大豆の栄養成分は?|乾燥大豆の使い方と大豆のおすすめレシピ
記事の監修
管理栄養士
鶴田ようこ
調理師・管理栄養士。2つの資格を生かし食用油脂製造会社にて品質管理に従事。
菜種油、オリーブ油の品質に関する分析、衛生管理等を行う。
幼い頃から野菜作りの手伝いをしていたことから、季節の野菜料理が得意。
大豆は、そのまま調理されるだけではなく豆腐や納豆などさまざまな食品に加工され、調理法も豊富であらゆる料理に使われます。
また、醤油やお味噌など和食になくてはならない調味料にも加工され、大豆は日本人にはなくてはならない食材の一つです。
そんな大豆には、たんぱく質や食物繊維、カルシウム、ビタミンなど身体を作っていくために必要な栄養素がたくさん含まれています。
特に豊富なのはたんぱく質で、肉に劣らないほどたんぱく質が含まれているということから「畑の肉」と呼ばれるほどです。
大豆の栄養成分
「畑の肉」と呼ばれるほどたんぱく質が豊富な大豆。
その他にも食物繊維や大豆イソフラボン、大豆サポニンなど注目したい栄養素がぎっしり詰まっています。
大豆の栄養成分1 たんぱく質
大豆のたんぱく質は約3割を占めており、他の成分よりも豊富に含まれています。
肉に匹敵するほどのたんぱく質が含まれていますが、肉に比べて低カロリーというのが最大の特徴です。
また、必須アミノ酸がバランスよく含まれていて消化吸収も良いということが分かっています。
大豆の栄養成分2 食物繊維
食物繊維には水溶性と不溶性の2種類あります。
水溶性食物繊維は消化スピードの遅さが特徴で、コレステロールやブドウ糖の吸収を抑える効果があります。
それに対し、大豆に含まれているのは不溶性食物繊維で、腸を刺激し、便の通りを良くしてくれます。
大豆の栄養成分3 イソフラボン
イソフラボンは女性ホルモン「エストロゲン」と似た化学構造と働きをすることがわかっています。
肌の新陳代謝を促し髪のツヤやハリを保ってくれるエストロゲンですが、加齢に伴い分泌量が減少するいわれ、心身のトラブルにつながることも。
そこで、大豆イソフラボンを摂取することにより、エストロゲンの不足に伴うトラブルを改善することができます。
また、大豆イソフラボンが体内で変化して発生する女性ホルモン「エクオール」は、ほてりを緩和したり骨を強くするなど、更年期障害の症状を緩和することがわかっています。
大豆の栄養成分4 サポニン
サポニンは配糖体と呼ばれる物質の一種で、親水性と疎水性の異なる性質が共存するために天然の界面活性作用を示し、水に溶かして混ぜると泡立つ性質があります。
抗酸化作用や免疫力向上などに役立つ成分で、さらに大豆サポニンに含まれるアディポネクチンという成分には脂肪の燃焼を進めてくれる働きもあります。
乾燥大豆の使い方
そのままでは使いにくい乾燥大豆の戻し方
水煮や蒸し大豆はまとめて作っておくと色々な料理に使えて便利です。
基本の大豆の食べ方|大豆の水煮
材料
- 乾燥大豆 300 g
作り方
- 大豆をよく洗い、大豆の3倍以上の水に一晩浸けておきます。
- 戻した豆を水と一緒に鍋に入れ、弱火にかけます。
- アクを取り、弱火で煮ます。
- 50分~1時間ぐらい煮て、好みの硬さになればできあがりです。
圧力鍋を使った蒸し大豆
材料
- 乾燥大豆 300 g
作り方
- 大豆をよく洗い、大豆の3倍以上の水に一晩浸けておきます。
- 大豆をざるに上げ、水を切ります。
- 蒸し皿に大豆を広げるように入れます。
- 圧力鍋に2cmほど水を入れ、蒸し皿を置きます。
- 蒸し皿に足がついていない場合は、耐熱の湯呑などを蒸し皿の下にしいてください。
- 圧力鍋の蓋をして、圧力がかかったら弱火で5分煮、火を消して圧力が下がれば出来上がりです。
コツ・ポイント
煎り大豆(福豆)|手が止まらない!ヘルシーおやつ
材料
