植物性乳酸菌の驚きの効果|多く含む食品や動物性との違いも解説

記事の監修
管理栄養士
亀崎 智子
管理栄養士・マスターファスティングコンシェルジュ「食べ方」と「出し方」をお伝えするかめごはんの料理教室を主宰。

管理栄養士:亀崎智子

私たちの健康維持に必要不可欠な小腸の環境改善を行い、守ってくれる乳酸菌

乳酸菌と言えばやはり整腸作用が有名ですが、実は乳酸菌にはさまざまな種類があり、その種類ごとに持つ働きは異なります。 中には免疫活性化や内臓脂肪の低減に効くと言われている乳酸菌もあり、現在もその効果・機能については全てが解明されている訳ではありません。

今回はそんな乳酸菌の中でも、特に最近よく耳にするようになった「植物性乳酸菌」の持つ驚きの効果と機能について、詳しく紹介していきます。

もくじ

植物性乳酸菌の7つ効果と機能

1・整腸作用

乳酸菌の効果として最もよく知られているのがこの整腸作用でしょう。

食生活の乱れなどによって腸内環境が悪化すると、腸内では悪玉菌が増えアルカリ性に傾きます。 悪玉菌は有害物質や発ガン物質を産生するほか、善玉菌よりも優位になると、排便時のにおいも強くなりやすいそう。

乳酸菌を摂取することで、腸内フローラをバランスよく保つための善玉菌が整い、軟便や便秘の解消に役立つほか、腸内フローラを正常化し腸の動きが活発化することで、ビタミン合成が促進され、乳糖やカルシウムといった栄養素も吸収されやすくなると言われています。

参考 – 乳酸菌の生理機能とその要因 https://www.jstage.jst.go.jp/article/cookeryscience/46/2/46_129/_pdf
– 植物性乳酸菌による生理活性作用 https://www.suzuka-u.ac.jp/wp-content/uploads/2018/01/07-hasega2.pdf

2・ダイエット効果

最近の研究で、肥満の方や糖尿病を患っている方は、腸内フローラのバランスが崩れている傾向にあるということがわかってきました。 植物性乳酸菌などの摂取により腸内環境を改善されると、腸内フローラのバランスが良くなり、肥満や糖尿病の予防に役立つとされています。

乳酸菌を漬物などの食品から摂取すれば、乳酸菌をはじめとする善玉菌のエサとなり、便秘の改善にも効果的と言われる食物繊維も一緒に取れるため、一食で二度お得というわけですね。

また乳酸菌とは異なりますが、味噌や醤油に含まれる「うま味」成分「グルタミン酸」も、肥満や体脂肪蓄積を抑制しているという報告がされているようです。

同じ 8週齢のラットに高脂肪飼料,普通の飲料水または 1% MSG を添加した飲料水を自由摂取させ 23 週齢まで飼育した結果,対照と比べて皮下脂肪量,内臓脂肪量および血中レプチン量がそれぞれ有意に低下した10)。これらの結果は,MSG の摂取が高脂肪食摂取で引き起こされる肥満の形成および体脂肪蓄積を抑制していることを意味している。

(引用元:日本調理科学会誌 日本食からみる発酵食品の多様性と日本人の健康―肥満を中心に)

参考 – 乳酸菌の生理機能とその要因 https://www.jstage.jst.go.jp/article/cookeryscience/46/2/46_129/_pdf
– 健康長寿社会の実現に向けた先進乳酸菌科学の普及啓発 https://www.hiroshima-u.ac.jp/system/files/27686/1.pdf
– 平成29年度 新産業創出研究会「研究成果報告書」https://crirc.jp/jigyonaiyou/rd/shinsan/pdf/ke/h29/08.pdf
「「脂肪肝の改善および内臓脂肪の蓄積抑制に有効な植物乳酸菌 LP28 株」や「γ-GTP を 有意に低下させるのに有効な SN13T 株」」 – 一般社団法人全国発酵乳乳酸菌飲料協会|リバウンドを防ぐ運動 https://www.nyusankin.or.jp/wp/wp-content/uploads/2019/12/hatsuratsu43.pdf
– 日本調理科学学会誌|日本食からみる発酵食品の多様性と日本人の健康―肥満を中心に https://www.jstage.jst.go.jp/article/cookeryscience/43/2/43_131/_pdf

