トランス脂肪酸はなぜ悪い?体に与える影響や含まれている食品とは

「トランス脂肪酸は体に悪い」。健康を気遣う人なら、そんな話を一度は耳にされたことがあるのでは?
この記事では、トランス脂肪酸とは何で、どんな食品に含まれているのか。トランス脂肪酸を摂りすぎることによる、具体的な健康被害をご説明します。トランス脂肪酸についての知識を蓄え、健康的な油の取り方について考えていきましょう!

もくじ

トランス脂肪酸とは

トランス脂肪酸とは、不飽和脂肪酸の一種。不飽和脂肪酸には、構造の違いから「シス型」と「トランス型」、2種類の形が存在します。天然の不飽和脂肪酸はほとんどが「シス型」に属していますが、トランス型の脂肪酸(トランス脂肪酸)も牛や羊などの脂肪に微量が含まれています。

自然界にはあまり存在しないはずのトランス脂肪酸が、なぜ問題になっているのでしょうか。
その答えは、油を加工するときに、シス型だった脂肪酸がトランス型に変異してしまうからなんです。

最も身近なものとして挙げられるのが、マーガリンやショートニング。マーガリンやショートニングは、もともとサラサラの植物性油脂を固形の油に化学処理をして作られます。その際に水素を添加することが多く、そのために構造が変化し、トランス脂肪酸が発生してしまうのです。

そのほかにも、脱臭のためなどに油を高温で処理するとトランス脂肪酸が発生することがあります。

トランス脂肪酸が体によくない理由。発がん性は?

心疾患

WHO(世界保健機関)は、工業的に生産されたトランス脂肪酸の過剰摂取により、年間約27万人以上の人が早期に死亡している可能性があると述べています。死亡の原因として、以下の3つが指摘されています。

1.悪玉コレステロールの増加

2.心筋梗塞など心疾患の発症

3.肥満


この3つが今現在はっきりと分かっていることです。発がん性や認知症、アレルギー症状の発症などとの関係性も、気になるところで、複数の医師によって疑われてはいますが、はっきりとした因果関係が立証されていません。

参考:World Health Organization「Trans fat」

トランス脂肪酸を多く含む食品:お菓子やパンも要注意!

トランス脂肪酸

トランス脂肪酸は外食店で提供されるフライドポテトや唐揚げなどの揚げ物、コンビニやスーパーで販売されているケーキ、クッキー、ドーナツ、スナック菓子などの加工食品に含まれています。その理由は、トランス脂肪酸を含むマーガリンやショートニングは安価で、加工や流通がしやすいため。
コンビニやスーパーでよくお菓子やパンを購入される方は、原材料にマーガリンやショートニングが含まれていないかチェックしてみることをおすすめします。

ちなみに…

大手チェーン店のフライドポテトは揚げたあともベタつかず、調理後に時間が経っても軟らかくなりにくいことで知られています。これはポテトを揚げるときに使われるショートニングの働きによるものなんですって。



以下は、食品安全委員会が調査した主な食品のトランス脂肪酸含有量です。

食品名トランス脂肪酸含有量の平均値(100gあたり)
ショートニング13.574g
マーガリン、ファットスプレッド(市販品)5.509g
バター1.951g
マヨネーズ1.237g
ポテト系スナック菓子0.308g
コーン系スナック菓子1.715g
菓子パン0.204g
※参考:食品安全委員会「トランス脂肪酸に関するとりまとめ」

マーガリンとショートニングは絶対悪ではなかった?

トランス脂肪酸、バター

マーガリンやショートニングには、トランス脂肪酸が多く含まれていることがわかりました。
しかし、私たちが入手できるマーガリンやショートニングの中には、トランス脂肪酸の含有量がバターよりも少なかったり、全く含まれていない、オーガニックショートニングなどという商品も販売されています。
ビーガンの方など、バターを使用したくないという方は、トランス脂肪酸フリーのショートニングを試してみてはいかがでしょうか?

米油にもトランス脂肪酸が?

ヘルシーな揚げ油として、オメガ9系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸を主成分とする米油を選択されている方は、米油にトランス脂肪酸が含まれているのかは気になるところでしょう。

米油に限らずですが、油の製造過程で脱臭加工する際に高温で加熱処理することがあります。油は、高温で加熱するとトランス脂肪酸が発生してしまい、米油などの植物性油脂の中にもトランス脂肪酸が存在することがあります。
米油に含まれるトランス脂肪酸量の100g当たりの平均値は0.3gほど。マーガリンと比べると、トランス脂肪酸の含有率は5%ほどになります。

※参考:食品安全委員会「トランス脂肪酸に関するとりまとめ」

トランス脂肪酸どれぐらい控えるべき

WHOが推奨するトランス脂肪酸の1日の摂取量の目安は、成人男性でおおよそ2g未満
日本人のトランス脂肪酸摂取量の平均は1g前後/日と言われていますので、ごく一般的な食生活を送っていれば、あまり気にする必要はなさそうです。

