雑穀米のカロリーと栄養とは?22種の雑穀の魅力を一覧表で紹介

雑穀米

「雑穀米って身体に良さそうだけど、種類が多すぎてどれを選べばいいか分からない…」そんな悩みを抱えている方も多いでしょう。実は、雑穀はそれぞれに得意な栄養素があり、目的に応じて選ぶことで効果を実感しやすくなります。

本記事では、食物繊維・鉄分・アミノ酸・ポリフェノールなどの栄養素ごとに最適な雑穀を一覧表で紹介。それぞれの味や食感、白米との相性、炊き方のコツなどそれぞれの気になるポイントを丁寧に解説します。

読み終える頃には、「自分と家族にぴったりな雑穀ブレンド」がきっと見つかるはずです。まずは今夜のご飯に、大さじ1杯の雑穀を加えることから始めてみませんか?

雑穀米のカロリーと糖質

雑穀米に含まれる栄養素

雑穀米のカロリーや糖質を、白米と比較してみました。

〈炊飯後の雑穀米と白米100gあたりのカロリーと糖質〉

エネルギー糖質
雑穀米168kcal30.0g
白米168kcal36.1g
出典: 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
※雑穀米の数値は目安です(混ぜる穀物の種類や割合によって変化します)

雑穀米と白米のカロリーは大きな違いはありません。

ただし、混ぜる雑穀の種類や割合によってはカロリーが高くなってしまうので注意が必要です。

とはいえ雑穀は白米に比べてもミネラルや食物繊維が豊富で、消化吸収にも時間がかかるので、実はダイエットにもおすすめの食材です。

雑穀米に含まれる栄養素は種類ごとに異なる

雑穀米は、白米に比べて栄養価が高い穀物です。

雑穀には、あわやひえといったイネ科のものから、大豆のような豆類、さらにはごままでさまざまな種類があります。これらに共通するのは、精白されていないために外皮が残っており、食物繊維やビタミンB群、ミネラルを豊富に含んでいる点です。

ただし、具体的な栄養成分は雑穀ごとに異なります。たとえば、大麦には水に溶けやすい食物繊維が多く含まれており、腸内環境を整える効果が期待されます。キヌアは必須アミノ酸をバランスよく含んでおり、たんぱく質の質を補うのに適しています。古代米にはポリフェノールが豊富で、抗酸化作用に優れています。

栄養バランスを幅広く整えたい場合は、いくつかの種類をブレンドするのが効果的です。一方で、特定の栄養素を重点的に取り入れたいときは、目的に合った雑穀を多めに加えるとよいでしょう。

自分や家族の好みに合わせて、味や食感も考慮しながら続けやすい組み合わせを見つけてみてください。

食物繊維を多く含む雑穀

整腸作用や血糖値の安定を目指すなら、まず注目すべきは食物繊維が豊富な雑穀です。

食物繊維には、水に溶ける「水溶性」と溶けない「不溶性」があります。両方をバランスよく摂ることで、腸内環境が整い、便秘の改善や肌の調子を整える効果も期待できます。

以下に食物繊維を多く含む主要な雑穀を一覧表にまとめました。

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雑穀名主な栄養素・成分期待される効果特徴・利用法
押し麦食物繊維(白米の約10倍)腸内環境改善・血糖値の上昇抑制・中性脂肪低減プチプチ食感・甘みあり。白米1合+押し麦大さじ2+水を2倍追加が基本
もち麦水溶性・不溶性食物繊維(1:1)・β-グルカン腸活・満腹感持続・ダイエットサポートもちもち食感。サラダや白米と一緒に炊飯器で炊けて便利
黒もちあわ食物繊維・鉄・亜鉛・ポリフェノール鉄分補給・腸内環境のケアクセが少なく食べやすい。白米に1割混ぜると彩りも楽しめる
胚芽押麦食物繊維・ビタミンB群・E・不飽和脂肪酸代謝促進・初心者でも食べやすい麦ごはん香りまろやか。冷蔵保存・早めの消費で風味キープ

ここからはそれぞれ詳細に解説していきます。

押し麦:白米の約10倍の食物繊維

押し麦は、白米と比べて約10倍もの食物繊維を含む優れた雑穀です。

押し麦は大麦を蒸して平たく押しつぶしたもので、昔から「麦ごはん」として親しまれてきました。プチプチとした歯ごたえとほのかな甘みが特徴で、白米に混ぜても食べやすく、日々の食事に自然になじみます。

