せいろの使い方。中華せいろ・和せいろの違い、絶品蒸し料理レシピも

せいろ

キッチンにひとつあるだけで、料理のレパートリーをグッと増やしてくれる「せいろ」。
日常の下ごしらえやメイン調理、おもてなしの席でも大活躍する道具ですが、「なんとなくハードルが高い」「面倒くさそう」なんて感じてはいませんか?

今回は、せいろの種類や使い方、選び方までを徹底解説。思わず作りたくなる絶品レシピもご紹介します。
シンプルな料理をご馳走にしてくれるのがせいろのいいところ。「料理を楽しむためのせいろ講座」、開講です!

せいろとは

せいろとは

せいろ(蒸籠)とは、竹や木などの天然素材で作られた蒸し料理のための調理器具です。
多くは円形の容器に蓋がついており、蒸したいものを中に入れて蓋を閉め、沸騰して蒸気が上がった鍋の上にのせて使います。

素材は次の3種類で作られることが多く、それぞれに特徴があります。

素材 特徴
・木の香りが楽しめるので杉の香りが好きな方におすすめ
・軽くて扱いやすい
・手ごろな価格
・木の香りが少ないので気になる方におすすめ
・抗菌性があり、耐久性のある素材
・カビづらく、扱いやすい
ヒノキ ・そりが少なく耐久性が高い素材。一生ものに
・高級感がある白く美しい木肌。贈り物としてもおすすめ
・最も高価

さらにせいろには、構造によって二種類に分けられます。
中華点心などを蒸してそのまま食卓に供される浅型の「中華せいろ」、茶碗蒸しなどを蒸すのに適した深型の「和せいろ」です。

それぞれ得意料理は異なりますが、どちらも素材のおいしさを引き出し、旨みをぎゅっと閉じ込めた仕上がりになる点は同じ。
素材の持ち味を活かし、シンプルな調理でも深みのある味わいにしてくれるせいろは、毎日のご飯作りの大きな味方です。

せいろの選び方

せいろの選び方
初心者の方でもわかりやすい、素材・使い方・お手入れ・保管方法などせいろの使い方などを詳しくご紹介します。

せいろの選び方の記事を見る

自分にぴったりのせいろは

自分にぴったりのせいろは?
せいろは、素材や大きさなど、種類がいくつかあります。
蒸し上りに大きな差はありませんが、それぞれの特徴を把握して、自分に一番合うせいろを見つけてみましょう。

自分にぴったりのせいろは?の記事を見る

せいろの使い方

せいろの使い方
使い方はとてもカンタン。
わかりやすい動画付きでせいろの使い方をご紹介いたします。

せいろの使い方の記事を見る

簡単・ヘルシーなせいろのレシピ

簡単・ヘルシーなせいろのレシピ
忙しい人でも簡単につくれる、せいろの蒸し料理レシピをご紹介します。

簡単・ヘルシーなせいろのレシピの記事を見る

「せいろそば」のせいろって?

「せいろそば」のせいろって?

「せいろ」といえばお蕎麦の「せいろ」を思い浮かべる方も多いかもしれませんね。
なぜ「せいろそば」というのでしょうか?

実は、昔は蕎麦をせいろで蒸して出していたそうです。
十割蕎麦は切れやすく、茹でて洗うと千切れてしまいます。
そこでせいろで蒸してそのまま出すというスタイルになったといわれています。

和せいろにはすのこが敷いてあるため、製麺技術が進み麺を茹でるようになった現在でも、茹でた麺の水を切るのに役立っているようです。

せいろ料理はなぜおいしい?

せいろ料理はなぜおいしい?

せいろで作る蒸し料理には、次のような特徴があります。

  • ・じんわりと火が通り、素材の旨みを引き出す
  • ・茹で調理と比べ、味や栄養分が逃げず、味わい深い仕上がりに
  • ・肉や魚がパサパサせず、しっとりと柔らかな仕上がりに
  • ・芋なども水っぽくならず、ホクホクに仕上がる
  • ・蓋を開けたときに湯気と共にあふれる香りもご馳走感がいっぱい

せいろの中は100℃以上になることはないため、素材にはゆっくりと火が通り、旨みをじわじわと引き出します。
水っぽくないのにしっとりジューシーという、一見矛盾したおいしさもせいろならでは。
シンプルな料理をおいしく仕上げたい方に、ぜひおすすめしたい道具です。

「柳川のせいろ蒸し」おいしさの秘密
うなぎの調理法は地域によってさまざまですが、福岡・柳川ではたれで焼いたうなぎをご飯の上にのせ、せいろで蒸して仕上げる「うなぎのせいろ蒸し」というメニューがあるそうです。

