フラクトオリゴ糖の効果や摂り方、砂糖との違いを解説

記事の監修

この記事は管理栄養士の方に監修していただいています

管理栄養士

影山敦久

管理栄養士、栄養教諭。子どもからお年寄りまで幅広い年代の方に栄養指導や料理教室を行うかたわら、特定保健指導にも携わる。得意分野はダイエットとスポーツ栄養。

最近、健康食品やサプリメントの成分として注目されているフラクトオリゴ糖。いったいどんな効果があるのか具体的にご存知でしょうか?
この記事では、フラクトオリゴ糖が持つ多くの健康効果、摂取方法や注意点などを詳しく解説します。

フラクトオリゴ糖とは?

フラクトオリゴ糖とは?

フラクトオリゴ糖は、自然由来の糖質であり、腸内環境を整える「プレバイオティクス」として注目されています。砂糖に比べてカロリーが低く、ダイエット効果も期待できます。

糖質の中の1種類

1種類

フラクトオリゴ糖は、その名の通り糖質の一種です。具体的には、砂糖(ショ糖)に果糖が結合した構造を持ち、砂糖に比べてカロリーが低く、太りにくい性質を持っています。そのため、ダイエット効果も期待されており、健康的な甘味料として利用されています。
また、フラクトオリゴ糖は腸内細菌を活発にし、健康効果を高める「プレバイオティクス」としても知られています。プレバイオティクスとは、腸内の善玉菌のエサとなる物質であり、善玉菌を増やすことで腸内環境を改善し、全体的な健康状態を向上させる効果があります。これにより、消化器系のトラブルや免疫力の低下を防ぐ効果が期待されています。
参考:
新規プレバイオティクスによる腸内酪酸産生菌活性化を介した消化管疾患の治療

自然由来の糖質

自然由来

フラクトオリゴ糖は人工的に合成することもできますが、もともと自然界に存在する糖質です。野菜や果物に含まれており、自然由来の成分として体に取り入れることができます。
精製された砂糖とは異なり、フラクトオリゴ糖はヒトの体になじみやすく、適量を守れば特に大きなデメリットはありません。過剰摂取を避けることで、健康的にその恩恵を受けることができます。

特定保健用食品

特定保健用食品

フラクトオリゴ糖は、消費者庁が許可した特定保健用食品(トクホ)の成分として認められています。この認可は、フラクトオリゴ糖の安全性や保健機能が科学的に証明されていることを意味します。
例えば、「お腹の調子を整える」といった効果を表示している商品を見かけたことがある方も多いでしょう。消費者庁の認可を受けていることから、フラクトオリゴ糖の健康効果は信頼できるものであり、日常的な健康維持に役立つと判断されています。

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フラクトオリゴ糖の9つの効果

効果

フラクトオリゴ糖には、人にとって有益なたくさんの効果がありますが、ここでは主に9つご紹介します。

フラクトオリゴ糖の効果1 便やおならの臭いが改善される

便やおならの臭いが改善される

便やおならの臭いが強くなるのは、腸内細菌のバランスが崩れている証拠です。
腸の中には悪玉菌と善玉菌、日和見菌(ひよりみきん)の3種類があります。
呼んで字のごとく、悪玉菌は体に悪さをする菌、善玉菌は体にとって良い働きをする菌です。
日和見菌とは、単体では害は無いのですが、悪玉菌が勢いづけば悪玉菌に、善玉菌が増えれば善玉菌に加勢します。
腸内細菌の状態を良好に保つことで大切なのは、善玉菌を増やして悪玉菌を減らすことです。
善玉菌が増えて、悪玉菌よりも優勢であれば、便やおならの臭いが改善されてきます。
臭いで、ある程度腸内環境がわかると言っても過言ではないでしょう。

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フラクトオリゴ糖の効果2 下痢や便秘を解消する

下痢や便秘を解消する

フラクトオリゴ糖は善玉菌のエサになることで腸内環境を改善し、下痢や便秘を解消するように働きかける効果があります。
善玉菌がフラクトオリゴ糖をエサにすることによって、酸を作り出します。
この酸が腸を刺激することで便秘の解消につながります。
さらに、腸内をアルカリ性から酸性にすることで、酸性を嫌う悪玉菌は腸内で活性化できずに結果として下痢がおさまることにつながります。
参考:
愛知県薬剤師会特定保健用食品/薬事情報センター

フラクトオリゴ糖の効果3 血糖を上げるために使われない

血糖を上げるために使われない

フラクトオリゴ糖は基本的には胃や小腸で分解されずに通過し、大腸まで到達するため、血糖値を上げにくい性質があります。名前に「糖」が含まれているため、全ての糖が血糖値を上げると誤解されがちですが、フラクトオリゴ糖は分解されないため吸収されず、結果として血糖値を上げません。
一方、砂糖などの精製糖はすぐに分解されて吸収されるため、急激に血糖値を上げます。血糖値が急激に上がること自体は問題ありませんが、これを頻繁に繰り返すと内臓に負担がかかり、糖尿病の原因となる可能性があります。
その点、フラクトオリゴ糖は血糖値を上げにくいため、血糖値を管理したい方にはもちろん、健康を維持したい方にも積極的に取り入れていただきたい成分です。
参考:
フラクトオリゴ糖とマルチトールを配合した焼き菓子の性状・嗜好性と血糖値への影響

