記事の監修

この記事は管理栄養士の方に監修していただいています

管理栄養士

安藤ゆりえ

老人保健施設の管理栄養士を経て、健康を維持するためには若いうちからの食生活の大切さを実感。2016年フリーランスとして活動を開始。レシピ開発や栄養指導、料理教室、食に関するコラムの執筆などを行っている。

殺菌乳酸菌

健康のために乳酸菌を摂ろう!と乳酸菌飲料を買ってきたら…あれ?「乳酸菌(殺菌)」の文字が。

乳酸菌って、「生きたまま腸に届く」から効果があるわけではないの?
殺菌されていても効果はあるの?
一体何のために殺菌するの?

…今回は乳酸菌の「殺菌」について、気になる情報をまとめてご紹介します!

殺菌された乳酸菌。効果はあり?なし?

殺菌乳酸菌

結論から先に書いてしまうと、殺菌された乳酸菌でも効果は「あり」です。

腸内細菌研究の第一人者である光岡知足教授の著書『人の健康は腸内細菌で決まる!』(技術評論社)によれば、マウスを使った実験では、通常の飼料に殺菌したヨーグルトを添加したグループでマウスの寿命の延長がみられ、通常の飼料を与えたグループ、通常の飼料に牛乳を添加したグループより腸内のビフィズス菌の数が約10倍も多くなっていることがわかったといいます。

“光岡知足「プロバイオティクスの歴史と進化」,日本乳酸菌学会誌Vol.22,2011より引用”

マウスの実験ではがんの抑制効果も見られ、糞便中の大腸菌群が1/100に減少するという結果も得られたとのこと。
人間を対象にした実験でも、ビフィズス菌が増加し、ウェルシュ菌などの悪玉菌の数が低下、便中の有害物質(フェノール類、インドール、硫化水素など)も低下し、pHもアルカリ性から腸内環境において理想的といわれる酸性に変化したそうです。

こうした研究から、現代では乳酸菌は「生菌」か「死菌」かは関係なく効果を発揮するといわれています。健康機能をもたらすのは生きた菌の働きだけではなく、メインとなるのは乳酸菌の「菌体(死菌体)」や「発酵生産物」であると考えられているのです。

乳酸菌の種類と効果

乳酸菌の種類と効果
私たちの体を守ってくれる免疫機能が集中している「腸」。
整腸作用の他にも、乳酸菌にはさまざまな効果を発揮することがわかってきました。
今回は、乳酸菌に期待できる効果について詳しく紹介していきます。 乳酸菌の種類と効果の記事を見る

乳酸菌の死菌と生菌の違い

乳酸菌、死菌(殺菌された菌)と生菌の違い

では、乳酸菌の死菌と生菌の違いは全くないのでしょうか?
生きた乳酸菌が含まれる食品やサプリメントは「プロバイオティクス」と呼ばれ、殺菌された乳酸菌は「バイオジェニクス」と呼ばれています。その違いは次のとおりです。

●プロバイオティクス
人や動物に良い働きをする微生物(善玉菌)。摂ることで直接腸内フローラに住み着き、善玉菌として良い働きをしてくれる。
●プレバイオティクス
プロバイオティクスのエサになるもの。プロバイオティクスと一緒に摂ることでより腸内環境改善に効果が期待できる。
●バイオジェニクス
乳酸菌の死菌や乳酸菌が作り出した物質。すでに死んでいる菌なので、熱や胃酸の影響を受けにくい。菌によっては、生きている時よりも効果が高くなる種類もある。
特徴
プロバイオティクス 生菌、生菌を含む食品 ・乳酸やビタミンを作り、有害物質を代謝分解
・腸内細菌のバランスを改善
腸内細菌のバランス改善によって体調調節機能を発揮する
プレバイオティクス オリゴ糖、食物繊維を含む食品 ・腸内細菌のバランスを改善
腸内細菌のバランス改善によって体調調節機能を発揮する
バイオジェニクス 乳酸菌の菌体(死菌)、乳酸菌生産物質など ・腸内細菌のバランスを改善
腸内フローラを介さずに直接、体調調節機能を発揮する

摂取することで得られる作用の多くは、死菌も生菌も変わらないと考えられています。

光岡知足(2011)「プロバイオティクスの歴史と進化」では、乳酸菌が生菌として腸に到達しても、腸内増殖・定着はほとんど不可能であることから、生きた菌そのものよりも、発酵乳の中の菌体成分や発酵生成物が重要である、と述べられています。

