「お客様の健康を第一に考え、思いやって栽培する」無肥料自然栽培でお米を育てる『成澤之男さん』にインタビュー
プロフィール
なりさわ生命食産 成澤之男さん
2004年(平成16年)無肥料自然栽培を始める
現在は無肥料自然栽培で育てたササニシキ、ササシグレ、ひとめぼれを販売している。
「人との繋がり」「お客様との信頼関係」を何よりも大事にされていて、信念を持ってお米づくりをされている成澤之男さん。
かわしま屋でも販売中のササニシキ玄米とひとめぼれ玄米を栽培している、宮城県登米市の稲作農家さんです。
農薬も化学肥料も一切使用しない無肥料自然栽培で、子供から大人まで安心して食べられるお米を育てています。
始めたきっかけは当時3歳だった娘さんだそう。
「娘が幼い頃アトピー性皮膚炎と言うこともあって、生産者として私は消費者様に臆することなく自信を持ってお渡しできるものを作りたいと思って取り組んできました。」
様々な困難を乗り越え、「自信を持ってお客様にお米をお渡しできること」にやりがいを感じるまでお米と向き合い続けてきた成澤さん。
”今、どんな想いでお米を作っているのか?”じっくりお話をお伺いしました。
自信を持ってお渡しできるものを作りたいと思って取り組んできた
――成澤さんの作る玄米や農業への想いなど色々お聞きできればと思います。改めて成澤さんはどのような農業をされているのか読者の方に向けて教えてください!
-
成澤之男さん(以下、成澤):私は稲作農家です。
現在の稲作農家は国策で規模拡大がすすめられており、小規模農家はリストラに追い込まれています。
やめた農家さんが他の仕事に正社員で就職できることは殆どなく、就職できても非正規扱いでもしもその会社が不景気になれば一番先に首を切られます。
これが今の現状なんです。
――小規模農家の居場所がなくなってきているという話、聞いたことあります。
-
成澤:私は日本の国土と環境の違いから外国の真似をしての大規模経営による競争をしていく事は難しいと考えています。
とくに稲作農業は日本人にとって生命の源だと思っています。
娘が幼い頃アトピー性皮膚炎と言うこともあって、生産者として私は消費者様に臆することなく自信を持ってお渡しできるものを作りたいと思って取り組んできました。
――無肥料自然栽培を始めたのは娘さんがきっかけだったのでしょうか?
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成澤:はい。
これまではトラックの仕事をしておりましたが、娘のアトピー性皮膚炎をきっかけに食について考えるようになりました。
――もともと農業をされていたわけではなかったんですね。
-
成澤:そうなんです。農家になったのは28歳のとき、親の高齢化のためでした。
――そこから娘さんのことも考え現在の栽培方法に至ったということですね…!
-
はい。
いろいろな栽培方法がある中で、現在では一番体に良いとされる栽培方法だったのでこの方法を選択しました。
――ちなみに、自然栽培方法を始めたのはいつからですか?
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成澤:現在の栽培方法を始めたのは2004年からです。一部の圃場(ほじょう)で始めました。
――はじめた当初からうまくいきましたか?
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成澤:一年目はほとんどの人はうまくいきますが、二年目からが問題です。
我が家ではJAS法ができる前から有機無農薬で栽培していましたし、土造りの勉強もしていましたので、皆様よりはスムーズに転換できました。
――自然栽培は手間がかかって大変なイメージがあったので意外です!一般的な栽培方法から自然栽培に切り替えて大変だと感じたことはなかったのでしょうか?
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成澤:この質問は個人差があって答えは難しいと思います。
どれだけ一生懸命やるかで仕事量は全然違いますし、全部を完全にやり切るとすると、とんでもない仕事量です。
私はやり切らなければダメなんだと話していますがほとんどの生産者さんはできていません。家でも一部圃場はやり切れていませんが…
栽培面ではやり切ることを意識しているので大変だと思ったことはないですが、子育ての最中、頑張っても頑張っても経済的に苦しくやっていける状況ではなかったときはさすがにしんどかったですね。
「お客様に自信を持って商品をお渡しできること」を大事にする
――そんな状況をどのように乗り越えたのでしょうか?ここまで続けてこれた理由ややりがいはどこにあったのかとても気になります。
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成澤:お客様に自信を持ってお渡しできる(商品をつくっている)ことですね。
そして良さを理解していただいて喜びの声をいただいた時、
家のお米を食して結果身体が良くなってきたとお手紙をいただいた時、
あまりご飯を食べなかったお子様がおかわりをして食べ、「おじちゃんご飯美味しかったよ」って言われた時、とてもやりがいを感じます。
――お客様の声がやりがいになってたんですね。もう一つのお客様に自信を持って商品をお渡しできるという言葉が気になったのですが、他の農家さんと成澤さんの作るお米の違いや魅力はなんでしょうか?
