妊婦の便秘には何が効く?便秘改善&腸内環境改善プログラム
妊娠中の困りごとの中でも多くの方が経験するのが「便秘」。
それもそのはず、妊娠中は便秘になりやすい条件がそろっているのです。
「いきむと赤ちゃんに障りそうで怖い」「出産に影響してしまうのでは?」
そんな悩みを抱えていらっしゃる方もいるでしょう。
今回は、妊娠中の便秘の原因や生活アドバイス、かんたんなエクササイズをご紹介。
すっきりと出産を迎えられるよう、すべての妊婦さんを応援いたします!
妊婦の便秘はこれが原因だった!
妊娠中の女性の7割近くが症状を感じるともいわれる「便秘」。
妊婦さんが便秘になりやすいのには複数の原因があるといわれています。
妊娠中の便秘の原因1 ホルモンの変化
妊娠中は、黄体ホルモン(プロゲステロン)の影響で腸の動きが低下します。
この黄体ホルモンは妊娠初期から血中濃度が上がり、分娩直前まで上がり続けるそうです。
妊娠の維持に必要となる大切なホルモンですが、出産するまでは血中濃度が下がらないため、この「腸の動きの低下」は出産まで続くことになります。
妊娠中の便秘の原因2 子宮による圧迫
妊娠中は徐々に大きくなった子宮がせりあがって腸を圧迫し、その動きを妨げます。
妊娠の週数が進むごとに症状が強くなっていき、特に臨月が近くなるとお腹が急激に大きくなるため便秘になりやすいようです。
妊娠中の便秘の原因3 運動不足
妊娠中は、身体を大切にしようとするあまり運動不足になることが多いもの。子宮が重くなって動くのがおっくうになることもあるようです。
運動が不足すると腸に刺激がいかなくなり、便が滞りがちになります。
妊娠中の便秘の原因4 嗜好の変化
つわりの時期にものを食べられなくなって食事のリズムが崩れ、便秘になるパターンもあるようです。
食べ物の嗜好が変わってしまうことも原因のひとつ。「炭水化物ばかり、肉ばかり食べたくなってしまった」というようなケースでは、食事内容がそのまま便秘に直結します。
妊娠中の便秘の原因5 水分不足
妊娠中は赤ちゃんの分も水分を摂る必要があります。
必要量は妊娠前よりも500ml多く、1日に1.5~2リットル。
しかし実際は子宮に圧迫されてトイレが近くなることもあり、無意識のうちに水分を控えてしまう方が多いようです。
便秘がひどくなるとどうなる?
便秘がひどくなると、トイレでいきむのがつらい、身体が重い、おならが臭い、腹痛で苦しいなどの不快症状がでてきます。
さらには溜まった便により腸内細菌のバランスが崩れ、悪玉菌が作り出す毒素が肌荒れや体臭、生活習慣病などにつながることも。
腸内環境の悪化は血流の悪化や冷えにもつながるため、胎児の健やかな成長とも無縁ではありません。
妊娠中のお母さんの腸内環境は赤ちゃんの腸内環境にも影響するといわれています。生まれてくる赤ちゃんのためにも、妊娠中は便秘を治して腸内環境を整えておくことが大切です。
妊婦さんのための便秘解消アドバイス
ホルモンの変化や大きくなる子宮はどうしようもありませんが、生活を改善すれば便秘は予防することができます。
妊娠中に心がけたい生活習慣をまとめました。
1. 食事は3食しっかりと
便秘を防ぐ食事のポイントは4つです。
- ①3食しっかりと食べる(食事を抜かない)
- ②間食を控える(空腹の時間をつくる)
- ③食物繊維量の多い食事
- ④発酵食品、オリゴ糖を摂って善玉菌を増やす
つわりなどがあり食事が難しい場合もあるかと思いますが、もししっかりとした食事を摂ることが難しかったとしても、食事の時間帯に何かをお腹に入れておくことが大切なのだそう。特に便のリズムをつくるのに大切な朝食は、バナナ一本でもよいので食べるように心がけましょう。
一方で、空腹の時間も大切です。腸は空腹の時間に収縮して肛門へと便を送り出すため、このリズムが崩れると便が溜まりやすくなってしまいます。
特に就寝前に空腹になっておくことは大切なので、夜食は控えてください。
食物繊維をしっかり摂ることも大切です。
食物繊維は野菜や豆や果物、海藻などに多く含まれていますが、「肉の3倍多く野菜を食べる」と覚えておくと献立を作りやすいでしょう。
乳酸菌の入った発酵食品やオリゴ糖などは、腸内環境を善玉菌優位な状態にすることで、腸のぜん動運動を正常にしてくれます。
継続して摂ることが大切なので、タイミングを決めて毎日摂るようにしましょう。
カフェインを含まないおすすめの飲み物
妊娠前はコーヒーや紅茶を飲んでいた、という方も、妊娠中はカフェインを気にして控えることが多いのでは?
