エクオールの効果や作れる人の特徴|自分で作れるようになるには?
記事の監修
管理栄養士
影山敦久
管理栄養士、栄養教諭。子どもからお年寄りまで幅広い年代の方に栄養指導や料理教室を行うかたわら、特定保健指導にも携わる。得意分野はダイエットとスポーツ栄養。
「エクオールって何だろう?」「エクオールが作れる人ってどんな人?」
この記事では、エクオールについて分かりやすく解説し、自分でエクオールを生成できるようになる可能性を探っていきたいと思います。
エクオールについてはまだまだ研究途中であり、サプリに頼らず誰しもがエクオールを生成することができるようになるかは、分かりません。しかし、自然に問題を解決する力があなたにも備わっていると信じて、生活習慣や食生活を見直してみませんか?
もくじ
エクオールとは?大豆イソフラボンとの関係
エクオールとは、大豆イソフラボンが体内の腸内細菌(エクオール産生菌)によって代謝されて発生する成分で、特に、大豆イソフラボンの中のダイゼインが変化して生成されます。
女性ホルモンの一種「エストロゲン」と似た構造をしていることから、更年期障害をはじめとするさまざ
まな症状を改善する効果が期待されているんです。
ただ、厄介な点がひとつ。エクオールは腸内細菌によって作りだされるもので、この腸内細菌が元気に働いていないと、体の中でエクオールを作りだすことができないという点です。ちなみに、日本人の2人に1人はエクオールを体内で作りだすことができないとの調査結果も。
エクオール産生菌を元気に働かせよう!
エクオール産生菌とは、エクオールを作り出している主に大腸に住む乳酸菌の一種で、約15種類のエクオール産生菌が確認されているそうです。
腸内環境を改善すれば、エクオール産生菌が元気になり、自ら作り出せるようになる可能性もありますし、その逆も然り。
不摂生を続ける、抗生物質の服薬などによって、エクオールが作れなくなってしまうこともあるようです。
エクオールの効果効能とは?
エクオールの効果効能は主に6つです。
順番に解説していきます。
効果1 中性脂肪を抑える
まだまだ研究段階であり、研究者の間でも意見がわかれていますが、エクオールのサプリメントを定期的に摂取すると、血中の中性脂肪が下がることで動脈硬化が減っているとする研究結果があります。
Effects of Equol Supplement on Bone and Cardiovascular Parameters in Middle-Aged Japanese Women: A Prospective Observational Study
https://www.liebertpub.com/doi/10.1089/acm.2018.0050
効果2 骨を強くする
エクオールのサプリメントを定期的に摂取することで、閉経後の骨粗しょう症の可能性を減少させることができるという研究結果があります。
骨のカルシウムが血中に溶け出すことを骨吸収といいますが、この骨吸収を減らすことで骨のカルシウム量が維持されるためです。
Natural S-equol Decreases Bone Resorption in Postmenopausal, Non-Equol-Producing Japanese Women: A Pilot Randomized, Placebo-Controlled Trial
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21252728/
Effects of Equol Supplement on Bone and Cardiovascular Parameters in Middle-Aged Japanese Women: A Prospective Observational Study
https://www.liebertpub.com/doi/10.1089/acm.2018.0050
効果3 ホットフラッシュを緩和する
ホットフラッシュとは、閉経後の更年期障害の症状で、顔面が赤くなったり体がほてったりすることを意味しますが、エクオールを作ることができないグループに対してエクオールのサプリメントを摂取させたところ、このホットフラッシュの頻度が減ったとする研究結果があります。
エクオールの女性ホルモン様の作用による効果である、というように考えられています。
A Natural S-equol Supplement Alleviates Hot Flushes and Other Menopausal Symptoms in Equol Nonproducing Postmenopausal Japanese Women
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21992596/
効果4 美肌効果
エクオールを作り出すことができないグループに対してエクオールを投与したところ、シワの面積が減少したとする研究結果があります。
更年期での肌に対する老化防止に期待されています。
The Effects of Natural S-equol Supplementation on Skin Aging in Postmenopausal Women: A Pilot Randomized Placebo-Controlled Trial
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21934634/
効果5 生活習慣病に働きかける
エクオールの定期的な投与により、血糖値やLDLコレステロール(悪玉コレステロール)の値が低下したとする研究結果があります。
高血糖は糖尿病につながりますし、LDLコレステロールの増加は動脈硬化を通して脳梗塞や心筋梗塞へと進んでしまいます。
さまざまな状況下での研究が必須でしょうが、今後に期待したいところです。
厚生労働省
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/keywords/low-density-lipoprotein-cholesterol
Effects of Natural S-equol Supplements on Overweight or Obesity and Metabolic Syndrome in the Japanese, Based on Sex and Equol Status
