酵素玄米の栄養・効果とは?肌やダイエットに良いって本当?

酵素玄米は玄米・小豆・塩を一緒に炊き、寝かせてから食べるものです。寝かせることで酵素がはたらき、栄養価がアップ、肌やダイエットに良いといわれています。

しかし、あえて酵素玄米を選ぶほどのメリットがあるのか、気になっている人もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、酵素玄米の栄養・効果を詳しく解説します。カロリーやGI値、おすすめの献立も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

記事の監修
管理栄養士
安藤
老人保健施設の管理栄養士を経て、健康を維持するためには若いうちからの食生活の大切さを実感。2016年フリーランスとして活動を開始。レシピ開発や栄養指導、料理教室、食に関するコラムの執筆などを行っている。

管理栄養士:安藤
もくじ

酵素玄米の玄米・小豆の栄養成分と効果

酵素玄米

まずは、酵素玄米を構成する玄米と小豆の栄養と成分ごとの効果を解説します。

玄米の栄養成分・効果

玄米と白米の栄養素の比較

※ご飯茶碗1杯150gあたり。パーセンテージは、玄米を100としたときの白米の栄養量
※「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」より
※参考書籍:『毒出し酵素玄米ダイエット』岡本羽加(主婦の友社)

白米と比べて、玄米はビタミンや鉄分・マグネシウムなどのミネラルを豊富に含んでいます。成分ごとの効果は次のとおりです。

成分名効果・はたらき
食物繊維消化されずに腸まで届き、善玉菌のエサになる。血糖値の上昇抑制、有害物質やコレステロールの吸着と排出などのはたらき。排便も促す。
ビタミンB1糖質・アミノ酸の代謝に必要。不足すると倦怠感や食欲不振の要因になる。
ビタミンB2ほとんどの栄養素の代謝に関わる。皮膚・髪・爪の再生や脂肪肝予防にも有用。
ビタミンE脂質の過酸化を防止、細胞の機能維持にかかわる。
カリウム細胞の維持に必要。不要なナトリウムを排出させる。高血圧予防に。
カルシウム骨をつくるために必要。細胞のはたらきにも重要。
マグネシウム骨や細胞に必要。エネルギー効率にかかわるほか、排便を促す効果も。
亜鉛タンパク質の合成に必要で、皮膚・粘膜・肝臓の再生、味覚と嗅覚の維持にかかわる。血糖調整にも役立つ。
酸素の運搬、筋肉細胞に重要。不足すると貧血に。

むくみ対策に有用なカリウムや便通改善に役立つ食物繊維、マグネシウムが含まれているため、見た目をすっきりさせたい人におすすめです。腸の不調からくる肌トラブルにも有用といえるでしょう。

また、皮膚の再生にかかわる成分も含まれているため、しっかり栄養補給して肌のターンオーバーを正常に戻したい人にも適しています。

さらに玄米の栄養を知りたい人は、次の記事もご覧ください。

小豆の栄養成分・効果

ざるに入ったあずき

小豆には次のような栄養成分があります。

成分名効果・はたらき
食物繊維消化されずに腸まで届き、善玉菌のエサになる。血糖値の上昇抑制、有害物質やコレステロールの吸着と排出などのはたらき。排便も促す。
サポニンLDLコレステロールの蓄積抑制、免疫力アップ、血流や肝機能の改善。咳・痰をおさえる効果も。
ビタミンB1糖質・アミノ酸の代謝に必要。不足すると倦怠感や食欲不振の要因になる。
ビタミンB2ほとんどの栄養素の代謝に関わる。皮膚・髪・爪の再生や脂肪肝予防にも有用。
ポリフェノール詳細な成分によるが、抗酸化作用をもつものが多い。小豆に含まれるポリフェノールには血糖値上昇抑制の効果がある。
カリウム細胞の維持に必要。不要なナトリウムを排出させる。高血圧予防に。
カルシウム骨をつくるために必要。細胞のはたらきにも重要。
亜鉛タンパク質の合成に必要で、皮膚・粘膜・肝臓の再生、味覚と嗅覚の維持にかかわる。血糖調整にも役立つ。
酸素の運搬、筋肉細胞に重要。不足すると貧血に。

小豆の食物繊維はごぼうの3倍カリウムがアボカドの2倍とされており、便通改善やむくみ対策がしたい人におすすめです。肌に良い亜鉛やビタミン2も摂取できます。

また、ポリフェノールは赤ワインの1.5倍です。抗酸化作用だけでなく、小豆に含まれるポリフェノールには血糖値の上昇を抑制する効果もあります食後の血糖値が気になる人は酵素玄米を試してみましょう。

