ぽっこりお腹を解消!男性も女性も必見、原因別改善エクササイズ
記事の監修
管理栄養士
安藤ゆりえ
老人保健施設の管理栄養士を経て、健康を維持するためには若いうちからの食生活の大切さを実感。2016年フリーランスとして活動を開始。レシピ開発や栄養指導、料理教室、食に関するコラムの執筆などを行っている。
「年々、お腹が出てきた気がする…」
「他はそうでもないのにお腹だけぽっこり! どうして?」
体型の悩みの中でも多いのが、お腹周りのお悩み。
やせ型なのにお腹だけぽっこり目立つという例も多く、「もしかして、、、メタボ(メタボリックシンドローム)?」と心配になることも…。
確かに、メタボリックシンドロームの原因となる内臓肥満はぽっこりお腹の原因のひとつですが、実は原因となるのはそれだけではありません。
「ただのダイエットでは引っ込まない!」と焦りを感じられる方も多いようです。
色々試しても効果がない理由は、原因がわかっていないからかも?
今回は、ぽっこりお腹の原因と、タイプ別の解消法をご紹介。そのお腹、今年こそキュッと引き締めましょう!
ぽっこりお腹の原因は?
ぽっこりお腹の原因は男女でも差があり、脂肪以外にも便秘や筋力の低下など、様々な原因があります。
男性に多いぽっこりお腹の原因
男性のぽっこりお腹でとくに多い原因は、皮下脂肪や内臓脂肪の蓄積です。
年を重ねると基礎代謝が低下していくため、脂肪が原因のぽっこりお腹は年齢を重ねるごとに増えていきます。
50代の男性は、体全体の脂肪のうちなんと6割が腹部(内臓脂肪を含む)に定着してしまうそう。
もともと女性よりも男性の方が筋肉量が多い為、筋力が衰えて脂肪となるケースもあります。
とくに、20代のころに「体重に変化がなくてもウエスト周りがふっくらした」という方は油断禁物。
メタボリック症候群の危険性や血糖値に影響を与える可能性もありますので、「最近お腹がぽっこりしてきたな」と気付いたときから、すぐにケアを開始する意識が大切です。
放置しておくと見た目だけでなくさまざまな不調の原因となりますので、思い立ったらその日から「ぽっこり改善策」をスタートしましょう!
女性に多いぽっこりお腹の原因
女性のぽっこりお腹でとくに多い原因は、便秘です。
ホルモンバランスの乱れや神経系が腸に影響しやすい女性は、男性よりも便秘になりやすいといわれています。
また、女性は筋力が少ないため正しい姿勢を保つことが難しく、内臓が垂れ下がってぽっこりお腹となるケースも。腸が圧迫されて機能が低下するため、便秘の要因にもなります。
「上半身は痩せているのにお腹だけがぽっこり出ている」「産後にお腹がぽっこり出てしまった」という場合は、筋力低下や姿勢による内臓の垂れ下がりが原因かもしれません。
- 「ぽっこりお腹」、病気の可能性は?
- お腹が出た時に心配なのが病気の可能性。
- 次のような症状がある場合は、病院に行って医師の診察を受けると安心です。
- ・原因不明の腹痛
- ・嘔吐
- ・食欲不振
- ・しこり
- ・その他、発熱や倦怠感が続く、身体のむくみなど
あなたのお腹はどのタイプ? 3つのぽっこりタイプ
ぽっこりお腹の解消法は原因によってそれぞれ異なります。
まずはご自分のタイプを知りましょう!