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22469418/
効果6 乳がん発症リスクを減少させる
まだまだ研究段階で断定することができませんが、日本人は諸外国から見て乳がん発症者が少ない理由は、大豆製品が日本の食文化に深く根付いているためではないかと考えられています。
また、乳がん患者と非乳がん者の尿を比較した研究では、非乳がん者の尿の方が全体のエクオール値が高かったとの報告があります。
一般社団法人 日本乳癌学会発行「乳がん検診ガイドライン」
https://jbcs.xsrv.jp/guideline/2022/e_index/bq5//
効果7 男性の前立腺がんと薄毛予防
薄毛の原因のひとつにヘアサイクルの乱れがあります。エクオールは、ヘアサイクルの乱れを引き起こす「ジヒドロテストステロン」と呼ばれるホルモンを活発化させる「5αリダクターゼ」という酵素を抑制する働きが期待されています。
また、「5αリダクターゼ」は前立腺がんとの関係も指摘されており、エクオールを摂取している方が前立腺がんになるリスクが少ないという研究結果も報告されているんです。
国立がん研究センター「大豆製品・イソフラボン摂取量と前立腺がんとの関連について」
https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/298.html
エクオールが作れる人の特徴
エクオールを作れる人は、日本人では約2人に1人。若い人の方がエクオールを作れる人の割合が低くなります。
それでも、諸外国から見ると日本人はエクオールを作れる人の割合が高いことから、大豆製品や発酵食品をよく摂る日本の食生活との関連が、注目されています。
エクオールが作れる人の特徴は、見た目では判断できません。エクオールを作り出すことの出来る腸内細菌が存在しているかどうかです。
気になる方は、エクオール産生菌が腸内に存在するかを検査することのできるキットが販売されているので、検査してみるのもよいかもしれませんね。
エクオールを作れるようになるための2つのポイント
あなたにエクオールを作り出す菌がいたとしても、きちんと働いてくれていないと意味がありません。
そこで大事なのが「腸活」です。
なぜなら腸にとって良い習慣を続けていくことで腸内細菌が活性化されるからです。
1.食生活を見直して、エクオール腸内産生菌を育てよう
エクオールは、大豆イソフラボンが変化したものなので、大豆を習慣的に食べている人に多いといわれています。
腸内環境を整えて菌の活性を上げるためにも、添加物は避け、腸内細菌のエサである食物繊維の摂取や、甘酒やヨーグルト、味噌などの発酵食品をよく食べることが大事。納豆やテンペなど大豆を使った発酵食品は◎です。特に、納豆に酢をかけた「酢納豆」は酢酸菌の力がプラスされる腸活おすすめメニューです。
2.生活習慣を見直してみよう
腸内環境を悪くする原因のひとつが便秘です。便秘は食生活の乱れだけではなく、運動不足によっても引き起こされます。腸の周辺の筋肉を鍛える運動をしてみましょう。
その他には、睡眠をしっかりとることも大事です。
エクオールって太るの?副作用は?
エクオールを検索
すると「太る」というキーワードが出てきます。
エクオールは太るというキーワードで検索する人が多いためですが、実際のところはエクオールを投与して太ったという論文は、現状としては見当たりません。
また、副作用として勘違いされているのが、更年期障害の治療とエクオールの関係性についての解釈によるものです。
エクオールは女性ホルモン様の作用を示すことから、更年期障害に効果があると言われています。
更年期障害の治療法としては、ホルモン補充療法があることは事実であり、場合によっては子宮筋腫の悪化などのリスクを伴うこともありますが、女性ホルモン様物質であるエクオールを投与したとしても、子宮筋腫の悪化や乳がんなどのリスクが上昇した論文は見当たりません。
副作用に関しては心配しなくても良いでしょう。
エクオールについてのQ&A
エクオールについての疑問をQ&A方式でお答えしていきます。
- エクオールは美容に良いですか?
- エクオールによってシワの面積が減ったという研究があります。
- エクオールが作られる人は一生作られ続けますか?
- エクオールの生成は、腸内細菌の状態によって変わりますので、不摂生で作られなくなる可能性は十分に考えられます。
- エクオールの1日の摂取量は?
- エクオールの1日の摂取量の目安は10mgといわれています。
- エクオールはいつ摂ると良いですか?
- エクオールをいつ摂ったらいいか、正確には分かっていませんが、空腹時に摂取した方が効果があると考える方がいらっしゃいます。
- エストロゲンとエクオールの違いは何ですか?
- エストロゲンは女性ホルモンであり、エクオールは構造が多少違いますが、女性ホルモン様の効果としては似ています。
- エクオールはゆらぎ世代に良いですか?
- エクオールには、更年期障害の症状を緩和する研究結果があります。
- エクオールで骨が強くなりますか?
- エクオールを摂取することで、骨粗しょう症を抑える可能性が示唆されています。
- エクオールが作れるかどうかの検査はどのようなものですか?
- エクオールを作ることができるかの検査は、尿を採取して、容器を郵送するというものです。
一週間程度で結果が分かります。
●管理栄養士からのコメント
エクオールとは、大豆イソフラボンが体内で変化して発生する女性ホルモン様物質です。
エクオールの効果効能としては、主に6つです。
- ・中性脂肪を抑える
- ・骨を強くする
- ・ホットフラッシュを緩和する
- ・美肌効果
- ・生活習慣病に働きかける
- ・薄毛予防
エクオールが作れる人の特徴や食生活は、大豆製品や食物繊維を積極的に摂取しているということです。
エクオールが作れない人は、食生活や腸活で作れるようになるとは限りませんが、仮に作れない場合でもサプリメントで摂取すると良いでしょう。
エクオールの副作用は、特に認められていませんので、普段の生活から進んで摂取したり、エクオール産生菌を、より活性化させるような腸活を意識していくようにしましょう。
管理栄養士プロフィール
◎影山敦久
管理栄養士、栄養教諭。子どもからお年寄りまで幅広い年代の方に栄養指導や料理教室を行うかたわら、特定保健指導にも携わる。得意分野はダイエットとスポーツ栄養。