ヤーコンの食べ方と簡単レシピ。栄養や効能、保存法もご紹介!
記事の監修
管理栄養士
影山敦久
管理栄養士、栄養教諭。子どもからお年寄りまで幅広い年代の方に栄養指導や料理教室を行うかたわら、特定保健指導にも携わる。得意分野はダイエットとスポーツ栄養。
シャキシャキとした食感と爽やかな甘味で独特の存在感をもつ野菜、ヤーコン。
その味や風味のもつ大きな可能性とともに、高い機能性も注目されています。
この記事では、ヤーコンの美味しい食べ方や調理法、そして栄養や効果・効能についてご紹介していきます。
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ヤーコンとは
ヤーコン(英名:Yacon)は、南米アンデス原産のキク科の多年生植物です。
主に食されるのは塊根(いも)で、一見サツマイモのような外見をしていますが、その味や食感は独特。生のまま食べるとナシのようなシャキシャキとした歯ざわりとほのかな甘味があります。
また、加熱してもホクホクとした食感にはならず、果物に近いみずみずしい食感です。
香りは栽培方法にもよりますが、微かに土の香りが感じられるという方もいます。
高い機能性と栽培のしやすさによって近年人気がでてきた野菜のひとつで、塊根だけでなく葉にも抗酸化作用や血糖値の上昇抑制などの機能性があるとされています。
ヤーコンの注目の栄養素
ヤーコンに含まれる栄養素として最も注目されているのが「フラクトオリゴ糖」です。
フラクトオリゴ糖は腸内のビフィズス菌を増やして便秘や高脂血症の改善、血糖値の抑制などの効能があるといわれるプレバイオティクス成分。ゴボウや玉ねぎにも含まれますが、ヤーコンに含まれる量は群を抜いて多いとされています。
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ヤーコンは食物繊維も豊富で低カロリー
ヤーコンには「イヌリン」と呼ばれる水溶性食物繊維も含んでおり、こちらもプレバイオティクスとして腸内細菌のエサとなり、腸内の善玉菌を増やしたり、血糖値の上昇を抑制するなどの効果をもつ成分です。
デンプンがほとんど含まれないのがポイントで、気になるカロリーは100gで40kcal前後。同じ根菜であるじゃがいも(76kcal)やさつまいも(140kcal)などと比較してカロリーが低いため、体重増加が気になる方にもおすすめの野菜です。
日頃から食物繊維の不足を補いたいたい方に
ヤーコンの食べ方・保存法
ヤーコンの食べ方(調理法)にはいくつかのポイントがあります。
ポイント① 水にさらす時はさっと!
採れたてのヤーコンはアクが強く感じられることが多いため、ゴボウなどと同じように切ってすぐに水にさらすと変色を防げ、味もすっきりとして食べやすくなります。
一方でヤーコンに含まれる水溶性食物繊維のイヌリンは、長時間水に漬けておくと水の中に溶け出してしまい、せっかくの栄養が失われてしまうことに。
アク抜きのために水にさらす際は短時間で済ませるようにしましょう。
ポイント② 生で美味しく&火はさっと通す
ヤーコンは生で美味しく食べることができます。生のヤーコンはみずみずしく、ナシに似た食感。
サラダに入れたり和え物に使ったり、ヨーグルトに入れて果物のように使うのもおすすめです。
ヤーコンに含まれるイヌリンは、高温で長時間加熱したり酸性で加熱したりすることで失われやすいと言われていますので、加熱する場合は揚げ物などよりは火をさっと通して作る料理の方がいいでしょう。
ポイント③ 皮も美味しく食べられる!
ヤーコンはじゃがいもなどと違い、皮ごと調理してもさほど違和感なく食べることができる食材です。生で食べる場合など、皮が気になる場合は剥いてから調理しますが、剥いた皮もきんぴらなどにして食べることができます。
- ヤーコンの保存方法は?
