マヌカハニーができるまで|北欧の農場から日本のキッチンへ
マヌカハニーは様々な効果や効能をもつとされ、副作用もないため、薬に頼らない生活の強い味方です。
その薬効は様々な研究でも証明され、ナチュラルな生活を志向される方々の間では「薬箱に一瓶」の身近な存在になりつつあります。
他のハチミツでは代用できない特別なハチミツ・マヌカハニー。一体どのように生産されているのでしょうか?
自然豊かな農場から私達の暮らしにやってくるまでをまとめました。
Contents List/目次
マヌカハニーを育む環境
世界のキッチンに届くマヌカハニーはすべてニュージーランド産。荒地でも力強く生きるマヌカの木は、昔から人々に重宝されてきたようです。
マヌカとは?
マヌカハニーは、マヌカ(Leptospermum scoparium)という木の花の蜜です。
マヌカはフトモモ科の常緑性低木。樹高3~4mで、直径1㎝程度の白い花を咲かせます。
太古の時代にオーストラリアで生まれ、その後ニュージーランドの厳しい自然環境に適応して全土に広がりました。
マヌカは生命力の強い植物で、荒れ地でも真っ先に育つため、ニュージーランドでは土地の自然保護にも利用されています。
マヌカが育つ環境
マヌカが好むのは、湿気と暖かい気候。自生するのは湿地帯や沿岸地域などが多いようです。
マヌカハニーを採取するためのマヌカの群生地があるのも、多くは人里離れた山の中。
ミツバチたちがマヌカの蜜だけを集められる環境なので、混じりけのないハチミツがとれるのです。
養蜂家が採蜜に行くときも丘を越え、川を越え、人の手の入っていない土地の中に入っていきます。中には、ヘリコプターでなければ入れないような場所もあるそうですよ。
そんな場所で生まれるマヌカハニーは、農薬や化学物質の影響を受けていないオーガニックのものが多いようです。
ニュージーランドの人々に愛されるマヌカ&マヌカハニー
マヌカは、ニュージーランドの先住民族であるマオリ族によって古くから薬用植物として利用されてきました。
樹皮は鎮静剤、皮膚病の治療、うがい薬などとして。また、葉はハーブとして、蒸した蒸気を吸って風邪の症状を和らげるために使用したり、お茶にしたりと、様々に活用されてきたようです。
一方マヌカハニーには、マヌカをハーブとして利用するのとはまた違った効果があるといわれています。
腸内環境を整える、ピロリ菌抑制、口内環境改善、インフルエンザウイルスの抑制…マヌカハニーが人体にもたらす効能は様々。その高い殺菌効果から、ニュージーランドでは医療用品やスキンケア製品にもなっています。
マヌカハニーはこうして生まれる
ミツバチから始まり、多くの人が関わって作られるマヌカハニー。ニュージーランドから私達の家庭に届くまでには様々な工程があります。
巣箱の設置
開花期になると、養蜂家たちはマヌカの林がある場所にミツバチの巣箱を設置します。
マヌカの開花に合わせ、北から南へと移動しながら、ニュージーランド国内の様々なマヌカ群生地で採蜜するのです。
養蜂家は英語で”Bee keeper”。
その名のとおり、ミツバチが病気にかからないか、群れが分かれてしまわないかと常に気を配り、群れの維持に努めます。
収穫は天候次第なので、シーズン中は祈るような気持ちで過ごすそう。
マヌカの開花時期(通常11月~2月頃)に暖かく晴れた天候が続くと、その年のマヌカハニーの収穫は順調にすすみます。
蜜の採取~製品化
マヌカハニーがじゅうぶん集まると、養蜂家はハチミツの詰まった板を外して蜜を採取します。
ミツバチが暮らす巣箱は、ハチミツを蓄える場所と子育てのための場所に分かれているので、人がハチミツをいただいても群れの暮らしはそのままです。
熟練の養蜂家は刺されることはほとんどありませんが、ミツバチにストレスを与えないため、作業は煙でハチを遠ざけ、ハチを興奮させない白色の防護服・面布を着用して行います。
集めたハチの巣が施設に送られると、いよいよマヌカハニーの取り出しです。
濃厚なマヌカハニーは一般的なハチミツよりも取り出しにくいのですが、遠心分離機などにかけ、成分を壊さないように取り出していきます。
巣から取り出したマヌカハニーは自然な温度に保たれ、純度を高めるためにろ過します。
検査、認定~輸出
こうして作られるマヌカハニー。キッチンに直行!といきたいところですが、その前に検査があります。
政府が設けた基準を満たしたものだけがニュージーランド産マヌカハニーとして認められるのです。
内容は化学試験とDNA検査。政府が認めたMPI認定検査室にて、一定レベル以上の成分の含有が確認されたもののみがニュージーランド産マヌカハニーと認定され、輸出されることになります。
これで安心!マヌカハニーの選び方
マヌカハニーの有効成分量は、製品によってばらばらです。
そこで、いくつかのメーカーや団体では有効成分量などを測定し、消費者に品質を示すための認証基準を設けています。
マヌカハニーを購入する際は、「UMF」「MGO」などグレードを示す認証マークがついているものを選ぶと安心です。
高価なマヌカハニーは、長年偽物の流通に悩まされてきました。これだけの対策をしている現在でも、ラベルを偽装するなどした製品がごく一部存在するとか。
日本においても信頼できる店で選ぶことが大切です。
マヌカハニーのトリビア
最後は、マヌカハニーがもっと身近に感じられるようになる、マヌカハニーの豆知識をふたつご紹介します。
マヌカハニーは寝かせてパワーアップ
マヌカハニーは37℃程度で4か月ほど保管すると、有効成分であるMGO(メチルグリオキサール)の量が倍増するそうです。
MGOはマヌカハニーに含まれる抗菌物質で、その含有量がマヌカハニーのグレードと薬用効果を大きく左右します。
そのため、多くの生産現場では寝かせてからMGOの含有量を測定し、出荷しているそうです。
ミツバチの働きとマヌカハニー
ニュージーランドのUMF協会によると、1Lのマヌカハニーを集めるためにミツバチは約77,200km飛ぶという計算になるそうです。
地球一周が約40,000kmですから、なんと地球を2周するのに近い距離ということになります。
1kgのマヌカハニーを作るのに訪れる必要がある花の数は、約400万。
私達は貴重な自然の恵みを分けていただいているんですね。
ニュージーランドの豊かな自然とミツバチ、そして様々な人の手によって生み出されているマヌカハニー。その優れた薬効は、多くの努力によって私達の食卓へ届けられていました。
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