タイプA「脂肪型ぽっこり」タイプ
誰もが一度は疑う、「内臓脂肪や皮下脂肪によるぽっこり」がこのタイプ。
お腹をつまんでも皮下脂肪がそれほどついていない、という場合でも、内側からせり出す内臓脂肪が原因であることは多いようです。
●脂肪型ぽっこりの可能性が高い方
- ・男性である
- ・暴飲暴食をしがちである
- ・脂っこく高カロリーなものが好き
- ・夕食が就寝前になってしまう
- ・運動不足である
脂肪の量は目に見えませんが、家庭用の体脂肪計で気軽に測ることができます。
体脂肪率が、男性なら20%以上、女性なら30%以上で軽度の肥満とされていますので、ぽっこりお腹が気になっている場合は脂肪の量を測ってみるといいでしょう。
タイプB「便秘型ぽっこり」タイプ
便秘に悩んでいる方でも、それが慢性的になっているとお腹のぽっこりの原因が便秘にあると気づかないことは多いもの。自分が便秘だと気づいていない方ならなおさらです。
気になるぽっこり、体脂肪に問題がなさそうな場合は次の点をチェックしてみてください。
●便秘型ぽっこりの可能性が高い方
- ・女性である
- ・トイレを我慢しがち
- ・便は出ているがスッキリ出ない
- ・便が固い、またはベタベタしている
- ・野菜不足
- ・運動不足
- ・朝食を抜きがち
便が出てはいるので便秘ではないと思っている、けれどスッキリとは出ていない…そんな方は「隠れ便秘」かも。
「便秘型かも?」と思ったら、「排便日記」をつけて排便の頻度や状態をチェックしてみるといいでしょう。また、排便前と排便後とで腹囲が変化するかどうかも観察してみてください。
便秘を放置すると、次にご紹介する「垂れ下がり型ぽっこり」にもつながるため要注意です。
タイプC「垂れ下がり型ぽっこり」タイプ
最も分かりづらいのがこのタイプです。
内臓を支える腹筋の力が衰えたり、骨盤が開いたままになっていたりすると、腸が本来の位置にキープできずに垂れ下がってしまいます。
結果として下腹のあたりに臓器が集まることになり、下腹がぽっこりと出ることに…。
●垂れ下がり型ぽっこりの可能性が高い方
- ・産後の女性
- ・やせ型なのに下腹だけぽっこり
- ・食後になると下腹が出る
- ・下腹が固い
腸が垂れ下がると便秘にもなりやすくなるため、便秘型でしかも垂れ下がり型ということもよくあるそう。
腸が下がると胸や顔など離れたパーツまで下がってくるという説もあります。また、垂れた腸が子宮を圧迫することで血流が悪くなり、妊娠のしやすさに影響するという話も…。
見た目だけの問題かと思って放っておくと、便秘、ひいては全身の不調につながる可能性もあるようです。
腸を引き上げるエクササイズで今すぐ矯正をはかりましょう!
ぽっこりお腹解消のための筋トレ・エクササイズ
原因がわかったところで、さっそく対策です!
タイプ別に、ぽっこりお腹を解消するエクササイズをご紹介します。
骨盤や筋肉を整える「基本の姿勢」
筋トレやエクササイズで身体を整えるまえに、まずは基本の姿勢を確認してみましょう。
姿勢が悪く、骨盤が倒れていると、あらゆる下腹ぽっこりの原因につながるからです。
●骨盤が倒れるとどうなるか
- ①肋骨が内臓を押し下げて下腹が飛び出す
- ②筋肉が固定されてしまい、筋力が低下して原因に脂肪がつく
- ③腸のぜん動運動が弱り、便秘になって下腹が飛び出す
- ④内臓を動かす神経の働きが低下し、弱った内臓を守るために脂肪がつく
参考:片平悦子『たった3センチで人生が変わる座り方』(朝日新聞出版)
どのタイプのぽっこりお腹も姿勢と無縁ではありません。下の図を見ながら、普段の姿勢を見直してみてください。
立つときの姿勢 | 座るときの姿勢 |
---|---|
悪い例 |
悪い例 |
良い例 |
良い例 |
タイプA「脂肪型ぽっこり」に効くエクササイズ
「お腹のお肉だから腹筋が効くのでは?」と思われているかもしれませんが、実は内臓脂肪の解消に有効といわれているのは、筋トレなどの無酸素運動ではなく、ウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動。
有酸素運動であれば、どの種目でも効果は大差ないといわれています。
