麦茶の効能と栄養|飲みすぎるとデメリットがある?アレルギーは?

記事の監修
管理栄養士
稲尾 貴子
管理栄養士として病院や保育園に勤務した経験があります。延べ1万人以上の栄養指導実績があり、得意分野は糖質制限や塩分制限、減量などの栄養サポートです。パン作りが趣味の2児の母です。食欲旺盛なこども達のためにパンを作り始めたところ、パンの奥深さに魅了されています。

管理栄養士:稲尾貴子
麦茶

夏の飲み物としてまず思い浮かぶ人も多いであろう、麦茶。
実は、様々な健康効果があり、季節を問わず摂りたい飲みものなんです。ただし、体にいいからといって飲みすぎは禁物。この記事では、麦茶の効能や栄養、デメリットのほか作るときのコツなどについて解説します。

麦茶とは

麦茶とは

麦茶は、焙煎した大麦の種子を煮出したり、水に浸して作るお茶です。冷たい麦茶は、夏の風物詩と言えるほどメジャーな飲み物。平安時代から麦湯としても親しまれていた麦茶は、飲みやすいだけでなく、たくさんの健康効果を期待できる飲み物です。

麦茶の効果・効能

麦茶の効果・効能

ミネラル分が豊富な麦茶には、水分補給としての役割だけでなく、様々な健康効果があります。夏だけでなく、通年飲みたくなるような麦茶の効果効能をご紹介します。

抗酸化作用

麦茶に含まれるポリフェノールには、抗酸化作用があることが証明されています。緑茶やコーヒーよりも抗酸化作用は穏やかですが、年代や時間帯を問わずに飲める麦茶に抗酸化作用が期待できるのは魅力的ですね。

参考:「麦茶の抗酸化性と抗酸化成分」

胃の粘膜保護

麦茶には、胃の粘膜を保護する作用があります。夏バテで胃の不快感を覚えた時には、キンキンに冷えた麦茶ではなく、ぬるめの麦茶で胃腸を労わってあげるのがおすすめです。

参考:「オオムギ縞萎縮病抵抗性を有し,稈の折損が発生しにくい麦茶用六条オオムギ新品種「カシマゴール」の育成」

血流改善

麦茶の香り成分である「アルキルピラジン」には、血流を改善する作用が報告されています。血流の低下は、血圧上昇や血栓などの原因となります。健康的なサラサラ血のために、麦茶の常飲を始めてみましょう。

参考:「麦茶の血液流動性向上作用」

虫歯予防効果

麦茶の元となる焙煎大麦には、虫歯の原因となるミュータンス菌や、微生物の生成、固着を予防する働きがあります。香ばしさや甘さがあり飲みやすい麦茶は、子供にも飲みやすいお茶です。虫歯予防の一環としても、ぜひ活用したいものです。

参考:「Effect of Barley Coffee on the Adhesive Properties of Oral Streptococci」

健康のための習慣に無農薬の国産麦茶

麦茶の栄養

麦茶の栄養

麦茶には、汗をかいた時に不足するナトリウムやカリウムといったミネラルが含まれています。骨や歯の構成成分となるカルシウムとリン、皮膚や粘膜の健康維持を補助する亜鉛などのミネラルも含まれています。

麦茶100gあたりの栄養成分
水分99.7g
炭水化物0.3g
ナトリウム1mg
カリウム6mg
カルシウム2mg
リン1mg
亜鉛0.1mg
エネルギー1kcal
糖質0.3g
参考:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
※浸出法: 麦茶 50 g/ 湯 1500 mL、沸騰後 5 分放置

500mlペットボトル1本分の麦茶を飲んだ場合、カロリーは5kcal、糖質は1.5gです。麦茶の原料となる大麦には、グルテンも含まれていないため、食生活に気を配っている方も安心して飲めます。


麦茶にカフェインは含まれている?

麦茶にカフェイン

以下のグラフからもわかる通り、麦茶はノンカフェイン飲料の代表です。そのため、赤ちゃんも飲むことができます。飲みやすい濃さや温度に調節して、母乳やミルクを飲む量に影響が出ない範囲で飲ませてあげましょう。

カフェイン量の比較

参考:「北海道立消費生活センター お茶のカフェインはどれくらい?」

妊娠中の麦茶の摂取はOK?

麦茶にはカフェインが全く含まれていないため、妊娠中に飲んでも問題ありません。妊娠中はむくみやすいので、一気にたくさん飲むのではなく、こまめに少しずつ飲むことを心がけましょう。ただし、お腹を冷やすのは避けたいので、麦茶の冷やしすぎには注意が必要です。

麦茶作りのワンポイント

麦茶作りのワンポイント

ペットボトル飲料としても様々な麦茶が販売されていますが、毎日飲むとなると家で作る方が経済的。手軽に作れる麦茶ですが、風味の好みや飲む場面によって一工夫すれば「我が家オリジナル」の麦茶にすることもできるのです。

水出し麦茶と煮出し麦茶の違い

水出しと煮出しでは、栄養素に大きな違いは出ません。しかし、香り成分「アルキルピラジン」は、煮出しの方が活性化します。コクのある麦茶がお好みであれば、煮出すのがおすすめです。
しかし、日持ちは水出しの方が優れています。煮出す際は、氷水や流水で急激に冷やし、菌の繁殖を防ぐことが重要です。どちらの方法で作るにせよ、冷蔵庫に保存して早めに飲み切りましょう。

