黒にんにくの効果・効能とは|作り方や効果なしと言われる要因を検証

記事の監修

この記事は管理栄養士の方に監修していただいています

管理栄養士

安藤ゆりえ

老人保健施設の管理栄養士を経て、健康を維持するためには若いうちからの食生活の大切さを実感。2016年フリーランスとして活動を開始。レシピ開発や栄養指導、料理教室、食に関するコラムの執筆などを行っている。

驚異のパワーを持つ黒にんにく

黒にんにく

もともと栄養価の高いニンニクですが、熟成・発酵させるとさらに栄養価が高まることが近年の研究で明らかになりました。

国内外でも高く注目されていて、サプリメントとしても多く販売されています。

そんな黒にんにくの持つ健康効果や、熟成方法、効果的な食べ方なども徹底検証してみました。

黒にんにくとは?

黒にんにく

国内外から健康食品として注目されている黒にんにく。
現在は市販品や手作りで、比較的手軽に手に入れられるようになっています。

黒にんにくはにんにくの熟成品

黒にんにくとは、にんにくを一定温度・湿度を保った状態で、1か月ほど熟成させたものです。

通常にんにくは白っぽい色をしていますが、熟成するにつれて色がつき、最終的には真っ黒に変化します。

日本人研究者により、黒にんにくの驚くべき効果が明らかになったのは2006年のこと。

にんにくを超える栄養価の高さから健康食品として脚光を浴び、現在では黒にんにくをテーマにした「黒にんにくサミット」が国内外を対象として開催されるほどです。

日本生まれの黒にんにくは、栄養価の高い健康食品として世界へと広がりをみせています。

黒にんにくとにんにくの違い

にんにく

黒にんにくとにんにくは、似ているようでさまざまな点が大きく異なります。
どのような違いがあるのでしょうか?

黒にんにくとにんにくは見た目も味もニオイも違う

にんにくはご存知のとおり、白い色をした刺激のある味、きつい臭みのあるニオイが特徴の食べ物です。

それに対して黒にんにくは、

  • ・熟成が進むにつれて真っ黒に。
  • ・ドライフルーツのような甘みと食感に。

ほとんど臭みが感じられず、ニオイも気になりません。
にんにくを熟成させただけで、全く別物ともいえる変貌を遂げるのです。

黒にんにくは栄養成分がパワーアップ

黒にんにくには熟成過程で

  • ・アルギニン
  • ・S-アリルシステイン
  • ・シクロアリイン
  • ・プロリン
  • ・ピログルタミン酸

などの成分が増加します。
さらにアミノ酸量も増え、その量はにんにくの数倍にも。

現在はさまざまなメーカーにより商品化されていたり、手作りを取り入れたりして、黒にんにくが比較的手に入りやすくなっています。

しかし熟成温度や湿度、期間によって熟成度合いは異なり、成分量にも違いがあります。
ある商品では

  • ・アルギニンが3倍
  • ・ S-アリルシステインが16倍
  • ・総ポリフェノールが6倍
  • ・アミノ酸各種2~7倍

と増加することが、分析結果から明らかになっています。

商品を選ぶ時は、栄養価のより高い黒にんにくを選ぶことがとても重要なのです。

黒にんにくに副作用はあるか

通常のにんにくは刺激が強く、強力な殺菌効果もある食品です。
そのため生の状態で食べると、

  • ・胃腸の荒れや下痢が起こる。
  • ・腸内の悪玉菌と一緒に善玉菌も殺してしまう。

ということもあります。

これはにんにくの殺菌成分「アリシン」が原因です。

しかし、黒にんにくは、熟成過程で「アリシン」が「S-アリルシステイン」へと変化。
「アリシン」の含有量が大幅に減少するため、にんにくのような体の刺激を伴う副作用はほとんどありません
安心して生のまま食べることができます。

