フラクトオリゴ糖|9つの効果や摂り方、砂糖との違いを解説


記事の監修

この記事は管理栄養士の方に監修していただいています

管理栄養士

影山敦久

管理栄養士、栄養教諭。子どもからお年寄りまで幅広い年代の方に栄養指導や料理教室を行うかたわら、特定保健指導にも携わる。得意分野はダイエットとスポーツ栄養。

最近雑誌やテレビでよく聞くフラクトオリゴ糖って何だろう?
体に良いとは聞くけど、実際にフラクトオリゴ糖の効果にはどんなことがあるの?
あわせて、砂糖やオリゴ糖との違いも知りたいと考えていませんか。

本記事では、下記の内容を解説します。

フラクトオリゴ糖とは?

フラクトオリゴ糖とは?

最近よく聞くフラクトオリゴ糖とは一体何なのでしょうか。

糖質の中の1種類

1種類

糖という名前がついていることからもわかるとおり、数ある糖質の中の1種類です。
構造的には、砂糖に果糖を組み合わせたものをフラクトオリゴ糖と呼び、砂糖に比べてカロリーが低く、糖質の種類の中でも太りにくいので、ダイエット効果にも期待できると言えるでしょう。
腸内細菌を活発にして健康効果を高める、「プレバイオティクス」としての効果も期待されています。

自然由来の糖質

自然由来

人の手で合成もできますが、もともとフラクトオリゴ糖は自然界に存在しています。
野菜や果物に含まれる自然由来の糖質なので、砂糖などの精製した糖と違って、ヒトの体にもなじみやすく著しい量を摂らなければ、特に大きなデメリットはありません。

特定保健用食品

特定保健用食品

フラクトオリゴ糖は消費者庁が許可をした特定保健用食品の成分として認められています。
安全性や保健機能もきちんと考えられており、「お腹の調子を整える」等と表示されている商品を見かけたことがある方も多いはずです。
消費者庁が許可をしているということは、健康効果も折り紙つきで、期待できるものとして判断して良いでしょう。

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フラクトオリゴ糖の効果

効果

フラクトオリゴ糖には、人にとって有益なたくさんの効果がありますが、ここでは主に9つご紹介します。

フラクトオリゴ糖の効果1 便やおならの臭いが改善される

便やおならの臭いが改善される

便やおならの臭いが強くなるのは、腸内細菌のバランスが崩れている証拠です。
腸の中には悪玉菌と善玉菌、日和見菌(ひよりみきん)の3種類があります。
呼んで字のごとく、悪玉菌は体に悪さをする菌、善玉菌は体にとって良い働きをする菌です。
日和見菌とは、単体では害は無いのですが、悪玉菌が勢いづけば悪玉菌に、善玉菌が増えれば善玉菌に加勢します。
腸内細菌の状態を良好に保つことで大切なのは、善玉菌を増やして悪玉菌を減らすことです。
善玉菌が増えて、悪玉菌よりも優勢であれば、便やおならの臭いが改善されてきます。
臭いで、ある程度腸内環境がわかると言っても過言ではないでしょう。

フラクトオリゴ糖の効果2 下痢や便秘を解消する

下痢や便秘を解消する

フラクトオリゴ糖は善玉菌のエサになることで腸内環境を改善し、下痢や便秘を解消するように働きかける効果があります。
善玉菌がフラクトオリゴ糖をエサにすることによって、酸を作り出します。
この酸が腸を刺激することで便秘の解消につながります。
さらに、腸内をアルカリ性から酸性にすることで、酸性を嫌う悪玉菌は腸内で活性化できずに結果として下痢がおさまることにつながります。

参考:
愛知県薬剤師会特定保健用食品/薬事情報センター

フラクトオリゴ糖の効果3 血糖を上げるために使われない

血糖を上げるために使われない

フラクトオリゴ糖は基本的には胃や小腸で分解されずに通り抜けて、大腸までいくので血糖が上がりにくいです。
糖という名前がつけば全て血糖値があがると勘違いされることもありますが、分解されなければ吸収されず、結果的に血糖があがりません。
砂糖などの精製糖はすぐに分解されて吸収されるために、すぐに血糖値が上がってしまいます。
血糖が上がること自体は問題ありませんが、上がったり下がったりを急激に繰り返していると処理をする内臓が疲れて糖尿病の原因になってしまいます。
その点、フラクトオリゴ糖は血糖値を上げにくいので、血糖が気になる方はもちろん、そうでない方も健康を維持していくという目的で、積極的に取り入れていきたいものです。