押し麦に豊富に含まれる食物繊維は、腸内の善玉菌を育てて腸内環境を整えるのが特徴です。また糖や脂肪の吸収を穏やかにする働きがあります。そのため、血糖値の急な上昇を抑えたり、中性脂肪を減らしたりする効果が期待されます。

炊く際は、白米1合に対して押し麦を大さじ2加え、麦の重量の約2倍の水を追加するのがコツ。これで炊き上がりの食感も良く、失敗しにくくなります。

もち麦:水溶性と不溶性のバランスが良い

もち麦は、水溶性と不溶性、両方の食物繊維をバランスよく含んだ雑穀です。腸内環境を整えたい人に理想的な雑穀といえるでしょう。

大麦の一種であるもち麦は、β-グルカンという水溶性食物繊維の含有量が特に多いことが特長です。そのうえ、水溶性と不溶性の比率がほぼ1対1という理想的なバランスを持ち、腸の動きをサポートします。

食感はその名のとおりもちもちと弾力があり、食べごたえがあります。満腹感が持続しやすいため、食べ過ぎを防ぎたいダイエット中にも向いています。

ゆでたもち麦をレタスやトマトなどのサラダに加えると、手軽に食物繊維をプラスできます。さらに、炊飯器で白米と一緒に炊けるので、特別な調理は不要。浸水時間が短くても柔らかく仕上がるため、毎日の食事に取り入れやすいのも魅力です。

黒もちあわ:食物繊維とポリフェノール

黒もちあわは、食物繊維とポリフェノールの両方を備えた、栄養価の高い雑穀です。

粒の色が灰色がかった黒色で希少性が高く、あわに特有の鉄分や亜鉛を多く含んでいます。さらに、外皮の色素にはポリフェノールが含まれており、抗酸化作用も期待できます。

あわは全般的にクセが少なく、口当たりがやさしいため、子どもでも食べやすいのが大きなメリット。特に黒もちあわを白米に1割ほど混ぜて炊くと、ほんのり色づき、食卓がちょっとした華やかさをまといます。

鉄分補給と腸内環境の改善を同時に狙いたい女性にぴったりです。ビタミンCを含む野菜や果物と一緒に食べると、鉄の吸収率がさらに高まります。ちょっとした工夫で、栄養の取り入れ方がぐっと効率的になります。

胚芽押麦:食物繊維とビタミンB群

胚芽押麦は、食物繊維に加えてビタミンB群も豊富に含まれた、栄養価の高い雑穀です。

この押し麦は、大麦の胚芽部分を残して加工されているため、通常の押し麦よりもビタミンB群やビタミンE、不飽和脂肪酸の含有量が多いのが特徴です。これらの栄養素は、エネルギー代謝や肌の健康を支えるうえで欠かせません。

香りは麦特有のクセが少なくまろやかで、白米と混ぜても違和感がないため、麦ごはんに慣れていない家庭でも取り入れやすい品種です。

ただし、胚芽は酸化しやすいデリケートな部分でもあります。開封後はしっかり密閉して冷蔵庫で保存し、できれば1か月以内に使い切るのが理想です。そうすることで、風味や栄養をしっかり保つことができます。

ビタミン・ミネラルが豊富な雑穀

ビタミンやミネラルが豊富な雑穀は、貧血予防や肌荒れ対策に心強いサポートをしてくれます。

特に、鉄・カルシウム・ビタミンB群を一緒に摂れる雑穀は、栄養バランスが整いやすく、体調の維持に役立ちます。さらに、これらの雑穀は色合いにも個性があるため、料理に取り入れると彩りが増し、お弁当にも映えるのがうれしいポイントです。

ビタミン・ミネラルが豊富な雑穀を一覧表にまとめました。

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雑穀名主な栄養素・成分期待される効果特徴・利用法
あわ鉄・パントテン酸・Mg・ビタミンE美肌づくり・鉄欠乏対策クセがなく淡泊。カレーやリゾットにも合う
もちきびビタミンB1・B6・亜鉛・ナイアシン・黄色色素疲労回復・日常的な栄養補給もちもち甘み。白米と好相性、水多めで柔らか仕上げ可能
白ごま鉄・カルシウム・亜鉛・ゴマリグナン栄養バランス補給・抗酸化すりごまで吸収率UP。ティースプーン1杯を目安に
アマランサスカルシウム(白米の32倍)、食物繊維(14倍)骨粗鬆症対策・成長期の栄養補助ぷちぷち食感、小粒で沈みやすく要混ぜ炊き
大正金時豆鉄・カルシウム・ビタミンB1整腸・鉄補給・おかず&おやつに便利煮豆で甘みあり。レジスタントスターチで腸活にも
とうもろこしビタミンB1・カリウム・糖質エネルギー補給・満腹感持続ひき割りで香ばしさUP。血糖管理には雑穀ブレンドがおすすめ

