こめ油の魅力。圧搾製法で作られた安全な米油の選び方

記事の監修

この記事は管理栄養士の方に監修していただいています

管理栄養士

川野 恵

フリーランスの管理栄養士としてレシピ開発や栄養のコラム作成のほか、外食チェーン店でのダイエットを意識した食べ方を紹介。現在はクリニックにて、生活習慣病などに悩む方々へ栄養指導を行なっている。

米油

香りや油の臭みがほとんどなく、どんなお料理にも使いやすい米油。
学校給食や市販のお菓子などにも多く使用されています。
酸化に強いという特徴があるため、お料理の美味しさが長持ち。油の臭みも出にくいのです。
ヘルシーで扱いやすいというイメージで、基本の油としてキッチンに置いている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では米油の健康効果や栄養、安全性について紹介します。


こめ油とは

こめ油とは

こめ油の原料は白米ではなく、玄米を削って精白米にするときにできる「米ぬか」です。
米ぬかは、玄米の表層部分や胚芽で、油を20%も含んでいます。
精白米にはない天然のビタミンやミネラルがたくさん含まれており、油に溶けやすい成分も少なくありません。
ですから、米ぬかを搾ったこめ油には、玄米が持つ健康パワーが凝縮されています。

こめ油は健康に良い?その優れた健康効果

こめ油は健康に良い?その優れた健康効果

玄米の栄養をまるごと摂れるこめ油には、多くの優れた健康効果があります。

1. 活性酸素による細胞へのダメージを防ぎ、がんや生活習慣病を予防
2. コレステロール値を下げ、動脈硬化を予防
3. 血管を強化し血行をスムーズに、心筋梗塞や脳卒中などの予防
4. 抗酸化物質で血管の老化を防ぐ、アンチエイジング効果
5. ホルモンバランスを整え、更年期障害の症状を和らげる
6. 肌の大敵・活性酸素を抑制、ターンオーバーを活性化し美肌に

健康効果1 がんや生活習慣病を予防&改善する

●強力な抗酸化作用で体内の酸化を防止

活性酸素による細胞へのダメージは、がんや生活習慣病の大きな原因となります。
これに対抗できるのが、米油の栄養成分であり、強い抗酸化作用を持つ「ガンマオリザノール」や「トコトリエノール」。
特にトコトリエノールは、がん細胞に働きかけて成長をストップさせる効果があるとされる成分です。

がんや生活習慣病を予防&改善する

健康効果2 血液中の余分な悪玉コレステロールを減らす

●有効な栄養成分でコレステロールを調整

こめ油には、コレステロールの消化吸収を抑える「植物ステロール」という成分が植物油の中で最も多く含まれています。
善玉コレステロールにはほとんど影響を及ぼさずに、悪玉コレステロールのみを減らしてくれます。
さらにこめ油のみが含む「ガンマ-オリザノール」には、脂質の吸収を抑え、肝臓でコレステロールが作られるのを抑える働きがあります。
コレステロール値を抑えて、生活習慣病の予防に繋がります。

血液中の余分な悪玉コレステロールを減らす

健康効果3 動脈硬化の予防、高血圧の改善、心筋梗塞の予防に

●こめ油を積極的に摂取、血液をサラサラに

食生活の乱れやストレスによる悪玉コレステロールの増加によって、血管が硬化して徐々にもろくなったり、詰まったりしてしまいます。
すると、酸素や栄養素を体の隅々まで届ける役割を充分に果たせなくなり、心臓に負担をかけてしまうのです。
悪玉コレステロールの発生には、活性酸素も深く関わっています。
コレステロールを酸化させない為にも、強力な抗酸化成分である「ガンマ-オリザノール」と「トコトリエノール」を含むこめ油は大変有効です。

動脈硬化の予防に最適!高血圧の改善、心筋梗塞の予防に

健康効果4 血管の老化を抑制、アンチエイジングにも有効

●トコトリエノールで血管年齢も若く保つ

健康の要である血管の細胞もまた油でできているので、全身をめぐる血管の老化を防いで若々しさをキープするためには、油に溶ける「抗酸化物質」が必要となってきます。
こめ油に含まれるビタミンEは、強力な抗酸化作用がある脂溶性のビタミンなので、血管の若返りにはピッタリの成分。
しかもトコトリエノールは「スーパービタミンE」と呼ばれ抗酸化力があると注目されてきた「トコフェノール」の数十倍にもあたります。