酵素玄米ならではの成分と効果

茶碗に盛られた酵素玄米

ここまででは、玄米と小豆を別々に食べれば良いと思う人もいるでしょう。そこで、酵素玄米ならではの成分や効果を解説します。

保温熟成で生まれるメラノイジン

保温熟成される過程で、アミノ酸と糖質が結合し「メラノイジン」という成分が生まれます。タマネギを炒めたときにも生じる、茶褐色の成分です。メラノイジンには次のような効果を期待できます。

  • 抗酸化作用
  • 血流改善
  • 動脈硬化予防
  • コレステロール値を下げる
  • 血糖値を正常に保つ
  • 便秘予防に

玄米や小豆がもつ成分の効果と合わせて、血液や腸内環境の改善を目指す人におすすめです。

酵素のはたらきで消化しやすくなる

玄米は白米と違い、精米していないため比較的消化しにくい食品です。しっかり咀嚼しないと、消化不良になることがあります。

その点、酵素玄米は酵素の力でやわらかくなるため、咀嚼しやすく消化不良を起こしにくいといえます。保温熟成3日目からもちもち食感になるので、おいしく食べ進められるでしょう。

酵素の詳細なはたらきは研究段階

薬学博士久郷晴彦氏は、次のような見解を示しています。

「炊飯時の熱から守られて、酵素は、炊飯後の保温状態のなかで少しずつ活性化されていきます。酵素が増えたり、発酵するかどうかは解明されていません。日がたつにつれて消化のいい、もちもちとした食感へと変化していくのは、何らかの反応が起こっているためと考えられます」

(岡本羽加『毒出し酵素玄米ダイエット』主婦の友社より、薬学博士久郷晴彦氏のコメント)

保温熟成によって風味や食感が変化することは事実ですが、熟成の過程で何が起きているのかについては、さらなる研究と全容の解明を待ちましょう。

参考文献医師たちが認めた「玄米のエビデンス」 監修:渡邊 昌

酵素玄米がダイエットに良いといわれる理由

ダイエットに成功した女性

ここでは、酵素玄米がダイエットに良いとされる理由を解説します。ダイエットのために酵素玄米を取り入れるかどうか検討中の人は、ぜひ参考にしてください。

白米と比べてカロリーは僅差だが低GI

白米と玄米のカロリーとGI値の比較は次のとおりです。

比較項目白米玄米酵素玄米
カロリー
(炊いた状態で100gあたり)
156kcal152kcal149kcal
(かわしま屋商品の場合)
GI値7755玄米:55
小豆:45

カロリーは白米・玄米・酵素玄米ともに僅差であるため、食べ過ぎはよくありません。しかし、酵素玄米にはGI値が低い小豆が入っているため白米や玄米よりも太りにくいといえます。

GI値は血糖値の上がりやすさを数字で示したものです。血糖値が急激に上がると、血糖を脂肪に変えて溜め込もうとするホルモン・インスリンが出やすくなります。GI値が低い食品であれば、インスリンの分泌を軽減できるためダイエットにおすすめです。

なお、一般的に「低GI食品」と呼ぶときにはGI値が55以下のものを指します。玄米、小豆ともに55以下なので、酵素玄米は低GI食品といえます。

腸内環境の改善と代謝効率アップでダイエットサポートに

食物繊維によって腸内環境が改善すると、栄養・エネルギーの消化吸収がスムーズになります。また、代謝に必要なビタミンも含まれているため、摂取したエネルギーを消費しやすくなることが期待できます。

効率的に消費できれば不要な分を溜め込まなくなるため、普段の白米を酵素玄米に変えるだけでもダイエットサポートになるでしょう。また、運動でダイエットを目指す人も、さらなる効率アップを目指せます。

便秘・むくみの改善で見た目すっきり

太ってきたと悩んでいる人の中には、実際は肥満が原因ではなく便秘やむくみが原因で太って見えるだけというケースがあります。見た目だけの問題の場合、食事制限やハードな運動によるダイエットは不向きです。十分に栄養を摂取して対策する必要があります。

酵素玄米なら便秘の改善に役立つ食物繊維、むくみの改善に役立つカリウムを摂取できるため、おすすめです。よりすっきりしたい場合は、腸の活動や血流をアップさせるために、ウォーキングなどの軽い運動を取り入れましょう。

噛み応えがあり満腹感を得やすい

玄米と比べるとやわらかく消化しやすい酵素玄米ですが、白米と比べるとモチモチしていて噛み応えがあります。しっかり咀嚼して食べる必要があるため、満腹中枢が刺激されて食べ過ぎ防止につながることもメリットです。

なお、健康的な咀嚼回数は1口あたり30回が目安とされていますが、数えながら食べるよりもおいしく食べることを優先しましょう。酵素玄米であれば無意識にでも白米より咀嚼回数はアップするはずです。しっかり噛むことは、きれいな歯並びの維持にもつながります。