- 乾燥大豆 100 g
作り方
- 大豆をよく洗い、一晩水に浸けておきます。
- 大豆をフライパンに入れ、木べらで混ぜながら強火で20分ほど炒ります。
- 大豆が茶色っぽくなってきたら完成です。
コツ・ポイント
その場合は時々様子を見て確認してください。
フライパンを使う方が、焼き色を見ながら煎ることができるのでお好みの煎り具合に作りやすくなります。
大豆のおすすめレシピ
酢大豆
材料
- 乾燥大豆 100 g
- 柿酢 120 ml
作り方
- 大豆をよく洗いざるにあげます。
- 大豆をフライパンに入れ、弱火で20分ほど炒ります。
- 大豆が茶色っぽくなってきたら火を止めます。
- 大豆の粗熱がとれたら密閉容器に入れ、大豆の数cm上まで柿酢を注ぎ蓋をします。
- 1~2日で大豆が膨らんで柿酢から出たら、もう一度柿酢を大豆の数cm上まで足します。
- その後、3日ほど漬けたら完成です。
大豆とひじきの煮物
材料
- 大豆(水煮または蒸し大豆) 150 g
- 乾燥ひじき 18 g
- にんじん 1/2 本
- こんにゃく 1/2 枚
- 油揚げ 1 枚
- だし汁 2 カップ
- しょうゆ(大さじ2) 30 cc
- みりん(大さじ2) 30 cc
- 酒(大さじ2) 30 cc
- 油 少々
作り方
- ひじきを水で戻しておきます。
- にんじんと油揚げを千切りにします。
- 鍋に油を入れ、材料を軽く炒めます。
- 鍋にだし汁を入れ、煮立ったら調味料を入れ弱火で煮ます。
- 10分ほど煮たら完成です。
コツ・ポイント
大豆サラダ
材料
- 大豆(水煮または蒸し大豆) 100 g
- にんじん 1/2 本
- きゅうり 1 本
- レタス 4 枚
- ドレッシングなど
作り方
- きゅうりを薄切りに、にんじんを千切りにします。
- レタスを適当なおおきさにちぎり、きゅうり、にんじん、大豆とお皿に盛り付けます。
- お好みのドレッシングやマヨネーズで和えてできあがり。
大豆の加工食品
大豆はさまざまな食品や調味料に加工され、日本人にはなくてなならない食材です。
さらにアレンジのしやすい食品としていろいろな料理で使われています。
納豆
納豆は、蒸した大豆が納豆菌によって発酵された発酵食品。
発酵することにより大豆に含まれているたんぱく質が分解してうまみ成分に代わり、栄養価も上がることが分かっています。
豆腐
大豆を水に浸けて潰し、煮詰めて絞った汁(豆乳)ににがりを加えて固めたものです。
固まった豆乳を切り分けて水にさらしたものが「絹ごし豆腐」で、固まった豆乳を崩しながら布を敷いた穴あき容器に入れて水分を抜いたものが「木綿豆腐」になります。
豆乳
大豆を水に浸けて潰し、煮詰めて絞った汁。
豆乳から豆腐やゆばなどが作られます。
おから
豆乳を搾った時に残る搾りかす。
「から」は空(から)に通じるとして避けられ、縁起を担いで「卯の花」ともよばれています。
味噌
蒸した大豆に穀物の麹と塩を合わせて発酵させた調味料。
麹で作られる穀物の種類(米、麦、豆)や塩の量、発酵期間の違いなどでさまざまな種類があり、日本各地で伝統的に作られています。
醤油
大豆と小麦を原料に作られた醤油麹に食塩水を加えて発酵させた調味料。
シェアの8割以上を占める「濃い口醤油」と関西でよく使われる「薄口醤油」、とろりとこくのある「たまり醤油」などがあります。
きな粉
煎った大豆の皮をむいて粉にしたもの。
お餅に絡めたり和菓子によく使われ、粉にすることで消化が良くなり、大豆の栄養素を効率的に摂取できるメリットがあります。
枝豆と大豆の違い
枝豆は、大豆の未成熟の状態のものです。
つまり、枝豆を収穫せずそのままにしておくと大豆ができるのです。
ちなみにもやしは大豆を発芽させたもの。
枝豆、大豆、もやしという3段階に変化しています。
栄養面の違いは?