ここからはそれぞれ詳細に解説していきます。

あわ:鉄分やパントテン酸など、女性向け成分

あわは、女性にうれしい栄養素がバランスよく含まれた、やさしい味わいの雑穀です。

白米と比べて鉄分やパントテン酸(ビタミンB5)、マグネシウムなどが多く含まれており、美肌の維持に役立つビタミンEも豊富です。これらの成分は、貧血予防や疲労回復、ストレスケアにも一役買ってくれます。

あわはクセのない淡泊な味わいなので、カレーやリゾットといった濃いめの料理に加えても風味を邪魔しません。そのため自然に取り入れられます。鉄欠乏性貧血が気になる人は、週に数回、あわを使ったごはんに置き換えてみるのもおすすめです。

ただし、水溶性食物繊維はやや少なめです。そのためもち麦などとブレンドすることで、腸内環境にも配慮したバランスのよい一皿になります。毎日の食事に、無理なく取り入れていけるのがあわの魅力です。

もちきび:ビタミンB群を含み、日常的な栄養補給に

もちきびは、日々の栄養補給にぴったりの雑穀です。

ビタミンB1・B6・亜鉛・ナイアシンなど、体のエネルギー代謝を支える成分がバランスよく含まれています。また、もちきびの鮮やかな黄色は天然の色素によるもので、抗酸化作用もあるとされています。

食感はもちもちとしており、ほんのりとした甘みが白米とよくなじむため、子どもでも食べやすく、家庭の食卓にも自然に取り入れやすいのが魅力です。

「なんだか最近疲れが取れない」と感じるときには、主食にもちきびを加えてみましょう。やわらかく炊き上げたい場合は、白米よりも少しだけ水を多めにするのがコツです。日常的な体調管理を、無理なく美味しくサポートしてくれます。

白ごま:鉄・カルシウム・亜鉛などのバランスが良い

白ごまは、まるで食べるサプリのような小さな種子です。

ごまに含まれる抗酸化成分ゴマリグナンをはじめ、鉄・カルシウム・亜鉛といったミネラル類をバランスよく摂ることができます。これらは、貧血予防や骨の健康、免疫力の維持に役立つ栄養素です。

白ごまは香りが控えめでクセが少なく、和洋中どんな料理にもなじみやすいのが特徴です。炒ってすりごまにすると、消化吸収がよくなり、雑穀ごはんのトッピングとしてもぴったりです。

ただし、ごまは脂質を多く含み高カロリーなので、一度にたくさん摂るよりも、ティースプーン1杯を目安に毎食こまめに取り入れるのが理想的。少量でしっかり栄養を補える、手軽で優秀な一品です。

アマランサス:白米の23倍のカルシウム

アマランサスは、驚くほど栄養価の高い「スーパーフード」として知られています。

白米と比べて、カルシウムは約32倍、食物繊維は14倍も含まれており、骨の健康や腸内環境の改善に役立つ成分がぎっしり詰まっています。特に、成長期の子どもや骨密度が気になる更年期世代にとって、心強いサポートになる雑穀です。

見た目はぷちぷちとした小粒で、炊き込みごはんのほか、茹でてサラダやスープに加えるのもおすすめ。クセが少ないため、さまざまな料理に取り入れやすく、飽きずに続けられます。

ただし、小粒で水に沈みやすい性質があるため、炊飯時には軽くかき混ぜてからスイッチを押すと、全体に均等に混ざりやすくなります。ちょっとしたひと手間で、ムラのない仕上がりが楽しめます。

大正金時豆:鉄・カルシウムの補給に優れた豆類

大正金時豆は、鉄分やカルシウムの補給にぴったりな豆類です。

赤いんげん豆の一種で、鉄・カルシウム・ビタミンB1など、日々の健康を支える栄養素がしっかり含まれています。これらは、貧血の予防や骨の維持、疲労回復に役立つ成分です。