フラクトオリゴ糖の効果4 免疫力が上がる

免疫力の向上

フラクトオリゴ糖を取り入れることで、免疫力が向上する効果が期待できます。免疫力とは、体が細菌やウイルスなどの外敵に対抗する力を指します。体内の免疫システムの大部分は腸に集中しており、腸内細菌が重要な役割を果たしています。
腸内細菌は、免疫細胞に指示を与えることで免疫力をサポートしています。しかし、腸内細菌が元気を失うと、免疫システムが正常に機能せず、体が病気にかかりやすくなります。一方で、腸内細菌が活発な状態だと、免疫力が向上し、細菌やウイルスなどの侵入者を効率的に排除することができます。
特に季節の変わり目に風邪を引きやすい、体調を崩しやすいと感じる方は、規則正しい生活習慣を維持するだけでなく、腸内細菌を元気に保つための方法にも注意を向けると良いでしょう。

フラクトオリゴ糖の効果5 虫歯になりにくくなる

虫歯になりにくくなる

フラクトオリゴ糖は、虫歯菌のエサになりにくい糖質の一つです。虫歯は、虫歯菌が糖を利用して酸を生成し、歯を溶かすことで発生します。
砂糖は虫歯菌にとって格好のエサとなり、酸を生成して歯を侵食しますが、フラクトオリゴ糖は虫歯菌が有効に利用できないため、酸を作りにくいのです。このため、フラクトオリゴ糖は虫歯予防に効果が期待されます。
しかし、フラクトオリゴ糖を摂取するだけで確実に虫歯を防げるわけではありません。食事を通じてさまざまな種類の糖質を摂取しているため、適切な日々のブラッシングや口腔ケアが虫歯予防には不可欠です。
参考:
オリゴ糖、キシロオリゴ糖の生産とその性質 藤川 茂昭

フラクトオリゴ糖の効果6 エネルギーになりにくい

エネルギーになりにくい

フラクトオリゴ糖のエネルギーは1gあたり約2kcalです。対して砂糖1gは約4kcalであるため、フラクトオリゴ糖のエネルギー量は砂糖のほぼ半分です。これにより、ダイエット中やエネルギー摂取量をコントロールしたい場合でも、フラクトオリゴ糖を利用することで甘みを楽しみながらカロリーを抑えることができます。
甘みを完全にゼロにするのは難しいかもしれませんが、フラクトオリゴ糖を取り入れることで、甘さを楽しみながらもエネルギー摂取量を管理しやすくなります。
参考:
栄養学雑誌(難消化吸収性糖質の有効エネルギー量について)奥 恒行

フラクトオリゴ糖の効果7 栄養の吸収率アップ

栄養の吸収が良くなる

フラクトオリゴ糖を取り入れることで、腸内細菌の一種であるビフィズス菌が増え、栄養の吸収率が向上する効果が期待できます。ビフィズス菌が増えると腸内環境が酸性に傾き、カルシウムをはじめとするミネラルの分解が促されることで、体内への吸収がより効率的になります。
どれだけ栄養豊富な食事をしていても、体に吸収されなければその効果は十分に発揮されません。栄養バランスに配慮した食事を心がけているのに、その効果をあまり実感できない場合は、この「吸収力」や「吸収率」にも注意を向けてみると良いでしょう。
参考:
発酵性食物繊維としてのフラクトオリゴ糖の医療用食品への適用

フラクトオリゴ糖の効果8 アレルギー反応の抑制

アレルギーになりにくい

フラクトオリゴ糖を摂ると腸内細菌が増えたり活性化します。
この腸内細菌にアレルギー反応を抑える効果があることがわかっています。
つまり、腸内細菌が増えたり活性化すればアレルギーになりにくく、逆に腸内細菌が減ったり弱ったりすればアレルギー反応が起こりやすくなります。
最近では食品添加物や悪い生活習慣によるストレスなどで腸内細菌が減ってきていることも、アレルギーの人が増えている、ということにつながっていますので、腸内環境を良くする方法を積極的に取り入れることが大切です。
その1つの方法としてフラクトオリゴ糖を摂ってみると良いでしょう。