スポーツドリンクがわりに「麦茶+砂糖」

運動後や疲れたときにおすすめなのが、「砂糖麦茶」です。汗で失ったミネラルと、エネルギーに変わる糖分を同時に補給できる飲料になります。麦茶1Lあたり大匙1杯の砂糖が目安です。

熱中症対策に「麦茶+塩」

昨今の猛暑では、水分だけ補給しても塩分が不足してしまう可能性があります。そんな季節には、麦茶1Lあたり1~2gの塩を加えた「塩麦茶」もおすすめです。塩味が気になる方は、少し砂糖を足して味を調節してみましょう。塩分も糖分も摂りすぎには注意が必要ですが、炎天下で活動する際にはおすすめです。麦茶と塩分の組み合わせは、東京都も推奨する熱中症対策の一つです。

参考:高齢者のための熱中症豆知識

オリジナル麦茶作りにもおすすめ

麦茶の飲みすぎは健康に悪い?デメリットやアレルギーは?

麦茶の飲みすぎは健康に悪い?

麦茶にデメリットはある?

こまめな水分補給として麦茶を飲むことに、デメリットはありません。水と同様に、一気に大量に飲んだり、飲みすぎたりすると、むくみの原因となります。
また、夏場に注意したいのが、キンキンに冷やした麦茶を飲むことです。麦茶の原料である大麦には、身体を冷やす効果があります。そのため、氷を入れた冷たい麦茶をたくさん飲むと、身体が芯から冷えきってしまうのです。
暑い日の外出などキンキンに冷えた麦茶が飲みたいときは、ガブガブ飲むのではなく少量にとどめましょう。

小麦アレルギーでも麦茶は飲める?

大麦にはグルテンが含まれていないため、小麦アレルギーでも麦茶を飲める人は多いと言われています。しかし、重度のアレルギーや今まで一度も麦茶を飲んだことがない場合は、必ず医師に相談をしてから飲むようにしましょう。

参考:食物アレルギー研究会

麦茶についてのQ&A

水出し麦茶と煮出し麦茶ではどちらのほうが安全ですか?

水出しの方が細菌増殖ペースが遅いという検証結果があります。煮出した場合は、氷水や流水で急激に冷やして菌の繁殖を防ぎましょう。どちらの方法で作っても、冷蔵庫に保存して早めに飲みきるようにしてください。

麦茶の飲みすぎはよくないですか?

水分補給として麦茶を飲むことにデメリットはありませんが、水と同様に、一気に大量に飲んだり、飲みすぎたりすると、むくみの原因となりますので注意してください。

麦茶にむくみをとる効果はありますか?

麦茶にはカリウムが含まれているため、穏やかな利尿作用があります。そのため、むくみ解消効果も期待できるでしょう。

麦茶は小麦アレルギーでも飲めますか?

麦茶を作るのに使う大麦にはグルテンが含まれていません。そのため、小麦アレルギーでも麦茶を飲める人は多いと言われていますが、今まで一度も麦茶を飲んだことがない場合は医師に相談をしてから飲むようにしてください。

一般的な麦茶は赤ちゃんが飲むのに適していませんか?

麦茶にはカフェインが含まれないため、成分としては赤ちゃんが飲んでも問題ありません。苦味を感じる可能性があるため、お湯で薄めてあげると飲みやすくなります。飲ませるのは、母乳やミルクの摂取に影響が出ない量に留めましょう。

管理栄養士からのコメント

ノンカフェインで利尿作用のない麦茶は、夏の水分補給には欠かせない存在です。煮出し麦茶は麦茶特有の風味が良いですし、水出し麦茶はお湯を沸かす手間がないので手軽です。水出し麦茶はカルキ臭が残ってしまいますが、冷蔵庫で冷やせば匂いは少し和らぎます。
夏場は特に、こまめな水分補給が大切です。だからといって、清涼飲料水やスポーツドリンクばかりで水分補給をしていると、糖分の摂りすぎが原因で喉が異常に乾き、さらにがぶ飲みしてしまうと悪循環です。急性糖尿病を発症する危険もあります。
炎天下での作業後など、多量に汗をかいた場合を除いては、水分補給の中心はあくまでも水や麦茶とすることをおすすめします。

管理栄養士:稲尾貴子

管理栄養士プロフィール

稲尾 貴子

公式サイト

管理栄養士として病院や保育園に勤務した経験があります。延べ1万人以上の栄養指導実績があり、得意分野は糖質制限や塩分制限、減量などの栄養サポートです。パン作りが趣味の2児の母です。食欲旺盛なこども達のためにパンを作り始めたところ、パンの奥深さに魅了されています。

かわしま屋おすすめの麦茶

かわしま屋で販売している麦茶は、国内産の有機大麦を使用。すっきりとした飲み口で、どこか懐かしい飽きのこない味です。夏はアイス、冬はホットでお楽しみいただき、毎日の習慣に取り入れてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

コンテンツ、写真撮影担当。暇があったらキッチンで発酵食品や保存食品を作ったり、写真を撮ったりしています。趣味は一人で映画に行くこと。