紅茶の種類と種類別美味しい紅茶の入れ方
記事の監修
管理栄養士
影山敦久
管理栄養士、栄養教諭。子どもからお年寄りまで幅広い年代の方に栄養指導や料理教室を行うかたわら、特定保健指導にも携わる。得意分野はダイエットとスポーツ栄養。
紅茶にカフェインは入っているの?
紅茶の種類について、ダージリンやアッサムは聞いたことがあるけど、他にどのような種類や特徴があるんだろう。
あわせて、紅茶の正しい入れ方や健康効果も知りたいと考えていませんか。
本記事では下記について解説します。
紅茶とは?
紅茶とは、ツバキ科に属する、カメリアシネンシスという葉や芽から生産されます。
世界20カ国以上で作られており、別名発酵茶と呼ばれています。
葉に含まれる酸化酵素の効果で、茶葉自体を発酵させることによって作ることが出来ます。
製造方法としては、下記の流れになります。
- ①萎凋(いちょう):茶葉を20時間程度日陰に干して、しおれさせます。
- 生産性を上げるために温風を当てて、10時間程度で仕上げることもあります。
- ②揉捻(じゅうねん):茶葉をしっかりともんで、葉の細胞を破壊します。
- そうすると、酸化酵素が空気に触れることで、細胞内にある酸化酵素の働きをきちんと引き出すことができます。
- ③発酵:湿度90%以上で約25度の醗酵室で発酵させます。
- 茶葉に含まれているビタミンCや葉緑素は分解されますが、カテキン類が紅茶独特の色を呈するテアルビジンやテアフラビンが生成されます。
- ④乾燥:発酵した茶葉は加熱することで乾燥させ、水分が4%前後の赤黒い色の製品が出来上がります。
緑茶やウーロン茶との違いって?
緑茶とウーロン茶と紅茶は、もともと同じ葉から出来上がります。
違いとしては、製造方法によります。
緑茶は、不発酵茶と呼ばれ、茶葉を蒸気で蒸したり、釜で炒ることで茶葉に含まれているポリフェノールオキシダーゼやアスコルビナーゼ、クロロフィラーゼなどの酸化酵素の働きを止めることで、発酵せずに茶葉が緑色のままです。
緑茶の種類としては、玉露などの日本茶や抹茶、ほうじ茶や番茶などがあります。
一方、ウーロン茶は半発酵茶と呼ばれており、茶葉を日に当てた後に発酵させますが、その発酵の途中で釜で炒って、酸化酵素の働きを止めたあとに乾燥させて出来上がります。
ウーロン茶は中国の南部や台湾で生産されています。
また、中国のプーアール茶や日本茶の阿波番茶、岡山の玄徳茶などは、嫌気性のバクテリアや好気性のカビを利用して作られています。
紅茶の種類
紅茶の種類は産地によって、主に5つに分けることができます。
順番に解説していきます。
アッサム
インドの北東に位置するアッサム平原は、雨の量が多いため世界でもトップクラスの紅茶の産地になります。
4月から11月頃までが一番の生産時期です。
コクや深みのある味わいが特徴で、強い甘みも有しているのでミルクティーによく合います。
ダージリン
世界3大紅茶の1つで、インドにあるダージリン地方で生産されています。
このダージリン地方は、夜間の寒さと昼間の日光とで生み出される寒暖差があるため、紅茶のダージリンは特有の味や香りを有しています。
主に香りを楽しむストレートティーとして親しまれています。
ヌワラエリア
スリランカにある、ヌワラエリアで生産されている紅茶です。
渋みや独特な香りがあるため、ストレートティーで飲むことが多いです。
茶葉の見た目に緑が混じっていることも特徴の1つです。
キーモン
世界3大紅茶の1つで、中国で生産されています。
生産できる時期が数ヶ月と限られており、値段が高くなるものもあります。
キーモン独特の香りを堪能するために、ストレートティーで飲むと良いでしょう。
ウバ
世界3大紅茶の1つで、スリランカのウバで生産されています。
ダージリン地方と同様に夜の冷えと昼間の暑さによる寒暖差で、ウバ特有の刺激的な甘さのある香りが楽しめます。
ストレートティーのほか、ミルクティーとしても良く合います。
紅茶の美味しい入れ方
紅茶の正しい入れ方を知ると、紅茶特有の香りが引き出され、より美味しくいただくことができます。
紅茶の種類別にご説明していきます。
ストレートティー
- ①水を沸騰させます。
- 量は余裕をもってたくさん沸かすと良いでしょう。
- ②カップとポットの両方を温めるために、お湯をそそぎます。
- ③温めておいたポットに対して茶葉を入れていきます。
- 茶葉の量の目安としては、カップ1杯が150ccであればティースプーン1杯です。
