納豆菌を増やす方法は?|失敗しない5つのコツ&チェックシート付き

自家製納豆は、市販のものとは違う格別の風味と、手作りならではの安心感が魅力です。


しかし、納豆づくりは一見簡単そうに見えて実は奥が深いもの。納豆菌をうまく増やし、美味しい納豆を作るには、いくつかのコツがあります。

この記事では、

納豆づくりに挑戦したけれど、うまく発酵しなかった

市販の納豆のように粘り気や香りが足りない

自家製納豆を作りたいけれど、どうすれば納豆菌をしっかり増やせるのかわからない


といった方に向けて、納豆菌がしっかり増える、失敗しないコツを徹底解説します。

さらに、自家製納豆を成功させるための具体的なチェックシートも用意しました。
ぜひ参考にして、おいしい自家製納豆を楽しみましょう。

もくじ

納豆菌を増やす方法とは

納豆の元になる『納豆菌』ですが、どうすれば増えるのでしょうか。

古くからの方法では稲わらを使いますが、一般家庭でも簡単にできる方法は2つあります。

  1. 市販品を活用する方法
  2. 納豆菌を活用する方法

それぞれの方法について、詳しく見ていきましょう。

市販品を活用する方法

1つ目は、スーパーなどで手軽に購入できる『市販の納豆』を種として活用する方法です。

メリット
  • 手軽に楽しめる:特別な道具や材料を準備する必要がなく、すぐに始められます。
  • コストがかからない:新たに納豆菌を購入する必要がないため、比較的安価にすみます。

デメリット
  • 品質にばらつきがある:市販の納豆には納豆菌以外の菌も含まれている可能性があり、雑菌が繁殖してしまうことがあります。
  • 発酵が不安定:納豆をつくるための製品ではないため菌の力が十分ではなく、うまく発酵しない場合があります。

市販品を利用して納豆をつくる際は開封後のものは使用せず、できるだけ新鮮なものを選びましょう。

納豆をつくるための製品ではないため、他の菌が混入し、うまく納豆菌が増えない可能性もあります。

発酵中に異臭や異常な粘り気を感じたら、食べるのを控えましょう。

納豆菌を活用する方法

もう1つの方法は、『納豆菌』を活用する方法です。納豆菌は粉末などに加工したものが販売されているため、それを大豆に混ぜて発酵させることで納豆菌を増やすことができます。

メリット
  • 品質が安定している:純粋な納豆菌のみを使用するため、雑菌が入りこむリスクが低く、安定した品質の納豆を作ることができます。
  • 成功率が高い:菌の力が安定しているため、発酵に失敗するリスクが低く、初心者にもおすすめです。
デメリット

コストがかかる:納豆菌粉末を購入する必要があるため、市販の納豆を活用する方法に比べてコストがかかります。

納豆菌粉末を利用することで、手軽に上質な納豆を作ることができます。購入する手間はかかりますが、納豆菌粉末0.1グラムで約1キロの納豆が作れるため、コストパフォーマンスが高いのも魅力です。

かわしま屋の納豆菌粉末は、納豆作りで失敗してしまった方や、手軽に納豆作りに挑戦してみたい方におすすめ。
ぜひ活用しておいしい自家製納豆をお楽しみください。

納豆菌を増やす!失敗しない5つのコツ

『納豆菌を増やす』ためには、納豆菌が住みやすい環境を整えることが重要です。「糸が引かない」、「どろどろになってしまった」という場合は、納豆菌がうまく増えず、発酵が進まなかった可能性があります。
納豆菌は強い菌としても有名ですが、きちんと納豆菌が増殖しやすい環境を整えてあげることで失敗をなくすことができます。

納豆菌を増やすためのコツは以下の5つです。

  1. 温度は40度前後
  2. 湿度は90%
  3. 密封しない
  4. 大豆を柔らかく煮る
  5. 雑菌の侵入を避ける

それぞれ紹介していきます。

温度は40度前後

納豆菌と温度の関係は非常に深く、温度をしっかりと管理することが失敗しないポイントです。納豆菌が最も増殖しやすい適温は『40度前後』

適切な温度から外れると納豆菌の活動が遅くなったり止まったりして納豆菌が増えません。そのため、納豆菌を増やすには温度管理が非常に重要です。

保温機能を活用すると失敗しにくい

タッパーに入れてこたつや夏の室内でも納豆を作ることは可能ですが、ヨーグルトメーカーやパンメーカーなどの保温機能で温度を安定させると成功しやすいです。
保温機能を使う場合、少し高めの45度に設定することで熱が伝わりにくい中央部分も適温になり、大豆全体に納豆菌が繁殖しやすくなります。

