ラクトースとは-「ラクトースフリー」を選ぶ?選ばない?
「ラクトースフリー」という言葉をご存じでしょうか?
ラクトース(乳糖)を摂ると体調が悪くなる方向けのラクトースを含まない製品たちは、グルテンフリーなどと同様欧米では一般的になってきているようです。
今回は、ラクトースについて詳しくご説明しながら、「ラクトースフリー」について、どんな方に選ばれているか、健康にとってどうなのかといったことをご紹介してゆきます。
ラクトース(乳糖)とは
ラクトース/lactose(乳糖)とは、哺乳類の乳に含まれる二糖類で、乳糖とも呼ばれています。
特に分娩直後から数日の間に分泌される初乳に多く含まれ、ヒトの母乳中には6~7%も含まれています。
甘味は薄く、一般的な砂糖の20%ほどの甘さといわれていますが、母乳の中の糖のほとんどを占めているとされ、おっぱいのやさしい甘さをつくっています。
ヒトの母乳だけでなく牛乳や山羊乳、羊乳などにも含まれているため、一般的に乳製品にはこのラクトースが含まれています。
- <乳糖が含まれる食材の例>
- スキムミルク、エバミルク、練乳、生クリーム、アイスクリーム、シチュー、プロテイン、ヨーグルト、熟成チーズ
ところが、中にはこのラクトースを摂取することで腹痛などの体調不良を起こす方がいるのです。
「小さいころから牛乳が苦手だった」「牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする」といった方は、もしかしたらラクトースに反応しているのかもしれません。
そこで、海外では「ラクトースフリー」といって、ラクトースを含まない製品が次々と販売されています。
その一方では、「便秘に効く」などとして健康食品としてラクトースそのものが販売されていることも。今後は日本でもラクトースフリーの製品が増えてくると考えられ、ラクトースとの付き合い方については議論の的になってゆきそうです。
ラクトースフリーでお腹を整えたい方におすすめ
ラクトース不耐症(乳糖不耐症)とラクトースフリー
ラクトース不耐症(乳糖不耐症)とは、牛乳などに含まれるラクトース(乳糖)を摂ると次のような症状が出てしまう状態のことです。
<ラクトース不耐症の症状>
- ・腹部膨満感
- ・腹痛
- ・腹鳴
- ・下痢
- ・吐き気
症状についての説明
「なんとなくお腹がゴロゴロする」というのがそれにあたります。
こういった症状が繰り返し出るという方はラクトース不耐症の可能性が高く、ラクトースの栄養をうまく吸収することができません。
ラクトース不耐症の分布
白人よりもアジア人に多く、日本ではなんと成人の20~25%がこの症状で悩まされているというデータもあるそうです。
乳糖との関係
「でも、母乳にも含まれているんでしょう?」とお思いになるかもしれませんが、赤ちゃんの頃は乳糖を消化する酵素が小腸でたくさん作られるのに対し、離乳後には減ってしまうために、母乳が飲めたお子さんや成人の方でもラクトース不耐症になる方は多いのです。
ラクトースフリー製品について
この不快な症状を避けるために、ラクトースをあらかじめ分解した乳製品を「ラクトースフリー」製品といいます。
日本ではまだまだ一般的ではありませんが、乳製品の豊富な欧米ではスーパーに置かれていることも多いようです。
ラクトースフリー製品について
「ラクトースフリー」と聞くと、ラクトースは身体に有害で避けた方がよい成分なのだろうか? と心配になる方も多いかもしれませんが、ラクトース自体は「グルテンフリー」「シュガーフリー」などの対象になっているグルテンや砂糖などとは異なり、それを摂ることが健康に悪影響を及ぼすとはされていません。
症状の発現について
ラクトース不耐症の方でも「ラクトースを少しでも摂取したらすぐに症状が出る」という訳ではなく、成人の場合は牛乳を250~375ml以上一気に飲んだときに症状が出るという方が多いようです。
ラクトース不耐症はアレルギーとは異なり、喘息や発疹、かゆみなどの症状はありません。
日常生活を支障なく送れているようであれば、無理にラクトースフリーの製品を求める必要はないかもしれません。
乳製品とラクトース
すべての乳製品がラクトースを大量に含むというわけではなく、ヨーグルトやチーズなどの発酵食品については、発酵の過程で乳糖の一部が分解されており、消化・吸収しやすくなっています。
症状を和らげるための対策
ラクトース不耐症にお悩みの方はラクトースフリーの製品を試してみるのもよいですが、それほど困ってはいないという方は、「牛乳を空腹時に飲まない」「牛乳は一気に飲まない」「牛乳を摂るときは他の食べ物と一緒に摂る」などの対策をとることで症状を出にくくすることができるようです。
- ラクトースは便秘に効く?
- ラクトース不耐症の方にとっては不快な症状を引き起こすラクトースですが、一方では健康食品として販売もされています。
便秘に対する効果を期待して摂っている方が多いようですが、国立健康・栄養研究所のWebサイトによれば、ラクトースの整腸作用については「ヒトでの有効性については信頼できるデータが見当たらない」とのことです。 - ラクトース不耐症の方が摂りすぎると下痢になるということですので、ラクトース不耐症ぎみの方がお腹に刺激を与えるために利用しているということかもしれませんね。
参考
https://www.j-milk.jp/jidf/wp-content/uploads/2015/06/j-Lactose-intolerance.pdf
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ラクトースが分解される仕組み
ラクトース不耐症になる人とそうでない人の違いは一体どこにあるのでしょうか?
近年、それが「腸内環境」であるという説が登場して話題になりました。
乳糖の分解には大腸に存在する腸内細菌が関わっており、動物実験の結果からは腸内細菌叢の改善によってラクトース不耐症を改善できる可能性が考えられるそうです。
ではどのようにすると乳糖を分解する腸内細菌を増やすことができるのかというと、動物実験では「牛乳や乳製品を日常的に摂る」ことが効果的だったのだとか。
ラクトース不耐症の方はラクトースを一気に大量に摂ると症状が出てしまいますので、少量ずつから初めて、乳糖を分解する細菌を徐々に大腸に増やしていくとよいのかもしれません。
<ラクトース不耐症の方のラクトースとの付き合い方>
- ①ラクトースフリー製品を購入する
- ②ラクトースを分解する酵素(ラクターゼ)のサプリメントを服用する
- ③ラクトースを含む食品を、一度に大量に摂取しないように気を付けながら、症状が出ない範囲で摂取する
ご自身の体調と相談しながら選んでください。
ラクトースについてのQ&A
- ラクトースは身体に有害なのでしょうか?
- ラクトースは、ラクトース不耐症の方が摂ると不快な症状が現れますが、母乳にも含まれる成分であり、身体に有害な成分ではありません。
- ラクトース不耐症が治るサプリメントがあると聞きました。
- ラクトースを分解する消化酵素(ラクターゼ)のサプリメントが存在します。ただし、それでラクトース不耐症が治る訳ではなく、症状を出さないためには摂り続ける必要があります。
- ラクトース不耐症とアレルギーはどう違うのですか?
- 例えば牛乳のアレルギーは他の食物アレルギーと同様に皮膚炎や鼻炎などの症状が出ます。ラクトース不耐症の症状は腸の症状ですので症状が異なります。
- ラクトースフリーの商品は栄養価が低いのですか?
- ラクトースが分解されているだけであれば栄養は変わらないようです。ただし、ラクトースがより甘味の強いブドウ糖とがラクトースに分解されているため、甘味を強く感じます。
- 日本人はラクトースが苦手って本当?
- 白人と比較するとラクトース不耐症をもつ人口の割合が多いといわれています。