黒にんにくの栄養と健康効果

黒にんにくはさまざまな栄養分を豊富に含んでいるヘルシー食品。
幅広く、高い健康・美容効果を期待できます。

黒にんにくの効果 アルギニンと健康効果

アルギニンと健康効果

黒にんにくに含まれるアミノ酸の一種アルギニンは、通常のにんにくの約3倍。
疲労感の原因物質アンモニアを除去し、疲労回復に効果を発揮したり、インスリンの分泌を促したり、幅広い効果を期待できます。

【主な健康効果】
・コラーゲン生成を促す
・血管の老化を防ぐ
・免疫力を高める
・精力増強
・傷の治癒・修復
・疲労回復
・血糖値の上昇を抑える

黒にんにくの効果 豊富なアミノ酸とポリフェノール

豊富なアミノ酸・ポリフェノールと健康効果

黒にんにくにはアミノ酸とポリフェノールが豊富に含まれています。

ポリフェノールは野菜の中ではトップの含有量。
ポリフェノールの強い抗酸化作用は、老化現象のもととなる活性酸素を除去する働きがあるとされています。

さらに近年では花粉症などを抑制する、強い抗アレルギー作用があることもわかってきました。

アミノ酸とともに、さまざまな健康効果を期待できます。

【主な健康効果】
・花粉症などのアレルギー改善
・冷え性改善
・疲労回復
・風邪予防
・滋養強壮
・生活習慣病予防
・高血圧の予防

黒にんにくの効果 S-アリルシステインと健康効果

S-アリルシステインと健康効果

にんにくが黒にんにくへと熟成する過程で生まれるのが、S-アリルシステインです。

S-アリルシステインには強い抗酸化作用があり、老化現象を引き起こす活性酸素と腸内の悪玉コレステロールが結びつくのを防ぎます。

活性酸素が増えることによるシワなどの肌老化や動脈硬化、糖尿病などを防ぐのに有効です。
またS-アリルシステインは抗ガン作用もあることがわかっており、現在も研究が続けられています。

【主な健康効果】
・生活習慣病の予防
・疲労回復
・血液をサラサラにする
・アンチエイジング
・糖尿病の予防
・ガンの抑制

黒にんにくのおすすめ商品

黒にんにくの作り方

黒にんにくの作り方

黒にんにくの作り方はとても簡単ですが、にんにく独特のニオイが気になるところ。
ニオイ対策をしながら、ポイントを抑え、栄養豊富でおいしい黒にんにくを作りましょう。

 

炊飯器を使った黒にんにくの作り方

基本的な黒にんにくの作り方を、炊飯器を使ったレシピでご紹介。炊飯器の保温機能を使うと、黒にんにく熟成に適した温度に近い状態を保てます。失敗しにくいレシピです。
炊飯器を使った黒にんにくの基本的な作り方

<材料・用意するもの>

・にんにく
中玉15コ
・ガーゼまたはペーパータオル
1枚
・炊飯器の底に入るくらいの竹カゴや竹ザル
1個
・保温機能付き炊飯器(黒にんにく作り用に用意するのがおすすめ)
1台

<作り方>

炊飯器の底に竹カゴや竹ザルを敷き、空間を少なくするイメージで、にんにくを詰め込みます。
保温中の水分を保ち、熟成をスムーズに進めるため、にんにくの上にガーゼまたはペーパータオルをかけます。
保温スイッチを押して熟成開始。完成までは1日1回ほど、にんにくの上下を返したり並べ替えたりしましょう。
10日~2週間ほど、保温状態を維持します。
皮をむいて熟成具合を確認しましょう。にんにくの辛味がなくなり、黒くねっとりとした状態になっていたら、炊飯器から出します。
網に入れたりザルに上げたりして1日干したら完成です。

