ケフィアとは|効果・効能やヨーグルトとの違いって?
記事の監修
管理栄養士
川野 恵
フリーランスの管理栄養士としてレシピ開発や栄養のコラム作成のほか、外食チェーン店でのダイエットを意識した食べ方を紹介。現在はクリニックにて、生活習慣病などに悩む方々へ栄養指導を行なっている。
一度は耳にしたことがある「ケフィア」という食べ物。「昔流行ったヨーグルトきのこでしょ?」など、実はケフィアが何なのかについてはよく分かっていない方も多いのではないでしょうか?
ケフィアは、牛乳を乳酸菌と酵母菌の力で発酵させた、ヨーグルトに似た食べ物です。
今回は、ヨーグルト以上ともいわれるおいしさをもつケフィアの効果・効能や、ヨーグルトとの違い、ご家庭での簡単で失敗しにくい作り方などについて詳しくご説明します!
ケフィアとは
ケフィア(ケフィール)とは、ロシアのコーカサス地方で伝統的に食べられてきた発酵乳。
牛や山羊など動物の乳を発酵させてできたもので、ヨーグルトに似ています。
ケフィアの特徴は、乳酸菌だけでなく酵母(イースト)も含まれていること。
パンを膨らませたりお酒を発酵させたりする働きで有名な酵母ですが、香味成分を発生させたり、シュワっとした口当たりをもたらしたりと、ヨーグルトにはないケフィア独自の味に貢献しています。
ちなみにケフィアと混同される「ヨーグルトきのこ」は、日本において人から人へと渡ってゆき、植え継ぎで増やされたもの。
コーカサス地方で食べられているケフィアとは味も香りも異なる、日本独自のものなのだそうです。
ケフィアは北欧などでも作られるようになりましたが、その際にもケフィアという言葉がそのまま使われたり、ケフィール(kefir)という言葉に変化したりしました。
日本では市販されていないケフィアヨーグルト。手作りするなら?
こちらのケフィアヨーグルトの種菌を使って、ケフィアヨーグルトを作ってみませんか?牛乳や豆乳に混ぜて発酵するだけで、美味しいケフィアヨーグルトがお楽しみいただけます。
ケフィアの菌はどんな菌?
さまざまな菌が含まれていると言われるケフィア。一体どのような菌が存在するのでしょうか?
FAO(国連食料農業機関)の食品規格によると、ケフィアの中には次のような菌が共生しているといいます。
- ・Lactobacillus kefiri(乳酸桿菌)
- ・Leuconostoc(乳酸球菌)、Lactococcus(乳酸球菌)属の菌
- ・Acetobacter(酢酸菌)属の菌
- ・Kluyveromyces marxianus(乳糖発酵性酵母)
- ・Saccharomyces unisporus、Saccharomyces cerevisiae、Saccharomyces exiguus(非乳糖発酵性酵母)
ヨーグルトに含まれる菌の種類も商品によって違いますが、ケフィアも製品によって含まれる菌の種類や数は異なるようです。
共通して言えるのは「乳酸菌と酵母が『共生発酵』している」ということ。
多いものでは30種類以上の微生物が含まれているとも言われています。
ケフィアグレインについて
ケフィアの中の乳酸菌はケフィランという多糖を作り、酵母と共に「ケフィアグレイン」と呼ばれる共生体を作っています。
この「ケフィアグレイン(ケフィア粒)」は数mmから数㎝の粒で、ケフィアの中に育つ、いわば「乳酸菌や酵母の巣」のようなもの。
伝統的な作り方ではケフィアの中に発生した「ケフィアグレイン」を種菌として新しい乳に加えることでケフィアを増やしますが、現在では世界中どこでも安定した品質でケフィアが楽しめるよう、培養と凍結乾燥による粉状の種菌が市販されています。
ケフィアとヨーグルトは何が違う?