- ④ポットにお湯を150cc×人数分そそいでいきます。
- ⑤ポットにフタをして3分程度蒸らしていきます。
- ⑥3分後、スプーンで軽く混ぜてから、茶こしを使用してカップにそそいで完成です。
レモンティー
- ①レモンを薄めに切っておきます。
- ②ストレートティーの作り方と同様に、カップやポットを温めておきます。
- ③150ccのティーカップであればティースプーン1杯の茶葉を加えます。
- ④湯をそそいで蒸らしますが、長く蒸すと渋みが出るために2分程度蒸らします。
- ⑤スライスしておいたレモンを入れて、そっと混ぜたあとすぐに取り出して完成です。
- ※ティーカップにレモンを入れたままにしておくと、レモンに含まれている特有の渋みが出てしまうので注意しましょう。
ミルクティー
- ①牛乳は常温のものを使用します。
- ※温かい牛乳だと、紅茶の風味を損ねてしまいますので、常温がおすすめです。
- ②たっぷりのお湯を沸かします。
- ③カップとポットにお湯をそそいで温めておきます。
- ④ポットのお湯を捨ててから、茶葉を150ccのティーカップであればティースプーン1杯分加えます。
- ⑤湯をそそいでから3分超蒸らします。
- ⑥茶こしを利用してカップにそそいで、牛乳を入れて完成です。
アイスティー
- ①湯をたっぷり沸かします。
- ②ポットに湯をそそいで温めておきます。
- ③ポットの湯を捨てて、茶葉を加えます。
- ※茶葉の量については、使用するグラスによって異なりますが、ストレートティーを作る場合と同様な基準で加えると良いでしょう。
- ④ホットの場合に加える湯の半量を、ポットに入れます。
- ⑤約2分ほど蒸らします。
- ⑥茶こしを使って別のポットに移します。
- ⑦グラニュー糖を好みで適量加えます。
- ⑧グラスに氷を一杯に入れてからホットティーを加えて完成です。
その他(ティーバッグ)
- ①お湯をたっぷり沸かします。
- ②ポットを使わない場合は、カップに湯をそそいで温めておきます。
- ③ティーバッグをセットして沸騰したお湯をパッケージの記載量にそって、そそいでいきます。
- ④しっかり蒸らすためにソーサーなどでフタをして、パッケージに記載されている時間蒸らします。
- ⑤ティーバッグを引き上げて完成です。
- ※スプーン等でティーバッグ自体を押さえると、渋みが出てきますので要注意です。
紅茶の等級とは?
紅茶の製造における仕上げの段階で、茶葉自体の見た目や大きさによって7つの基準に分けられています。
あくまで外観による分け方なので、品質を示すものではないことに注意が必要です。
・D(ダスト)
葉の大きさが1番小さいものです。
・F(ファニングス)
ダストの次に小さな葉のサイズです。
・BOP(ブロークンオレンジペコー)
一番芯芽を多く含んでおり、もっとも多く流通しています。
・BOPF(BOPファニングス)
BOPよりも葉が小さく、ブレンドされることが多い高級品です。
・BP(ブロークンペコー)
BOPと比較すると葉のサイズは大きいです。
芯芽が無く、増量用に多用されています。
・OP(オレンジペコー)
葉が長く、葉の厚みは薄いものです。
特徴としては香りが強いです。
・P(ペコー)
OPよりかは葉が短く、葉は厚みがあります。
芯芽はほとんど含まれていないのが特徴です。
紅茶の健康効果
紅茶を飲むことで得られる健康効果は主に5つです。
順番に解説していきます。
健康効果1 コレステロールに働きかける
まだまだ研究段階であり、研究者の間でも意見が分かれていますが、紅茶に含まれるテアフラビンには、コレステロールの低下作用が期待できるという研究報告があります。
コレステロールはホルモンや細胞膜の材料になるため、人間にとって重要な栄養素の1つです。
ただ、過剰に出来てしまうと動脈硬化の原因になってしまいます。
コレステロールには主に2種類あり、体のあちこちにコレステロールをためていく悪玉コレステロール、からだのすみずみにあるコレステロールを肝臓で処理するために運び出す善玉コレステロールがあります。
現在問題視されているのが、この悪玉と善玉コレステロールのバランスが崩れた状態にある脂質異常症ですが、脳出血の原因にもなりますし、寿命が短くなるとも言われています。
今後の研究で紅茶がコレステロールに与える影響が、より解明されることに期待したいものです。