3・免疫力のアップ

乳酸菌を摂取することで免疫の7割を決めると言われている腸内環境が整い、免疫力がアップすることは先に述べた通りですが、植物性乳酸菌の持つ免疫アップ効果はそれだけではありません。

ウイルスに感染した際、その増殖を抑えるために私たちが体内で自己生成する物質「インターフェロン」。 実は、京都の冬を代表する漬物「すぐき」に、このインターフェロンの一種である「インターフェロンα」を生み出す力を強める植物性乳酸菌「ラブレ菌」が含まれていることがわかっています。 そして、ラブレ菌は酸性にも強いことから、生きて腸まで届きやすいとも言われています。

これにより、腸内環境の改善という観点以外からも、免疫力のアップが見込めます。

参考 – 乳酸菌の生理機能とその要因 https://www.jstage.jst.go.jp/article/cookeryscience/46/2/46_129/_pdf
– 植物性乳酸菌による生理活性作用 https://www.suzuka-u.ac.jp/wp-content/uploads/2018/01/07-hasega2.pdf
– 健康長寿社会の実現に向けた先進乳酸菌科学の普及啓発 https://www.hiroshima-u.ac.jp/system/files/27686/1.pdf

4・感染症の予防効果

乳酸菌の摂取により免疫細胞(NK細胞)が活性化されると、インフルエンザなどの感染症を予防する効果があるとされています。植物性乳酸菌としては、ラブレ菌や乳酸菌シロタ株が有名でしょうか。

また、果物、野菜、花といった植物性乳酸菌から、病原性細菌の毒素産生能力を消す物質を産生する乳酸菌も発見されており、次世代の感染症治療薬として期待され、現在も研究が進められています。

参考 – 植物性乳酸菌による生理活性作用 https://www.suzuka-u.ac.jp/wp-content/uploads/2018/01/07-hasega2.pdf
– 抗アレルギー作用と感染防御作用を併せ持つ酒粕由来乳酸菌 https://shingi.jst.go.jp/past_abst/abst/p/13/1305/niigata03.pdf
乳酸菌のあれこれ http://www.nishikawa-kaikei.co.jp/publish/20180904.html
– 広島大学|健康長寿社会の実現に向けた先進乳酸菌科学の普及啓発 https://www.hiroshima-u.ac.jp/system/files/27686/1.pdf

5・血中コレステロールの低下

植物性乳酸菌の代表格でもある「ラクトバチルス・プランタラム」には、血中コレステロールの低減効果も期待されています。

特にキムチ由来の植物性乳酸菌である「ラクトバチルス・プランタラム・CIB001株」は、刺激の強いキムチの中でも育つ強者。 酸性への耐性も強いため、乳酸菌を生きたまま腸まで届けることができると言われています。

普段の生活でコレステロール値が気になる方は、植物性乳酸菌をキムチから摂るのもおすすめですね。

参考 – 乳酸菌の生理機能とその要因 https://www.jstage.jst.go.jp/article/cookeryscience/46/2/46_129/_pdf
– アンチエイジング株式会社|血中コレステロール値を低減する キムチ由来植物性乳酸菌 Lactobacillus plantarum CIB001 株 http://www.cellinbio.com/wp-content/uploads/2016/06/CIB001_Jp.pdf

6・植物性乳酸菌はアレルギーに効く?

腸内が悪玉菌優勢になり腸内環境が悪化すると、免疫系が過剰に活性化してしまい、アトピーやアレルギーなどの自己免疫疾患の症状を悪化させてしまう可能性があります。

植物性乳酸菌は、普段の生活において適切な量を継続して摂取することで、腸内フローラが整備され、免疫系が正常に働くようになると言われています。

腸内環境を整備することで、アトピーなどに対する抗アレルギー効果が期待されているのです。

参考 – 理化学研究所|腸内環境のアンバランスが全身の免疫系を過剰に活性化 https://www.riken.jp/press/2012/20120427_2/index.html
– 新潟大学|抗アレルギー作用と感染防御作用を併せ持つ酒粕由来乳酸菌 https://shingi.jst.go.jp/past_abst/abst/p/13/1305/niigata03.pdf

7・花粉症の症状軽減効果

花粉症は、スギやヒノキといった植物の花粉により、くしゃみ・鼻水などのアレルギー症状を起こすというものです。

メカニズムは、異物(アレルゲン)が体内に入ることによる、免疫システムの過剰反応。アトピーなどのアレルギー症状と同じです。 そのため、他のアレルギー症状と同様、乳酸菌を摂取することで症状の緩和が期待できます。