見た目も味も似ているケフィアとヨーグルト。具体的にはどんな点が違うの?という疑問にお答えして、比較表を作ってみました。
ケフィア | ヨーグルト | |
---|---|---|
微生物の数と種類 | 乳酸菌数種類+酵母数種類 例)乳酸菌6種+酵母10種 |
乳酸菌orビフィズス菌数種類 例)乳酸菌2種 |
固まる温度 | 20~30℃ | 40~45℃ ※カスピ海ヨーグルトは20~30℃ |
香り | 乳酸発酵とイースト発酵の香り | 乳酸発酵の香り |
管理 | (アルコール発酵するため) 微妙な温度で味が変わりやすい |
比較的味が安定している |
その他 | 日本ではお店で売られていない 味は(ヨーグルトと比較して) ・やわらかい ・さらっとしている ・酸味がまろやか ・シュワっとした炭酸味 |
お店で売られている |
ケフィアとヨーグルトの最も大きな違いは菌の種類と個数です。
ヨーグルトは乳酸菌だけで発酵していますが、ケフィアは乳酸菌に酵母がプラスされています。
さらに、乳酸菌の量もケフィアの方が多いため、市販で売られているヨーグルトではなくわざわざ手作りでつくるケフィアを好んで食べている方も多くいるのです。
しかし人によって効果を実感する菌の種類は違うので、いろんな種類の乳酸菌を試して自分に合った乳酸菌を見つけてみてください。
ウォーターケフィアとは?
まぎらわしいのですが、発酵食品の中には「ウォーターケフィア」というものも存在します。
こちらは通常のケフィアのように動物の乳の中にある乳糖を発酵させるのではなく、糖分を含んだ液体を発酵させたもの。
乳酸菌と酵母が含まれるためシュワシュワと発泡するという点、乳酸菌と酵母の共同体である「ケフィアグレイン」が育つという点は通常のケフィアと似ていますが、できあがりは炭酸ジュースのようなものになり、ヨーグルト状にはなりません。
日本ではウォーターケフィアの種菌やグレインを入手するのは難しいようですが、機会があったら育ててみるのも面白そうですね!
ケフィアの効果・効能
ケフィアが世界的な長寿地域であるコーカサス地方の伝統食であることは有名な話。
ですが、具体的にどのような効果があるのかについてはまだ研究中という部分も大きいようです。
同じように乳酸菌を含むヨーグルトに近い効果に加え、多種の微生物による相互作用もあるのではないかと考えられており、サプリメントなども販売されています。
効果1 腸内環境改善効果、抗菌効果
ケフィアを摂取すると腸内のビフィズス菌の増加、有機酸の増加、アンモニア生成の抑制など、腸内環境の改善効果があることがわかっています。
また、ケフィアにはカンジダ菌やサルモネラ菌、黄色ブドウ球菌、大腸菌などの有害な菌に対する抗菌活性があることも観察されています。
効果2 抗炎症効果
マウスによる動物実験では、ケフィアグレインが火傷の治癒に効果的であったという結果が出ています。ロシアでは、胃や十二指腸の潰瘍の治療にも使用されているそうです。
効果3 免疫力アップ効果
動物実験ではケフィアに免疫系を刺激する効果があることがわかっています。
ケフィアの中の乳酸菌が作るケフィランという多糖には腸粘膜の免疫細胞のバランスを修正する効果があり、風邪や病気の予防に効果がありそうです。
効果4 抗アレルギー効果
ケフィアは動物実験で抗アレルギー効果を示すことがわかっています。
ケフィアの摂取により、アレルギー反応を起こすといわれている血液中の総IgE抗体量が減少するという実験結果もあり、花粉症などのアレルギー疾患の予防に効果が期待できそうです。
このほかにも、糖尿病や高血圧を予防する効果があるという研究結果も存在しています。
参考文献:Cambridge University「Milk kefir: nutritional, microbiological and health benefits
」
ケフィアヨーグルトの作り方