参考:
フラクトオリゴ糖とマルチトールを配合した焼き菓子の性状・嗜好性と血糖値への影響

フラクトオリゴ糖の効果4 免疫力が上がる

免疫力が上がる

フラクトオリゴ糖を取り入れることで、免疫力が上がる効果に期待できます。
免疫力とは、細菌やウイルスなどに対抗する力です。
体の中の大部分の免疫は腸に集中しています。
その腸にある腸内細菌が免疫に指示を与えたりしていますが、この腸内細菌に元気がなくなると免疫力が上手に働かず、体自体が弱くなって病気にかかりやすくなります。
逆に腸内細菌が活発だと免疫がうまく働きやすくなり、細菌やウイルスなどの侵入者を効率よくやっつけることができます。
季節の変わり目に風邪を引きやすい、体調を崩しやすい方は規則正しい生活習慣に加えて、腸内細菌を元気にする方法にも目を向けてみると良いでしょう。

フラクトオリゴ糖の効果5 虫歯になりにくくなる

虫歯になりにくくなる

フラクトオリゴ糖は虫歯菌のエサになりにくいので、虫歯になりにくい糖の1つと言えます。
虫歯菌が糖を有効に利用できるかどうかで、虫歯になりやすくなったり、逆に虫歯になりにくくなったり、ということを決めています。
例えば砂糖は虫歯菌の格好のエサになるので、酸を作られて歯を溶かしていくために虫歯になります。
ですが、フラクトオリゴ糖は虫歯菌が有効に利用できず、酸を作りにくいために虫歯予防効果に期待できます。
もちろん、フラクトオリゴ糖を摂っているからといって確実に虫歯にならないわけではありません。
食事をしている以上、さまざまな種類の糖質を口に入れていますので、適切な日々のブラッシングをきちんと行うことが虫歯予防にとって大切です。

参考:
オリゴ糖、キシロオリゴ糖の生産とその性質 藤川 茂昭

フラクトオリゴ糖の効果6 エネルギーになりにくい

エネルギーになりにくい

フラクトオリゴ糖のエネルギーは1gあたり約2kcalになります。

対して砂糖1gは約4kcalですので、およそ半分のエネルギー量になります。
ダイエットをはじめとして、1日のエネルギー量をコントロールする必要がある場合には、まったく甘みをゼロにする、というのは酷でしょうからぜひフラクトオリゴ糖を取り入れていきたいものです。

参考:
栄養学雑誌(難消化吸収性糖質の有効エネルギー量について)奥 恒行

フラクトオリゴ糖の効果7 栄養の吸収が良くなる

栄養の吸収が良くなる

フラクトオリゴ糖を取り入れることで、腸内細菌のビフィズス菌が増えて栄養の吸収率アップの効果に期待できます。
腸内のビィフィズス菌が増えると環境が酸性に傾いてカルシウムをはじめとしたミネラル分の分解が促されることによって、より体内に吸収されやすくなります。
どれだけ栄養満点な食事をしていても、体に吸収されなければ元も子もありません。
栄養バランスに配慮した食事を心がけているにもかかわらず、あまり実感できないのは、この「吸収力」「吸収率」にも目を向けてみると良いでしょう。

参考:
発酵性食物繊維としてのフラクトオリゴ糖の医療用食品への適用

フラクトオリゴ糖の効果8 アレルギーになりにくい

アレルギーになりにくい

フラクトオリゴ糖を摂ると腸内細菌が増えたり活性化します。
この腸内細菌にアレルギー反応を抑える効果があることがわかっています。
つまり、腸内細菌が増えたり活性化すればアレルギーになりにくく、逆に腸内細菌が減ったり弱ったりすればアレルギー反応が起こりやすくなります。
最近では食品添加物や悪い生活習慣によるストレスなどで腸内細菌が減ってきていることも、アレルギーの人が増えている、ということにつながっていますので、腸内環境を良くする方法を積極的に取り入れることが大切です。
その1つの方法としてフラクトオリゴ糖を摂ってみると良いでしょう。

フラクトオリゴ糖の効果9 精神的に安定する

精神的に安定する

腸内環境が良好な状態になることでセロトニンがたくさん作られ、精神面での安定をもたらします。
セロトニンというホルモンの名前を聞いたことがあるでしょうか。
セロトニンとは別名「幸せホルモン」と呼ばれ、心の充足感や満足感を生み出す効果があります。
このセロトニンの量は体全体で10mg程度ありますが、その全てを脳ではなく腸で作っています。
精神的に不安定な、うつ病の患者はこのセロトニンが相対的に少ない傾向にあります。
つまり、腸内細菌が多く元気だと幸せホルモンであるセロトニンがきちんと作られ、精神的に安定しますし、逆に腸内細菌が少なく弱っていると、幸せホルモンであるセロトニンがしっかり作られず、精神的に不安定になる、ということにつながります。
心当たりのある方は腸内細菌を増やしたり元気にする効果のある、フラクトオリゴ糖の摂取を意識してみると良いでしょう。