煮るとほんのり甘みが出て、主菜の一品としてはもちろん、甘く味付けすればおやつ代わりにもなります。豆類に含まれる「レジスタントスターチ」は腸内細菌のエサとなり、整腸作用を高めてくれるため、雑穀と組み合わせれば相乗効果も期待できます。

乾燥豆は手間がかかりそうに思われがちですが、炊飯器を使えば手軽に戻すことも可能。常備しておけば、忙しい日の副菜作りにも頼れる存在になります。毎日の食卓に、やさしくしっかりと栄養を届けてくれる豆です。

とうもろこし:ビタミンバランスの良さが特長

とうもろこしは、エネルギー源として優れているだけでなく、ビタミンやミネラルもバランスよく含まれた雑穀です。

主に糖質を多く含みますが、それだけではなく、ビタミンB1やカリウムなどの栄養素も豊富です。たとえば100gあたりに約0.15mgのビタミンB1が含まれ、エネルギー代謝や疲労回復をサポートしてくれます。

乾燥させたとうもろこしを砕いた「ひき割りコーン」を白米に混ぜて炊くと、香ばしさが加わって風味が豊かに。さらに、もちっとした食感で満腹感が続きやすく、部活動やスポーツを頑張る家族の栄養補給にも最適です。

ただし糖質が多いため、ダイエット中は摂取量に注意が必要です。食物繊維が豊富なもち麦や胚芽押麦などとブレンドすれば、血糖値の急な上昇を防ぎながらバランスよく栄養を補えます。

タンパク質やアミノ酸を多く含む雑穀

筋肉を保ちたい人や成長期の子どもにとって、必須アミノ酸を含む雑穀は頼もしい植物性たんぱく源になります。

特に動物性食品の摂取が少ない食生活では、栄養の偏りが心配です。しかし雑穀をうまく取り入れることで、たんぱく質の質を補いながらバランスの良い食事を目指せます。

タンパク質やアミノ酸を多く含む雑穀を以下にまとめました。

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雑穀名主な栄養素・成分期待される効果特徴・利用法
キヌア必須アミノ酸9種・高タンパク・低GI筋力維持・代替主食・トレーニング補食ゆでて冷凍保存、朝食やサラダにも便利
ひえ鉄・マグネシウム・ビタミンB群HDL上昇・脂溶性ビタミン吸収補助スープや炒飯で香ばしさ・栄養強化
大豆タンパク質・イソフラボンホルモンバランス調整・腸内環境改善蒸し大豆で噛みごたえUP、煮汁でオリゴ糖活用
小豆サポニン・ポリフェノールむくみ対策・抗酸化塩味おこわやぜんざい風に、煮汁も活用
白いんげん豆鉄・カルシウム・食物繊維腸粘膜の保護・栄養強化ハンバーグのつなぎ、スープのとろみに最適
はと麦グルタミン酸・アミノ酸・ヨクイニン成分美肌ケア・肌荒れ改善・美容サポート漢方でも使われる食材。スープやお粥に加えると摂取しやすい
発芽玄米GABA(γ-アミノ酪酸)・ビタミン・ミネラルストレス緩和・自律神経調整・集中力維持玄米よりもやわらかく食べやすい。白米と同様に炊飯器で調理可能

ここからはそれぞれ詳細に見ていきましょう。

キヌア:必須アミノ酸をバランス良く含む完全栄養食

キヌアは、たんぱく質をしっかり補いたい人にとって理想的な雑穀です。

国連が「未来の作物」として評価したこのスーパーフードは、9種類すべての必須アミノ酸をバランスよく含む完全栄養食とされています。そのため、筋肉量を維持したい人や成長期の子ども、また動物性食品が少ない食事でも安心してたんぱく質を確保できます。

さらに、グルテンを含まないため消化がよく、高タンパクでありながら血糖値への影響が小さいのも特徴です。こうした点から、トレーニング前後の主食代替としても人気を集めています。

一度ゆでて冷凍保存しておけば、忙しい朝でもレンジで温めるだけで手軽に活用可能。サラダやスープに加えても自然になじむので、日常的なたんぱく質補給にぴったりの一品です。