ザワークラウト(キャベツの酢漬け)から分離した植物性乳酸菌ラクトバチルス・プランタラム・HSK201株で効果が確認されたほか、ヨーグルトなどに添加されている乳酸菌L-92乳酸菌、KW乳酸菌、フェカリス菌などで摂取できるようです。

※花粉症対策としてこれらの乳酸菌を食事から摂る場合、花粉が飛び始める2カ月くらい前から摂ると良いとされています。

参考 – 乳酸菌の生理機能とその要因 https://www.jstage.jst.go.jp/article/cookeryscience/46/2/46_129/_pdf
– 植物性乳酸菌による生理活性作用 https://www.suzuka-u.ac.jp/wp-content/uploads/2018/01/07-hasega2.pdf
– 抗アレルギー作用と感染防御作用を併せ持つ酒粕由来乳酸菌 https://shingi.jst.go.jp/past_abst/abst/p/13/1305/niigata03.pdf
– 公益社団法人全日本病院協会|花粉症について https://www.ajha.or.jp/guide/22.html
– KYOWA KIRIN|花粉症とは https://www.kyowakirin.co.jp/kahun/about/about.html https://www.kyowakirin.co.jp/kahun/about/mechanism.html
– Luna|http://www.nipponluna.co.jp/laboratory/hsk201-lactobacillus.html植物性乳酸菌HSK201 http://www.nipponluna.co.jp/laboratory/hsk201-lactobacillus.html
– わかさ生活|フェカリス菌 http://www.wakasanohimitsu.jp/seibun/faecalis-bacteria/
– e健康ショップ|花粉などのアレルギーと乳酸菌の関係 https://www.ekenkoshop.jp/column/014/

植物性由来の乳酸菌パウダー

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植物性乳酸菌がたっぷり含まれているおすすめ食品

乳酸菌発酵漬物

動物性乳酸菌と異なり、栄養素が乏しく過酷な環境下でも育つことができる植物性乳酸菌は、古くから世界中の発酵食品に利用されてきました。 以下では、植物由来の食品に多く含まれる発酵食品をご紹介しましょう。

植物性乳酸菌の食品一覧

野菜ぬか漬け、キムチ、水キムチ、柴漬け、すんきづけ、すぐきづけ、たくあん、ザワークラウト、ピクルス、メンマ、ザーサイなど
穀類サワーブレッド、納豆、熟鮓(なれずし)など
調味料・ほか味噌、醤油、塩麹、チャツネ、甘酒、マッコリ、日本酒、豆乳ヨーグルトなど

このほかにも、国内外を問わずさまざまな植物性乳酸菌の食品が食べられています。

しかし、食品によっては発酵させず、旨味調味料だけで味付けをしているものもあります。例えば韓国産のキムチはきちんと発酵されているものが大半ですが、日本のスーパーなどで売られているキムチは、浅漬けのキムチに化学物質や添加物を足し、「キムチ風」の味つけがされているだけのものもあります。

これではあまり多くの乳酸菌の摂取が期待できず、腸内環境の改善も見込めません。 乳酸菌の摂取を目的として食品を購入する際は、原材料名の表示を事前に確認するようにしましょう。

参考 – 東京農業大学|「食と農の博物館展示案内」 https://www.nodai.ac.jp/application/files/4814/8601/2720/15.pdf – 植物性乳酸菌の選抜と食品への応用 http://taffrc.pref.toyama.jp/nsgc/center/webfile/t1_80c1334e80b123e02f4e30042b1a735f.pdf
「本県の米麹、漬物、かぶらずしなどから17菌種40菌株の植物性乳酸菌17菌種40菌株」 – 植物性乳酸菌を考える http://www.jasnet.or.jp/4-shuppanbutu/pickup/17.06.pdf
「漬物やキムチ、みそ・醬油」 – フジッコ|乳酸品が含まれる食品http://cremoris.fujicco.co.jp/food/

