マテ茶にカフェインは入ってる?9つの健康効果や飲み方ご紹介
記事の監修
管理栄養士
影山敦久
管理栄養士、栄養教諭。子どもからお年寄りまで幅広い年代の方に栄養指導や料理教室を行うかたわら、特定保健指導にも携わる。得意分野はダイエットとスポーツ栄養。
マテ茶って聞いたことあるけど、一体なんだろう?
どんな健康効果があるのか知りたいと考えていませんか?
この記事では下記について解説します。
マテ茶とは?
マテ茶とは、南米大陸原産のマテの枝や葉っぱを乾燥させたものを煮出した、ノンアルコールの飲料になります。
栄養成分は、ビタミンAやB群、カルシウムや鉄、カリウムやマグネシウムをはじめとした各種ミネラル分、カフェインなどを豊富に含み、南米地方の先住民をはじめ、たくさんの人に昔から親しまれていますが、近年栄養補助食品の成分として認められ、世界中で飲まれています。
たくさんの健康効果や効能も期待されており、徐々に世界中で研究が進んでいる、今もっとも注目される飲料の1つでしょう。
マテ茶の種類
マテ茶には2種類あります。
1つ目がグリーンマテ茶といい、葉を焼いて脱水したものを1年間貯蔵して風味を熟成させます。
もう1つがローストマテ茶といい、グリーンマテ茶に焙煎を加えたものです。
グリーンマテ茶よりも香りが強いものが多くあります。
マテ茶の驚くべき健康効果
マテ茶の驚くべき健康効果を解説していきます。
健康効果1 コレステロール値の改善
動物実験で、コレステロールの値が改善されたという報告があります。
マウスに高脂肪食を与え続けて太らせたマウスに対して、マテ茶による健康効果を測定しました。
結果的に総コレステロールやLDLコレステロールの値に改善がみられたようです。
コレステロールは一見すると悪者として受け取られがちですが、多すぎても少なすぎても体に不調をきたしますし、もともと細胞膜やホルモンの構成成分ですので人間にとっては必要不可欠です。
コレステロールは、ちょうどよいバランスが大事なのですが、コレステロール自体を簡単にわけると2つです。
1つは肝臓からのコレステロールを全身の末端まで行き渡らせるLDLコレステロール(悪玉コレステロール)、もう1つは全身にある余計なコレステロールを肝臓にまで運ぶ役目のあるHDLコレステロール(善玉コレステロール)です。
この2つのコレステロールのバランスが崩れると、脂質異常症になってしまいます。
マウスの実験でマテ茶の効果が報告されましたが、そのままヒトに当てはめることは短絡的ですので、今後さらに研究が進んでいくことを期待したいものです。
参考:厚生労働省
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-012.html
NCBI:高脂肪食誘発性肥満マウスにおけるマテ抽出物(Ilex paraguariensis)の抗肥満効果
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19444227
健康効果2 骨粗しょう症や貧血防止に働きかける
マテ茶にはミネラル分が豊富に含まれています。
特にカルシウムや鉄の含有量が多く、骨粗しょう症や貧血防止の一端を担うでしょう。
まず、カルシウムですが、現代人に不足しがちな栄養の1つです。
人間の体内にはおよそ1kg程度カルシウムが含まれていて、ミネラル分のなかで1番多く体内に貯蔵されています。
このカルシウムが不足することで、骨粗しょう症につながってしまうことは有名ですが、摂取したカルシウムが全て体に吸収されるわけではありません。
カルシウム自体の吸収を促すには、ビタミンDなどの他の栄養と一緒に摂って吸収効率を上げる必要があります。
さらに適度な運動も取り入れることによって、もう一段階カルシウムの吸収力はアップします。
健康維持には定期的な運動が効果的といわれている理由の1つには、カルシウムの吸収率が関係しています。
また、鉄分が不足すると、体中に酸素を運ぶことができない鉄欠乏製貧血の原因になります。
鉄分の摂取量が減ってしまうとヘモグロビン自体も減っていき、赤血球数にも影響してくるためです。
症状としては、頭痛や食欲が落ちるといったことも時にはあります。
鉄分の補給には吸収率の観点から野菜からのみではなく、肉や魚からも効果的に摂る必要があります。
