梅干しが風邪予防に効く理由とは?科学的根拠と最適な食べ方をご紹介

季節の変わり目は風邪をひきやすくなり、体調管理が心配です。できるだけ薬に頼らず、食べ物で免疫力を高めたいと考える人も多いでしょう。
そんなときに注目したいのがさまざまな効果をもつ「梅干し」です。風邪予防に役立つ成分が豊富に含まれています。
この記事では、梅干しが風邪予防に効果的な理由を詳しく解説します。また、手軽に試せるおすすめの食べ方も紹介するので、ぜひ試してみてください。
1日1個の梅干しを習慣にして、風邪に負けない体を目指しましょう!
梅干しが風邪予防に効く科学的な根拠

梅干しに含まれる成分が風邪予防にどう役立つのかを、科学的に解説します。
- クエン酸が細菌の増殖を抑制する
- ポリフェノールが体内の炎症を抑える
- 乳酸菌が腸内環境を整える
- 酸味が食欲を促進する
それぞれ見ていきましょう。
クエン酸が細菌の増殖を抑制する
梅干しに含まれるクエン酸は風邪を予防するのに役立ちます。細菌の増殖を抑えると共に、唾液を増やして口の中を清潔にする働きがあるからです。
クエン酸は抗菌作用があり、細菌が増えるのを防ぎます。この性質は食品の保存にも使われています。
さらに、クエン酸は唾液の分泌を助けます。唾液には細菌を抑える成分が含まれているため、口の中を清潔に保つのに役立ちます。そのため風邪や感染症にかかるリスクを減らせるでしょう。
梅干しを1日1〜2粒食べると、細菌の増殖を防ぎ、口の中の環境をよくする効果が期待できます。梅干しを食べると自然に唾液が出るので、のどの乾燥を防ぐのにも役立ちます。
ポリフェノールが体内の炎症を抑える
ポリフェノールは植物に含まれる成分で、体を守る働きがあります。体の中に活性酸素が増えすぎると、細胞が傷つき、炎症が起こりやすくなるからです。炎症が続くと免疫のバランスが崩れ、風邪をひきやすくなることもあります。
梅干しには、アントシアニンやフラボノイドといったポリフェノールが含まれています。これらの成分には活性酸素の働きを抑え、体の炎症を軽くする力があります。特にアントシアニンは、免疫の働きを助けるといわれているため、毎日食べることで風邪の予防につながるでしょう。
民間の研究によると、紅茶や緑茶に含まれるポリフェノールがインフルエンザ予防に役立つとされています。梅干しに含まれるポリフェノールにも同様の効果が期待できる可能性があります。
風邪を防ぐには、手洗いや栄養バランスのよい食事、しっかりした睡眠が大切です。毎日の食生活に梅干しのポリフェノールを取り入れると、健康を守る助けになるでしょう。
参考:
【研究レポート】緑茶成分によるインフルエンザ予防~新型インフルエンザの感染も抑制~|ニュースルーム|伊藤園企業情報サイト
2018年10月三井農林株式会社発表資料 紅茶のインフルエンザウイルス感染阻止力の研究について
乳酸菌が腸内環境を整える
梅干しには乳酸菌が含まれており、腸の調子を整える働きがあります。腸には多くの免疫細胞が集まっています。そのため腸内環境が良くなると免疫力が高まり、風邪をひきにくくなるでしょう。
乳酸菌は腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌の増殖を防ぎます。その結果、腸のバリア機能が強まり、ウイルスや細菌の侵入を防ぎやすくなるのです。腸が健康になると栄養の吸収がよくなり、体全体の調子も整います。
また、乳酸菌を摂ると「ナチュラルキラー(NK)細胞」という免疫細胞が活性化し、免疫力が上がるといわれています。例えば、乳酸菌1073R-1株を含むヨーグルトを食べると、風邪をひく人が減ったという研究もあります。
腸内環境を整えて風邪を防ぐには、乳酸菌を含む食品を毎日食べることが大切です。梅干しのほかに、ヨーグルトや納豆、味噌などの発酵食品を組み合わせると、より効果が期待できます。
酸味が食欲を促進する
梅干しの酸味には食欲を引き出す効果があります。体調不良で食欲があまりなくても、酸っぱさが刺激となり食欲を引き出してくれるでしょう。
特に風邪をひいたときは、十分な栄養補給が回復を早める鍵です。梅干しは食欲増進のサポートに役立ちます。
また、酸味による唾液分泌の増加には、消化を助ける効果もあります。唾液には消化酵素が含まれているからです。食べ物の分解を助けるため、効率よく栄養を吸収しやすくなります。
料理やドリンクに適量を加えるのもおすすめです。バランスよく食事をとり、風邪予防につなげていきましょう。
参考:
心身医学 48巻(2008)6号 P-29神経性食欲不振症患者のrefeedingに伴う消化器症状に対するクエン酸モサプリドの有効性の検討
風邪予防に試したい梅干しの食べ方6選
ここからは、梅干しを効果的に取り入れる食べ方を紹介します。風邪を予防するには、栄養バランスを意識することが大切です。梅干しをさまざまな料理にアレンジすると、飽きずに続けやすいでしょう。
忙しい人や調理が苦手な人でも試しやすいレシピを中心に選びました。どれも自宅で簡単に作れるので、ぜひ実践してみてください。
- 消化に良い梅干し入りおかゆ
- のどにやさしい梅干しとはちみつのホットドリンク
- 体を芯から温める梅干しと生姜のスープ
- 手軽に温活できる梅干し茶
- 胃腸をいたわる梅干しと大根おろしうどん
- 風邪対策にぴったりな梅ネギサラダ