- ヤーコンの保存方法は、味の好みや機能性を求めるかどうかによって異なります。
- ヤーコンに含まれるフラクトオリゴ糖は、保存中に徐々にショ糖や果糖などに分解されてしまうそうです。
フラクトオリゴ糖を摂りたい場合は、①なるべく早く食べること、②低温で保存することをおすすめします。 - 一方、甘味が増した状態で食べたいという場合は少し寝かせてから食べても。オリゴ糖は高温で保存すると早く分解されるといわれているため、早く甘くしたい場合はあたたかい場所で保存するとよいようです。
- どちらも保存中は乾かないよう、湿った新聞で包んでポリ袋に入れ、発泡スチロールの箱などに入れておくとよい状態を保てます。
ヤーコンを使った簡単おすすめレシピ
ヤーコンを使用して簡単に作れるオススメのレシピを紹介していきます。
きんぴらヤーコン
材料
- ヤーコン
- 1本
- にんじん
- 1本
- みりん
- 大さじ3
- しょうゆ
- 大さじ3
- 白ゴマ
- 適量
- ごま油
- 適量
つくり方
- 1
- ヤーコンの皮を剥いて細切りにしてから水にさらします。
- 2
- にんじんも細切りにして鍋にごま油をしきます。
- 3
- にんじんとヤーコンを炒めて白ゴマを加えて、火を通します。
- 4
- みりん、しょうゆを入れて煮詰めれば完成です。
解説
簡単で短時間で作れますし、加熱時間を短くすればヤーコン独特のシャキシャキ感も味わえて美味しく頂けます。
白ゴマも加えることで、ヤーコンの抗酸化作用と合わさるので、アンチエイジングにも期待できるオススメの1品です。
ヤーコンのウマ味噌サラダ
材料
- ヤーコン
- 1本
- にんじん
- 1本
- 味噌
- 大さじ1
- マヨネーズ
- 大さじ1
- 白ゴマ
- 適量
つくり方
- 1
- ヤーコンの皮を剥いて千切りにしてから水にさらしておきます。
- 2
- にんじんを千切りにしてサッと茹でます。
- 3
- 水から引き上げたヤーコンと茹でたにんじんに調味料を合わせます。
- 4
- 最後に白ゴマをふりかけて完成です。
解説
ヤーコンに含まれるフラクトオリゴ糖は腸内環境を整える働きがあります。
味噌にも整腸作用がありますので、加熱をしないサラダとして食べることで、効率よく善玉菌を摂取しつつ、腸内環境を改善することができます。
簡単なので、「あともう1品」という時に作ると良いですね。
ヤーコンの効果・効能
「健康によい!」というふれこみで販売されることも多いヤーコン。その含有成分であるフラクトオリゴ糖の効果と効能をご紹介します。
効果・効能1 整腸作用・便秘の改善
ヤーコンに含まれるフラクトオリゴ糖は、腸内に棲んでいる善玉菌と呼ばれる有益な腸内細菌のエサとなり、その増殖を促進します。
結果として悪玉菌の増殖を抑えて腸内環境を整え、便秘や肌荒れの改善、免疫力の増強などといった効果につながることが期待されます。
効果・効能2 血中コレステロール値の改善
ヤーコンに含まれるフラクトオリゴ糖は、脂質代謝改善マーカー遺伝子の発現を亢進することによって血中のコレステロールを改善することが分かっています。
効果・効能3 血糖値を上昇させない
ヤーコンに含まれるフラクトオリゴ糖は、分解されずに大腸まで届くため、糖として吸収されることがなく、食後の血糖値を上昇させないのが特徴です。
血中のインスリン濃度も大きく変化させないため、ダイエットしている方にもおすすめできる太りにくい食材といえそうです。
ヤーコンについてのQ&A
- ヤーコンの根っこと葉っぱは効果が違うのでしょうか?
- ヤーコンの根には、フラクトオリゴ糖による整腸作用などがあるといわれています。
一方の葉にはポリフェノールが多く含まれ、抗酸化効果などが期待されています。
- ヤーコンは調理前にアク抜きした方がいいですか?