“光岡知足「プロバイオティクスの歴史と進化」,日本乳酸菌学会誌Vol.22,2011より引用”

実際には、腎不全の進行を遅らせる、透析患者の血清リン値を下げるなど、生菌でなければ認められない効果も報告されており、全く同じというわけではないようですが、死菌と生菌の効果の違いについてはまだ研究の途上のようです。

元からいる腸内細菌を増殖させるのとは異なり、生菌は外から摂取しなくなれば腸からいなくなってしまいます。そのため、その生菌が腸内で発揮する効果を期待する場合は摂取し続ける必要がありますが、継続が大切なのはプレバイオティクス、バイオジェニクスも同じです。
多くの研究では、プレバイオティクスやバイオジェニクスも摂取をやめると腸内の善玉菌数などが元の状態に戻ってゆきます。そういった意味では、死菌でも生菌でもあまり変わらないといえそうです。

参考文献:
光岡知足「プロバイオティクスの歴史と進化」,日本乳酸菌学会誌Vol.22,2011
上西寛司、 瀬戸泰幸「乳酸菌の生理機能とその要因」 ,日本調理科学会誌Vol.46,2013
浅田雅宣「身近だけれど意外に知らない乳酸菌・ビフィズス菌の姿」,生物工学第90巻,2012

シンバイオティクスとは

シンバイオティクスとは?乳酸菌との関係|かわしま屋コンテンツ
プロバイオティクスとプレバイオティクスの組み合わせであるシンバイオティクス。
今回は実際にどんな食材の組み合わせがシンバイオティクスの考え方になるのかご紹介します。
腸や健康に利益をもたらすお勧めレシピも必見です。

シンバイオティクスとは?乳酸菌との関係

プロバイオティクスって一体なに?詳しい定義からヨーグルトとの関係まで紹介

プロバイオティクスって一体なに?詳しい定義からヨーグルトとの関係まで紹介|かわしま屋コンテンツ
プロバイオティクスの定義から、腸内フローラ・プレバイオティクスとの関係まで、分かりやすく紹介していきます。
プレバイオティクスについて知りたい方、過去にプレバイオティクスに関する記事を読んだけれどよく理解できなかった、という方は必見です。

プロバイオティクスって一体なに?詳しい定義からヨーグルトとの関係まで紹介の記事を見る

殺菌された乳酸菌の効果

殺菌された乳酸菌の効果

光岡知足(2011)「プロバイオティクスの歴史と進化」には、殺菌された乳酸菌を含むバイオジェニクスの効果として、次のような保健効果が挙げられています。

  • ・免疫賦活作用
  • ・コレステロール低下作用
  • ・血圧降下作用
  • ・整腸作用
  • ・抗腫瘍効果
  • ・抗血栓・造血作用
  • ・アレルギー性鼻炎
  • ・アトピー性皮膚炎緩和

また、腸内ではセロトニンと呼ばれる“幸せホルモン”が生成されるため、腸内環境の悪化はストレスにダイレクトに影響を与えるとされています。
殺菌乳酸菌などを取り入れて腸の健康を保つことで、精神ストレスやイライラの緩和につながるのです。

体脂肪低減効果も認められている乳酸菌。
初心者でも始めやすいダイエットとして、メディアでも定期的に取り上げられています。

更にインフルエンザウイルス感染の予防的な働きをすることもわかっていて、同じくSARS系ウイルスであるコロナウイルス感染予防に対しても研究が進められているそう。

今後もさらなる実験とさまざまな効果が期待できる菌体ということがわかります。

参考文献:弘田辰彦「殺菌された乳酸菌のはたらき」,生物工学第97巻,2019

乳酸菌を殺菌するメリットと方法

乳酸菌を殺菌する意味と方法

「なぜわざわざ殺菌するの?生菌と死菌、効果が同じであればわざわざ殺菌しなくてもいいのに…」
そう思われる方もいるかもしれませんが、乳酸菌を殺菌することには意味があるのです。

<乳酸菌を殺菌するメリット>
①味や香りなどを保つことができる。
②常温で流通できる。
③菌の種類や数を保つことができる。
④菌体数を多く配合できる。

キムチがだんだん酸っぱくなるのはみなさんご存知ですよね。サプリメントはともかく、食品などの場合、菌が生きていると味や風味が変化してしまいます。
さらに、キムチの中の菌の種類や構成比なども変化してしまうのです。