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植物性乳酸菌とは?動物性乳酸菌との違い

“植物性乳酸菌”とは食物性の食品を発酵させて作る乳酸菌のことです。漬け物や味噌、酒などの発酵食品に生育していて、さまざまな環境下でも育ちやすいといわれています。

また、乳製品など動物性食品を発酵させる“動物性乳酸菌”よりも脂肪が少なく、体に負担の少ない食品から摂取することができるため、古くから日本の食卓に取り入れられてきました。

植物性乳酸菌の対比として用いられる表現に“動物性乳酸菌”がありますが、両者の違いは主に以下のようになっています。

区別方法生育環境含まれる食品
植物性乳酸菌植物由来の食品に生息塩分や酸のある過酷な環境でも生育できる・味噌
・醤油
・漬け物
動物性乳酸菌動物由来の食品に生息糖分が豊富で一定の温度が保たれた環境でのみ生育できる・ヨーグルト
・チーズ
植物性乳酸菌と動物性乳酸菌の違い

ただし、実はこの2つの乳酸菌は、科学的に見るとどちらも同じ「細菌」として分類されています。 そのため乳酸菌は「植物性」か「動物性」で選ぶのではなく、腸内での働きや特徴に違いのある“株”で見分けるのが大切です。

分離源が違っても同じ菌種の菌株は、性質や遺伝子がほぼ同一ですので、分離源などを根拠にして「植物性乳酸菌」や「動物性乳酸菌」に分けることには多くの矛盾があります。

引用元:公益財団法人 腸内細菌学会)

一般的に利用する植物性乳酸菌や動物性乳酸菌とは、効果の違いというよりも「どんな食品に含まれているか」という認識の違いになります。

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植物性乳酸菌の種類

乳酸菌を植物性と動物性に分けることは科学的に正しくないということはすでに解説しましたが、では一般的に植物性乳酸菌と言われている乳酸菌は、どういった種類のものを差すのでしょうか。 野菜や豆、米や麦といった植物素材を発酵させる乳酸菌が植物性乳酸菌と呼ばれていますが、動物性乳酸菌の種類は約20種類ほどとされるのに対し、植物性乳酸菌はその約10倍の種類があると言われています。

中でも植物性乳酸菌の代表とされるものは、
・ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)
・テトラジェノコッカス・ハロフィルス(Tetragenococcus halophilus)
・ペディオコッカス・ペントサセウス(Pediococcus pentosaceus)などが挙げられます。
この他にも、・ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)
・ラクトバチルス・コリニフォルミス(Lactobacillus coryniformis)
・ラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)
・ラクトバチルス・プレビス(Lactobacillus brevis)などが健康に対しての有用性が報告されている乳酸菌として報告されており、この他にも生育環境などの多様な要因によって、さまざまな植物由来の乳酸菌が育ちます。

また、チーズやヨーグルトといった動物由来の食品に育つ乳酸菌として有名なラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)も、実は植物由来の発酵食品に含まれていることがあります。

ここまでご紹介したのが乳酸菌の「属・種」までの名称です。乳酸菌はここからさらに多様な「株」で分類されており、数えきれないほどの種類が存在するのです。現在も全ての乳酸菌が解明されている訳ではないそうです。

参考 – 「食と農」の博物館展示案内 https://www.nodai.ac.jp/application/files/4814/8601/2720/15.pdf
「植物性乳酸菌はその十倍の種類がいるといわれ」 – 植物性乳酸菌について https://www.nodai.ac.jp/application/files/4814/8601/2720/15.pdf
– 植物性乳酸菌の選抜と食品への応用 http://taffrc.pref.toyama.jp/nsgc/center/webfile/t1_80c1334e80b123e02f4e30042b1a735f.pdf
「本県の米麹、漬物、かぶらずしなどから17菌種40菌株の植物性乳酸菌17菌種40菌株」 – 漬物から、腸内環境改善、美肌、集中力向上に有用な植物性乳酸菌を発見! http://www.kyuchan.co.jp/company/news/image/1703_nyusankin_presen.pdf
– カゴメ|植物性乳酸菌大学 https://www.kagome.co.jp/syokuiku/knowledge/nyusankin-univ/agri/
– 株式会社JES|植物性乳酸菌酵素食品 https://shop-jes.com/1000ml.html
– 株式会社エフシージー総合研究所|(19)植物性乳酸菌の効果に注目 https://www.fcg-r.co.jp/micro/micro19.html
– ヤクルト中央研究所|プランタルム https://institute.yakult.co.jp/bacteria/4247/
– 腸内細菌学雑誌|乳酸菌分類の現在とビフィズス菌・乳酸菌分類小委員会が提言した新規乳酸菌種提唱のための最少基準 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jim/30/1/30_17/_pdf