発酵環境も注意が必要

直射日光が当たる場所や風が強く当たる場所に置くと内部の温度が安定しないため、保温器は室内の日陰に置くことをおすすめします。

24時間を超えたら冷蔵庫へ

発酵終了後は冷蔵保存して1日ほど熟成させましょう。熟成させることで納豆の風味が増し、よりおいしくなります。

高温のままにしておくと、アミノ酸が分解されてアンモニア臭が出てきて風味が損なわれるので注意が必要です。

湿度は90%がベスト

納豆菌は乾燥に弱く、湿度90%がベストな環境です。

種付け後は大豆から水分が出たり、表面が乾いたりするなど、湿度が不安定です。腐敗や納豆菌がつかない原因になるので、注意が必要です。

清潔なガーゼや布巾で湿度管理を

湿度管理に有効なのが清潔なガーゼや布巾です。

種付け後の大豆にガーゼや布巾をかぶせることで、適度な湿度に保つことができます

ガーゼは使用前に熱湯消毒するか、レンジで温めることで消毒しておきましょう。熱いガーゼはすぐに触らず、火傷に注意してください。

容器は密封しない

乾燥防止や雑菌の侵入を防ぐために蓋をする必要はありますが、密封はせず、ラップに穴を開けて被せたり、蓋をずらすなどしてしっかりと酸素を与えることも成功のコツです。

納豆菌は酸素が必要不可欠な『好気性菌』です。発酵過程で十分な酸素を与えることで、納豆菌は増えやすくなります。

大豆は指でつぶせる固さに

固い大豆だと納豆菌が増えにくいため、指で簡単につぶせるくらいやわらかくするのがベストです。

大豆などに含まれる植物性タンパク質を栄養にして納豆菌は増えます。大豆はやわらかくしてあげることで納豆菌に栄養を与え、元気に活動してもらいましょう。

大豆の浸漬時間は、冬(水温0-5度)は24時間、春・秋(水温10-15度)は15時間、夏(水温20-25度)なら6時間程度が目安です。煮具合は圧力なべで30分、通常の鍋で3~4時間が目安ですが、お使いの鍋によって多少前後します。

雑菌の侵入を避ける

納豆菌を増やすには他の菌の混入を避ける必要があります。

納豆菌は『最強』と呼ばれるほど強い菌であり、基本的に他の菌と一緒に存在しています。

しかし、他の菌が必要以上に増えると、活動が遅くなったり止まったりしてしまうため注意が必要です。

消毒と清潔な環境を意識する

  • 手洗い・消毒を徹底する
  • 使う容器やガーゼ、スプーンなどは熱湯・消毒する
  • 大豆はきれいに洗う
  • 発酵環境を清潔に保つ

など、不要な菌の混入を防ぐことが重要です。また、消毒の際に熱湯を扱う際は手袋をつけるなどして火傷に十分注意して行いましょう。

アルコール消毒はしっかりと揮発させる

アルコール消毒も有効ですが、アルコールが残っている状態だと発酵がうまくいかない可能性があります。

作業前にしっかりとアルコールが飛んだことを確認しましょう

種を溶かす時は沸騰して冷ました水を使う

種として納豆菌や納豆を大豆に入れる際には少量の水に溶いた『納豆菌液』を使います。水に溶くことでまんべんなく全体に菌がいきわたり、納豆菌が繁殖しやすくなります。

このときに使う水は『沸騰して冷ました水』を使いましょう。沸騰させることで水の中に含まれる細菌や塩素を取り除くことができます。もちろん、滅菌水があればそのまま使用することが可能です。