フラクトオリゴ糖の効果9 精神的な安定

精神的に安定する

腸内環境が良好な状態になることで、セロトニンの生成が増え、精神面での安定をもたらします。セロトニンというホルモンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、心の充足感や満足感を生み出す効果があります。体全体でのセロトニン量は約10mg程度ですが、そのほとんどは脳ではなく腸で作られています。
精神的に不安定な状態、例えばうつ病の患者は、セロトニンのレベルが相対的に低い傾向にあります。つまり、腸内細菌が豊富で活発な場合、セロトニンが十分に生成され、精神的に安定することが期待できます。逆に、腸内細菌が少なく弱っていると、セロトニンの生成が不十分となり、精神的な不安定に繋がります。
心当たりのある方は腸内細菌を増やしたり元気にする効果のある、フラクトオリゴ糖の摂取を意識してみると良いでしょう。

フラクトオリゴ糖の効果的な摂り方

フラクトオリゴ糖の1日の摂取量

健康な方は、1日におよそ3g〜8gのフラクトオリゴ糖を摂取するのが良いでしょう。過剰に摂取すると、お腹がゆるくなることがあります。また、病気が治るわけではないため、摂れば摂るほど効果が高まるわけではありません。適量を守ることが重要です。
参考:
別添3 特定保健用食品(規格基準型)制度における規格基準

フラクトオリゴ糖を摂るタイミング

フラクトオリゴ糖は食品なので、いつ摂っても問題ありませんが、一度に大量に摂取するとお腹がゆるくなることがあります。1日のうちで複数回に分けて摂るのが良いでしょう。様子を見ながら調整することが大切です。

フラクトオリゴ糖の摂取方法

フラクトオリゴ糖は野菜や果物にも含まれていますが、健康効果を期待する量を1日の食事から摂るのは難しい場合があります。そのため、料理に使いやすいシロップタイプや手軽に摂れる粉末タイプを活用すると良いでしょう。

フラクトオリゴ糖の使い方

シロップタイプや粉末タイプのフラクトオリゴ糖は、飲み物に加えたりヨーグルトなどのデザートにかけたりすることで簡単に摂取できます。また、煮物や和え物などの料理にも砂糖の代わりに使うことができます。これにより、日常の食事に無理なく取り入れることができます。

フラクトオリゴ糖についてのQ&A

フラクトオリゴ糖と砂糖の違いは?
同じ糖類ですが、砂糖とフラクトオリゴ糖では上記した生理作用以外として、甘みに違いがあります。
砂糖の甘さを100としたときにフラクトオリゴ糖は30~60程度ですので、砂糖に比べて半分程度の甘さです。
注意点としては、料理に使う場合、砂糖を使う感覚で同量のフラクトオリゴ糖を入れると、人によっては甘みが十分でない、と感じることがあります。
ここで、砂糖を入れたときと同じような甘みにしたい場合、フラクトオリゴ糖をさらに追加して入れると結局はエネルギーが増えることにもつながりますし、1日の摂取限度量を超える場合もあります。
少ない甘みで満足できるように、日々の味付けを心がけていくことも大切です。
フラクトオリゴ糖とオリゴ糖と違いは?
オリゴ糖というカテゴリーの中にフラクトオリゴ糖が含まれます。
詳しく言うと、オリゴ糖は原料別にわかれています。
でんぷん関連のオリゴ糖は、イソマルトオリゴ糖やマルトオリゴ糖があります。
砂糖関連のオリゴ糖は、フラクトオリゴ糖やグルコオリゴ糖があります。
乳糖関連のオリゴ糖は、パラチノースやラクチュロースがあります。
その他大豆オリゴ糖などもありますが、オリゴ糖と名前がつくものは基本的な生理作用は似ていますので、専門用語をどんどん知りたいという方は別ですが、そうでない方はあまり気にしなくても良いでしょう。
フラクトオリゴ糖はどのような食品に含まれているか?
果物や野菜に含まれています。
たまねぎ100gに対して0.3g、バナナは100gに対して0.2gです。
ライ麦は100gに対して0.38g含まれています。
食材だけで1日のフラクトオリゴ糖をまかなうには正直難しい面がありますので、後述する方法も検討してみると良いでしょう。

●管理栄養士からのコメント

フラクトオリゴ糖の健康効果は様々です。
砂糖がわりに単なる「甘み」として活用するのも良いですが、便やおならの臭いが改善されたり、下痢や便秘を解消したり、血糖を上げるために使われない、免疫力が上がる、虫歯になりにくくなる、エネルギーになりにくい、栄養の吸収が良くなる、アレルギーになりにくい、精神的に安定する、などの効果が期待できますので、普段の食生活の中で意識して摂ってみると、より健康的に毎日を過ごせるキッカケになることでしょう。

稲尾 貴子

管理栄養士プロフィール

◎影山敦久

管理栄養士、栄養教諭。子どもからお年寄りまで幅広い年代の方に栄養指導や料理教室を行うかたわら、特定保健指導にも携わる。得意分野はダイエットとスポーツ栄養。

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この記事を書いた人

パン作りと温泉をこよなく愛する2児の母。老後は伊豆で大きな犬と暮らすのが夢です。豆乳が好き、猫は苦手。