バランスのとれた食事の補助として、マテ茶を飲むようにすると良いでしょう。
参考:厚生労働省
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-042.html
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-022.html
健康効果3 塩分の過剰摂取や高血圧に働きかける
マテ茶は豊富なミネラル分を含みます。
特にカリウムとマグネシウムをたくさん含んでいます。
カリウムは塩分の過剰摂取に効果的であり、マグネシウムは高血圧にも働きかけます。
まず、食事で塩分の摂取が多すぎると高血圧はもちろん、むくみや胃がんにつながります。
カリウムがこの過剰に摂取しすぎた塩分の排出を手伝ってくれます。
イメージとしては、多すぎるナトリウムをカリウムがポンプの役割を果たし、外に出していくようなものです。
近年は特に塩分の過剰摂取が問題視されていますので、塩分を控えた食事を心がけることはもちろん、カリウムの摂取にも気を配る必要があります。
また、マグネシウムは人体に必要不可欠な成分の1つで、血圧を調整する効果があります。
マグネシウムの不足は高血圧につながる恐れがありますので、適切な量を食事から摂る必要があります。
マグネシウムは、高血圧のほかにも不整脈やうつ病にも関わっている重要な成分ですし、便を軟らかくする効果も認められています。
特に、便秘がちな高齢者にはマグネシウムが処方されることが多いです。
バランスのとれた食事の補助として、効能を期待してマテ茶の飲用を試してみても良いでしょう。
参考:厚生労働省
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-005.html
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-034.html
健康効果4 記憶力の改善に役立つ
マウスを使用した動物実験では、マテ茶の成分の投与により、短期や長期の記憶に関する改善効果がみられた、という報告があります。
記憶力をはじめとした認知機能の低下は、さまざま原因がありますが、現在深刻な社会問題になっています。
そのような中で、限定的な記憶力の改善に効果があったとする研究には目を見張るものがあります。
もちろん、マテ茶を飲めば認知機能が完全に回復するというものではありませんので注意が必要ですし、病気を治す効果があるといった類のものでもありません。
今後の更なる研究が待たれるところです。
参考NCBI
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18948179
健康効果5 消化を助ける
研究者の間でも意見がわかれていますが、実験により、マテ茶の成分を摂り入れると、胆汁の分泌が増える効果があることが報告されています。
胆汁とは肝臓が分泌する消化液であり、主に脂肪の消化を助ける働きがあります。
胆汁自体に消化酵素が含まれているわけではありませんが、胆汁の成分である胆汁酸塩は界面活性作用があるので、脂溶性ビタミンや脂肪分を消化して吸収しやすい形にしていく効果があります。
1度肝臓から出された胆汁酸塩は、小腸で再吸収されて再び肝臓に戻されるので、1度の食事時間でおよそ肝臓と小腸をぐるりと2周程度していくため、ある意味使い回しがききます。
きちんと消化できるということは、効率的に吸収することにつながりますので、健康を維持していく上でとても重要です。
ただ、勘違いされがちなのが、マテ茶を飲めばどんな食事をしても良いと思われることです。
食事のバランスが崩れていれば、マテ茶を飲んだところで健康を害してしまう結果になっていきます。
あくまで、栄養のとれた食事の補助としてマテ茶を飲んでみると良いでしょう。
参考:健康・栄養科学シリーズ監修、国立健康・栄養研究所 基礎栄養学
「仲間」の新種に関する研究:Ilex brevicuspis
https://link.springer.com/article/10.1007/s00394-003-0399-1
健康効果6 抗酸化作用をもつ
マテ茶に含まれているポリフェノールにより、動物実験で高い抗酸化作用が認められたという報告があります。