殺菌してあれば、菌の数や種類も一定ですし、製品加工も簡単。同じ工場で作っている他の製品に影響を与えるリスクも少なくなります。
サプリメントなどの製造においても、菌体のみを集めることができるため、菌体数の多いものを作ることが可能というメリットがあるようです。

殺菌の方法は「加熱」。
厚生労働省の「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」では、摂氏75度以上で15分間加熱(またはそれ以上の加熱殺菌)したものが殺菌タイプの発酵乳とされています。

家庭で乳酸菌を殺菌したい時は?
瓶や作った食品に生きた乳酸菌がついていると味や風味が変化してしまいます。
保存食などを作る場合、乳酸菌を殺菌したい場合がありますよね。
乳酸菌はアルコールに強いため、アルコールを吹きかけても完全には殺菌できません。
殺菌したい場合は、煮沸した容器に保存したい食品を詰めたあと、熱湯に浸けて脱気し、蓋を閉めた後さらに熱湯の中で加熱殺菌します。

唐辛子やにんにくは乳酸菌を殺菌する?

唐辛子やにんにくは乳酸菌を殺菌する?

さて、死菌でも効果はほぼ同じと言われても、「生きて腸まで届く」と言われればやっぱり「生きたまま摂りたい!」と思ってしまいますよね。
抗菌性があるといわれる食材と一緒に摂ると乳酸菌を殺菌してしまうのでは? と不安になる方も多いでしょう。

そんな皆さまのために、抗菌性がある食材と乳酸菌との相性について調べてみました。

発酵食品に含まれる主な乳酸菌とその効果の例
食材 相性 引用元論文
唐辛子 「乳酸菌は香辛料に対して抵抗性が強く、場合によっては香辛料によって乳酸発酵を促進されることがあり、実際に利用されている」
宮本(1992)「香辛料の抗菌性 と食品保蔵への応用」
ニンニク 「乳酸菌は(その他の腸内細菌に比べ)ニンニクに対してある程度の耐性を示し、ニンニクの消費が腸内でこれらの有益な細菌種の成長を促進する可能性がある
Filocamo,
Nueno-Palop, Bisignano,Mandalari , Narbad(2012)"Effect of garlic powder on the growth of commensal bacteria from the gastrointestinal tract."
わさび 「乳酸菌に対する抗菌効果は低いものの、初発菌数を少なくし低温を併用することにより十分な効果が得られる」
「グラム陽性菌よりもグラム陰性菌に対して高い抗菌効果が認められた」
※ワサビの有効成分であるアリルイソチオシアネートのみを蒸気にした場合
・わさび漬けの中から乳酸菌が発見されたという報告もあり、食品としての摂取であれば問題ないと思われる
徳岡、一色(1994)「アリルイソチオシアネート蒸気を利用した食品保存の可能性
お茶 腸内善玉菌とされる乳酸桿菌、ビフィズス菌が茶カテキン給与中に増加し、悪玉菌 とされるクロストリジウムほかの菌が減少した」
原(2000)「茶カテキン類の機能性とそれらの応用例」
ハチミツ ・ハチのハチミツ生産管内および生のハチミツには乳酸菌が存在する
・ハチミツの抗菌および治療特性を乳酸菌が担っている可能性あり
(以上下記論文より)

ハチミツにはプレバイオティクスであるオリゴ糖が含まれているため、ヨーグルトなどと共に摂るように勧める医師も
Olofsson, Butler, Markowicz,Lindholm, Larsson,Vásquez(2014) ”Lactic acid bacterial symbionts in honeybees – an unknown key to honey's antimicrobial and therapeutic activities”

マヌカ
ハニー
「マウスを使った研究から、マヌカハニーは腸内フローラの「善玉菌」の比率増大に関係することが示された」
高野(2016)「マヌカハニーのマウス腸内フローラにおよぼす影響」

結果は、ほとんどが「相性よし」。
特にお茶とマヌカハニーは善玉菌を増やす効果が期待される食材です。

十分な情報が得られなかったわさびについても、乳酸菌やビフィズス菌などのグラム陽性菌よりも大腸菌などのグラム陰性菌に対して高い抗菌効果が得られたということですので、人の腸内では善玉菌を増やす働きをする可能性もあります。今後の研究を楽しみに待ちましょう。