カフェインを含まない飲み物で、便通をよくする飲み物には、たんぽぽ茶やローズヒップティーなどがあります。
どちらも食物繊維が豊富で、特にローズヒップティーはビタミンCの効果もあり便秘に有効であるといわれています。たんぽぽ茶は煎って香ばしくした「たんぽぽコーヒー」としても販売されており、コーヒーの代わりに飲むのにおすすめです。
冷たい飲み物は身体を冷やすので、あたたかいうちに飲むといいでしょう。
2. 運動は無理せず、適度に
妊娠中は、赤ちゃんを大切にする気持ちから運動不足になりがちですが、医師の許可がおりていれば適度に運動することは大切です。
軽いウォーキングもいいですし、産院で主催しているマタニティヨガやマタニティエアロビクスの教室があればそういったところに通ってもいいでしょう。
ウォーキングの際はいきなりハイスピードで歩き始めず、ウォーミングアップをしてから20~30分くらいを目安に行うといいようです。
転びにくい靴を履くようにしてください。
3. 便秘になりづらい生活習慣
便秘になりづらい生活習慣として、守っていただきたいのは次の4点。
- ①早寝早起き
- ②毎日決まった時間にトイレに入る
- ③水をこまめに飲む
- ④トイレを我慢しない
腸の活動が最も活発になるのは午前0時頃です。夜は遅くとも0時前には眠るようにしましょう。
朝は、一日のうちで最も便が出やすい大切な時間。毎朝同じくらいの時間にスッキリ目覚めることで排便リズムが整います。
便が出ても出なくても、同じ時間にトイレに入るといいでしょう。
水をこまめに飲むのも大きなポイントです。
トイレが近くなりがちな冬などは特に水分を摂ることを避けがちですが、意識して摂っていくように心がけましょう。
1日1.5~2リットルが目安です。
また、出かけた先などでトイレを我慢していると、便意自体を感じにくい体質になってしまいます。
「トイレに行きたくなったら絶対に我慢しない」は肝に銘じてください。
4. ストレスの少ない暮らしを
腸のはたらきは自律神経と深く関わっています。
交感神経と副交感神経のバランスが崩れると血流が悪くなり、胃や腸の働きは停滞。腸のぜん動運動もうまく働かなくなってしまいます。
近年こうした、ストレスによる自律神経の乱れが原因の便秘が増えているそうです。
副交感神経が優位になる夜は、リラックスのための時間。寝る2時間前にはスマホやパソコンを閉じて、温かいお茶を飲む、ぬるいお湯につかるなどしてゆったりと過ごすようにしましょう。
妊婦さんにおすすめの便秘体操
便秘解消には運動が大切!