ひえ:善玉コレステロールを高める作用

ひえは、鉄・マグネシウム・ビタミンB群をバランスよく含んだ、栄養強化に役立つ雑穀です。

特に注目されるのは、HDL(善玉)コレステロールを増やす働きが期待されている点と、脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・Kなど)の吸収を助ける性質。体内での栄養の巡りを高めたいときに、心強いサポートになります。

クセが少なく香ばしさがあるため、スープや炒飯に加えると風味が増し、食事全体の満足度もアップします。日々の食事に無理なく取り入れながら、内側から整えていける雑穀です。

大豆:タンパク質やイソフラボンを多く含む女性の味方

大豆は、植物性タンパク質とイソフラボンが豊富に含まれた、特に女性にうれしい栄養源です。

タンパク質は筋肉や肌の材料となり、イソフラボンは女性ホルモンに似た働きを持つため、更年期のホルモンバランスのサポートにも期待されています。加えて、血中コレステロールの改善にも効果があるとされており、生活習慣が気になる方にも適した食材です。

雑穀ごはんに蒸し大豆を混ぜると、噛みごたえが増し、満腹感も得られやすくなります。さらに、煮汁ごと一緒に炊き込めば、大豆に含まれるオリゴ糖の働きで腸内環境も整いやすくなります。

特に更年期が気になる世代の方には、1日おきに大豆入りの雑穀ごはんを取り入れる習慣が、体調維持のひとつの助けになるかもしれません。手軽でおいしく、毎日の食卓に取り入れやすい存在です。

小豆:注目の栄養成分「サポニン」

小豆は、抗酸化作用やむくみ対策に役立つ「サポニン」を含んだ、栄養価の高い豆です。

サポニンはポリフェノールの一種で、細胞の酸化を防いだり、体内の水分バランスを整える働きがあるとされます。日々のコンディションを整えたい人にとって頼もしい成分です。

小豆は甘煮にするだけでなく、塩味のおこわに加えると彩りが増し、料理全体の華やかさがアップします。加えて、食物繊維も豊富なため、腸内環境を整えたいときにもぴったりです。

また、煮汁にはサポニンが溶け出すため、捨てずに使うのがポイント。煮汁ごと楽しめるぜんざい風のレシピにすれば、栄養も風味もまるごと味わえます。和食に取り入れやすく、やさしい甘さでホッとできる食材です。

白いんげん豆:鉄、カルシウム、食物繊維も豊富

白いんげん豆は、鉄やカルシウムといったミネラル類に加え、ごぼうに匹敵するほどの食物繊維を含む栄養豊富な豆です。

特に注目すべきは、その食物繊維が腸内細菌のエサとなり、短鎖脂肪酸という物質に変わること。これが腸粘膜のバリア機能をサポートし、腸内環境を守る働きをしてくれます。

味はクリーミーでクセがなく、ハンバーグのつなぎやスープのとろみ付けに使うと、自然に栄養価がアップします。豆が苦手な家族でも気づかずに食べられるので、家庭の栄養管理に便利です。

また、あらかじめ一晩水に浸してから冷凍しておけば、調理時間をぐっと短縮できます。忙しい平日の食事づくりにもぴったりな、頼れる一品です。

はと麦:美容サポートにうれしい雑穀

はと麦は、美肌ケアに効果が期待される成分を豊富に含んだ、美容サポートにうれしい雑穀です。

グルタミン酸をはじめとするアミノ酸や、漢方でも知られる「ヨクイニン(薏苡仁)」の成分が含まれており、肌の調子を整えたり、荒れを改善したりする働きがあるとされています。古くから体の内側からの美容ケアに使われてきた食材でもあります。

クセが少なく、スープやお粥に加えると自然に取り入れられるため、普段の食事にも無理なく組み込めます。肌のコンディションが気になる時期や、美容を意識した食生活を目指したいときに、ぜひ取り入れたい一品です。

発芽玄米:GABAが豊富

発芽玄米は、心と体のバランスを整えるのに役立つ成分が豊富に含まれた、手軽で続けやすい雑穀です。

注目すべきは「GABA(γ-アミノ酪酸)」という成分。これは自律神経を整え、ストレスの緩和や集中力の維持に働きかけるとされています。さらに、ビタミンやミネラルもバランスよく含まれており、日常的な体調管理にぴったりです。

玄米よりもやわらかく、白米と同様に炊飯器で調理できるため、雑穀初心者にも取り入れやすいのが特長です。忙しい毎日でも、ストレスに負けず、安定した心と集中力を保ちたい人におすすめの一品です。

