腸を助ける食養生「梅流し」のやり方とスタッフの体験を公開
記事の監修

稲尾貴子
管理栄養士として病院や保育園に勤務した経験があります。延べ1万人以上の栄養指導実績があり、得意分野は糖質制限や塩分制限、減量などの栄養サポートです。

腸の大掃除ができると話題の食養生「梅流し」。
頑固な便秘、宿便に効果大と人気の一方で、注意して行わないと身体に負担になってしまうという話も?!
今回は、実際に編集部が体験した驚きのレポート、注意事項などをまとめてご紹介いたします!
腸を助ける食養生「梅流し」とは?

断食後に大根と梅干を煮てその汁を飲む、という食養生「梅流し」「梅湯流し」。
しつこい便秘や宿便、悪化した腸内環境をリセットするのに有効な方法だとして、インターネット上を中心に話題になっています。
やり方は情報によってまちまちで、48時間以上断食(ファスティング)したあとに煮大根汁+梅干の「梅湯」を飲みながら大根や生野菜を食べるというもの、より長い断食の後に行うというもの、断食をせず、前日の夕食を軽めにして翌朝から行うというものなどさまざま。
「梅流し」3つの効果・効能(体験談などから言われていること)
- ・腸内に溜まった便を出す
- ・腸内にこびりついた老廃物を出す
- ・悪玉菌優位になった腸内環境をリセットする
といった効果があるといわれています。
体験談などで大きな効果が報告されている一方で、書籍などで確かな情報を得ることが難しく、あらゆる民間療法と同様に判断や結果については自己責任という面も。
実践するときは体調管理をしっかりして臨んでください。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。

梅流し体験レポート

さて、書籍などで確かな情報を得ることが難しかった今回のテーマ「梅流し」。
ならばこの身をもって体験してみるしかない!ということで、ちょうど便秘に悩んでいた編集部が実践してみることに。
被験者の状態
- ・CTを撮り、腹部に便がぎっしり詰まっていると言われて1ヶ月
- ・便秘薬を服用しても治らない状態
- ・他は痩せているのに下腹だけ妊婦のようにポッコリ
病院で処方された便秘薬を飲んでもなかなか治らず、困っている状態でした。
当日は便秘薬を飲まずに梅流しに臨みました。
梅流し体験日誌
| 日時 | 行動 | 結果・感想 |
|---|---|---|
| 前日 | ・夕食は軽めに済ませ、早めに就寝 | |
| 1日目 (断食中) | ・食事は水のみ。お茶も飲まない ・夜はスマホ・PCなどの電子機器を使わず早めに就寝 | ・断食は昼食のみ辛かったが、その後は特に問題なかった ・食事で摂っている分の水が不足するため、少々脱水気味に |
| 2日目 (梅流し日) | ・11:00スタート ・煮汁を飲み、大根を食べる、を繰り返す ・1時間ほどで便が出始め、1時間半の間に合計9回トイレで排泄 <便の状態> ①通常の便 ②下痢状の便 ③~⑨水様便 | ・腹部がキュッと刺激されてトイレに駆け込む感覚 ・水様便が出始めてからは、トイレの近くにいないと間に合わない状態 ・食べるのをやめてからもしばらくは腹部がゴロゴロした感じ ・次の食事からは特に下痢便が出るということもなかった |
梅流しの結果、水溶便も含む下痢に
お腹がゴロゴロいいだしたのは食べ始めてから約1時間が経ってから。
「効かないのかな?」と思い始めた頃に怒涛の便意ラッシュが訪れ、不意打ちを受けた形になりました。
感覚として近かったのは、「大腸検査前に服用する下剤」。
大腸の内視鏡検査を行うときには下剤を服用し、便が透明になるまで出し切って腸の中を空っぽにするのですが、便の色がだんだん薄くなっていく様子はそれに近いように思えました。
まさか普段食べ慣れている食材でここまでの効果があるとは思っていなかったので、まさに驚愕の結果です。
下剤と違って急激な腹痛や吐き気、気分の悪さなどは一切ありませんでしたが、水様便が何度も繰り返し出る様子を見て「これは本当に悪玉菌優位の悪い状態の腸のときにだけやるものだな」と感じました。腸内環境のよいときに行うと、せっかくの善玉菌も流れてしまうからです。
気をつけたいと思ったのは断食中の脱水。
食事で摂る分の水を考慮に入れず、普段と同じつもりで水を飲んでいたところ、水分が不足気味に。
断食する時は「1日に2~2.5リットル飲む」とあらかじめ量を決め、ペットボトルなどに入れて飲む量を管理すると良いかもしれません。
梅流し後は何が変わった?

