亜麻仁油とえごま油はどっちがいいの?詳細な違いを一覧表で解説
記事の監修

影山敦久
管理栄養士、栄養教諭。子どもからお年寄りまで幅広い年代の方に栄養指導や料理教室を行うかたわら、特定保健指導にも携わる。得意分野はダイエットとスポーツ栄養。
「亜麻仁油とえごま油、どちらの方が身体にいいの?」
「オメガ3が体に良いと聞いたけど、どのように摂取したら良いんだろう?」
「どの食材にオメガ3は豊富に含まれているんだろう?」
「1日にどのくらいの量を摂取したら良いんだろう?」
「オメガ3を摂取するときの注意点があれば知りたい」
このように考えていませんか。
それでは早速これらの疑問にお答えしていきましょう。
亜麻仁油とえごま油どっちがいいの?違い一覧表

比較項目 | 亜麻仁油 | えごま油 |
原材料 | 亜麻(フラックス)の種子 | えごま(シソ科)の種子 |
歴史・用途 | 食用のほか、インクや塗料など多用途に活用されている |
平安時代から灯明油として使われ、現在は香料や工業用途にも利用されている
|
オメガ3含有量 | 100gあたり約56.63g(文部科学省データ) | 100gあたり約58.31g(文部科学省データ) |
その他成分 | リグナンやビタミンKを含み、抗酸化作用が期待されている | ビタミン類や脂肪酸のバランスに優れ、栄養価が高い |
主な効果 | ホルモンバランスの調整、美容サポートが目的の人に適している |
高血圧や認知機能低下の予防など、健康維持を目的とする人に選ばれている
|
味・香り | ナッツのような香ばしさがあり、風味がやや強め |
草のような軽やかな風味で、口当たりがさっぱりしている
|
酸化リスク | 開封後の酸化が早く、風味や香りが変化しやすいため保存に注意が必要 |
酸化によって独特のにおいが出るため、新鮮なうちに使い切ることが推奨される
|
おすすめの使い方 | 加熱せずにサラダやヨーグルト、スムージーなどに加えるのが適している |
冷奴や納豆にかけるなど、常温料理に手軽に取り入れやすい
|
ここでは亜麻仁油とえごま油の詳細な違いを見ていきましょう。
材料の違い
まず、原料となる植物の違いから見ていきましょう。亜麻仁油は「亜麻(フラックス)」という植物の種から採れる油で、古代からヨーロッパや中東で食用・工業用に用いられてきました。実際、亜麻仁油は食べ物として利用されるほかにも、インクや塗料といったさまざまな用途に活用されてきた背景があります。
一方で、えごま油はシソ科の植物「えごま」の種子から搾られます。日本では古くから親しまれており、えごま油の歴史は平安時代初期にまでさかのぼり、当時は灯明油として利用されていたと言われています。現代でも塗料や香料など、用途の幅は亜麻仁油と同様に多岐にわたります。
成分の違い
亜麻仁油とえごま油には、人間の体内で生成ができず、食品からの摂取が必要となる「オメガ3脂肪酸(α-リノレン酸)」が豊富に含まれているという共通点があります。となると、「亜麻仁油とえごま油では、どちらに多くオメガ3が含まれているのか」気になるところですよね。
文部科学省の食品栄養データベースによると、100gあたりに含まれるオメガ3脂肪酸(n-3系多価不飽和脂肪酸)の量は、亜麻仁油が56.63g、えごま油が58.31gと、えごま油の方がわずかに多いことがわかっています。飽和脂肪酸・多価不飽和脂肪酸・ビタミンKなど、亜麻仁油の方が多く含んでいる成分も一部ありますが、実のところ成分構成には大きな差はないといえるでしょう。
効果の違い
両者に共通するのは、α-リノレン酸による血液サラサラ効果や、中性脂肪の低下、脳機能サポートなど健康面での働きです。ただし、亜麻仁油には「リグナン」というポリフェノールの一種が含まれており、抗酸化作用やホルモンバランスの調整が期待されています。女性ホルモンに似た働きをするとされ、美容目的で選ぶ人には亜麻仁油が支持される傾向があります。
一方で、えごま油は生活習慣病の予防、特に高血圧や認知機能の低下防止など、年齢に応じた健康管理を意識する方に人気です。成分的に大きな差はないものの、求める効果によって使い分けるのが賢い選び方でしょう。
味の違い
味や香りに関しては、亜麻仁油の方がえごま油よりも風味がやや強く、ナッツのような香ばしさがあるのが特徴です。一方で、えごま油は青みがかった爽やかな風味を持ち、クセが少ないと感じる人も多いでしょう。
ただし、どちらの油も酸化が進むと風味が急激に悪化し、独特のニオイが出てきます。亜麻仁油・えごま油のどちらであっても、不快な香りがした場合は無理に口にせず、品質劣化を疑うようにしてください。
生食に適したオイルなので、サラダ、冷奴、スムージー、ヨーグルトなどにそのままかけるのがおすすめです。温度が高すぎると酸化が進みやすくなるため、加熱調理には向いていません。