「1日に30分の運動を1回行っても10分の運動を3回行っても、両者の減量効果に差のないことが認められています」(引用:厚生労働省e-ヘルスネット)とのことですので、無理がなく、続けやすい運動の仕方を選びましょう。
どのような運動であっても、とにかく継続することが大切です。
タイプB「便秘型ぽっこり」に効くエクササイズ
便秘型ぽっこりのお腹に効くのは、上半身をひねり、腸にはたらきかける動きです。運動なら、テニスやダンス、体操などが有効だといわれています。
ここでは、腸に刺激を与え、ぜん動運動を促す手軽なエクササイズをふたつご紹介します。
①お腹ひねりエクササイズ
腸の詰まりやすいポイントをほぐすエクササイズです。
- 1. 背筋を伸ばして立ち、肋骨の下と腰骨の上をぎゅっと掴みます。
- 2. 肛門を締めながら、腰を右回り、左回りに8回ずつ大きく回します。
- 3. 反対の肋骨の下と反対の腰骨の上を掴み、同様に8回ずつ回します。
②お腹ひねりエクササイズ
座ったままでできるので、仕事中にも取り入れやすいエクササイズです。
- 1. 椅子に座り、右脚を上にして脚を組みます。
- 2. 右手で椅子の背をつかみ、左手で脚を抑えながら右側にお腹をひねります。
- 3. 左脚も同様に行います。
参考:小林弘幸『医師が教える1分間腸活』(自由国民社)
タイプC「垂れ下がり型ぽっこり」に効くエクササイズ
垂れ下がり型ぽっこりに有効なのは、腹筋を鍛えるエクササイズのほか、腸を引き上げる運動です。ジョギングなどは逆に重力で腸を下に垂らしてしまう可能性があるため、上下に揺らす運動は避けた方がよいとされています。
①腹式呼吸・胸式呼吸
思い切り腹式呼吸・胸式呼吸をしてお腹と胸を膨らませると、つられて腸が上がってくるそうです。
息を吸うときは鼻から吸ってお腹から胸の順に空気を入れ、吐くときには胸からお腹の順で口から息を吐く…
。
立っていても座っていてもいつでもできるので、毎日繰り返し行ってみましょう。
参考:小野咲『下がらないカラダ』(サンマーク出版)
②腸引き上げエクササイズ
落ちてしまった腸を引き上げるエクササイズです。夜寝る前と朝起きた時の1日2回行ってください。これにプラスして、ご自分に合った方法で腹筋を鍛えていくと効果的です。
- 1. 仰向けに寝て、リラックスした状態でひざを立てます。
- 2. ひざを閉じたまま腰を持ち上げ、肩で身体を支えます。
- 3. 垂れ下がった腸を元の位置に戻すように、手をあてて下腹から胸の方に向けてマッサージ。数回繰り返します。
参考:『日経ヘルスお腹ぺたんこ腸スッキリバイブル』(日経BP社)
ぽっこりお腹を解消する食べ物
さまざまな原因があるぽっこりお腹ですが、実は目指す食生活については共通しています。
ポイントは次の通り。
- ①しっかりと朝食を食べる
- ②3食を規則正しい時間に食べ、間食しない
- ③夜食を食べず、空腹の状態で就寝する
- ④高脂肪高たんぱくな食事を避け、野菜を肉の3倍食べる
- ⑤発酵食品など、腸内環境を整える食材を積極的に摂る
空腹の時間を作ることで腸がしっかりとはたらき、便秘の予防になるほか、血糖値もコントロールされ、肥満を防ぎます。
炭水化物を抜いて肉類を多く摂るような「糖質制限ダイエット」も見かけますが、肉類の摂取が多くなると腸内に悪玉菌が増え、結果として便秘や肥満の元になります。
健康的に体型を整えるためには、食事はバランスよく摂りましょう。
特に、水溶性食物繊維を豊富に含む野菜や海藻、果物などをしっかり摂ることをおすすめします。
腸内細菌のバランスを整えることは、腸のぜん動運動を正常にするためにも、「ヤセ菌」などと呼ばれる肥満になりにくくするはたらきをもつ腸内細菌を増やすためにも有効です。
ヨーグルトやキムチ、納豆などの発酵食品や、乳酸菌を増やすといわれるオリゴ糖は、継続的に摂取することで腸内環境を整える効果があると言われています。
毎日続けて摂るのが難しい場合は、乳酸菌のサプリメントなどを利用するのもよいでしょう。
乳酸菌の上手な摂取法とは?「大腸の専門医」後藤利夫先生に聞きました。
腸内環境が悪化するとどんな悪影響があるのか、改善するにはどうしたらいいか。
普段見ることが出来ない自分のお腹の中でどんなことが起こっているのか?