日本の発酵食品由来の乳酸菌はこちら

植物性乳酸菌で手軽に「腸活」

免疫細胞の6〜7割が集中し、最も大きな免疫系を成しているとも言われている腸。

私たちの腸管には、なんと500種類以上、約100兆個もの細菌が「腸内フローラ」という、一定のバランスを保った環境を形成しています。 理想的な腸内フローラの割合は、善玉菌2割:日和見菌:7割:悪玉菌1割と言われており、善玉菌の割合が悪玉菌よりも多ければ、私たちの腸は酸性を保ち、大腸の蠕動運動を活性化させられます。 この善玉菌を構成する代表的な菌の1つが、乳酸菌なのです。

さて、もうお気づきの方もいるかもしれませんが、私たちの体内は酸性です。

いわゆる動物性乳酸菌と呼ばれる、牛乳などの乳糖をエサにし、30〜35度に保温された環境で育つ乳酸菌は、低温では育たず、また他の菌とも共生できません。 一方、植物性乳酸菌と分類される乳酸菌の多くは、温度が低く、味噌や漬物樽といった塩分や酸の強い過酷な環境でも育ちます。そのため私たち体内の胃酸や胆汁酸にも負けずに腸に到達する可能性が高く、より効果的に乳酸菌を身体に取り込むことができるのです。

死んだ乳酸菌も腸内の乳酸菌や他の善玉菌のエサとなるため効果が無い訳ではありません。本サイトのこちらの記事でインタビューにお答えくださった後藤利夫先生によれば、「死菌だと生菌の2-3倍の菌数程度を摂取しておいたほうが良い」とのことでした。

バイオジェニクスは死菌体でも作用を示すため,菌体の調製や保存が比較的容易と考えられる。

(引用元:日本調理科学会誌『乳酸菌の生理機能とその要因』)

「植物性乳酸菌」と言えど、「TK61406」「LTK-1」「OS」などさまざまな株があるため、菌種だけでなく菌株にも注目して、自分に合った乳酸菌を探してみることをおすすめします。

また、乳酸菌は水溶性食物繊維やオリゴ糖といった、乳酸菌のエサとなるものを一緒に摂ることで効果が高まります。<オリゴ糖が多く含まれる食品>大豆、牛乳、ごぼう、アスパラガス、たまねぎ、とうもろこし、バナナ、はちみつなど<水溶性食物繊維が多く含まれる食品>大豆、わかめ、こんにゃく、ごぼう、さつまいも、オクラなど

乳酸菌を摂取する際は、これらの食材も意識して一緒に食べられるのが理想ですね。

参考 – 植物性乳酸菌を考える http://www.jasnet.or.jp/4-shuppanbutu/pickup/17.06.pdf
「常在菌として、乳酸菌は他の微生物と共にヒトの身体各所に生息している。口腔、小腸、大腸、産道など…」 – 県民健康プラザ健康増進センター 「日和見菌. 悪玉菌. 主な. 作用. ・腸の運動を促す」 http://www.kenpura.com/zousinmaru31.pdf
– 植物性乳酸菌による生理活性作用 https://www.suzuka-u.ac.jp/wp-content/uploads/2018/01/07-hasega2.pdf – 光英科学研究所|腸管免疫 https://koei-science.com/gutstory/gut-immunity/
– 湧水製薬株式会社|腸内細菌を知ろう!! http://www.wakunaga.co.jp/health/month/post_39.html
– NIKKEI STYLE|乳酸菌は生きて腸に届く?ビフィズス菌との違いは? https://style.nikkei.com/article/DGXMZO13706730W7A300C1000000/
キッコーマン株式会社|理研ビタミンとキッコーマン、共同で乳酸菌発酵トマトエキスの便通と腸内フローラ改善効果を確認 https://www.kikkoman.co.jp/corporate/news/20140526.html
– @Press|味噌由来の乳酸菌「蔵華(くらはな)乳酸菌LTK-1」が 免疫調整機能を持つことを発見 ~科学雑誌「PLOS ONE」にて論文発表~ https://www.atpress.ne.jp/news/173580

専門家が回答!植物性乳酸菌Q&A

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植物性乳酸菌って何ですか?