亜麻仁油とえごま油に含まれるオメガ3とは?

オメガ3とは、多価不飽和脂肪酸の1つで、別名、必須脂肪酸と呼ばれています。
成分としてはDHA(dha)やEPA(epa)、α-リノレン酸などを指します。
このオメガ3を毎日適量を摂取することによって、精神障害に対する効果や脳の発達、抗炎症効果や美肌効果に期待できるとされています。
食品の中には亜麻仁油・えごま油、青魚などに多く含まれています。
オメガ3の効果については下記の記事に詳細に説明していますので、気になる方はぜひご覧ください。

そんな体にうれしいオメガ3ですが、実は人間の体で合成できない成分です。
そのためオメガ3を補っていくには、オメガ3の入った食事を毎日摂り続ける必要があります。
しかし、日本人は食事が欧米化(肉食化)したことにより、オメガ3摂取量が足りないんだとか。
であれば、今の食生活を肉食から変えよう!と決意はしても実際にずっと魚中心の食事を意識し続けることは難しいですよね。
そこで無理なくオメガ3を摂取したいときにおすすめなのが亜麻仁油とえごま油です。
オメガ3の摂取には亜麻仁油とえごま油がおすすめ!
亜麻仁油とえごま油にはオメガ3が多く含まれている
日々の食事で補っていくしかない、オメガ3。
そんなオメガ3が多く含まれている食品と含まれる量はこちら。
食品名 | 100gあたりのオメガ3の量 |
---|---|
亜麻仁油 | 56g |
えごま油 | 58g |
チアシード | 17g |
種実類/くるみ/いり | 8g |
まぐろ | 1g |
表を見ると亜麻仁油とえごま油にはオメガ3が非常に多く含まれているのが分かりますね。
亜麻仁油とえごま油ならオメガ3を余すことなく効果的に摂取できる
オメガ3を毎日摂取するのに亜麻仁油とえごま油をおすすめするのはもう一つ理由があります。
実は魚などでオメガ3を摂ろうとした場合、上の表のオメガ3の量は実際には取れていないかもしれません。
オメガ3は熱に弱い性質のため、加熱調理するとオメガ3などの成分が流出してしまいます。
さらに魚などは季節によっても大きくオメガ3などの成分量がかわります。
そのため魚でオメガ3をとるなら、刺身で食べるなど加熱しないでとること、旬の青魚をつかうこと、が大事なのです。
しかし毎日刺身を食べ続けるというのはかなり厳しいお話。
18~29歳の1人あたりのオメガ3目安摂取量は1日あたり1.48gとされています。亜麻仁油やえごま油であれば、一日小さじ1杯で4gのオメガ3が取れるので楽に効果的に続けられます。
オメガ3を効果的に食べる方法

オメガ3を効果的に食べるポイントとしては先述のように亜麻仁油やえごま油をメインに食事でとること。さらにオメガ3サプリメントも要所でつかうのもおすすめ。
オメガ3サプリメントの選び方