①紅茶テアフラビンによるコレステロール生合成酵素阻害作用
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjfcs/7/1/7_KJ00005714629/_article/-char/ja/
②厚生労働省
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-012.html
健康効果2 抗酸化作用
研究により、紅茶には高い抗酸化能力があることがわかっています。
抗酸化作用とは、体内の活性酸素を取り除いたり、働きを抑える効果を言います。
活性酸素は体内の免疫力に深く関わっていますが、発生し過ぎると人体にとって有害に働いてしまい、老化やがん、動脈硬化や免疫力の低下につながってしまうといわれています。
活性酸素はストレスや強度の高すぎる運動などによって過剰に発生してしまいます。
普段生活するなかで、活性酸素が過剰に発生しすぎてしまう可能性は十分にありますので、紅茶などの抗酸化物質をいかに体内に摂りいれていくかが、健康を左右するといっても過言ではないでしょう。
①紅茶の抗酸化能に関する研究
https://niconurs.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=587&item_no=1&page_id=13&block_id=21
②厚生労働省
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-009.html
健康効果3 免疫に働きかける
動物実験ですが、紅茶の抽出物には、Ⅰ型アレルギーの反応を抑える効果があるとする研究報告があります。
Ⅰ型アレルギーは、アナフィラキシー型や即時型と呼ばれており、原因物質であるアレルゲンが体内に入ると数十分のうちに、じん麻疹や気管支喘息、アレルギー性鼻炎などの症状があらわれます。
今後の研究により、紅茶の抽出物によって食物アレルギーを代表とするⅠ型アレルギーの反応を抑えることができれば、ある意味画期的なことなのかも知れません。
早合点である可能性もありますが、今後の研究に期待したいところです。
①緑茶抽出物成分(茶ポリフェノール、カフェイン)のⅠ型アレルギーに対する効果
https://www.jstage.jst.go.jp/article/yakushi1947/117/7/117_7_448/_pdf/-char/ja
②参考書籍:建帛社・臨床栄養管理(第2版)
健康効果4 異常な細胞の増殖を抑える効果
まだまだ研究段階であり、研究者の間でも意見が分かれていますが、紅茶に含まれる成分には、がん細胞の増殖を抑制する効果がみられたという研究結果があります。
がん細胞が増殖するためには、栄養豊富な血管の新たな発生が必要不可欠です。
紅茶にはこの栄養豊富な血管形成の抑制効果があるということです。
紅茶とがんの関係性については今後、より一層研究が進んでいくことでしょう。
①茶ポリフェノールの多機能生理作用
https://showa.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=1115&item_no=1&page_id=13&block_id=21
②厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b9.html
健康効果5 骨を丈夫にする
紅茶に含まれる成分には、骨吸収の作用を抑える効果があるという研究報告があります。
骨の代謝について、血液中のカルシウムなどを骨に組み込む骨形成と、骨のカルシウムなどを血液中に戻す骨吸収に分けられます。
この骨形成と骨吸収のバランスが悪くなった状態が骨粗しょう症です。
特に女性では閉経したあとに見られる閉経期骨粗しょう症には注意が必要ですし、男性であっても高齢期の老人性骨粗しょう症対策が重要です。
今後さらに研究が進めば、骨を丈夫にするための1つの方法として、紅茶が摂り入れられる日が来るかも知れません。
茶ポリフェノールの多機能生理作用
https://showa.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=1115&item_no=1&page_id=13&block_id=21
参考書籍:建帛社・生理学
紅茶にカフェインって入っているの?
