セサミンとは|5つの健康効果と効率的な摂取方法とレシピご紹介
記事の監修
管理栄養士
影山敦久
管理栄養士、栄養教諭。子どもからお年寄りまで幅広い年代の方に栄養指導や料理教室を行うかたわら、特定保健指導にも携わる。得意分野はダイエットとスポーツ栄養。
テレビやネットで言われているようなセサミンの効果って嘘なの?
科学的に検証されている正しい健康効果が知りたいと考えていませんか。
本記事では下記について解説します。
セサミンとは?
セサミンとは、ゴマに含まれる健康成分で、ゴマリグナンという抗酸化物質の1つです。
ゴマリグナンにはセサミンの他にセサミノールやセサモール、セサモリンなどがありますが、セサミンはゴマにわずか1%程度しか含まれていない希少な成分になります。
ごま油には、セサミンをはじめとした、多くのゴマリグナンの種類が豊富なため、酸化安定性が極めて高いことで知られています。
また、このセサミンを摂取することで、アンチエイジングをはじめとして、体にとってさまざまな健康に対する効果があることがわかってきています。
セサミンの健康効果
セサミンの健康効果は主に5つあります。
順番に解説していきます。
健康効果1 体の炎症などの異変に働きかける
まだまだ研究段階で、研究者の間でも意見が分かれていますが、動物実験でセサミンには抗炎症作用がみられたという報告があります。
炎症は、発赤、発熱、疼痛、腫脹、機能障害がみられる反応です。
炎症自体は、体を守るための免疫の防御反応なので大切ですが、炎症の度が過ぎるとアレルギーのように、自分自身の体も攻撃していってしまう可能性もあります。
セサミンの摂取によって、過度な炎症が抑えられるようになれば、ある意味画期的なことかも知れません。
早合点の可能性は高いですが、今後の研究に期待したいところです。
①Annexin A1 accounts for an anti-inflammatory binding target of sesamin metabolites
https://www.nature.com/articles/s41538-020-0064-6#:~:text=Analysis%20using%20high%2Dperformance%20affinity,as%20an%20SC1%2Dbinding%20protein.&text=This%20study%20demonstrates%20that%20ANX,metabolites%20to%20attenuate%20inflammatory%20responses.
②参考書籍:医学概論・医学書院
健康効果2 血清脂質の増加を抑える
まだまだ研究段階であり、研究者の間でも意見が分かれていますが、動物実験で、セサミンを投与することで血清脂質の増加を抑えることにつながったとする研究報告があります。
血清脂質とは、血液の中に含まれている脂質で、中性脂肪や遊離脂肪酸、リン脂質、コレステロールなどをさしています。
血清脂質が多すぎると、動脈硬化の原因になってしまいます。
食事からの中性脂肪の摂取を抑えつつ、セサミンも同時に摂取すれば、複合的に血清脂質を減らせる可能性があります。
今後のさらなる研究に期待したいところです。
①National Library of Medicine
Sesamin, a Sesame Lignan, Is a Potent Inducer of Hepatic Fatty Acid Oxidation in the Rat
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10535395/?dopt=Abstract
②National Library of Medicine
Sesamin, a Sesame Lignan, Decreases Fatty Acid Synthesis in Rat Liver Accompanying the Down-Regulation of Sterol Regulatory Element Binding protein-1
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11750882/?dopt=Abstract
③厚生労働省
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-021.html
健康効果3 血圧に働きかける
まだまだ研究段階であり、研究者の間でも意見が分かれていますが、動物実験で、セサミンを投与することで、収縮期血圧の低下が見られたという研究結果があります。
血圧は、2種類あり、心臓が収縮した際の収縮期血圧(最大血圧)と、心臓が拡張したときの拡張期血圧(最小血圧)に分かれます。
高血圧になると、心臓病や脳卒中の危険性が高まってしまいます。
セサミンに関する研究については、まだまだこれからですので今後の研究に期待しつつ、
普段の食生活での塩分摂取に気をつけていきたいものです。
①National Library of Medicine
Antihypertensive Effect of Sesamin. I. Protection Against Deoxycorticosterone Acetate-Salt-Induced Hypertension and Cardiovascular Hypertrophy
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7581242/
②厚生労働省
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-003.html
③高血圧治療ガイドライン2019
https://www.jpnsh.jp/data/jsh2019_gen.pdf
健康効果4 抗酸化作用
セサミンの成分によって、活性酸素による細胞の損傷を抑えることができたという報告があります。
活性酸素はヒトが呼吸していくなかで、必ず発生していくものですが、免疫を高めたり、細胞間の情報を伝達する側面があるため、必要不可欠なものです。
ただ、その活性酸素の量が多すぎると細胞自体を傷つけてしまい、心血管疾患やがん、生活習慣病の原因にもなってしまいます。
健康だけではなく、美容にも関わってきますので、セサミンをはじめとした抗酸化物質を普段の食生活の中で積極的に摂取していきたいものです。
①National Library of Medicine
Dietary Sesame Lignans Decrease Lipid Peroxidation in Rats Fed Docosahexaenoic Acid