ポリフェノールとは抗酸化物質です。
ヒトは呼吸していくことで酸素を摂りいれていきますが、そのうちのいくらかが攻撃性の高い活性酸素という物質に変化していきます。
この活性酸素は体にとって有害なものを攻撃してくれる働きがありますが、たくさん発生しすぎると細胞自体を攻撃してしまったり、過酸化脂質を作りだすことで免疫の機能が衰えてしまいます。
ポリフェノールには、この有害な活性酸素を取り除いたり、効力を失わせる効果があります。
ポリフェノール以外にも抗酸化作用のある物質としては、甲殻類に多く含まれているアスタキサンチンや野菜や果物に含まれているリコピンあたりが有名です。
抗酸化作用を円滑に行うためには、さまざまな種類の抗酸化物質を体に摂りいれることが重要です。
その一助として、効能を期待しながらマテ茶を食生活にとりいれてみても良いでしょう。
参考:厚生労働省
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-009.html
「仲間」の新種に関する研究:Ilex brevicuspis
https://link.springer.com/article/10.1007/s00394-003-0399-1
健康効果7 肥満を防ぐ可能性
研究者の間でも意見がわかれていますが、マテの成分により、肥満を防ぐ効果に期待できるという研究が報告されています。
マテにより、脂肪細胞が増えたり、トリグリセリドがたまるのを抑える効果がみられたということです。
トリグリセリドは中性脂肪のことですが、人体にとって大切な成分の1つです。
エネルギー源になるのはもちろん、脂に溶ける性質のある脂溶性ビタミンの効率的な吸収にも一役買っています。
ただ、やり玉にあげられている理由としては、中性脂肪の過剰摂取による生活習慣病の増加でしょう。
偏った食事を続けると人体にとって必要な成分である一方、有害になってしまいます。
生活習慣病を防いだり罹患率を低下させるためにメタボリックシンドロームの基準にもなっている項目がトリグリセリドです。
マテの成分によって肥満を防ぐ効果が認められた研究は、あくまで動物実験ですので、そのままヒトに当てはめてはいけませんが、マテの効果効能に関して今後の研究に期待したいところです。
肥満におけるイエルバマテ(Ilex paraguariensis)のプラスの効果
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25621503
マテ抽出物(Ilex paraguariensis)の抗炎症作用は、高脂肪食による肥満のインスリン抵抗性を改善します。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21238540
健康効果8 がん細胞に働きかける
研究者の間でも意見がわかれていますが、マテ茶に含まれている成分により、がん細胞の増殖を防いだり、やっつけたりといった実験結果が報告されています。
ただ、あくまで試験管内での実験結果であり、さまざまな機能をもち、まだまだ解明されていない人体にとって、そのまま有効であるということではありませんので注意が必要です。
実験の解釈としては、限定された特定の条件下でのみマテ茶の成分が、がんに対して効果を発揮したということですので、引き続き今後の研究が待たれます。
Camellia sinensis、Ilex paraguariensis、Ardisia compressa茶抽出物および選択されたポリフェノールのin vitro化学予防活性
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15450404?dopt=Abstract
健康効果9 糖尿病に働きかける
研究者の間でも意見はわかれていますが、試験管内の実験により、マテ茶から抽出した物質には糖尿病の合併症の促進作用を防ぐ効果がみられています。
具体的にはAGEという、タンパク質と糖質が合わさってできる終末糖化産物を形成するのを抑制するという効果です。
AGEは血管などの細胞にダメージを与えてもろくする働きがあります。