<作り方やアレンジのポイント>

⑤のときにベチャっとした感じになっていたら、水分が多い証拠。炊飯器の底に溜まった水を捨てたり、炊飯器のフタに割り箸などを挟んで少し開けたりして、数日追加保温しましょう。
⑤のときに水分が少ない感じになっていたら、水分を補って数日追加保温します。炊飯器外側にある蒸気口をアルミホイルなどで軽く覆い、水蒸気の出る量を少なくしましょう。炊飯器の底に少し水を入れるのも有効です。
底に竹カゴや竹ザルを敷かないで直接にんにくを入れると、コゲやすくなります。
風通しのよい常温の日陰で1か月ほど寝かせると、さらに熟成が進み、おいしさがアップします。
圧力鍋やコンロ、オーブントースターでも作れますが、黒にんにくに似たようなものであり、日持ちもしません。しっかり熟成させられないため、あくまでも簡易的なものです。
炊飯器の代わりに保温ジャーも使えますが保温温度が低く、熟成に時間がかかる可能性があります。蒸気口もないため水分を逃がせず、しっかり乾燥したにんにくを使うなどの配慮が必要です。新聞紙を底に敷いて、にんにくを詰め込んだら熟成を開始しましょう。

 

黒にんにくのニオイを抑えた作り方

黒にんにく作りで避けて通れないのが、熟成前半のきついニオイです。このニオイを軽減するレシピをご紹介します。
黒にんにくのニオイを抑えた作り方

<材料>

・①上記「基本の作り方」の材料に加えて、酢または酒
適量

<作り方1>

酢または酒に1日ほどにんにくを浸します。
にんにくを取り出し、半日から1日ほど干して乾燥させます。
上記「基本の作り方①」から順番に熟成作業を行います。

<作り方2>

炊飯器に入れる前に、酢または酒ににんにくを浸します。
上記「基本の作り方①」同様、炊飯器ににんにくを詰めたら、上から酢または酒をスプレーします。
にんにくにガーゼまたはペーパータオルをかぶせたら、その上から酢または酒をスプレーします。
③の上からもう1枚ガーゼまたはペーパータオルをかぶせ、炊飯器のフタをしめます。
そのままの状態で1日置き、酢または酒を染み込ませます。
上記「基本の作り方③」から順番に熟成を行います。

<作り方やアレンジのポイント>

料理酒を使うときは無塩タイプを使いましょう。
酢や酒に浸すため、水分が多くなりがちです。熟成具合を確認しながら、水分を調整しましょう。

黒にんにく作りの注意点

黒にんにくを作るときは、次の点に注意してください。

玉でも一粒ずつにしても構いませんが、かならず皮がついたままの状態で使いましょう。皮をむいて使うと、硬くなってしまいます。
炊飯器などにはにんにくのニオイがしっかりとついてしまい、他の料理には使えなくなってしまう可能性が高いです。黒にんにく用のものを用意しましょう。
基本の作り方の場合、保温をはじめて1週間から10日ころまでは、かなりきついニオイが充満します。ニオイの気にならない場所や迷惑にならない場所で作ったり、ニオイが広がらないようにしたり、工夫が必要です。

手軽に黒にんにくを食べるならこちらがおすすめ!


黒にんにくの保存方法と賞味期限

黒にんにくの保存

黒にんにくの保存方法には主に3つあります。

<常温保存>
新聞紙でくるんだり、紙袋やネットに入れたりして、日陰で涼しく風通しのよいところに置きます。
手作りの場合は品質などによりますが、市販品だと1~2か月ほど保存が可能です。
<冷蔵庫保存>
ジップロックなどで密閉して冷蔵庫に入れます。
最初は密閉せずに黒にんにくの温度をしっかり下げ、その後で密閉するとなおよいです。
6か月ほどであれば、品質を保った状態でおいしく食べられます。
<冷凍庫保存>
ジップロックなどで密閉して冷凍庫に入れます。冷凍前に皮をむくかむかないかはお好みで。
ガチガチに凍ることがないため、取り出してすぐでも、常温に戻してからでも食べられます。
最も品質が変わりにくく、1年ほど品質を維持したままでの保存が可能です。
 
黒にんにくの保存

黒にんにくの効果なし?より実感を得るための食べ方

黒にんにくの食べ方

黒にんにくを食べたからといって、必ずしもはっきりとした効果を実感できるわけではありません。
どのような点に気をつけるといいのでしょうか?