- ヤーコンのアクの具合は栽培法や収穫してからの日数などによって異なります。
アクが強いヤーコンは、調理前にさっと水にさらすことでアク抜きをすることができます。
長時間漬けていると栄養も流れ出てしまうので注意しましょう。
- ヤーコンは生で食べられますか?
- ヤーコンは生でも美味しく食べられます。食感が気になる場合は皮を剥き、アクが強い場合は水にさらして使いましょう。
- ヤーコンの効果は加熱しても変わらない?
- ヤーコンの成分のうち、フラクトオリゴ糖は加熱によって成分が変わりにくいと言われていますが、イヌリンは長時間高温にさらすことで減少すると言われています。
- ヤーコンと一緒に食べるのにおすすめな食材は?
- フラクトオリゴ糖をたっぷり含むヤーコンは、乳酸菌を多く含む食材と同時に摂ることでさらに腸内環境を整える効果がアップ。果
物感覚でヨーグルトに入れて食べたり、豚肉やキムチと一緒に炒めて食べたりするのがおすすめです。
- 鮮度の良いヤーコンの選び方は何ですか?
- しぼんだような見た目だと、含まれている水分が少なくなっているので、鮮度が良いとは言えません。
見た目に傷が無いもので、重くて硬さのあるヤーコンを選ぶと良いでしょう。
- 糖尿病に効きますか?
- ヤーコンを食べると糖尿病が治るわけではありません。
薬と勘違いされる方がいますが、あくまで食品ですので、糖尿病に重要な血糖コントロールのための、数ある方法の1つとして考えると良いでしょう。
- どう保存したらいいですか?
- 基本的にはサツマイモと同じような保存方法にします。
水分が抜け出すのを防ぐために、1本ずつ新聞紙に包んで冷暗所で保存します。
発泡スチロールやダンボールに入れても良いでしょう。
使いかけの場合は、切り口をラップで覆い、新聞紙に包みポリ袋に入れて口を閉じた後に野菜室に入れておくと、冷気から守られて長持ちします。
- 葉と芋どっちが栄養が高いですか?
- ヤーコンは芋だけではなく、葉も栄養豊富な食品です。
カリウムやカルシウム、鉄やたんぱく質、食物繊維は葉の方が多いですので、芋だけではなく、葉も料理に取り入れたり、葉を使用したお茶も販売されていますので、利用してみると良いでしょう。
- ヤーコンの旬っていつ頃ですか?
- 冬場が旬です。
早ければ晩秋にも出回っています。
ふるさと納税でも手に入れることができますので、気になる方は利用してみると良いでしょう。
- ヤーコンとさつまいもの違いって何ですか?
- ヤーコンは、さつまいもと同様に各種のミネラル分が豊富に含まれています。
最大の違いは、ヤーコンの糖質はフラクトオリゴ糖で、さつまいもの糖質はデンプンが主です。
フラクトオリゴ糖はエネルギーが低いという特徴があり、さつまいものデンプンは体の中でエネルギーとして使われやすいのが特徴です。
さつまいもはグルコースの原料として用いられ、甘みが強いため酒造りにも使用されます。
●管理栄養士からのコメント
アンデス地方が原産のヤーコンには下記のような様々な健康効果があります。
- ・便通を改善する
- ・血糖値が上がりにくい
- ・虫歯になりにくい
- ・免疫力が上がる
- ・アレルギーを緩和する
- ・ダイエットに効果的
- ・アンチエイジング
- ・コレステロールに働きかける
ヤーコンをご存知でなかったり、知っていても料理に使ったことがなかったり、あまり使わないという方も多いと思いますが、ヤーコンは健康効果がたくさんある素晴らしい食材の1つです。
調理も簡単ですし、普段の食生活に気軽に取りいれてみると良いでしょう。
管理栄養士プロフィール
◎影山敦久
管理栄養士、栄養教諭。子どもからお年寄りまで幅広い年代の方に栄養指導や料理教室を行うかたわら、特定保健指導にも携わる。得意分野はダイエットとスポーツ栄養。
参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jisdh1994/10/3/10_3_7/_article/-char/ja/
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