オメガ3サプリメントの選び方としては、オメガ3以外にもビタミンなどの他の栄養成分が追加されていること、酸化しやすいオメガ3の成分の品質管理が徹底されている可能性の高いGMP(注)という厳しい国内基準を通ったものを選ぶようにすると良いでしょう。
保存方法としては、酸化を防ぐために常温ではなく冷蔵庫保管にします。
注:GMP…製造管理や品質管理について、厚生労働省令によって厳格に定められた基準のこと
参照:東京都健康安全研究センター
サプリメントでオメガ3を摂取するときの注意点や摂取量
授乳中や妊娠中の場合では、血液をサラサラにする薬を飲むことがあります。
そのような場合では、サプリメントでオメガ3を摂取すると、処方されている薬によっては悪影響を及ぼす可能性がありますので、かかりつけの医師に確認すると良いでしょう。
また、魚や甲殻類に対してアレルギーがある方も注意します。
仮に摂取しても問題無いとされた場合でも、記載された摂取目安量以上は摂らないようにしましょう。
さらに、オメガ3サプリメントをとる際に問題になるのがサプリメントの価格の高さです。
毎日続けると金銭的な負担になってしまう可能性もあります。
そこで、サプリメントは外食先などでとるなどスポットで活用する立ち位置でもっておき、普段は食事に亜麻仁油やえごま油をちょい足しするスタイルをおすすめ致します。
オメガ3たっぷり亜麻仁油やえごま油はオメガ6とバランスよく摂るとさらに効果的に
オメガ3を摂りたいあまりに、亜麻仁油やえごま油、オメガ3サプリだけを食べるのはやめましょう!
オメガ6(グレープシードオイルやコーン油、大豆油などに含まれています)脂肪酸もオメガ3とバランスよく取り入れることでそれぞれの効果が発揮できます。
必須脂肪酸であるオメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸の摂取比率4:1を目標にしましょう。
味のクセが少なく酸化に強い!
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オメガ3たっぷりの亜麻仁油とえごま油の選び方

選び方1.オメガ3が失われない製法かどうか
亜麻仁油やえごま油は熱に弱いので、コールドプレス製法(低温圧搾法)で搾られたものを選んでください。
コールドプレス製法(低温圧搾法)とは30度以下の熱におさえて圧力をかけながらゆっくり搾油する方法のことです。
原料の栄養を最大限に油にできるので、オメガ3を逃さず摂取できます。
また、化学溶剤を使わず物理的に圧搾されたものの方が安心です。
さらに、このような製法で作られた亜麻仁油やえごま油はえぐみや臭みが少ないので、美味しく召し上がれます。
選び方2.オメガ3が劣化しない容器かどうか
亜麻仁油やえごま油は酸化しやすいので、すぐに劣化が始まってしまいます。
劣化を防ぐためには、入っている容器が遮光性のあるものがおすすめです。
そうすることで最後まで安心してお使いになれます。
ぜひこの2つのポイントをクリアした亜麻仁油やえごま油を試してみてくださいね。
亜麻仁油・えごま油のおすすめレシピ

お子様にも!亜麻仁油コールスローサラダ
必要な道具
- ボウル
材料
- キャベツ 3 枚
- 人参 1/3 本
- コーン缶 1 缶
- ハム 2 枚
- マヨネーズ 大さじ 2
- すりごま 大さじ 1/3
- 塩 ひとつまみ
- 砂糖 小さじ 1
- 酢 大さじ 1
- 亜麻仁油 小さじ 1
作り方
- キャベツ、人参を千切り、ハムは5mm幅に切ります。コーンは汁気を切っておきます。
- 野菜は千切りにしたあと塩水にひたしてしんなりさせ、ざるで切り、ペーパータオルで水気をとります。
- 調味料をボウルで混ぜ合わせます。
- 調味料を混ぜたボウルに水気を切った野菜とコーン、ハムを加えて全体を混ぜ合わせ、最後に亜麻仁油を回しかけたら完成です。

亜麻仁油と小松菜のスムージー
材料
- 小松菜 1 束
- バナナ 1/2 本
- 牛乳 120 cc
- 亜麻仁油 小さじ 1
作り方
- 小松菜をざく切りにし、バナナは2cm幅程度に切っておく。
- 小松菜、バナナ、牛乳をミキサーに入れて攪拌する。
- 最後に亜麻仁油を入れて混ぜる。
動画

亜麻仁油と塩昆布とえだまめのおにぎり
必要な道具
- ボウル
材料
- 白ご飯 2 杯
- 塩昆布 大さじ 1
- えだまめ 20 さや
- 亜麻仁油 小さじ 1
作り方
- ボウルに白ご飯、亜麻仁油、えだまめ、塩昆布を入れて混ぜます。
- 全体がよく混ざったら形を整えて握り、完成です。

亜麻仁油とドライフルーツのヨーグルト
材料
- 亜麻仁油 小さじ 1
- お好みのドライフルーツ ひとつかみ
- ヨーグルト 150 g
- オートミール 大さじ 2
作り方
- ヨーグルトにオートミールお好みのドライフルーツと亜麻仁油をかければ完成です。
コツ・ポイント