でも、「なかなか外に出られない」「仕事をしていて時間がなくて…」といったご事情をお持ちの方も多いですよね。
ここでは、朝食前や就寝前など、隙間時間にできるかんたんなストレッチをご紹介します。
腹式呼吸
妊娠初期から末期までいつでもできるのが「腹式呼吸」です。
たかが呼吸とあなどることなかれ。腸が内側からゆっくりとマッサージされ、自然なお通じを呼び起こします。
さらには副交感神経を優位にしてリラックスするのにも役立ち、血流も促進。陣痛や分娩時の痛みを緩和したりいきみを逃がしたりするのにも使えますので、出産まで毎日の習慣にするといいでしょう。
<腹式呼吸の方法>
- 1. 椅子に腰かけて、もしくは立ったまま、風船をイメージしながらお腹を膨らませ、たっぷりと鼻から息を吸います。
- 2. 身体をゆるめながら、口からゆっくりと息を吐きます。
- 3. 1と2を繰り返します。
便秘解消ストレッチ:三角のポーズ
便秘を解消するだけでなく、骨盤のずれを正したり腰痛を予防したりする効果があるストレッチです。体調が悪くないか、お腹が張っていないか、食後2時間経っているかを確認してから行ってください。
<三角のポーズの方法>
- 1. 両足を大きく開いてまっすぐに立ち、右足を外側に、左足を正面に向けます。
- 2. 腕は肩の高さで伸ばし、床と平行にします。
- 3. 息を吐きながら、上半身を右に倒し、右手が右足の甲にのるまで曲げます。左手はまっすぐに上げます。
- 4. 息を吸いながら1のポーズに戻します。反対側も同様に行います。
- 妊娠中の便秘、マッサージやツボ押しはOK?
- 便秘解消のために腸もみマッサージが効くと話題ですが、妊娠中はお腹の張りを誘発することがありますので腹部へのマッサージはしないでください。
- また、便秘に効くといわれるツボの中には、子宮の収縮を促すツボもあります。
- 信頼できる医師や治療師に相談してください。
妊娠中の便秘、薬は使っても大丈夫?
便が出ないとついつい頼ってしまいたくなる便秘薬や下剤ですが、市販の便秘薬・下剤の中には腸を強く刺激し、子宮の収縮につながるタイプのものもあります。
独断で市販の便秘薬を使うのは絶対にやめてください。
便が固くなって困っている場合は、妊婦検診の際にお願いすると、便を柔らかくするタイプの薬(酸化マグネシウム)を処方してもらえるケースが多いようです。
一度相談してみるとよいでしょう。
便を柔らかくするのにプラスして腸の調子を整えてゆきたいという場合は、乳酸菌などのサプリメントを摂るのもおすすめです。
薬ではないので副作用もなく、妊娠中、授乳中を問わず摂ることができます。
赤ちゃんと腸内環境
赤ちゃんが生まれて初めて触れ合う細菌は、お母さんの持っている細菌。
研究では、経腟分娩の場合には母親の腸内細菌が子どもに受け継がれることがわかっているそうです。
健全な腸内フローラをもつことは、免疫力の向上やアレルギー発症のしづらさにもつながります。
腸内環境を整え良好なバランスの腸内細菌を保つことで、自分が健康になれるだけでなく、生まれてくる赤ちゃんにも大きなプレゼントを渡せるとしたら嬉しいですよね。
帝王切開だったので腸内細菌をあげられなかった、という場合も、がっかりする必要はありません。赤ちゃんはスキンシップなどにより菌を獲得していくといわれています。
また、ミルクや離乳食に加えて赤ちゃんに与えられる乳酸菌サプリメントも販売されていますので、産後は家族で乳酸菌を摂るのもいいでしょう。
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妊婦の便秘についてのQ&A
- 毎日お通じがないと便秘でしょうか?
- 毎日お通じがなくても、すっきりと出てお腹に腹痛や違和感がなければ問題ありません。
- 便秘と下痢を交互に繰り返してしまいます。
- 過敏性腸症候群(IBS)の可能性があります。病院で診察を受けましょう。
- 妊娠してからおならが臭い気がします。
- 腸内環境が悪化している可能性があります。
この記事を参考に、便秘を改善し腸内の善玉菌を増やすよう生活を改善してみてください。
- 妊娠してからトイレが近くなったので、つい水分を我慢してしまいます。
- 水分不足は便を固くし、便秘に直結します。水分は意識してしっかり摂りましょう。一日1.5~2リットルが目安です。
- 妊娠してから、いきむと赤ちゃんに影響が出そうで出しづらいです。
- 便が固くて出しづらい場合は、産婦人科で相談して便を柔らかくする薬を処方してもらいましょう。
参考文献・Webサイト
・藤田紘一郎『腸で寿命を延ばす人、縮める人』(ワニブックス)
・小林弘幸『読む便秘外来』(集英社)
・日経ヘルス編『腸スッキリバイブル』(日経BP社)
・『たまごクラブ妊娠大百科』(ベネッセ)
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