梅流し後、腹囲が2センチほど減りました。
また、梅流し後、発酵食品や乳酸菌を積極的に摂っていることもあってか、便秘の症状が改善しました。それまで便が溜まっても便意が感じられないことが多かったのですが、便意がしっかり来るように。
便秘薬を使わなくてもやわらかく、量のある便が出るようになりました。
あくまで個人の体験であり、試した方全員に同じ効果があるわけではありませんが、「何をしても出てこない」という頑固な便秘に悩む方は試してみてもいいかもしれません。
- 梅流しはハードルが高い!という方は…
- 断食はできない、という方や、あまり効き目が激しいものは怖い、という方には、梅流しではなく梅肉エキスや梅醤などで日常的に梅の成分を摂るのもいいでしょう。
- お湯に溶かして飲むだけで、クエン酸をはじめとする有機酸をたっぷり摂取することができ、腸の健康を整えます。
【チェックポイント】梅流しが失敗かもと思ったら
梅流しに挑戦してみたものの、便意がなかったなどという体験をされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。梅流しが失敗してしまう原因は以下の4つのほか、頑固すぎる便秘の方など、満足のいく効果が得られない体質の方もいらっしゃるようです。
- 梅流しに使用した梅が酸味の少ないタイプの梅だった
- 空腹時に行わなかった
- 煮汁を飲んでいない
- 食べる量が適切でなかった
詳しくはこちらの記事をご覧ください。

梅流しは「終わった後」が大切!

腸内細菌を流した腸は、まっさらに近い状態。
善に染まるか、悪に染まるかはその後の生活次第なのです。
そこで大切なのが梅流し後の食生活。
積極的に摂りたいものと腸に負担になるものを一覧にしてみました。
| 腸のために積極的に摂りたいもの | 腸の負担になるので避けたいもの |
|---|---|
| ・野菜、果物など食物繊維の豊富な食材 ・豆類 ・ヨーグルト、ケフィア、納豆、キムチ、味噌などの発酵食品 ・オリゴ糖 ・乳酸菌サプリメント | ・弁当や加工品に含まれる保存料 (安息香酸、しらこたん白、プロタミン、核蛋白、ソルビン酸、プロピオン酸、ポリリジンなど) ・肉類は野菜の1/3程度の量にとどめる |
特におすすめなのがヨーグルトなどの発酵食品やオリゴ糖、乳酸菌のサプリメントです。 これらを継続的に摂ることによって、腸内の善玉菌を増殖させ、善玉菌優位の腸を育てていくことができるといわれています。
乳酸菌は摂り始めてすぐに効果が表れるわけではなく、2週間ほど継続してようやく感じられるようになるとのことですので、少なくとも2週間は同じ種類の菌を摂り続け、効果が出なければ他の菌に変えて様子を見る、というのが良いでしょう。
梅流しについてのQ&A
- 断食は腸にとってどうなのでしょうか?
- 断食は、腸内環境がよくないときにそれをリセットするという目的で、一度だけであれば効果があるともいえますが、何回も繰り返すのは逆効果。腸本来の力を低下させてしまうのでやめましょう。
- 梅流しを毎日やるとどうなりますか?
- 梅流しを毎日やると腸が荒れてしまいます。また、断食が原因の栄養不足も心配です。 梅流しは腸内環境をリセットしたいときにのみ行うようにしましょう。
- 梅流しは妊娠中に試してもいいですか?
- 梅流しは断食を伴い、また腸を激しく動かしますので、妊娠中は絶対に行わないでください。
●管理栄養士からのコメント
24時間や48時間の断食には、健康管理上の不安があるという方は、無理に行わず、煮大根を試してみたり、梅干しや梅肉エキスなどから日常的に梅を摂ることから始めてみたりしてみましょう。 腸内環境を整え、理想的な腸内環境を保つためには、ヨーグルトなどの発酵食品や、たまねぎやバナナに多く含まれるオリゴ糖や、ぬか漬けや味噌、チーズなどから乳酸菌を継続的に摂ることが大切です。毎日継続して、いろいろな食品から複数の乳酸菌を摂ることができるといいですね。
管理栄養士プロフィール
◎稲尾 貴子
管理栄養士として病院や保育園に勤務した経験があります。延べ1万人以上の栄養指導実績があり、得意分野は糖質制限や塩分制限、減量などの栄養サポートです。パン作りが趣味の2児の母です。食欲旺盛なこども達のためにパンを作り始めたところ、パンの奥深さに魅了されています。
▼公式サイト https://www.instagram.com/takako.inao/



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