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/14598914/?dopt=Abstract
②National Library of Medicine
Protective Effects of Sesamin and Sesamolin on Hypoxic Neuronal and PC12 Cells
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/13130514/?dopt=Abstract
③厚生労働省
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/keywords/reactive-oxygen-species
健康効果5 アレルギー反応に働きかける
まだまだ研究段階で、研究者の間でも意見が分かれていますが、動物実験で、セサミンを投与すると、アレルギー反応を抑制したという報告があります。
反応とは主に、気管支喘息、花粉症、じん麻疹、アレルギー性鼻炎や食物アレルギーなどです。
さらに、免疫による反応が著しく強い場合に血圧が低下してショック状態になる、アナフィラキシーショックには注意が必要です。
動物実験でのセサミン投与によってアレルギー反応を少しでも抑える可能性がみえたということなので、ヒトに当てはまる可能性が無いとは言い切れません。
今後のさらなる研究に期待したいところです。
①Sesamin attenuates mast cell-mediated allergic responses by suppressing the activation of p38 and nuclear factor-κB
https://www.spandidos-publications.com/10.3892/mmr.2015.4546
②参考書籍:南江堂・新しい臨床栄養学
セサミンを摂取する方法
セサミンを効率よく摂取するためには、ゴマ自体を調理するか、サプリメントで摂取するかのどちらかになります。
ゴマを調理する
ゴマは外側の皮が硬いので、ゴマをそのまま食べたとしてもセサミンを効率的に体に吸収することができません。
調理の過程でゴマを練ったり、炒ったりすることで消化吸収が良くなります。
しかし、セサミンはゴマの1%程度しか含まれていませんので、摂取量を増やすとなると、ゴマ料理ばかり食べることになります。
さらに、構成成分の約52%は脂質なのでカロリーにも注意しなければなりません。
サプリメントで摂取する
セサミンを効率的に摂取するようなら、サプリメントがおすすめです。
調理も不要で手軽にセサミンを補給できるのが最大のメリットですし、どれくらいの量を摂取したかがひと目で分かる点もメリットと言えるでしょう。
サプリメントの選び方としては、DHAやビタミン類など、セサミン以外にも追加で栄養素が含まれているものを選んだり、長期間摂取して効果を実感しやすくするために、継続しやすい価格のものにすると良いでしょう。
セサミンの効果って嘘なの?
ネットでセサミンと検索すると、効果・嘘というキーワードが表示されます。
検索する人が多いことから表示される仕組みですが、実際問題、セサミンの健康効果は嘘なのでしょうか。
セサミンの効果効能について信憑性が疑われる原因として考えられるのが、現在科学的に研究された論文が少ないこと、動物実験が多く、ヒトを対象とした研究が少ないことにあると思われます。
科学的に研究された論文が少ないということは、仮にセサミンを摂取して狙い通りの効果があったとしても、何かしらの条件がそろう必要があるのかも知れません。
さらに、動物実験では効果が判明したとしても、必ずしもヒトも同様に効果が出るわけではありません。
ただ、研究論文が少ないということは、効果が嘘であるとも言い切れませんので、現在うたわれている効果について今後の研究で、より正確な情報が分かるようになるでしょう。
セサミン摂取に効果的なレシピ
セサミンの摂取に効果的な、簡単に出来るレシピをご紹介します。
無限キャベツ
おつまみにも良いですし、食物繊維も同時に摂れるのでおすすめです。
材料
- キャベツ
- 4分の1玉
- 酢
- 大さじ1
- 塩
- 少々
- 醤油
- 大さじ1
- マヨネーズ
- 大さじ2
- 砂糖
- 大さじ1
- 白ゴマ(すったものが好ましい)
- 適量
つくり方
- 1
- キャベツを食べやすい大きさに切り、塩もみして5分程度おいておきます。
- 2
- 水気を切ったあと、全ての調味料を加えてまぜ、最後に白ゴマをかけて完成です。
さつまいもの甘煮
切って煮るだけなので、おやつやおかずに子供さんと一緒に作っても良いですね。
材料
- さつまいも
- 1本
- 黒ゴマ(すってあると、なお良い)
- しょうゆ
- 小さじ2
- 砂糖
- 大さじ1と2分の1
つくり方
- 1
- さつまいもの皮をむいてから、1口大の大きさに切り、水にさらしておく。
- 2
- 鍋に水気を切ったさつまいもと、水200CCを入れてから中火で煮立たせる。
- 3
- 砂糖としょうゆを加えてから落しぶたをする。
- 4
- 水気が無くなったら黒ゴマをふって完成です。
セサミンについてのQ&A
セサミンについてよく聞かれる疑問をQ&A方式でお答えしていきます。
- 病気が治りますか?
- セサミンを摂取したからといって病気が治るわけではありません。
- サプリメントで摂って良いですか?
- ゴマに含まれるセサミンの量が少ないことから、サプリメントでの摂取がおすすめです。
- 若々しくなりますか?
- 抗酸化成分が含まれていますので、アンチエイジングにも良いでしょう。
- セサミンを摂取すると痩せますか?
- セサミンを摂取しても痩せるわけではありませんが、健康の維持に働きかけてくれます。
- ゴマにはどれくらいセサミンが含まれていますか?
- ゴマ1粒に対して約1%程度含まれています。
●管理栄養士からのコメント
セサミンとは、ゴマに含まれる抗酸化物質の1つです。
セサミンの健康効果は下記になります。
- ・体の異変に働きかける
- ・血清脂質の増加を抑える
- ・血圧に働きかける
- ・抗酸化作用
- ・アレルギー反応に働きかける
セサミンはゴマ自体に含まれる量が微量のため、食事からだけではなくサプリメントでの摂取も良いでしょう。
毎日の健康維持にぜひセサミンを摂取してみてはいかがでしょうか。
管理栄養士プロフィール
◎影山敦久
管理栄養士、栄養教諭。子どもからお年寄りまで幅広い年代の方に栄養指導や料理教室を行うかたわら、特定保健指導にも携わる。得意分野はダイエットとスポーツ栄養。