●抗生物質、保存料に注意
外から摂取する場合は「殺菌された菌体でも効果がある」と言われる乳酸菌ですが、元々腸に生息している善玉菌を殺菌してしまうような成分は、もちろん腸に大きなダメージを与えてしまいます。
「抗生物質」や「合成保存料」は体に悪い働きをする菌を殺す役割がありますが、良い菌も殺してしまうことがあります。
腸内細菌を殺す働きをするものは不必要に摂取しないように気をつけましょう。
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殺菌乳酸菌はどんな人におすすめ?

乳酸菌は死菌も生菌も効果にそれほど変わりがないことがわかりましたが、以下に当てはまる人は殺菌乳酸菌の方がおすすめです。

●酸味が苦手な人
乳酸菌が含まれる食品には、酸味を感じるものが多々あります。
この酸味が苦手という人は意外と多く、知らず知らずのうちに乳酸菌食品を遠ざけていることも……。
殺菌乳酸菌は味の調整をしやすく、また発酵して酸っぱくなることもないため、酸味が苦手な人にもおすすめです。
●常温~温かい食品を摂取したい人
殺菌乳酸菌は常温で流通させられる菌です。
上でもお伝えしましたが、摂氏75℃以上で15分間以上加熱されたものが殺菌乳酸菌の製品として販売されています。
そのため、冷え性の人や寒い時期には冷たいものを摂取したくないという人にもおすすめなのです。
●サプリメントで摂取したい人
毎日乳酸菌を食事から摂取するのはむずかしいため、サプリメントを利用したいと考える人も多いのではないでしょうか?
殺菌乳酸菌は菌体を集めやすく、加工しやすいため、サプリメントに利用されていることが多々あります。
そのため、乳酸菌を摂取するために選んだサプリメントには自ずと殺菌乳酸菌が含まれていることも多いでしょう。

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乳酸菌の殺菌についてのQ&A

乳酸菌が殺菌されていても効くのはなぜですか?
乳酸菌は、死んでいてもその菌体成分(死骸)や、乳酸菌生産物質(生きている間に作り出した物質)が腸管免疫を刺激したり、全身の機能性を高めたりすると考えられています。
乳酸菌が生きたまま腸に届く意味はないのでしょうか?
生きたままの乳酸菌だけがもつ機能というものも報告されており、死菌と生菌の違いについてはさらなる研究が期待されています。
お菓子に入っている乳酸菌は殺菌されている?
飴やチョコレートなどに乳酸菌を加えた商品が販売されていますが、殺菌されている場合も、生菌である場合もあるようです。原材料名を見ると「乳酸菌乾燥粉末(殺菌)」などと明記されています。

●管理栄養士からのコメント

腸内環境を整えてくれる乳酸菌はヨーグルトやキムチ、味噌など様々な食品に含まれ、ぜひ毎日摂っていきたいものです。

しかし、旅行中やお付き合いでの食事会が続いたりなど、なかなか発酵食品や野菜類などプロバイオティクス、プレバイオティクスを摂りにくい時もあるかと思います。
乳酸菌は必ずしも生きたままでないと効果を発揮しないわけではありません。

サプリメントなど殺菌された乳酸菌ならば品質も変わりにくく、持ち運びに便利であったり手軽に摂取できるので腸内環境の維持・改善のため活用できると良いですね。

安藤ゆりえ
安藤ゆりえ

管理栄養士プロフィール

◎安藤ゆりえ

老人保健施設の管理栄養士を経て、健康を維持するためには若いうちからの食生活の大切さを実感。
2016年フリーランスとして活動を開始。レシピ開発や栄養指導、料理教室、食に関するコラムの執筆などを行っている。
また「食を見直すならまずは毎日使う調味料から」をコンセプトに地元愛知県三河のみりんや味噌などの伝統的な調味料の素晴らしさを伝えるセミナーなども開催。

食や栄養に関すること全般ですが特に
・調味料について(みりん、味噌や醤油などの製法やどんなものを選ぶと良いかなど)
・体に優しいスイーツの選び方、作り方
・ダイエットレシピの考案
・時短レシピの考案を得意としています。

▼公式サイト
https://ameblo.jp/yurieand/entry-12461592747.html

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