ケフィアヨーグルトは種菌と牛乳さえあれば自宅で簡単に作れます。
発酵温度が20℃~30℃とヨーグルトに比べて低いため、春・秋は室温で十分発酵します。
夏場・冬場など発酵を安定させたい場合は、ヨーグルトメーカーを使用するのがいいでしょう。
特に夏場は一気に発酵して過発酵になり、酸味が強くなったり分離したりしやすいので、一年を通して同じ管理で簡単に作りたいという場合はヨーグルトメーカーの使用をおすすめします。
基本のケフィア|失敗しない作り方
材料
- 500mlの牛乳1パック(豆乳でも可) 500 ml
- ケフィア種菌 1/2 包
- ヨーグルトメーカー
作り方
- 牛乳パックの封を片側だけ開け、ケフィアの種菌を入れます。
- 牛乳パックを締め、手で中身がこぼれないようにしっかりと押さえてからパックを振り、ケフィアの種菌を混ぜ合わせます。
- 牛乳パックがそのまま入るヨーグルトメーカーがあれば、「発酵温度25℃」「発酵時間24時間」にセットし、発酵させます。
- 出来上がったケフィアはそのまま冷蔵庫で保存します。
動画
コツ・ポイント
ケフィアはヨーグルトに比べて、発酵時の温度が低く、20〜30度が適温と言われています。日本では、室温にそのまま置いておいて作れる日も多いのではないでしょうか。
ヨーグルトメーカーを使わない場合は、牛乳パックにそのまま種菌を入れるのが簡単です。
気温が高い時期は日陰や涼しい場所に移動させ、気温が低い時期はタオルで巻く、ぬるま湯であたためるなどすることで作ることができます。 <ケフィアの味と作り方について> ケフィアの中には、乳酸菌、酵母、酢酸菌など複数の微生物が生きています。 それぞれの菌に活発に働く温度があるため、発酵温度や時間を変えることによってケフィアの味も変わります。 一般的に、高い温度で発酵させる方が酸味が強く感じられるようです。 発酵時間については、短い方が乳糖が残って甘みを感じられる仕上がりに。 長く発酵させるほどに酸味が強くなります。 発酵時間が長いとシュワシュワ感も感じられるようになっていきますので、いろいろ試して好みの仕上がりになる温度や時間を見つけてみてください。
<ケフィアの味と作り方について>
ケフィアの中には、乳酸菌、酵母、酢酸菌など複数の微生物が生きています。
それぞれの菌に活発に働く温度があるため、発酵温度や時間を変えることによってケフィアの味も変わります。
一般的に、高い温度で発酵させる方が酸味が強く感じられるようです。
発酵時間については、短い方が乳糖が残って甘みを感じられる仕上がりに。
長く発酵させるほどに酸味が強くなります。
発酵時間が長いとシュワシュワ感も感じられるようになっていきますので、いろいろ試して好みの仕上がりになる温度や時間を見つけてみてください。
ケフィアは豆乳でも作れる?
ケフィアは豆乳でも作ることができます。
豆乳を使う場合は、必ず成分無調整豆乳を使用するようにしましょう。
また、低脂肪牛乳やスキムミルクでも作れますが、味はさっぱり、サラサラした感じに仕上がるようです。
ケフィアヨーグルトについてこちらの記事でさらに詳しくご紹介しています。
ケフィアヨーグルトの作り方
はじめての方も分かりやすい動画付き
ケフィアヨーグルトの作り方を詳しくご紹介いたします。
ケフィアヨーグルトの作り方の記事を見る
手作りヨーグルトの健康効果についてはこちらの記事でさらに詳しくご紹介しています。
手作りヨーグルトで健康効果アップ!美容・ダイエットにも効果的なヨーグルトの作り方を徹底解説
手軽に食べられて美味しいヨーグルト。毎日食べているという方も多いのではないでしょうか?そんなヨーグルト、ご自宅で簡単に手作りできるのです。
使う材料は、牛乳と種菌だけ。市販のものよりも栄養が損なわれず、美味しく、経済的です。
ヨーグルトの基本の作り方やアレンジヨーグルトの作り方、もっと効果的な食べ方など、詳しく解説していきます!