体調がすぐれないときこそ、梅干しを上手に活用しましょう。
消化に良い梅干し入りおかゆ
風邪のときの定番料理といえばおかゆです。梅干しを加えると酸味がプラスされて食べやすくなります。疲れた体に優しく、効率よくエネルギー補給ができるのが魅力です。
おかゆと梅干しの組み合わせは消化に良く、免疫力の維持をサポートします。作り方は簡単で、炊いたおかゆに潰した梅干しを混ぜるだけ。塩味を調整すれば、さっぱりと食べられます。刻んだネギや生姜を加えると風味が増し、風邪対策にも効果的でしょう。
余裕があれば、大葉やみつばをトッピングするのもおすすめです。梅干しの酸味と薬味の香りが食欲を刺激し、体を内側から温めてくれます。朝食や軽い昼食にもぴったりな一品です。
のどにやさしい梅干しとはちみつのホットドリンク
のどが痛いときは、固形物を食べられない時もあります。温かい飲み物で栄養を摂るほうが良い場合もあるでしょう。
はちみつには殺菌作用や粘膜保護の効果が期待できます。さらに、梅干しのクエン酸や乳酸菌と組み合わせると、のどを潤しながら体調を整えやすくなります。温かい飲み物だと身体が芯から温まり、免疫細胞の働きを助けるのもポイントです。
作り方は簡単です。湯を沸かし、マグカップに注いだら、軽くほぐした梅干しとはちみつを適量加えます。しっかり混ぜると、甘酸っぱくて心地よい味わいになります。甘さは好みに応じて調整してください。
風邪の引き始めでのどが痛むときや、寝る前に身体を温めたいときにぴったりです。味にアクセントを加えたい場合は、レモン果汁を少量プラスすると、ビタミンCも補給でき、さらに相乗効果が期待できます。
体を芯から温める梅干しと生姜のスープ
生姜に含まれるジンゲロールには、体を温めて血行を促進する効果があります。梅干しの酸味と生姜の辛味を組み合わせると、より風邪予防や回復のサポートが期待できるでしょう。
特に冷え性の人や冬場に体温が下がりやすい人におすすめです。梅干しのクエン酸が味にアクセントを加え、さっぱりとした風味になります。
スープの具材は自由にアレンジ可能です。キャベツ、にんじん、豆腐などを加えると、栄養バランスが整いやすくなります。
手軽に温活できる梅干し茶
温活とは、体温を上げる習慣を取り入れ、健康を管理することです。シンプルで効果的な温活法として梅干し茶を紹介します。冷え性対策や免疫力アップが期待できる手軽な飲み方です。
作り方は簡単です。湯飲みに梅干しを1粒入れ、お湯を注ぐだけ。飲む前に梅干しを軽くつぶすと、酸味が全体に広がり、味わいが深まります。隠し味として、少量の醤油を加えてもよいでしょう。朝食時や休憩時間など、いつでも手軽に取り入れられます。
梅干し茶は風邪予防だけでなく、疲労回復やリフレッシュにも適しています。さっぱりした味わいを楽しみながら、クエン酸やポリフェノールを摂取できるのも魅力です。
胃腸をいたわる梅干しと大根おろしうどん
風邪の引き始めや胃腸が弱っているときは、消化が良く栄養価の高い食事が理想的です。大根おろしには消化を助ける酵素が含まれ、うどんは胃にやさしい食べ物です。梅干しのクエン酸やポリフェノールが加わると、体内バランスを整えるサポートが期待できるでしょう。
作り方は簡単です。茹でたうどんに大根おろしと刻んだ梅干しを乗せ、温かいつゆをかけるだけ。生姜を加えると保温効果が高まり、風邪のときにも食べやすい一品になります。
また、大根おろしに含まれるジアスターゼという酵素は、胃もたれや消化不良の改善に役立つとされています。梅干しの酸味がアクセントになり、食欲が落ちているときでも食べやすいのが魅力です。
風邪対策にぴったりな梅ネギサラダ
最後に紹介するのは、風邪対策に役立つネギと梅干しのサラダです。ネギには抗菌作用をもつアリシンが含まれており、抵抗力を高めるのに役立ちます。梅干しのクエン酸や乳酸菌と組み合わせることで、相乗効果が期待できるでしょう。
ネギの辛味成分は加熱すると甘みが増しますが、抗菌作用を活かすのであれば生のまま使うのがおすすめです。水に溶け出てしまいやすい、ビタミンやミネラルを効率よく摂取できます。
作り方は簡単です。レタス、きゅうり、トマトなど好みの野菜をカットし、白髪ねぎ(千切り)にした長ねぎと刻んだ梅干しを混ぜ合わせます。ドレッシングは、オリーブオイルやごま油、しょうゆと梅干しを合わせると、和風の味わいが引き立ちます。
食欲がないときでも、梅干しの酸味がアクセントになり、食べやすい一品です。風邪予防にぜひ取り入れてみてください。
1日1個の梅干しで風邪をひきにくい身体を作ろう

梅干しには、クエン酸やポリフェノール、乳酸菌など、風邪予防や免疫力向上に役立つ成分が豊富に含まれています。アレンジ料理を作りやすいのも魅力です。
習慣的に1日1個程度の梅干しを取り入れると、腸内環境の改善が期待できます。シンプルながら効果的な健康習慣といえるでしょう。
もちろん、梅干しだけで必要な栄養を補うのは困難です。他の食材との組み合わせにより、効果を最大限に引き出せます。生姜、はちみつ、大根おろしなどの相性の良い食材と一緒に摂取すると、風邪予防の相乗効果も高まるでしょう。
風邪をひきにくい体づくりには食事だけでなく、十分な睡眠や適度な運動も欠かせません。まずは、毎日の食卓に梅干しを取り入れることから始めてみてください。自然の力を活かしながら、健康維持に役立てていきましょう。