純粋な納豆菌粉末を使う

自家製納豆を成功させるためには、種となる納豆菌選びも重要です。

市販の納豆を種として使うこともできますが、他の菌が混入している可能性も考慮する必要があります。

納豆菌粉末は、純粋な納豆菌のみでできているため、雑菌の繁殖リスクを大幅に減らすことができます。

安定した発酵によって品質のばらつきや失敗が少なく、上質な納豆を作ることが可能です。
市販の納豆では得られない、より強い風味や粘りを出すことも可能なため、おいしい自家製納豆を作ってみたいという方は、納豆菌粉末がおすすめです。
また、納豆屋さんのアドバイスをもとに、納豆の作り方について動画付きで分かりやすく紹介している記事もありますので、ぜひ参考にしてみてください。
参考:農林水産省 発酵食品の基本を知る
日本調理科学会誌(J. Cookery Sci. Jpn.) Vol. 52,No. 1,33~37(2019)納豆 三 星 沙 織

失敗しない!自家製納豆成功のためのチェックシート

自家製納豆づくりは、ちょっとしたコツと注意点を押さえることで、誰でも簡単に美味しい納豆を作ることができます。
自家製納豆づくりで特に重要なポイントをまとめましたので、ぜひこのチェックシートを活用しておいしい自家製納豆をたのしんでください。

大豆の準備

  • 大豆の汚れをしっかり落としましたか:皮が破れない程度にこすりながら落としましょう。
  • 大豆を重量の4倍程度の水で漬けましたか:目安として大豆500gに対して2リットル程度です。
  • 大豆を十分に浸水させましたか:冬(水温0-5度)は24時間、春・秋(水温10-15度)は15時間、夏(水温20-25度)なら6時間程度です。
  • 指で潰せる柔らかさになるまで蒸しましたか

保存容器等の準備

  • 保存容器は消毒しましたか
  • 使用するスプーンやしゃもじは消毒しましたか
  • ガーゼや布巾は消毒しましたか
  • 使う器具等に水気はありませんか

納豆菌を混ぜる

  • 納豆菌(納豆)は滅菌水(沸騰させて冷ました水)で溶かしましたか
  • 大豆が熱いうちに納豆菌液(納豆)を加えましたか
  • 菌が全体にいきわたるようにしっかり混ぜましたか

発酵環境

  • 混ぜた後、大豆にガーゼや布巾をかぶせましたか
  • 蓋は密封せず、軽くずらすか小さな穴を開けたラップなどで蓋をしましたか
  • 温度40℃前後で管理できていますか:保温機能では45度設定にしましょう
  • 直射日光が当たったり、風が当たる場所に置いていませんか
  • 24時間の発酵時間を確保しましたか

仕上げと保存

  • 冷蔵庫で1日ほど熟成させましたか
  • 保存方法(冷蔵・冷凍)を適切に行いましたか:冷蔵保存でもざらざらと食感が悪くなるため、1週間以内に食べきれない分は冷凍するのがおすすめです。冷凍することでおいしい自家製納豆を長く楽しむことができます。

市販品の納豆作りで失敗してしまった方や、手軽に納豆作りに挑戦してみたい方は、ぜひ納豆菌粉末をお試しください。

納豆菌に関するQ&A

納豆菌を摂りすぎるとどうなりますか?副作用はありますか?

基本的には安全です。ただし、過剰摂取でお腹がゆるくなることがあるため、1日1パック(約40グラム)など適量を摂るようにしましょう。

納豆菌は冷凍しても大丈夫ですか?

納豆菌は冷凍すると活動を停止しますが、解凍すれば再び増殖できます。
完成した納豆は冷蔵保存し、1週間以内に食べきれない分は冷凍することでおいしい納豆を長く楽しめます。

納豆菌は何度で死滅しますか?

納豆菌は120度以上で死滅しますが、一般的な調理方法では死滅しにくいです。
ただし、納豆のねばねばに含まれている酵素である『ナットウキナーゼ』は50度で活動を停止し、70度で死滅するので注意が必要です。

納豆菌は他の菌を殺しますか?

納豆菌は『最強』と呼ばれるほど非常に強い菌なため、他の菌より優勢になりやすい特性があります。しかし、他の菌が増えすぎると納豆菌が増えにくくなるため納豆を作る際には注意が必要です。

納豆菌に種類はありますか?

納豆菌は 「枯草菌(Bacillus subtilis)」 の一種であり、その中でも糸を引き、納豆の発酵に適した菌株が「納豆菌」と呼ばれています。

納豆菌の種類は膨大で、メーカーごとに独自の納豆菌が存在します。『小粒納豆に適した菌』や『粘り気の少ない菌』、『サプリメント向けの菌』など種類は日々増えています。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

この記事をシェアする

この記事を書いた人

もくじ
閉じる