フラクトオリゴ糖についてのQ&A

フラクトオリゴ糖の取り入れ方や、他の糖類との違い等を解説していきます。

フラクトオリゴ糖の1日の摂取量は?
健康な方だと、1日におよそ3g~8gまでに抑えるようにすると良いでしょう。
あまり多く摂りすぎると、お腹がゆるくなることもありますし、病気が治ったりするものでもありません。
摂れば摂るほど効果的で体に良い、というわけではありませんので注意してください。
フラクトオリゴ糖を摂るタイミングは?
食品ですのでいつ摂っても良いですが、1度に一気に摂ると上記した様にお腹がゆるくなることがありますので、様子を見つつ、1日のうちで複数回にわけて摂ると良いでしょう。
フラクトオリゴ糖と砂糖の違いは?
同じ糖類ですが、砂糖とフラクトオリゴ糖では上記した生理作用以外として、甘みに違いがあります。
砂糖の甘さを100としたときにフラクトオリゴ糖は30~60程度ですので、砂糖に比べて半分程度の甘さです。
注意点としては、料理に使う場合、砂糖を使う感覚で同量のフラクトオリゴ糖を入れると、人によっては甘みが十分でない、と感じることがあります。
ここで、砂糖を入れたときと同じような甘みにしたい場合、フラクトオリゴ糖をさらに追加して入れると結局はエネルギーが増えることにもつながりますし、1日の摂取限度量を超える場合もあります。
少ない甘みで満足できるように、日々の味付けを心がけていくことも大切です。
フラクトオリゴ糖とオリゴ糖と違いは?
オリゴ糖というカテゴリーの中にフラクトオリゴ糖が含まれます。
詳しく言うと、オリゴ糖は原料別にわかれています。
でんぷん関連のオリゴ糖は、イソマルトオリゴ糖やマルトオリゴ糖があります。
砂糖関連のオリゴ糖は、フラクトオリゴ糖やグルコオリゴ糖があります。
乳糖関連のオリゴ糖は、パラチノースやラクチュロースがあります。
その他大豆オリゴ糖などもありますが、オリゴ糖と名前がつくものは基本的な生理作用は似ていますので、専門用語をどんどん知りたいという方は別ですが、そうでない方はあまり気にしなくても良いでしょう。
フラクトオリゴ糖はどのような食品に含まれているか?
果物や野菜に含まれています。
たまねぎ100gに対して0.3g、バナナは100gに対して0.2gです。
ライ麦は100gに対して0.38g含まれています。
食材だけで1日のフラクトオリゴ糖をまかなうには正直難しい面がありますので、後述する方法も検討してみると良いでしょう。
フラクトオリゴ糖の摂取方法は?
フラクトオリゴ糖は野菜や果物にも含まれていますが、1日の中で健康効果を期待する量を摂ろうとすると現実的に難しい面があります。
ですので、料理に使いやすいシロップタイプや無理なく手軽にとれるサプリメントも活用してみても良いでしょう。
フラクトオリゴ糖の使い方は?
シロップタイプは、飲み物に入れたりヨーグルトなどのデザートにかけたりすると簡単にフラクトオリゴ糖を摂ることができるので便利です。
煮物や和え物などの料理にも砂糖がわりに使ってみると良いでしょう。

参考:
消費者庁特定保健用食品(規格基準型)制度における規格基準

●管理栄養士からのコメント

フラクトオリゴ糖の健康効果は様々です。
砂糖がわりに単なる「甘み」として活用するのも良いですが、便やおならの臭いが改善されたり、下痢や便秘を解消したり、血糖を上げるために使われない、免疫力が上がる、虫歯になりにくくなる、エネルギーになりにくい、栄養の吸収が良くなる、アレルギーになりにくい、精神的に安定する、などの効果が期待できますので、普段の食生活の中で意識して摂ってみると、より健康的に毎日を過ごせるキッカケになることでしょう。

稲尾 貴子

管理栄養士プロフィール

◎影山敦久

管理栄養士、栄養教諭。子どもからお年寄りまで幅広い年代の方に栄養指導や料理教室を行うかたわら、特定保健指導にも携わる。得意分野はダイエットとスポーツ栄養。

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この記事を書いた人

パン作りと温泉をこよなく愛する2児の母。老後は伊豆で大きな犬と暮らすのが夢です。豆乳が好き、猫は苦手。