こちらの記事もおすすめ

酵素玄米を使ったおすすめ献立

酵素玄米の献立

酵素玄米は栄養豊富ですが、これだけでは十分とはいえません。ここでは、不足している栄養や相乗効果のある栄養を取り入れた献立を紹介します。

腸内環境の改善におすすめの献立

腸内環境の改善には、食物繊維・乳酸菌・オリゴ糖がおすすめです。乳酸菌は腸内の乳酸菌とともにはたらき、食物繊維とオリゴ糖は善玉菌のエサになります。おすすめの献立は次のとおりです。

  • 酵素玄米
  • 野菜の味噌汁
  • きのこ炒め
  • 納豆
  • 漬物

味噌汁・納豆・漬物には乳酸菌が含まれています。納豆は酵素玄米だけでは十分とはいえないタンパク質も摂取できるためおすすめです。きのこは食物繊維が豊富なので、便秘にお悩みの人に向いています。

代謝アップ・ダイエットサポートにおすすめの献立

代謝アップ・ダイエットサポートには酢酸(お酢)がおすすめです。

  • 酵素玄米
  • 豚の生姜焼き
  • トマトの味噌汁

糖質の代謝に関わるビタミンB1を摂取できる、豚肉をメイン料理にしましょう。とくにおすすめなのは生姜焼きです。生姜に含まれるジンゲロールという成分は加熱することでショウガオールに変化し、体を温めて基礎代謝をアップさせる効果があります。

トマトもおすすめで、血流改善と血糖値の急上昇を効果があるためスープや味噌汁で取り入れましょう。

運動によるダイエットにおすすめの献立

  • 酵素玄米
  • 黒酢の酢豚
  • 貝の味噌汁

運動によるダイエットでも酢酸(お酢)を使った献立が向いていますが、とくに筋肉増強に有用なアミノ酸を摂取できる、黒酢を使ったレシピがおすすめです。

また、貝類も低カロリーで高タンパク質なので、筋肉量を増やしたいときに適しています。運動で消費したミネラルの補給にも有用です。

なお、運動後の疲労回復にはクエン酸が役立つので、梅干しなどを取り入れるのもおすすめです。ただし、梅干しは塩分も含んでいるため、食事全体の塩分量が過多にならないよう注意しましょう。

上記の献立に登場した料理以外にも、酵素玄米におすすめのレシピはあります。次の記事もぜひご覧ください。

酵素玄米生活を続けてみよう

酵素玄米には豊富な栄養とさまざまな効果があることがわかりました。白米とは味も食感も異なるため慣れるまでは時間がかかることもありますが、続けることで体の変化を感じやすくなるでしょう。

とくに、ダイエット・便秘・むくみにお悩みの人に酵素玄米はおすすめです。おすすめの献立も参考にしながら、ぜひ取り入れてみてください。

ただし、酵素玄米は自分で作るとなると手間と時間がかかるため、続けるのが難しいと感じることもあります。そんなときは、手軽に食べられるレトルトも検討してみてください。

●管理栄養士からのコメント
「白い食べ物より黒い食べ物を」健康のためには白米よりも玄米の方が栄養豊富で良いとはよく知られています。 しかし、玄米は独特の固い食感で食べづらくなかなか取り入れられないという方も多いですよね。 寝かせ玄米であれば、もちもちした食感で食べやすくおいしいので続けやすいです。自分で作るのは大変という方には、便利なパックに入ったものも販売されています。 毎日食べる主食だからこそ、栄養価の高いものに見直すことで健康維持に役立てていきたいですね。

管理栄養士:安藤

管理栄養士プロフィール

安藤

老人保健施設の管理栄養士を経て、健康を維持するためには若いうちからの食生活の大切さを実感。
2016年フリーランスとして活動を開始。レシピ開発や栄養指導、料理教室、食に関するコラムの執筆などを行っている。
また「食を見直すならまずは毎日使う調味料から」をコンセプトに地元愛知県三河のみりんや味噌などの伝統的な調味料の素晴らしさを伝えるセミナーなども開催。

食や栄養に関すること全般ですが特に
・調味料について(みりん、味噌や醤油などの製法やどんなものを選ぶと良いかなど)
・体に優しいスイーツの選び方、作り方
・ダイエットレシピの考案
・時短レシピの考案を得意としています。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

この記事をシェアする

この記事を書いた人

読み物コンテンツ担当。ダイエットのため筋トレを始めるも、食事にも気をつけないと痩せないことに気づく。1日1杯のはちみつレモンが至福の時間です。料理が趣味。ついつい味見の量が多くなってしまうのが悩みの種です。

もくじ
閉じる