アンチエイジングにも有効

健康効果5 ホルモンの調整作用で更年期障害を改善

●米油なら、日々の生活に無理なく取り入れられる

女性が閉経を迎える前後5年くらいの期間を「更年期」といい、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンの分泌が急激に減少します。
その結果「ホルモンバランスの乱れ」が起こり、体のほてりや大量の発汗、のぼせ、動悸、息切れ、疲労感、イライラ、不安、うつなどに悩まされるようになります。
こめ油に含まれる「ガンマ-オリザノール」は、そんな女性特有の悩みを改善してくれる強い味方。
ガンマ-オリザノールには、ホルモンの分泌や調整を担っている脳の視床下部に働きかけ、更年期障害の緩和や自律神経の調整、緊張や不安、ストレスを抑える作用があります。

更年期障害を改善

健康効果6 メラニン生成を抑えて血行促進。美肌&保湿効果も

●手軽で機能的な米油は、美容オイルとしても優秀

肌の大敵のひとつ「活性酸素」は、紫外線やストレスなどによって皮膚の中に多量に生み出され、細胞を酸化させることで、老化を急加速させます。
こめ油の強力な抗酸化パワーで活性酸素による肌のダメージから肌をしっかり守り、整えていきます。
ガンマ-オリザノールはチロシナーゼという酸素の活性を抑え、メラニン生成を阻みます。
また肌の血行も促すため、ターンオーバーが活性化されてシミの沈着を防止したり、老化した角質を除いて肌の表面を保護したり、肌のくすみを改善してくれます。
さらに、アトピー性皮膚炎を引き起こす「IgE抗体」にくっつき、かゆみや炎症を抑える効果も期待できます。

メラニン生成を抑えて血行促進。美肌&保湿効果も

こめ油の栄養成分について

米油の栄養成分について

こめ油には、オメガ6やオメガ9に属する成分が豊富に含まれます。
これらは人が体内で合成できない必須脂肪酸で、食物から摂ることが重要です。
また、ビタミンE類など、健康維持に役立つ成分も多く含まれます。
毎日料理に使う油をこめ油にすることで、この大切な栄養素をしっかりと摂ることができますね。

オレイン酸 ※オメガ9(n-9)系脂肪酸

心臓障害を防ぐ善玉コレステロールの値はそのままに、
悪玉コレステロールの値を低下させる働きがあるといわれています。

リノール酸(37%)※オメガ6(n-6)系脂肪酸

血中コレステロール値を低下させ血管の硬化を防止します。

ビタミンE(トコフェロール)

抗酸化作用により、体内の脂質を酸化から守り、細胞の健康維持を助ける栄養素です。
日本人の摂取するビタミンEの約30%は植物油から摂取している現状です。
良質のビタミンEは、こめ油から摂取してください。

トコトリエノール

ビタミンEの一種で抗酸化力がビタミンE(トコフェロール)の約50倍と言われています。
圧倒的に抗酸化力が高いため、スーパービタミンEとも呼ばれています。

γ-オリザノール(ガンマ-オリザノール)

ポリフェノールの一種。
こめ油特有の栄養素なので、他の油には含まれません。
更年期障害、胃腸神経症などの改善に効果があるといわれています。
複雑な現代社会人に欠かせない栄養素です。
また、シミやシワ、くすみなど、年齢肌の悩みを解消する、女性にうれしい働きもあります。

米油の栄養成分について

こめ油のココが良い!美味しさと使いやすさの理由

美味しさと使いやすさの理由

① 酸化しにくい

開封後、短時間で酸化してしまう食用油も多い中で、こめ油は天然の酸化防止剤でもある「スーパービタミンE」
トコトリエノールのおかげで、急いで使い切らなくても、最後までほぼ酸化することはありません。
安定性の良い油で、加熱調理にも栄養が損なわれずに使えます。

② 匂いやクセがなく、油酔しにくい

揚げ物をした時の臭いで食欲が減退する“油酔い”と言われる現象の原因となる物質の発生量を示したものです。
発生量が少ない程、加熱臭がマイルドであると言えます。
こめ油において最も良い結果が得られました。

③ 鍋にこびり着く酸化物が少ない

180℃に加熱した油で揚げ物をした後、鍋にこびり付いた酸化重合物の量を測定した結果、こめ油の付着量が非常に少ないことが分かりました。

④ 泡立ちが少なく、揚げ物がカラッと揚がる

揚げ物をしていると種や衣から水分が蒸発して泡が出来、揚げむらや油っぽさの原因となります。
このデータは21時間加熱後に得た油を180℃に加熱し、1cm角のジャガイモを投入して泡の広がりを測定したものです。
コーン油に次いでこめ油が泡立ちにくいという結果が出ています。

⑤ 揚げた後も、美味しさが長持ち

揚げ物を1万ルクス、40℃の条件で保存しておいて腐敗臭が発生するまでの時間を測定したところ、こめ油が圧倒的に長い時間揚げ物の品質をよく保つことがわかりました。
お弁当などにこめ油で揚げたものを入れて、時間が経っても美味しく食べられます。

