味わいの濃い肉とも合い、挽いてローストビーフなどにかけても楽しめます。
ピーナッツバターやジャムと合わせて使うのもおすすめです。
カカオニブの効果・効能
さて、美容や仕事など、さまざまな場面で効果を発揮するといわれているカカオニブ。
成分としてはポリフェノールが有名ですが、他にも多様な栄養素を含み、数多くの効果があるといわれています。
- カカオニブに含まれる栄養素
- ・タンパク質
- ・ビタミンB6、B12
- ・マグネシウム、鉄、銅などのミネラル
- ・ポリフェノール
- ・テオブロミン
- ・フェニルエチルアミン
- ・パントテン酸
効果効能1 精神安定効果
カカオニブに含まれるパントテン酸にはストレスに抵抗する力があるとされています。
またフェニルエチルアミンには抗うつ効果があるとされ、恋に落ちたときのようなときめきをもたらすともいわれてます。
効果効能2 集中力アップ効果
カカオニブに含まれるテオブロミンには、集中力や思考力、記憶力を高める効果があるといわれています。
また、フェニルエチルアミンにも集中力を高める効果があるとされています。
効果効能3 整腸効果
カカオニブにはリグニンという食物繊維が含まれており、整腸作用があるといわれています。
便秘の改善効果も期待できます。
効果効能4 抗酸化効果
カカオニブに含まれるポリフェノールには抗酸化作用があり、生活習慣病の予防やアンチエイジングに効果が期待できます。
酸化は肌にもダメージを与えるため、美肌を維持する効果もありそうです。
効果効能5 ダイエット効果
カカオニブに含まれるテオブロミンやポリフェノールには、動物実験にて体重の増加を抑える効果が報告されています。
糖質をほぼ含まず、血糖値の上昇抑制効果が報告されているという点でも、身体を太りにくくする食材であるといえるでしょう。
カカオニブを食べ過ぎるとどうなる?
身体にうれしい効果がたっぷりのカカオニブですが、食べ過ぎると逆に身体に負担をかけてしまうことも。また、たくさん食べたからといって効果が高くなるわけではありません。
次のような注意点があることを踏まえ、毎日少量ずつ楽しみましょう。
- ・カフェイン…カカオニブには通常のチョコレートより高濃度のカフェインが含まれます。妊娠中の方などは摂取量に注意してください。
- ・テオブロミン…カカオニブに含まれるテオブロミンには気管支拡張、利尿、興奮などの作用があります。あくまで嗜好品として食べるようにしてください。また、幼児や高齢者の方は特に摂取量に注意し、気管支拡張薬などの医薬品を使っている方は医師に相談してから摂るようにしてください。
- ・カカオに対するアレルギーがある人は食べられません。
- ・ニッケルに対するアレルギーがある人は注意してください。
また、ダイエット効果のあるとされるカカオニブですが、油分が多いため、10gあたり60kcalと意外とハイカロリー。食べ過ぎると太る原因になりますので、「これまで摂っていた間食をカカオニブに替える」というつもりで、食べ過ぎないように注意してください。
カカオニブを使ったレシピ
カカオニブを使ったスイーツの簡単レシピです。
今回ご紹介したレシピの他にも、「甘いだけでボンヤリした味になりそう」という時に加えるとキュッと締まった大人の味になりますよ。色々なスイーツに加えて楽しんでみてください。
カカオニブ入りグラノーラ
温めたミルクをかけて、ヨーグルトと一緒に、そのままでも美味しくいただけます。
材料(具材)
- ・オートミール
- 500g
- ・好みのドライフルーツ
- 300g(レーズン、イチジク、あんず、りんご、ベリー、オレンジピールなど)
- ・好みのナッツ
- 200g(アーモンド、くるみ、ヘーゼルナッツなど)
- ・かぼちゃの種
- 100g
- ・塩
- ひとつまみ
材料(ソース)
- ・無塩バター
- 130g
- ・ハチミツもしくはメープルシロップ
- 200g
- ・砂糖
- 50 g~好みで
材料(その他)
- ・カカオニブ
- 50g
つくり方
- 1
- ドライフルーツとナッツを5mm角に切ります。ナッツは大きめの方が好きな方は切らなくてもOK。
- 2
- ソースの材料を鍋に入れて弱火にかけ、煮溶かします。
- 3
- 1と他の具材をすべてボウルに入れて混ぜ、2のソースを絡めます。
- 4