乳酸菌サプリの効果なども詳しく解説していきます!
「大腸の専門医」後藤利夫先生についての記事を見る
●管理栄養士からのコメント
40代以降の男性女性や若くて痩せている女性でも悩んでいる方の多い「ぽっこりお腹」。
お腹を引っ込めるためには腹筋!と短絡的に考えるのではなく、なぜぽっこりお腹になっているのか?考えてみることが始まりですね。
まずは腸内環境を良好な状態にして、便秘にならないよう気をつけましょう。
規則的に食事を摂ることや適切な水分摂取、発酵食品なども取り入れて腸内環境を良くしつつ、自分に合った有酸素運動や筋トレなども行ってスッキリお腹を目指しましょう。
管理栄養士プロフィール
◎安藤ゆりえ
老人保健施設の管理栄養士を経て、健康を維持するためには若いうちからの食生活の大切さを実感。
2016年フリーランスとして活動を開始。レシピ開発や栄養指導、料理教室、食に関するコラムの執筆などを行っている。
また「食を見直すならまずは毎日使う調味料から」をコンセプトに地元愛知県三河のみりんや味噌などの伝統的な調味料の素晴らしさを伝えるセミナーなども開催。
食や栄養に関すること全般ですが特に
・調味料について(みりん、味噌や醤油などの製法やどんなものを選ぶと良いかなど)
・体に優しいスイーツの選び方、作り方
・ダイエットレシピの考案
・時短レシピの考案を得意としています。
ぽっこりお腹についてのQ&A
- 産後にお腹のぽっこりが収まりません。
- 産後は腹筋も落ちて骨盤が開いており、内臓が下垂しやすい状態です。医師の許可がおり次第、腹筋を鍛え、骨盤を元に戻すエクササイズを始めましょう。
- ぽっこりお腹はダイエットでなおせますか?
- 便秘や内臓の下垂が原因のぽっこりお腹は、単に食事を抜いたり、カロリーの消費量を上げたりする方法ではなおりません。まずはお腹が出ている原因をチェックしましょう。
- 他の部分は痩せているのにお腹だけ出てしまいます。
- 他の部分は痩せているのに明らかにお腹だけが出ている場合は、筋肉の衰えや骨盤の歪みで内臓が下垂している可能性が高いそうです。腸を引き上げるエクササイズを行うとともに、腹筋を鍛えていくといいでしょう。
- 女性です。40代になってお腹が出てきた気がします。
- 腸内細菌のバランスは年齢とともに変化し、少しずつ善玉菌が減っていくといわれています。腸内環境の悪化は肥満や便秘につながるため、原因別のエクササイズを行うとともに、腸内環境を見直してみてください。
- 便秘型のぽっこりお腹を解消するために生活習慣を改善したいです。
- 3食を決まった時間に食べること、夜眠る前に食事をしないことのほか、夜は0時前に眠って腸のはたらきを正常にすること、リラックスして自律神経を整えること、トイレを我慢しないことなどが大切です。
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