留河タンス|伝統的な技法を守り、新しい桐製品を開発する会社
大阪泉州の桐箪笥の産地 岸和田。
大正元年創業以来、古き良き伝統の技を引き継ぎ、緻密で丁寧な作りで桐タンスを作り続けている留河さんのところへ、取材にいってきました。
お話を伺いました。
今回お話をしてくださったのは、四代目の留河昇さん。
プロフィール
◎留河 昇
株式会社 留河 代表取締役
平成9年2月 大阪府工芸技術者作品展で大阪府知事賞受賞
会社を継いで20年。
お話好きなきさくな方で、伝統的な桐箪笥のことから新商品の開発のことまでたくさんのお話をしていただき、工場内もとても丁寧に案内してくださいました。
▼公式サイト
http://www.tomekawa.com/
留河タンスの桐箪笥
創業以来、伝統の技で作りつづけられている桐の箪笥。
独自の色付け技術により、素手で直接触れても手垢がつかず、多少の水濡れでもすぐに優しく拭くだけで色落ちの心配もありません。
木の目がまっすぐできめ細かく、仕上がりが美しく、厚い材料を丁寧に組み上げているので、非常に丈夫です。
盆や引き戸に彫刻を施したデザインもあります。
桐箪笥の魅力
桐材には調湿効果があり、衣類を湿気から守ることができます。
また、湿気や乾燥による伸び縮みが少ないのですき間の無い箪笥をつくることができます。
桐は熱伝導率も低く、箪笥の表面が焦げて炭化してしまえば中まで火が通りにくくなります。
桐に含まれているタンニンやパウロニンといった成分が防虫効果を発揮します。
桐の米びつ
昔はお嫁入り道具として欠かせなかった桐の箪笥ですが、その需要は年々減ってきています。
そんな中、留河さんは良質な桐の素材と伝統的な技術で新しい商品を次々に開発されています。
中でも人気の商品が、かわしま屋でも取扱いのある「米びつ」。
箪笥をつくる職人さんの高い技術により気密性が高く、桐の調湿・防虫機能によりお米を湿気や虫から守ることができます。
桐は他の木材より軽くて丈夫で、お米を入れても重くならずに扱いやすいのも特徴です。
こちらは今製作中の、一合ずつ計量できる米びつです。
かなり試行錯誤され、製品開発の苦労なども聞かせてくださいました!
今回は工場を案内していただきながら、米びつができる工程を実演していただき、詳しくお話を伺ってきました。
工場のようすと米びつができるまで
工場のようす
たくさんの機械が並ぶ工場内は、見ているだけでワクワクします。
この工場で、職人さんが一つ一つ丁寧に製造されています。
修理の依頼で持ち込まれた桐箪笥。
使える材を活かしながら、今の生活に合わせたデザインにリフォームされるそうです。
米びつができるまで
留河さんに、実際に米びつを作る工程を詳しく見せていただきました!
材木は、工場の屋上で十分に乾燥させます。
この後機械でも乾燥をさせ、含水率を5%まで下げます。
含水率計の使い方を説明してくださる留河さん。
木材を十分に乾燥させることがとても大切だそうです。
乾燥させた桐材を必要な長さにカットしていきます。
板と板をぴったりと合わせる為に、板先を斜めに揃えていきます。
仕口を合わせ、接着します。
接着部分が外れないよう紐でしっかりと留めておきます。
しっかりと接着されたら、表面の凹凸を整えていきます。
ここからは、焼桐仕上げになります。
焼入れの処理は通常は行われませんが、焼入れタイプの商品だけ色付けの為に行われます。
色を付けることにより、変色や汚れが目立たなくなり木目が美しく浮き上がってくるという利点の他、焼いて表面を炭化させれば中まで燃えにくくなるそうです。
板の硬さの微妙な違いで火の当て方を変えていくなどとても技術のいる作業だそうです。
全体に焼き目を付けたら、蝋を塗り込んでいきます。
これにより、艶のある美しい木目が浮き上がってきます。
とてもきれいな木目の米びつが完成しました。
立派な箪笥の前でたくさんのお話をしてくださった留河さん。
工場の見学はとても楽しく、桐製品の魅力を再認識できました。
ありがとうございました!