植物性乳酸菌とは、乳酸菌の一種です。乳酸菌の中でも植物由来のものに生息する菌を植物性乳酸菌と呼んでいます。学術的には、乳酸菌に「植物性」や「動物性」という区別はありません。

乳アレルギーの人でも、植物性乳酸菌の食品は摂取して良いですか?

乳アレルギーの人は、乳酸菌に対してアレルギー反応を起こしているわけではなく、ヨーグルトならミルクにアレルギー反応を起こしているわけです。ミルクを使っていない、例えば豆乳の乳酸菌飲料であれば、ミルクアレルギーの方でも摂取しても大丈夫です。

植物性乳酸菌のヨーグルトは家で作れますか?

種に使う植物性乳酸菌に乳糖を発酵する力があればヨーグルトは作れます。植物性乳酸菌のエサとなる菌種(酒粕など)と無調整豆乳があればOKです。記事内で作り方をご紹介していますので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。酒粕のアルコール成分が気になる場合には、玄米や黒糖、はちみつ、塩レモンなど他のものでも代用可能です。

植物性乳酸菌には生菌と死菌(死んでいる菌)がありますが、効果に違いはありますか?

乳酸菌に期待されている効果には、主に整腸作用と免疫の調節作用の二つがあると考えています。整腸作用のためには、乳酸菌が生きた状態で届いたほうがいいと思います。免疫の調節作用に関しては、乳酸菌は生きていても死んでいてもかまいません。同じような効果が期待できます。

植物性乳酸菌と動物性乳酸菌、どちらが人の腸に届きやすいのでしょうか?

生菌(生きている菌)の場合だと、植物性乳酸菌のほうが明らかに人の腸に届きやすいです。

そのほかの植物性乳酸菌Q&A

植物性乳酸菌を摂取する最適なタイミングはいつですか?

植物性乳酸菌を摂取する最適なタイミングは、食事と共にと言われていますが、サプリなどは空腹時に摂取すると良いとおっしゃる方もいます。

植物性乳酸菌と動物性乳酸菌の違いは何ですか?

植物性乳酸菌は植物由来の食品に生息しており、動物性乳酸菌は動物性由来の食品に生息しています。

植物性乳酸菌と動物性乳酸菌のどちらを選べば良いですか?

植物性乳酸菌と動物性乳酸菌のどちらもそれぞれに良い所があります。
選択は個々の健康状態、食事習慣、目指す健康目標により違ってくると思います。どちらもそれぞれ異なる健康効果がありますので、具体的なニーズに合わせて選びましょう。

管理栄養士からのコメント

乳酸菌=腸に良いというイメージで、積極的に摂り入れているという人も多いかもしれません。

植物性乳酸菌といっても、さまざまな種類があるので、その中でもどれが良いの?と悩む人も多いでしょう。 乳酸菌にもさまざまな種類があり、自身の体質に合う・合わないがあります。何か1つ特定のものを摂り続けるというよりは、いろいろな植物乳酸菌を含むものを摂り入れてあげることをおすすめします。

豆乳ヨーグルトの種麹を作る時にも、酒粕以外のものを使ってみたり、味噌もいろいろな味噌を混ぜ合わせて使ってみたり、いろいろな食材で水キムチを作ってみたり、ちょっと視点を変えて工夫することで、いろいろな植物性乳酸菌を摂り入れることが可能となるのです。

ぜひ、この機会に改めて、植物性乳酸菌が含まれている発酵食品を積極的に摂り入れてみてはどうでしょうか。

管理栄養士:亀崎智子

管理栄養士プロフィール

亀崎 智子

公式ブログ

Instagram(kamegohan0528)

管理栄養士・マスターファスティングコンシェルジュ「食べ方」と「出し方」をお伝えするかめごはんの料理教室を主宰。(福岡市)
コンビニなどの商品開発業務に従事した経験から、食の大切さに気づく。
現在は4歳双子の男の子を育てながら、ストレスフリーにゆるいナチュラル生活の実践の仕方をお伝えしています。
昔ながら季節の手仕事や発酵食品、オーガニック食品などの取り入れ方が得意です。

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この記事を書いた人

コンテンツ、写真撮影担当。暇があったらキッチンで発酵食品や保存食品を作ったり、写真を撮ったりしています。趣味は一人で映画に行くこと。

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