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成澤:簡単には言えませんが、誰のために何を目的として栽培しているかだと思います。
ある生き方の教えの中で(良いことも悪いことも全て自分に返ってくる)と言われています。
という事は消費者様(お客様)の身体(健康)を第一に考え思いやって栽培することが非常に大事なことと考えています。
この意識で取り組めば自然と稲にも田んぼにもその他の色々な事にも思いやることができるようになるのではないかなと考えています。
――色々お話を聞いていると成澤さんは技術的な面だけでなく、気持ちの面やお米との向き合い方をすごく大切にされているのが良くわかります。
-
作業でも色々細部にこだわりますが、お米に向き合うときは4つの言葉を大切にしています。
――4つの言葉と言うと…?
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「ごめんね」「許してね」「愛してるよ」「ありがとうございます。」です。
悪いことは自分のせい、
良いことはお蔭様、
感謝、ありがとうございます、
の気持ちで取り組ませていただいています。
――だからあんなに美味しいお米ができあがるんですね。成澤さんの育てたササニシキ玄米を食べさせていただいたのですが、こんなに美味しい玄米があるんだとびっくりしました。ちなみに成澤さんのお米を購入される方はどんな方が多いですか?
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成澤:私たちとしっかり話し合い(良さを)理解してくださった方々だと思っています。
アトピーをはじめ化学物質過敏症等様々なお客様がいらっしゃいますが、流通業者様販売店様を含め来宅される方も多くいますよ。
(お取り扱いする場合は)納得いくまでの話し合いを希望します。
お付き合いを深めて解りあった上でのお取り扱いいただけたらありがたいと思います。
実際に販売していただいてる方は、体験作業も含めて泊まって飲んで食べてとことん話し合っています。
お客様との信頼関係を何よりも大切にする
――お客様との信頼関係を大事にされているのが伝わってきます。かわしま屋では現在、ササニシキやひとめぼれをお取り扱いさせていただいていますが、他にも取り扱っている品種はありますか?
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成澤:ササニシキとひとめぼれ以外だとササシグレを取り扱っています。
――その品種を育てようと思ったのはなぜですか?
-
成澤:これまでいろいろな品種を取り組んできましたが、その中でお客様の評判が良く人気のある品種にしています。
以前にコシヒカリも栽培しましたがうちのお客様にはササニシキの方が好まれました。
もう一つの理由は例えば糖尿病などの場合はできるだけ餅米系統じゃない方がより良いと言われているためです。
――ササニシキは特殊で無農薬・無肥料での栽培が難しいと聞きます。企業秘密な部分もあるかと思いますが、答えられる範囲で構いませんので玄米を育てるまでの工程をお聞きしても良いですか?
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成澤:企業秘密はまったくございません。
相談される生産者さんや自分が気になる生産者さんには全部教えています。
ただ、今すぐすべては教えられません…。
というのも、稲作について細部まで注意して話したら一日話しても終わらないくらい深いんですよ。
――では、成澤さんは自身で育てられたお米をどのように食べているのかはお聞きしてもよいですか?
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成澤:お米が良ければお客様のお好みで美味しく食べていただければ良いのですが、最近家では酵素玄米食(自然栽培の玄米)を食べています。
――最後に。成澤さんはお米に対して深い愛情を持って育てられてるようにお見受けしますが、そんなお米をどんな方に食べていただきたいですか?
-
成澤:(自然栽培の良さや)中身まで理解してくださる方や心の綺麗な純粋な方に食べていただきたいです。
この方々は絶対に違いをわかってくださいます。
愛情を込めて育てているお米なので違いがわかる方にだけ食べてほしいと思います。
――かわしま屋でも成澤さんのお米の良さを解ってくださる方に食べていただけるよう、しっかり魅力をお伝えしていけたらと思います。ありがとうございました!
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- 編集スタッフ
- 松下
- ●編集スタッフのひとこと
- 自身の作るお米に絶対的な自信と誇りを持っていて、お米づくりに対する想いは誰にも負けないくらい職人魂あふれる成澤さん。
成澤さんのお話を聞いていると、人との繋がり、お客様との信頼関係、お米作りに対する信念がすごく伝わってきました。
お米づくりに人生を駆けて本当に大事に育てているからこそ、しっかり良さを解ってくださる方に食べていただきたいという思いが強くあるんだなと感じました。
これからも成澤さんの想いがいっぱい詰まったお米が食べられるのを楽しみにしています。
改めてありがとうございました。
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