手作りヨーグルトで健康効果アップ!美容・ダイエットにも効果的なヨーグルトの作り方を徹底解説の記事を見る
ケフィアやヨーグルトを毎日食べるだけで腸内環境はよくなるの?
腸内には100兆個以上の細菌が棲んでいるので、「100億個の乳酸菌がとれる!」とかかれたヨーグルトを食べても、腸内に入ればほんの少しの力にしかなりません。
腸内細菌を良くするのに必要とされている個数は1日あたり約1兆個。そのため、ヨーグルトやケフィアだけでなくその他の乳酸菌を含む食材を積極的にとる必要があります。
腸活乳酸菌パウダーはヨーグルトやケフィアにかけて食べるのもおすすめですので、普段の食生活でたくさんの乳酸菌をとるのが難しい方はぜひ活用してみてください。
腸内環境を改善して免疫力アップに
●管理栄養士からのコメント
ケフィアは牛乳からつくられる発酵食品のひとつで、数多くの菌が含まれています。
ケフィアの保有菌数の多さは便秘解消に効く食品として有名なヨーグルトよりも多いと言われるほど。
ヨーグルトでは摂取できない酵母まで摂取できるのもケフィアの特徴であり、さまざまな生理機能や健康への効果が期待されます。
私たちの腸には100兆個の菌が存在し、善玉菌・日和見菌・悪玉菌の3種類に区分されています。
悪玉菌は発がん物質などの腐敗物を生成し、腸内の環境を悪化させる性質があるので、肥満や糖尿病などの疾患へとつながりやすいです。
そのため、いかに腸にいる善玉菌を増やすかが健康を維持するポイント。ケフィアなどの整腸作用の強い食品を日常的に食べることで、善玉菌が過ごしやすい環境を整えましょう。
管理栄養士プロフィール
◎川野 恵
給食委託会社や仕出し弁当屋での献立作成を経験後、出産を機にフリーランスとして活動。
フリーランスの管理栄養士としてレシピ開発や栄養のコラム作成のほか、外食チェーン店でのダイエットを意識した食べ方を紹介。現在はクリニックにて、生活習慣病などに悩む方々へ栄養指導を行なっている。
身体は食べ物でできている事を意識し、健康で過ごせるよう多くの方を支えていける管理栄養士になりたいと日々活動しています。
SNSやブログを通して、
・管理栄養士として栄養指導に携わりたい!
・血圧や血糖など血液結果を注意された!
・美味しく食べてきれいに痩せたい!
という悩みを解決するための情報を発信しています。
▼Twitter
@kawa040508
ケフィアについてのQ&A
- 手作りケフィアや乳清を継ぎ足してケフィアを作ることはできますか?
- 可能です。発酵食品は世界中でそのようにして受け継がれてきました。
ただ、空気中にはさまざまな菌が生息しています。
継ぎ足して作るうちに、元々の種菌で作ったものとは全く違った味・香りになることもよくあるようです。
雑菌が入る恐れもありますので、おすすめはできません。
- ケフィアとヨーグルトの違いは?
- ケフィアとヨーグルトの違いは、発酵に関わる菌の種類の違い、固形化される温度や風味の違いなどがあります。ケフィアの方がヨーグルトよりサラッとさっぱりしていて、シュワっとした感じがあります。
- ケフィアにはアルコールが含まれる?
- ケフィアにはアルコール発酵をする酵母が含まれますが、アルコール発酵するためには糖分が必要です。
無糖の牛乳にはアルコール発酵するための糖分がそれほど多く含まれておらず、乳酸菌との共生発酵であることも加わって、アルコール濃度は1%以下と低くなっています。
- 「ケフィア」の意味はなんですか?
- ケフィアはコーカサス地方の伝統的な発酵乳で、乳酸菌のほか酵母菌など複数の菌によって作られます。ヨーグルトよりもシュワっと発泡性のあるヨーグルトです。ケフィアの語源は、トルコ語のケイフ(Keyif)やアラビア語のカイフ(keyf)に由来するという説が有力です。これらの言葉は、「健康」「嗜好」「ほろ酔い」などの意味を表します。
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