野口晴哉

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野口晴哉とは


野口晴哉とは

●野口晴哉(1911ー1976)

明治四十四年九月、九人兄弟の次男として東京・上野に生まれました。
幼い頃に患ったジフテリアの影響から言葉を話すのに不自由し、
幼少期を過ごした漢方医の叔父の許では、さまざまな読書に明け暮れたといいます。

大正十二年、十二歳の時に関東大震災を体験し、焼け野原で苦しむ人たちが悼まれず、
本能的に手をかざしたところ多くの人たちが快復、これをきっかけに治療家としての道を志します。

古今東西の健康法や療術などを独自に探求し、十五歳で入谷に道場を開き、
愉気と活元運動を主体とした療術団体『自然健康保持会』を設立しました。

また、十七歳で「健康に生くることが自然順応の姿である」などとする『全生訓』を発表し、
以後、一貫して「活き活きと生を全うする」ことを指針に据えた活動を行います。

日本治療師会の評議員を務め、大日本連合治療師会の創設にも寄与。
そして治療理念の確立、諸療術の体系化を図る「整体操法」をまとめ上げ、
昭和二十二年には整体操法の指導者育成機関として『整体操法協会』を設立します。

昭和二十年代後半には身体を通した人間の個性研究とも言える「体癖論」の基礎を完成させました。

この頃から、病を治すことよりも人間本来の力を引き出して
健康に導く自らの活動を「体育」と位置づけ、「治療」を捨てることを決意します。

何かに頼ることなく 自らの足で立つことを指導理念に掲げ、
昭和三十一年、そうした健康観に基づく体育団体
『社団法人整体協会』を文部科学省(旧文部省)の認可を受けて設立しました。

個人指導のほか活元運動の普及、愉気法などさまざまな整体法の講習会を全国各地で開き、
心と体を一として考える独自の人間研究においても
体癖をはじめ潜在意識の研究、子育て、教育などの分野にも踏み込み、多くの著作を残しました。

カザルスを唯一の師と仰ぐほど音楽を愛し、
妻昭子(一九一六〜二〇〇四)との間には四人の子息をもうけ、
昭和五十一年六月、東京・狛江の自宅にて家族に見守られ六十四歳で永眠しました。




野口晴哉語録


野口晴哉語録

野口晴哉の著作4冊から抜粋した語録を紹介します。


●偶感集
・溌剌と生くる者のみに深い眠りがある
生ききった者にだけ安らかな死がある


・食いたくても食はぬ人には断食は健康法になり
食いたいのに食へぬ人は餓死する
生と死の境 「は」と「へ」のみ
養生の第一歩は心の「は」と「へ」を切り替えることにある。


●風声明語1
人の死ぬことを知って生きている者は いつも人生に誠実である


●風声明語2
・その時 そのように処し得ることだけが 能力があるということだ
その時 そのように処し得ることにだけ 安心 があるのだ

・理想へ 歩一歩
もう一歩
人生って 面白いものだな
その苦しいことまで 楽しい


●大絃小絃
・この一瞬にも、永遠に連なる一瞬が消えている
生くるはもとより、死ぬも病むも、
また人を導くも、ともに生活するにも、この時の力を軽視してはいけない
軽視する人は少ないが、忘れている人は多い

・心はいつも自然であろうとしている
感じることと 考えることはいつも食い違う
人間の停止することに対する自然の励みだ

・利害得失、毀誉褒貶も、人間が全力を出し切って自然に生きることを妨げる
こういうものを捨てきって自然の要求に生くる時、魂の生活が現われる
人のいつか死ぬことを覚悟して生きる者は 養生の人である
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