このせいろ蒸しの特徴は、ご飯とうなぎとの一体感。一緒に蒸すことでうなぎの旨みや香りがご飯にしみわたります。うなぎの身が柔らかくふんわりと仕上がることもポイントです。
さらに、蒸したせいろごと供されることで、最後まであつあつの状態でいただくことができるのもおいしさの秘密。
まさに「せいろ料理」のいいところを詰めこんだような料理なんですね。

中華せいろと和せいろ

蒸し料理をしてみたいけれど、「蒸し器」と「せいろ」、または「中華せいろ」と「和せいろ」で迷っている…、そんな方のために、それぞれの違いをまとめてみました。

料理のおいしさを求める方にはせいろが、お手入れが心配という方には金属製の蒸し鍋がおすすめです。

中華せいろと和せいろは得意料理が異なりますが、他の用途には使えないということはありません。
まずどちらかを使ってみて、もっとせいろを使いこなしたい!となった時に買い足すのがよいでしょう。

金属製蒸し鍋 中華せいろ 和せいろ
金属製蒸し鍋
中華せいろ
和せいろ
おいしさ ・無臭
・冷めると水っぽくなる
・木の香り
・冷めても水っぽくならず、味が落ちにくい
・そのまま食卓に出せる
・温かさをキープ
・木の香り
・冷めても水っぽくならず、味が落ちにくい
・ミニサイズの場合はそのまま食卓に出せる
・温かさをキープ
使い勝手 ・焦げる心配がない
・キッチンスペースを占拠しがち
・二段、三段と重ねて使える
・デザイン性が高く「見せる収納」にもおすすめ
・二段、三段と重ねて使える
・短時間で蒸しあがる
・大人数の場合に便利
得意料理 大きさによる 点心、中華まん
・背が低いものが得意
茶碗蒸し、おこわ、赤飯
・背が高いもの、ボリュームがある素材が得意
お手入れ ・丸洗いしてもOK
・洗剤も気にせず使える
・空炊き、食洗機NG
・丁寧に扱う必要あり
・空炊き、食洗機NG
・丁寧に扱う必要あり

おすすめブランドせいろ

かわしまやで取り扱っているおすすめのせいろブランドについてご紹介します。

<中華せいろ>
照宝のせいろ
50年以上前から横浜中華街に店を構える中華料理器具の専門店「照宝」。
中華街のプロの料理人にも愛用者が多く、お手頃な価格で本格的なせいろ料理が楽しめます。

永籠(ヨンロン)のせいろ
10年以上蒸籠づくりを手掛ける職人がひとつひとつ手作業で丁寧に制作している「永籠(ヨンロン)」のせいろ。「食卓に出したいけど、茶碗蒸しやプリンも作りたい」という方におすすめの、深型の中華せいろも揃えたラインナップです。

<和せいろ>
山一のせいろ
山一の和せいろは、国産の木材を使って日本で作っているこだわりのせいろです。
木肌のつやを活かしたうつくしい仕上がりはため息もの。贈り物にもぴったりの逸品です。

せいろの使い方

せいろの使い方

せいろの使い方は慣れてしまえば簡単です。
フライパンや鍋と同じように、毎日の調理に活用させましょう!

せいろの使い始め

購入したせいろを初めて使うときには、一度空蒸しをします。
鍋にお湯をたっぷり沸かして、沸騰したら火を中火にし、空のせいろをのせて15分ほど蒸します。
この空蒸しによってほこりや木のアクなどが抜けるので、固く絞った濡れ布巾で拭き、次回からは通常通りに使用してください。

木の香りが強すぎる時はこの空蒸しを何度か行うと香りを抜くことができます。

せいろの使い方

1
せいろの使い方
せいろを水で濡らします。
2
せいろの使い方
鍋にたっぷりと水を入れ、強火にかけます。水の量は、せいろを重ねたときにせいろの底に沸き上がったお湯がつかないくらいです。
※長時間蒸す場合など、お湯が足りなくなりそうな場合は、隣のコンロにお湯を用意しておきましょう。
3
せいろの使い方
食材をせいろに入れます。
※大きな器を入れる場合は、スムーズに取り出せるように下に布巾を敷いてから入れます。
※食材はそのまま入れられますが、油ものやくっつくものの場合はクッキングシートやキャベツの葉などの上にのせて蒸します。
4
せいろの使い方
蒸気がしっかりと上がって来たらせいろを鍋に乗せます。せいろをのせてからは中火にし、蒸気が一定の強さで上がる状態をキープします。
そのままレシピに記載された時間蒸しあげてください。