抗酸化成分やポリフェノールを含む雑穀

酸化ストレスを抑えて若々しさを保ちたい人には、色の濃い雑穀がおすすめです。

これらの雑穀には、外皮にアントシアニンやタンニンといった色素が多く含まれており、体内の活性酸素を除去する抗酸化作用があります。活性酸素は老化や生活習慣病の原因のひとつとされているため、日々の食事で対策できるのは心強いポイントです。

抗酸化成分やポリフェノールを含む雑穀を一覧表にまとめました。

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雑穀名主な栄養素・成分期待される効果特徴・利用法
黒米アントシアニン抗酸化・目の疲れ対策・血流改善白米に数粒混ぜると彩りUP、30分浸水で色素流出抑制
赤米タンニン系ポリフェノール・ビタミンB群・ミネラル抗酸化・疲労回復赤飯風の色合いで行事食にも◎、洗いすぎに注意
たかきびタンニン・カリウム・葉酸・ナイアシン抗酸化・貧血予防・代替肉活用弾力あり、煮込み料理やリゾット向き
黒ごまアントシアニン・ゴマリグナン抗酸化・塩分控えめ料理の風味付け炒って半摺りで吸収率UP、ふりかけ感覚で手軽
えごまα-リノレン酸(オメガ3脂肪酸)抗炎症・血流改善・EPA/DHA供給炒ってごま塩風ふりかけに、油は冷蔵保存で早めに消費

ここからはそれぞれ詳細に解説していきます。

黒米:アントシアニンを含む

黒米は、抗酸化成分であるアントシアニンをたっぷり含んだ雑穀です。

外皮に紫黒色のアントシアニンが含まれており、白米にほんの数粒混ぜるだけでも全体がほんのり紫色に染まります。この美しい色合いが料理の見た目にもアクセントを加えてくれるので、日常の食事が少し楽しくなるでしょう。

アントシアニンには抗酸化作用があり、目の疲れや血流の改善を助けるとされています。長時間のパソコン作業やスマートフォンの使用が多い現代人にとって、うれしい成分です。

炊く前に30分ほど水に浸けておくと、ふっくら柔らかく仕上がり、栄養成分の流出も抑えられます。彩りと栄養を兼ね備えた、取り入れやすい雑穀のひとつです。

赤米:ポリフェノール+ビタミンB群の組み合わせ

赤米は、ポリフェノールとビタミンB群が豊富に含まれた、栄養と彩りの両面で優れた雑穀です。

赤い色はタンニン系ポリフェノールによるもので、抗酸化作用が期待されるほか、ビタミンB群やミネラルもバランスよく含まれています。特にビタミンB1は糖質の代謝を助け、疲れやすい季節にぴったりの栄養素です。

香りは白米になじみやすく、赤飯を思わせる色合いが祝いの席や行事食にもよく合います。見た目の華やかさだけでなく、しっかり体の内側にも働きかけてくれるのがうれしいポイントです。

炊く際は、高温で長時間浸すと色素が抜けやすいため、軽く洗う程度で炊飯するのがコツ。これで、鮮やかな赤色がそのまま食卓に映える一品に仕上がります。

たかきび:抗酸化作用を期待される成分が豊富

たかきびは、抗酸化作用のある成分やビタミン・ミネラルを豊富に含む、栄養価の高い雑穀です。

外皮には赤茶色のタンニンが含まれており、ポリフェノールによる抗酸化効果が期待されます。加えて、カリウム、葉酸、ナイアシンなど、日々の体調管理に役立つ栄養素もバランスよく含まれています。

食感はやや弾力があり、炊くとまるでひき肉のような食感に。ハンバーグのかさ増しやチリコンカンなどの料理にも応用でき、植物性たんぱく質とポリフェノールを一度に摂れるのが魅力です。

また、炊くと自然に粘りが出るため、リゾットやスープに加えると、とろみ付けの工程が不要になり、時短調理にもつながります。栄養も調理のしやすさも兼ね備えた、日常に取り入れやすい一品です。

黒ごま:香ばしさと一緒に、抗酸化性のある成分も摂れる

黒ごまは、香ばしい風味とともに強力な抗酸化成分を一度に摂れる優れた食材です。

白ごまよりも多くのアントシアニンを含み、ゴマリグナンとの相乗効果で、体内の活性酸素に対抗する強い抗酸化力を発揮します。これにより、老化や生活習慣病の予防にも一役買ってくれます。