糖尿病になるとこのAGEという物質が体のすみずみまで行き渡ることで、糖尿病の合併症である神経障害や腎臓障害、網膜症が進行しやすくなってしまいます。
マテ茶によりAGEの発生が阻害されれば、糖尿病の合併症の進行を抑えることにつながる可能性がありますが、まだまだ研究段階ですので実際にヒトで効果があるかどうかはわかっていません。
慎重な姿勢が必要でしょう。
また、AGEがたくさん生成されると、シミやシワ、そばかすなどの見た目にも影響してきます。
AGEにより細胞本来の機能が阻害されるために、老化しやすくなってしまうからです。
健康や美容にとっても、AGEの生成をいかに防ぐかが重要になってくるでしょう。
参考:老けたくなければファーストフードを食べるな、山岸昌一著
糖化制御と生活習慣病の予防
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jisdh/25/4/25_237/_pdf
Ilex paraguariensis 抽出物は緑茶よりも効果的にAGE形成を阻害します
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0367326X05000705?via%3Dihub
美味しいマテ茶の飲み方
アイスで飲む場合はマテ茶葉を、水に10分程度浸しておきます。
浸水後、冷蔵庫で冷やしたものに蜂蜜やレモンを入れると美味しく頂けます。
ホットで飲む場合は、ティーポットに茶葉を入れ、お湯を加えて3分程度蒸らすようにします。
アイスと同様に蜂蜜やレモンを加えると良いでしょう。
本格的なマテ茶の入れ方
道具はマテという容器とボンビージャといわれる金属製のストローを使用します。
- ①マテに茶葉を入れます。
- ②マテに少量のぬるま湯を加えて茶葉に水分を与えます。
- ③ボンビージャの上側を塞ぎ、茶葉のあたりに差し込みます。
- ④60度に調整したお湯をマテの25%程度まで入れて少しずつ飲みます。
マテ茶にカフェインは含まれているの?
マテ茶にはカフェインが多く含まれています。
美味しいマテ茶ですが、妊娠時は胎児に影響を与える可能性がありますので、注意が必要です。
世界保健機関や英国食品基準庁では、リスク回避のためにカフェイン量を制限しています。
あくまでも可能性の段階なので、胎児に対して悪影響があると確定したわけではありませんが、カフェインの摂取量を控えたほうが良いでしょう。
マテ茶についてのQ&A
マテ茶について、よく聞かれる疑問をQ&A方式で回答していきます。
- マテ茶を飲む時の注意点は何ですか?
- マテ茶はさまざまな効能がありますが、カフェインが含まれているので妊娠時は避けるようにしてください。
- マテ茶を手軽に飲む方法は?
- 効能を期待して専用の機器で茶葉を煮出す方法もありますが、手軽にパックのものを購入しても良いでしょう。
- 肌がキレイになりますか?
- 前述したようにAGEの阻害や抗酸化物質の効果で、肌の老化を抑える可能性があります。
- 糖尿病を予防できますか?
- 糖尿病を予防できるわけではありません。
糖尿病の予防にはあくまで栄養バランスのとれた食事と定期的な運動です。
- 飲むサラダと言われている理由は何ですか?
- マテ茶にはビタミンやミネラルが豊富に含まれており、美容にも良い抗酸化成分をふんだんに含有しているからです。
●管理栄養士からのコメント
マテ茶とは、南米大陸でさかんに飲まれている、マテの葉や枝を乾燥させて煮出したものです。
マテ茶の驚くべき健康効果としては下記があります。
- ・コレステロール値の改善
- ・骨粗しょう症や貧血防止に働きかける
- ・塩分の過剰摂取や高血圧に働きかける
- ・記憶力の改善に役立つ
- ・消化を助ける
- ・抗酸化作用をもつ
- ・肥満を防ぐ可能性
- ・がん細胞に働きかける
- ・糖尿病に働きかける
もちろんマテ茶を飲んで病気が治ったりするものではありませんが、さまざまな効果効能があることも事実です。
カフェインの注意事項に留意しながら、食事の補助として健康増進のために飲んでみてはいかがでしょうか。
管理栄養士プロフィール
◎影山敦久
管理栄養士、栄養教諭。子どもからお年寄りまで幅広い年代の方に栄養指導や料理教室を行うかたわら、特定保健指導にも携わる。得意分野はダイエットとスポーツ栄養。