- オーブンの天板にクッキングシートを敷き、3を平らに敷き詰めます。
- 5
- 140℃のオーブンで30分間焼きます。途中で取り出して上下を返してください。
- 6
- オーブンから取り出したらしっかりと冷まし、カカオニブを混ぜます。カリカリになってから保存容器に入れてできあがりです。
カカオニブ入りトリュフ
材料
- ・製菓用スイートチョコレート
- 120g
- ・生クリーム
- 100ml
- ・カカオニブ
- 30g
- ・ラム酒
- 小さじ1
- ・ココアまたは粉糖
- 適量
つくり方
- 1
- チョコレートは細かく刻んでボウルに入れておきます。
- 2
- 小鍋に生クリームを入れて中火にかけ、沸騰直前で火を止めます。
- 3
- 1のボウルにクリームを加え、ゴムベラで溶かしながらゆっくりと混ぜます。
- 4
- チョコレートが溶けたらラム酒、カカオニブを加えて混ぜます。
- 5
- 4が冷めて固まってきたら小さく丸めてバットのうえでココアまたは粉糖をまぶします。
- 6
- 冷蔵庫にバットごと入れて冷やし、固まったらできあがりです。
カカオベーグル
材料
- ☆強力粉
- 160g
- ☆薄力粉
- 40g
- ☆ココア
- 15g
- ☆砂糖
- 20g
- ・ドライイースト
- 2g
- ・ぬるま湯
- 120g
- ・塩
- 2g
- ・チョコチップ
- 40g
- ・カカオニブ
- 30g
つくり方
- 1
- ボウルに☆をふるい入れ、くぼみを作ってドライイースト、ぬるま湯を入れます。
- 2
- しっかりと混ぜ、混ざったところに塩を入れてさらにこねます。
- 3
- まとまってきたらチョコチップ、カカオニブを入れ、丸めて濡れ布巾をかけ、20分ほどおいておきます(一次発酵)。
- 4
- 生地を4等分にしてリングの形に成形し、濡れ布巾をかけてさらに20分ほどおきます(2時発酵)。
- 5
- オーブンを210℃に予熱しておきます。フライパンにお湯とハチミツ大さじ1(分量外)を入れて4の生地を片面1分ずつ茹でます。
- 6
- 生地をすくって天板にのせ、210℃のオーブンで15分ほど焼いてできあがりです。
●管理栄養士からのコメント
カカオニブは、カカオ豆を原料としたスーパーフードとして注目されています。
カカオニブの栄養成分は、脂質が主に占めています。その他、食物繊維、マグネシウム、ポリフェノールも含まれています。
苦味はありますが、カリッとした食感はグラノーラに混ぜたり、ヨーグルトにトッピングしたりなど様々な使い方ができますので、お好みの使い方を見つけてみてはいかがでしょうか。
管理栄養士プロフィール
◎鶴田ようこ
調理師・管理栄養士。2つの資格を生かし食用油脂製造会社にて品質管理に従事。
菜種油、オリーブ油の品質に関する分析、衛生管理等を行う。
幼い頃から野菜作りの手伝いをしていたことから、季節の野菜料理が得意。
カカオニブについてのQ&A
- カカオニブを食べてはいけない人はいますか?
- 国民生活センターによると、カカオに含まれるテオブロミンは健康な人が嗜好品として楽しむ分には特に問題ないものの、「敏感な人(幼児やお年寄り等)や気管支拡張薬として使用されているテオフィリン等の医薬品を使用している人は摂取量に注意が必要である」とのこと。該当する方は摂取量に気をつけて楽しんでください。
- カカオニブとココアはどちらが栄養価が高いですか。
- ココアは、カカオニブからカカオバターを除いたものです。カカオニブの方がより元のカカオ豆に近い栄養成分を含んでいます。
- カカオニブを食べるおすすめのタイミングは?
- ほっと一息つきたいリラックスタイムや、仕事や勉強などの前がおすすめです。カフェインを含むため、就寝前は避けましょう。
- カカオニブは子どもに食べさせても大丈夫?
- カカオニブは通常のチョコレートよりもカフェインを多く含んでいますので、小さなお子さんには与えないようにしましょう。
- カカオニブからチョコレートを作りたいです。
- カカオニブをすり鉢でなめらかにすり潰し、砂糖を加えて練り上げて固めるとチョコレートを作ることができます。
ぜひ、こだわりのカカオニブで手作りしてみてください。
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