コーヒー等と同様に紅茶にもカフェインが含まれていますので、場合によっては注意を払った方が良いケースがあります。
WHO(世界保健機関)では、胎児へのカフェインに対する影響があるかもしれないということで、妊婦に対して制限するように求めています。
同様に(FSA)英国食品基準庁においては、WHOよりも厳しい基準にてカフェインを控えるように、という通達がありました。
カフェイン量としては、コーヒーの半分程度の量が紅茶に含まれていますので、該当する方は注意したほうが良いでしょう。
清涼飲料水に関しては、全国清涼飲料連合会が、2019年4月に公表したガイドラインとして、カフェインの含有量の表示や授乳期やカフェインが敏感な方は摂取を控えたほうがよい旨の記載がありますので、参考にしてみても良いでしょう。
厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170477.html
紅茶を使用した簡単おすすめレシピ
紅茶を使って出来る、簡単おすすめレシピを2つご紹介します。
フレンチトーストの紅茶風味
はちみつの代わりに、オリゴ糖のシロップをかけても良いでしょう。
材料
- 牛乳
- 150ミリリットル
- 食パン
- 2枚(6枚切り)
- 卵
- 1個
- 紅茶の葉
- 2g
- 砂糖
- 大さじ1
- バター
- 大さじ1
- はちみつ
- 大さじ1
つくり方
- 1
- 食パンを半分に切っておきます。
- 2
- 鍋に紅茶の葉と牛乳を加えてから弱火にて加熱し、沸騰する前に火を止めておきます。
- 3
- 温度が下がったら、砂糖と卵を②に加えてから混ぜ合わせます。
- 4
- 3をこしながら、バット等に移しておきます。
- 5
- 切った食パンを4に移してから、数分浸しておきます。
- 6
- 6中火にて加熱したフライパンにバターを加えて溶かします。
- 7
- 浸しておいた食パンをフライパンにのせて加熱します。
- 8
- 片面にちょうど良い焼き色がついたら裏返して、フタをしてからさらに数分弱火で加熱します。
- 9
- お好みで、はちみつをかけて完成です。
ミルクティーの特製プリン
グラニュー糖の量を控えても美味しく頂けます。
材料
- 牛乳
- 150ミリリットル
- 紅茶の葉
- 2g
- グラニュー糖
- 大さじ2
- 粉ゼラチン
- 3g
つくり方
- 1
- 粉ゼラチンを水に溶かしておきます。
- 2
- 鍋にグラニュー糖と牛乳を加えて中火で加熱します。
- 3
- 気泡が立つ程度に加熱したら紅茶を加えます。
- 4
- しっかり混ぜつつゼラチンを加えて、余熱にて溶かしていきます。
- 5
- 鍋の底に対して氷水で冷やしながら、とろみがつくまでしっかり混ぜる。
- 6
- 容器に移してから、冷蔵庫で3時間程度固めて完成です。
紅茶についてのQ&A
紅茶についてよく聞かれる疑問をQ&A方式でお答えしていきます。
- 病気が良くなりますか?
- さまざまな健康効果がありますが、紅茶を飲んでも病気が治るわけではありません。
- カテキンとは何ですか?
- フラボノイドの一種で、お茶特有の渋みがカテキンです。
- タンニンとは何ですか?
- 基本的にはカテキンと同様という理解で大丈夫です。
- 保存方法はどうしたら良いですか?
- 高温多湿を避けて、密閉性の高い容器で保存すると良いでしょう。
- おすすめの飲み方は何ですか?
- 好みで良いのですが、紅茶の香りが一番に堪能できる、ストレートティーがおすすめです。
●管理栄養士からのコメント
紅茶とは、カメリアシネンシスという葉や芽から生産されます。
緑茶やウーロン茶との違いは、製造方法によります。
紅茶の種類は主に5つで、採れる地方により、アッサム、ダージリン、ヌワラエリア、キーモン、ウバに分かれます。
紅茶の美味しい入れ方は、ストレートティーを基本として、茶葉の蒸し時間や温度も関係しています。
紅茶の等級とは、茶葉の品質ではなく、外観の違いによる区分けになります。
紅茶の健康効果は下記の6つです。
- ・コレステロールに働きかける
- ・抗酸化作用
- ・免疫に働きかける
- ・異常な細胞の増殖を抑える効果
- ・骨を丈夫にする
紅茶にカフェインは入っているので、カフェインに敏感な方や妊娠中であれば制限した方が良いでしょう。
紅茶のさまざまな健康効果を期待しつつ、毎日を健やかに過ごすためのきっかけとして、ぜひ紅茶をとり入れてみてはいかがでしょうか。
管理栄養士プロフィール
◎影山敦久
管理栄養士、栄養教諭。子どもからお年寄りまで幅広い年代の方に栄養指導や料理教室を行うかたわら、特定保健指導にも携わる。得意分野はダイエットとスポーツ栄養。