せいろ使いこなしテクニック

<重ねて蒸したいとき>
せいろを二段、三段と重ねて蒸すと、同時に複数の調理をすることができます。
火が通りにくい食材・料理から順に蒸しはじめ、時間差で段を重ねます。

注意しなければならないのが、乗せる順番です。せいろを重ねて蒸す場合、料理のアクなどが下の段に落ちることがあります。
香りやアクが強い、脂気・汁気が強いといった食材は、下の段に乗せるようにしましょう。

<器を使うとき>
器を使うときは耐熱容器を使います。
底が平らな器で蒸す場合は、割りばしを2本敷いた上に器をのせると蒸気がうまく回り、ムラなく加熱することができます。

<中華せいろで背の高い食材を蒸したいとき>
茶碗蒸しなど背の高い器に入ったものを蒸したい場合は和せいろが向きますが、二段の中華せいろを持っている場合は次のテクニックを試してみましょう。
まず下段のせいろに食材を置いて通常どおり鍋にのせ、その上に上段のせいろを裏返してのせます。最後に蓋を重ねて蒸してください。

こんなに活躍!せいろ調理

下ごしらえ
下ごしらえ
例えばグラタンに入れたい野菜、焼き肉で食べたいカボチャ…普段は茹でている食材を蒸すことにより、栄養を損なわずに摂ることができます。
できあがった料理も素材の味がしっかりとした濃厚な味わいに。
※アクのある野菜には茹でたほうがよいものもあります
あたため
あたため
冷凍の肉まんなどはもちろん、冷めたご飯もほかほかに。冷凍したパンなどもパサつかずふわふわに温めることができ、オーブンで焼くのとは違ったやさしい食感が楽しめます。
蒸し野菜
蒸し野菜
切って蒸すだけのお手軽さで、野菜本来の味わいを楽しめます。
芋やカボチャは水っぽくならずにほっくりと、カブやニンジンは細胞の隅々まで水分がいきわたったように仕上がります。
バーニャカウダなどのようにソースを一緒に温めても。
肉・魚
肉・魚
魚や肉と野菜を一緒に蒸せば、手軽でご馳走感のあるメニューが完成。蒸し鶏などもレンジで作るのとは全く違うしっとりやわらかな食感になります。
大きな塊肉なども時間をかけて蒸すことでやわらかく、とろりとした食感に。
米・小麦粉料理
米・小麦粉料理
お赤飯やおこわなどの米料理、蒸しパンや花巻などの小麦粉料理…せいろは主食をつくるのも得意です。
中華そばの麺を使った蒸しそばなど、いつものメニューをヘルシーに仕上げることもできます。
卵料理
卵料理
定番の茶碗蒸しやプリン、蒸しキッシュなど、卵料理をなめらかにおいしく作ることができるのもせいろならではです。
「ゆで卵」ならぬ「蒸し卵」も人気。塩を乗せたキッチンペーパーにくるんで蒸すと、爆発する心配もなくほんのり塩味の卵が楽しめます。

せいろのお手入れ方法

洗浄してしっかりと乾燥させてから保管します。

洗浄

ほとんど汚れていない場合…固く絞った濡れ布巾で拭く程度でかまいません。
汚れたと感じる場合   …お湯で流しながらたわしでこすって汚れを落とします。
油でひどく汚れた場合  …洗剤を使用してもかまいませんが、洗剤成分をよくすすいで洗い流します。

乾燥・保管

洗い終わったせいろは清潔な布で拭き、風通しのよい場所でしっかりと乾かしてからしまいます。
保管はシンクの下など湿気の多い場所を避け、乾燥した場所で。ビニール袋などに入れて密封するとカビの元になりますので、やめましょう。

おすすめのせいろサイズは?

おすすめのせいろサイズは?

直径21㎝程度のものが2人分にちょうど良いサイズだといわれています。
量が増えた場合は段を追加することもできますが、小さなサイズだと入らない器もあるため、使いたい器の直径を考えてサイズを選ぶのがよいでしょう。

せいろの場合、「大は小を兼ねる」ので、迷った場合は大きめのサイズを購入することをおすすめします。

「蒸し板」でお家のお鍋とぴったりに
せいろに対して手持ちの鍋が小さい場合、せいろがはみ出してしまいうまく蒸気が上がらず、焦げる原因にもなります。
購入したせいろと鍋のサイズが合わない時は、「蒸し板」というアイテムを使うことで焦げつきや蒸しムラを防ぐことができます。

せいろ活用!かんたん蒸し料理レシピ

せいろの特徴を活かした、シンプルでおいしいレシピをご紹介します。
慣れたら二段使い、三段使いをして、せいろ料理を思いきり堪能する献立も楽しめますよ!