しかし、外食やコンビニ、スーパーなどのお惣菜や菓子パン、インスタントラーメンなどを召し上がる頻度が高い方は要注意。
揚げ物など脂っこいものを控えたり、マーガリンやショートニングが入った商品を避けたり。無理のない範囲でトランス脂肪酸の摂取量を減らしていけたら良いですね。

参考:厚生労働省「トランス脂肪酸に関するQ&A」

体に良い油を選ぶポイントは2つ:脂肪酸をバランスよく

トランス脂肪酸

1.高温で脱臭されている油を避ける
サラダ油など、高温で脱臭されている油を避け、低温圧搾(コールドプレス)の油を選びましょう。

2.オメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸のバランスが大事
オリーブオイルなどに含まれるオメガ9系脂肪酸や、亜麻仁油・えごま油などに含まれるオメガ3脂肪酸には、悪玉コレステロールを少なくする効果があると言われています。

しかし、「オメガ9だけ。もしくは、オメガ3だけを摂っていればいいのね」ということではないようです。
オメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸の摂取量のバランスが取れていてることが健康を保つ秘訣。そのバランスとは、オメガ3:オメガ6=1:2〜4で摂ること

この割合を目安にして油選びをしていきましょう。

※参考:中央建設国民健康保険組合「上手に摂り入れよう体に大切な「アブラ」」

かわしま屋おすすめの油

健康を保つためには、オメガ3・オメガ6系脂肪酸のバランスが大切だということが分かりました。とはいうものの、自分でこのバランスを管理していくとなるとちょっとハードルが高いように感じませんか?

かわしま屋ではこのバランスを考え、日常生活の中で摂りすぎてしまいがちなオメガ6を少なめに、加熱調理もしていただける唯一無二のバランスオイルを開発しました。皆さまと地球のことを考えて、オーガニックにこだわった油です。

トランス脂肪酸についてのQ&A

トランス脂肪酸はなぜ悪いのですか?

トランス脂肪酸が体に悪いと言われる理由は、トランス脂肪酸を多く摂取すると、悪玉コレステロールの増加、心筋梗塞などの心疾患にかかりやすくなる、肥満になりやすいなどの健康被害が報告されているためです。

植物由来の油にはトランス脂肪酸が含まれていませんか?

植物由来の油にはトランス脂肪酸が含まれることがあります。トランス脂肪酸は、不飽和脂肪酸の一種で、特定の加工過程で生成されます。例えば、マーガリンやショートニングなどの場合は、液体の植物油に水素を添加して固体状にする過程でトランス脂肪酸が発生することがあります。また、植物油を高温で処理して脱臭する工程でも、微量のトランス脂肪酸が生じることがあります。

バターとマーガリンで体に悪いのはどちらですか?

バターとマーガリンのどちらが悪いかにつきましては、一概に申し上げることができません。バターにも、マーガリンにもトランス脂肪酸は含まれています。食品安全委員会が調査した結果、バターとマーガリンに含まれるトランス脂肪酸の100gあたりの平均値は、バターが1.951g、マーガリンが5.509gでした。
しかしながら、商品によってはトランス脂肪酸が含まれていないマーガリンもあります。

トランス脂肪酸が含まれている食品は何ですか?

マーガリンやショートニングをはじめ、それらを含む加工食品のパンやケーキ、スナック菓子などにはトランス脂肪酸が含まれている可能性があります。サラダ油などの精製された植物油も、製造過程で高温で処理をしているものはトランス脂肪酸が発生している場合があるでしょう。また、飲食店で調理された揚げ物にも注意が必要です。

トランス脂肪酸を体から排出する方法が知りたいです。

良質な油と言われるオメガ3脂肪酸を含む油を摂ると、摂取したトランス脂肪酸の排出に役立つと言われているようです。しかし、科学的根拠は今のところないため、参考程度にとどめ、極力、トランス脂肪酸を摂取しないように心がけるのがいいでしょう。
とはいえ、オメガ3脂肪酸は不足しがちな成分です。オメガ3脂肪酸を含む亜麻仁油やえごま油を積極的に摂るのは健康のためにもおすすめです。

トランス脂肪酸の使用禁止国は?

スイス、オーストリア、デンマークでは、100g当たり2g以上のトランス脂肪酸を含んだ油の流通が禁止されています。ちなみに、アメリカ、アルゼンチン、カナダ、韓国、中国など、トランス脂肪酸の食品含有量表示が義務化されている国が増えています。

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この記事を書いた人

動物、植物、夫、子ども、美味しいものとスターウォーズをこよなく愛する1児の母。近頃は、昔苦手だった虫も可愛くなってきました。
将来の夢はパーマカルチャー暮らし。

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