枝豆と大豆は、栄養面で2つの違いがあります。
まず一つ目は、大豆のほうが全体的に栄養成分の量が多いことです。
例えば、たんぱく質は、乾燥大豆100gあたり33g程なのに対し、ゆでた枝豆は11g程と約3倍の差があります。
炭水化物や食物繊維も同様です。
もう一つの違いは、枝豆は大豆よりもβカロチンやビタミンを豊富に含んでいることです。
大豆ではこれらはあまり摂取できません。
カロリーの違いは?
大豆は100gあたり451kcalですが、枝豆は135kcalです。
枝豆は大豆の1/3ほどしかカロリーがありません。
しかしヘルシーに思える枝豆も、必ずといっていいほど塩をかけて食べます。
この塩はむくみの原因にもなるので、塩のかけすぎには注意が必要です。
大豆を食べるときの注意点
食べ過ぎはよくない?適切な摂取量について。
大豆が身体に良いからといっても気を付けなければいけないのは食事の栄養バランスです。
肉や魚の代わりとして豆腐を食べるぐらいなら大丈夫ですが、糖質を制限するために白米の変わりに豆腐ばかりを食べるとたんぱく質を取りすぎてしまうことがあります。
厚生労働省では1日に豆類の摂取は100g程度が望ましいと発表しています。
農林水産省の出す食事バランスガイドでは、大豆製品を使った料理は、肉、魚、卵と合わせて1日に3皿程度と、言われています。
小さな子どもにはよくない?
豆腐は離乳食として与えて良いと厚生労働省は発表しています。
離乳食を食べ始めるのが、大体生後5~6ヶ月ごろからですが、おかゆから始め、その後野菜、豆腐を食べるといいとされています。
しかし、注意が必要なのはアレルギーです。
大豆によって食物アレルギーも発症する可能性があります。
そこで、一口食べさせて様子を見て少しずつ量を増やすようにしましょう。
●管理栄養士からのコメント
大豆は加工品になると、豆腐や納豆、豆乳など手軽に摂取できます。
豆腐は水切りをすれば、豆腐ハンバーグやお肉のかさ増しにも使うことができる他、チーズケーキ等お菓子にもお使いいただけます。
豆腐は冷凍して食感を変えることもできるため、様々な料理に使ってみてはいかがでしょうか。
管理栄養士プロフィール
◎鶴田ようこ
調理師・管理栄養士。2つの資格を生かし食用油脂製造会社にて品質管理に従事。
菜種油、オリーブ油の品質に関する分析、衛生管理等を行う。
幼い頃から野菜作りの手伝いをしていたことから、季節の野菜料理が得意。
大豆についてのQ&A
- 大豆を煮たら硬くなってしまいました。どうすればいいですか?
- 砂糖や塩を入れて煮ると浸透膜の作用で水分が外に出て硬くなってしまいます。
大豆が柔らかくなるまで味付けをせずに煮てください。
味付けをしてしまった場合は煮汁を一旦捨てて、水だけで煮直したらある程度柔らかくなります。
- 大豆アレルギーの人でも食べられる大豆製品は?
- 醤油や味噌については、発酵の過程でアレルゲン性が低下するため、食べられる方が多いといわれています。
医師に確認してください。
- 犬に大豆を食べさせてはいけないというのは本当ですか?
- 生の大豆に含まれるトリプシン・インヒビターという物質は、哺乳類の消化不良・下痢などの原因になるといわれています。
生の大豆は与えないようにしましょう。
- 大豆イソフラボンは男性が摂っても大丈夫ですか?
- 大豆イソフラボンの1日の最大摂取量は、男性の場合も75mgとなっています。
- 大豆を食べ過ぎたときの害について教えてください。
- 大豆は消化しにくい食材で、食べ過ぎると胃腸を壊す恐れがあります。
また、大豆には利尿作用がありますが、腎炎を患っている方の腎臓には負担になるため、過剰に摂取しないようにしてください。