豚肉と野菜のせいろ蒸し

とにかく手軽なのに見栄えのする一品。
鍋に飽きたら同じ材料でせいろ蒸しはいかがでしょうか?
小さなせいろで一人前を作れば、おもてなしにもぴったりです。
材料2人分
調理時間30

豚肉と野菜のせいろ蒸し

 材料

・豚肉(しゃぶしゃぶ用)
200g
・カボチャ、にんじん、カブ、ブロッコリー、じゃがいも、きのこなど
合わせて400g
・好みのつけだれ

 つくり方

1
豚肉に塩(分量外)をふります。
2
カボチャやニンジンは1㎝ほどの厚さに切り、カブやじゃがいもは一口大のくし形に切ります。
3
鍋に湯を沸かします。
4
せいろにクッキングペーパーを敷き、豚肉、じゃがいも、にんじんなど火の通りにくい野菜を置いて蓋をします。蒸気の上がった鍋にのせて中火で蒸します。
5
6分後にカブやブロッコリーなど火の通りやすい野菜を加えます。
6
3分ほど蒸して、好みのたれを添えればできあがりです。

しっとり蒸し鶏

せいろで作る蒸し鶏は、ジューシーでやわらかに仕上がるのが特徴。
このレシピではモモ肉を使っていますが、むね肉でもしっとりおいしく仕上がります。長ネギで作るたれをかけて。
材料4人分
調理時間25

しっとり蒸し鶏

 材料

・鶏モモ肉
2枚
・塩
小さじ1/2
・日本酒
小さじ2
・長ネギ(青い部分)
1本分
・しょうが
親指大
・長ネギ(白い部分)
1本分
☆ごま油
小さじ4
☆塩
適量

 つくり方

1
鶏肉に塩と酒をまぶします。しょうがは薄くスライスします。
2
せいろにクッキングペーパーを敷き、長ネギとしょうがを敷いた上に鶏肉をのせます。
3
鍋にお湯を沸かし、蒸気が上がったら2のせいろをのせ、10分蒸します。
4
長ネギをみじん切りにしてごま油、塩を混ぜたものを3にかけ、さらに5分ほど蒸してできあがりです。

残りごはんで!ご馳走きのこ飯

余った冷やごはんの活用法として、せいろで作る混ぜご飯はいかがですか?
ふっくらホカホカに蒸しあがった混ぜご飯は、とても冷やごはんから作ったとは思えない味わいです。
材料2人分
調理時間30

残りごはんで!ご馳走きのこ飯

 材料

・ご飯
400g
・豚肉
100g
・まいたけ、しめじなどのきのこ
50g
・ニンジン
1/2本
・長ネギ
1/2本
・栗、桜エビなどお好きな具材
適量
☆醤油
小さじ1
☆ごま油
小さじ1
☆オイスターソース
小さじ1/2
☆塩
ひとつまみ

 つくり方

1
きのこは石づきをとり、一口大に切っておきます。豚肉は一口大に切り、ニンジンはせん切り、長ネギはみじん切りにします。
2
ご飯にすべての材料と☆を混ぜ、クッキングペーパーを敷いたせいろの上にのせます。
3
鍋に湯を沸かし、蒸気が上がったら2のせいろをのせて中火で12分蒸してできあがりです。

せいろについてのQ&A

せいろを洗うときに洗剤を使ってもいいですか?
せいろは基本的にはお湯で洗いますが、ひどい油汚れがあった時には洗剤を使っても構いません。洗剤の成分がせいろに残るとカビや料理ににおいがつく原因となりますので、洗剤を使った場合はよくすすぎましょう。
カビが生えてしまった時の処置を教えてください。
熱湯をかけて消毒したあと、しっかり乾燥させてから紙やすりでこすり落とします。
せいろの保管はどうしたらよいのでしょうか
保管場所は湿気のたまらない場所を選びましょう。キッチンの上部で風通しのよい場所が理想です。棚や引き出しの奥にしまい込むよりは見せる収納でキッチンに出しておく方がカビも生えづらく、手軽に使えます。
せいろを長く使うためのコツを教えてください。
とにかく焦がさないことが大切です。大きさの合った鍋を使う、蒸し板を活用するなどのほか、蒸している最中にお湯がなくならないように注意してください。
中華せいろと和せいろは重ねて使うことができますか?
中華せいろと和せいろは形状が異なり、重ねて使うことはできません。

おすすめのせいろ

かわしま屋おすすめの商品をご紹介いたします。




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この記事を書いた人

パン作りと温泉をこよなく愛する2児の母。老後は伊豆で大きな犬と暮らすのが夢です。豆乳が好き、猫は苦手。