生のままで食べる

にんにくのニオイ成分アリシンは疲労回復や殺菌効果などの働きがあり、黒にんにくにも含まれています。
しかしアリシンは熱に弱いため、加熱料理に加えると、効果を十分に得られないことも。
黒にんにくをいつも加熱料理に使っている方は、できるだけ生のままで食べるようにしてみるのをおすすめします。

1日1~2片を毎日続けて食べる

黒にんにくは刺激成分が完全になくなっているわけではないため、食べ過ぎると胸やけや胃もたれ、腹痛を起こすこともあります。
さらに、黒にんにくの効果を得たいからといって、食べた次の日に急に効くというものでもありません。
黒にんにくは1日の適量である1~2片を、毎日続けて食べることがポイントです。

市販品を試したり、熟成温度や期間などを見直したりしてみる

黒にんにくは温度や湿度・熟成期間などによって、栄養分や含有量が異なります。
黒にんにくを手作りしている場合、熟成が十分ではない可能性も。
温度や湿度・熟成期間などを見直して、しっかり熟成させてみましょう。
また市販品はしっかり熟成されており、栄養成分もたっぷり。
手作り黒にんにくしか食べたことのない場合は、一度市販品を食べてみるのもいいかもしれません。

黒にんにくのアレンジレシピ

生のままで毎日食べるのが飽きてしまった時は、ちょっとアレンジしてみると美味しく楽しめます。

サラダのトッピングに

サラダ

黒にんにくをスライスしてサラダにパラパラとふりかけます。
他の野菜にはない黒い色がアクセントになって、いつもと違うオシャレなサラダに。

ドレッシングに

ドレッシング

ドレッシングの材料に黒にんにくをまぜるだけ。
にんにくのように匂いがきつくないのでとても食べやすいドレッシングです。
こちらも生で食べれるので、黒にんにくの栄養を損なうことなく食べることができます。

黒にんにくのりんご酢とオリーブオイルのドレッシング

【材料】
・黒にんにくのみじん切り 1片
・りんご酢 大さじ2
・オリーブオイル 大さじ3
・塩コショウ 少々

●管理栄養士からのコメント

そのままでも栄養価の高いにんにくを発酵熟成させてさらに栄養価が高まった「黒にんにく」。
小さい1粒の中に免疫力を高めたり、疲労回復や生活習慣病の予防、美肌にも効果のある栄養素がぎゅぎゅっと詰まっています。
海外でもスーパーフードとして親しまれているほどです。
黒にんにくは、普通の白いにんにくのように強い刺激もなく、みかんを食べるような感覚で皮をむくだけでそのまま食べられる手軽な食べ物なので、ぜひ毎日の習慣に取り入れて日々の健康や美容に役立てていきたいですね。

安藤ゆりえ
安藤ゆりえ

管理栄養士プロフィール

◎安藤ゆりえ

老人保健施設の管理栄養士を経て、健康を維持するためには若いうちからの食生活の大切さを実感。
2016年フリーランスとして活動を開始。レシピ開発や栄養指導、料理教室、食に関するコラムの執筆などを行っている。
また「食を見直すならまずは毎日使う調味料から」をコンセプトに地元愛知県三河のみりんや味噌などの伝統的な調味料の素晴らしさを伝えるセミナーなども開催。

食や栄養に関すること全般ですが特に
・調味料について(みりん、味噌や醤油などの製法やどんなものを選ぶと良いかなど)
・体に優しいスイーツの選び方、作り方
・ダイエットレシピの考案
・時短レシピの考案を得意としています。

▼公式サイト
https://ameblo.jp/yurieand/entry-12461592747.html

黒にんにくのおすすめ商品



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この記事を書いた人

コンテンツ、写真撮影担当。暇があったらキッチンで発酵食品や保存食品を作ったり、写真を撮ったりしています。趣味は一人で映画に行くこと。