香りが濃厚で、少量でも満足感があるため、塩分控えめの料理の風味づけにも最適です。ふりかけのように雑穀ごはんの上にパラリとかけるだけで、手軽に抗酸化ケアができるのも大きな魅力です。

さらに、炒りたての黒ごまをすり鉢で半摺りにすると、細胞壁が壊れ、栄養素の吸収率がぐっと高まります。手軽な一工夫で、体にうれしい効果をしっかり引き出せる食材です。

えごま:オメガ3脂肪酸「α-リノレン酸」が豊富

えごまは、体にやさしい脂質「オメガ3脂肪酸」を手軽に摂れるシソ科の種子です。

特に豊富に含まれているのが「α-リノレン酸」で、これは体内でEPAやDHAといった成分に変換され、炎症を抑える働きがあるとされています。血管や脳の健康に関わるこの脂肪酸は、現代の食生活で不足しがちな栄養素のひとつです。

えごまの種子は、軽く炒ってふりかけのように使うことで、毎日の食事に手軽に取り入れられます。ごま塩風の味わいでごはんによく合い、魚が苦手な子どもや、外食が多いビジネスパーソンにもぴったりです。

雑穀の栄養は目的から逆算して選ぶのがポイント

雑穀米は、「なんとなく体に良さそう」という感覚だけで選ぶよりも、自分が必要とする栄養素に合わせて選ぶと、その効果をより実感しやすくなります。

たとえば、便秘や肌荒れが気になるなら、食物繊維が豊富な押し麦と、鉄分とポリフェノールを含む黒もちあわの組み合わせが効果的です。骨粗しょう症を予防したいなら、カルシウムが豊富なアマランサスと白ごまを一緒に使うのがおすすめ。筋トレ中で筋肉を維持したいなら、高たんぱくなキヌアと大豆の組み合わせがぴったりです。

すべてを完璧に揃える必要はありません。まずは今日の白米に大さじ1の雑穀を加えるところからスタートしてみましょう。小さな変化を日々楽しみながら続けていくことが、健康への一番の近道になります。

雑穀米の栄養に関するQ&A

雑穀米の種類が多すぎて迷うとき、どう選べばいいですか?

体調や目的に合わせて、必要な栄養素を含む雑穀を選ぶのがコツです。たとえば腸内環境を整えたいなら食物繊維が豊富なもち麦、美肌を目指すなら鉄やビタミンEが多いあわがおすすめです。

雑穀米の中でも食物繊維が多いのはどれですか?

押し麦やもち麦は特に食物繊維が豊富で、白米の10倍以上含まれているものもあります。便秘が気になる方にはぴったりです。

雑穀米でたんぱく質もしっかり摂れますか?

キヌアや大豆には必須アミノ酸や植物性たんぱく質が多く含まれており、筋力維持や成長期の栄養補給にも向いています。

鉄分が不足しがちな人に向いている雑穀米の種類は?

黒もちあわや大正金時豆は鉄分が多く、さらにビタミンCと一緒にとると吸収が高まります。貧血予防を意識する方におすすめです。

 雑穀米で美容にいいものはありますか?

はと麦やアマランサスは美肌ケアに役立つ成分を含んでいます。食事で内側からケアしたい方にはうれしい選択肢です。

雑穀米は毎日食べても大丈夫ですか?

大さじ1~2程度を白米に混ぜるなら毎日食べても問題ありません。飽きないように何種類かをローテーションすると続けやすいです。雑穀米の危険性に関してはこちらの記事を参考にしてください。

子どもでも食べやすい雑穀米はどれですか?

もちきびやあわはクセが少なく甘みがあるので、白米になじみやすく、子どもでも違和感なく食べられます。子供に雑穀米を食べさせるときの注意点はこちらの記事を参考にしてください。

雑穀米はダイエット中に向いていますか?

白米よりもGI値が高いためダイエットに向いています。白米の一部を置き換えるのがおすすめです。雑穀米ダイエットに関してはこちらの記事を参考にしてください。

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この記事を書いた人

パン作りと温泉をこよなく愛する2児の母。老後は伊豆で大きな犬と暮らすのが夢です。豆乳が好き、猫は苦手。