玉ねぎ酢とえごま油のドレッシング
材料
- 玉ねぎ酢 大さじ 1
- 醤油 大さじ 1
- えごま油 大さじ 1
- 塩コショウ 少々
作り方
- 小さな器に材料を全て合わせて混ぜます。
- キャベツやレタスなどの葉物野菜、トマトやキュウリなど お好みの野菜を合わせたサラダに回し掛けてお召し上がりください。

えごま油の生味噌おにぎり
材料
- ご飯 茶碗3 杯分
- 味噌 小さじ 2
- えごま油 小さじ 2
- いりごま 大さじ 2
- 海苔 3 枚
作り方
- ご飯に味噌、えごま油、いりごまを混ぜます。
- 握って海苔を巻いたら完成です。
味のクセが少なく酸化に強い!
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亜麻仁油とえごま油についてのQ&A
- 亜麻仁油とえごま油ではどちらが体にいいですか?
- 亜麻仁油もえごま油も、体に良いとされるオメガ3脂肪酸を豊富に含んでいます。亜麻仁油には、女性ホルモンの働きを整える効果があるとされています。一方、えごま油はアレルギーの抑制などに役立つと言われています。
- 亜麻仁油とえごま油の違いは何ですか?
- 亜麻仁油とえごま油はどちらもオメガ3脂肪酸を豊富に含んでいますが、いくつかの違いがあります。
亜麻仁油はアマ科の植物から、えごま油はシソ科の植物から抽出されます。亜麻仁油にはリグナンというポリフェノールが含まれており、更年期障害の改善や骨粗しょう症の予防などの効果が期待されています。一方、えごま油にはルテオリンとロズマリン酸というポリフェノールが含まれており、強い抗炎症作用や抗酸化作用があります。
また、味にも違いがあります。亜麻仁油は苦味があるため食べにくいと感じる人もいます。えごま油の場合は、やや魚臭いと感じる人がいるようです。含まれる成分や味の好みを考慮して選ぶと良いでしょう。
- オメガ3を摂取すると副作用がありますか?
- オメガ3の過剰摂取は出血を促進させるという報告もありますので、あくまで適量の摂取を心がけましょう。
- オメガ3を摂取すると筋トレに効果がありますか?
- まだまだ研究段階ですが、オメガ3を摂ると筋肉量の低下を遅らせる可能性があると言われています。
- オメガ3を摂取するとアトピーが改善しますか?
- オメガ3を摂ってもアトピーが治るわけではありませんが、アレルギーの緩和が期待できると言われています。
- オメガ3サプリメントを飲むタイミングは、いつが良いですか?
- オメガ3サプリメントは、基本的には、食事の際に忘れず飲むようにすると良いでしょう。
- オメガ3を摂取すると、脳に影響して頭が良くなりますか?
- オメガ3を摂取しても頭が良くなるわけではありません。ただ、認知機能の改善に寄与する可能性があると言われています。
●管理栄養士からのコメント
オメガ3脂肪酸は、女性に嬉しい美肌効果やアンチエイジングにも期待できます。
日々の食生活において積極的に摂取していきたい成分ですが、摂り過ぎは脂肪の蓄積につながりますし、健康を損なう原因になってしまいます。
毎日適量を摂取していくことが、オメガ3の効果効能が得られる条件です。
さらに、オメガ3は健康効果が期待できる反面、とてもデリケートな成分です。
加熱や光に当たることで酸化してしまうため、加熱せずに摂取すると栄養素を損なうことなく体に吸収することができます。
人間の体にとって必要不可欠な「必須脂肪酸」をしっかり摂取するために、原料にはこだわりたいもの。
余計な添加物の入っていない「有機」の表示がある商品を選ぶことで、体や心を健やかに保ってくれるきっかけになります。
ぜひ、毎日の生活に摂り入れてみてはいかがでしょうか。

管理栄養士プロフィール
◎影山敦久
管理栄養士、栄養教諭。子どもからお年寄りまで幅広い年代の方に栄養指導や料理教室を行うかたわら、特定保健指導にも携わる。得意分野はダイエットとスポーツ栄養。
かわしま屋おすすめの油
オメガ3脂肪酸を豊富に含み、ドレッシング・スムージーなど幅広い料理に役立てることのできる亜麻仁油とえごま油を取り扱っています。ぜひチェックしてみてください。

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