こめ油のおすすめ商品


こめ油の選び方・安全性と危険性

美味しさと使いやすさの理由

こめ油や菜種油などは健康に良いとされる油ですが、実は製造過程において、
米ぬかから油を抽出する方法が二種類あります。

1.圧搾法

専用の機械で潰して油を抽出する、昔ながらの製法。

2.化学溶剤での抽出法

ヘキサン等の化学溶剤を使用して抽出する製法。

スーパーなどで一般的に安価で売られているものは、コストを抑えて大量生産するために後者の化学溶剤を使った製法の米油がほとんどです。
もちろん商品になる際は化学溶剤は除かれ安全性のチェックもされているはずですが、米油本来の健康効果をそのまま摂れるのは、圧搾法で手間をかけて作られた製品です。

圧搾法のこめ油は溶剤で抽出した米油よりも天然成分のビタミンや抗酸化物質が多く残り、健康効果はより高くなります。

●管理栄養士からのコメント

米ぬかから採取されるこめ油は、抗酸化作用が強く身体の錆を増やさないようにする働きがあります。
身体はたくさんの細胞からできていて、加齢やストレスなどが原因で日々酸化されます。
そのため、抗酸化作用の強い食品は毎日の食事に取り入れたいもの。
ビタミンEを多く含むこめ油やひまわり油などを上手に食事に取り入れてみてください。
こめ油だけでなく、オリーブオイルや大豆油など、油はそれぞれに特有の成分を含んでいるので「油なんてどれも同じでしょ」なんて思っていると損をしてしまうかも。
油は酸化しやすいので、いろいろな油を使ってみたい方は小さめサイズのものを買うといいですよ。

川野恵

管理栄養士プロフィール

◎川野 恵

給食委託会社や仕出し弁当屋での献立作成を経験後、出産を機にフリーランスとして活動。
フリーランスの管理栄養士としてレシピ開発や栄養のコラム作成のほか、外食チェーン店でのダイエットを意識した食べ方を紹介。現在はクリニックにて、生活習慣病などに悩む方々へ栄養指導を行なっている。

身体は食べ物でできている事を意識し、健康で過ごせるよう多くの方を支えていける管理栄養士になりたいと日々活動しています。
SNSやブログを通して、
・管理栄養士として栄養指導に携わりたい!
・血圧や血糖など血液結果を注意された!
・美味しく食べてきれいに痩せたい!
という悩みを解決するための情報を発信しています。

▼Twitter
@kawa040508

こめ油に関するQ&A

こめ油は、白米からできていますか?
いいえ。こめ油は、玄米を白米に精製する際に取り除かれる、豊富な栄養を含んだ米ぬか部分から搾られる油です。
圧搾製法で米ぬかから抽出できるこめ油は、約10%のみです。こめ油は、豊富な玄米の健康パワーを秘めた貴重な植物油なのです。
こめ油はどんな人にオススメですか?
豊富な栄養素を含み、健康や美容に気をつかっている方の普段使いの油にオススメです。また、油を使ったお料理や揚げ物が苦手だという方にも、さっぱりと召し上がって頂けるため是非お試し頂きたい油です。
こめ油は身体に悪いと聞きましたが、本当ですか?
こめ油が危険だと言われることがあるのは、油の抽出時に使われる溶剤が身体に有害であるためです。こめ油自体が身体に悪いというわけではなく、また、圧搾製法で作られたこめ油には溶剤の危険がないため、安心してお召し上がりいただけます。
こめ油の、他の油との違いを教えてください。
こめ油はクセのない風味とサラリとした質感が特徴で、素材の邪魔をせずに引き立ててくれます。
栄養学的には脂肪酸のバランスのとれた健康的な食用油として知られており、ビタミンEやポリフェノール類がとびぬけて豊富で、美容や健康にも嬉しい効果が期待できます。
こめ油は、サラダ油の代わりに使えますか?
お使い頂けます。サラダ油は、様々な油を混ぜ合わせて作った油ですが、こめ油は100%米ぬか由来で、雑味がありません。
揚げ物にしても、お菓子作りなどに用いても、さっぱりと軽くて食べやすい仕上がりになります。
こめ油は揚げ物に向いていると聞きましたが、揚げ物は手間がかかるし不安です。
こめ油は熱に強いため、揚げ物をしても気になるにおいや煙が比較的少なく、また、さらさらとした質感なのでこびりつかず、お鍋やコンロのお掃除も簡単だというメリットがあります。
こめ油で揚げたおかずをお弁当に入れても大丈夫ですか?
酸化しにくい特徴のあるこめ油は冷めても傷みにくいため、調理後時間が経っても美味しくいただけることもメリットのひとつです。

米油のおすすめ商品

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この記事を書いた人

商品ページ・コンテンツ・イラスト担当。昨年から習い始めたクラシックバレエにはまっています。アートと音楽と飲み歩きが大好き。