ヨーグルトの作り方|菌種で温度が違う?失敗しない作り方とは
さまざまな健康効果をもち、寿命をのばす可能性すら指摘されているヨーグルト。
効果を出すためのポイントは「継続」ということで、ご自宅で習慣的に作れたらとお考えの方も多いのではないでしょうか。
「菌によって作り方が違うのかな?」「自宅で作るとどうもおいしくない気がする」
今回は、手作りヨーグルトの基本の作り方をご紹介しながら、ヨーグルトづくりに関するさまざまな疑問についてお答えします!
記事の監修
管理栄養士
安藤ゆりえ
老人保健施設の管理栄養士を経て、健康を維持するためには若いうちからの食生活の大切さを実感。2016年フリーランスとして活動を開始。レシピ開発や栄養指導、料理教室、食に関するコラムの執筆などを行っている。
ヨーグルトの簡単な作り方
ヨーグルトの作り方自体は、「牛乳を温めて種菌(または生きた菌のいる清潔なヨーグルト)を入れ、保温する」というシンプルなもの。
ですが、準備や管理を怠ると思ったような仕上がりにならず、最悪の場合は食中毒になる可能性もあります。
- ヨーグルト作りのポイントはふたつ。
- ①種菌以外の雑菌が入らないように適切に準備・管理すること
- ②種菌だけがすみやかに繁殖できる温度に適切に保温すること
このふたつを押さえればまず失敗しません。
ここでは、ヨーグルトを「確実においしく作る」ための簡単な方法を2パターンご紹介します。
雑菌知らず!牛乳パックで作るヨーグルトの作り方
手作りヨーグルトを作るときに最も心配なのが「雑菌が入らないかどうか」。
ガラス瓶などを使用して作ることもできますが、熱湯で煮沸消毒して清潔に保つ必要があります。雑菌はあらゆる場所に漂っていますので、「消毒した瓶をタオルで拭いてしまった」というだけで失敗してしまうことも。
牛乳パック法でつくるヨーグルト
材料
- 牛乳(パック入りのもの) 1 L
- 種菌 ※商品により発酵可能な牛乳の量が異なるため、商品に記載されている分量を確認して使用してください。
- ヨーグルトサポーター(保温器具)
作り方
- 牛乳を冷蔵庫から出し、湯煎で40℃近くまで温めます。
- 牛乳パックを開け、中に種菌を振り入れます。
- 牛乳パックの口をしっかり閉じてよく振り、菌を全体に行き渡らせます。
- 牛乳パックの口をクリップやテープで留め、ヨーグルトサポーターを巻きつけて保温します。一般的なヨーグルトの適正温度は40~43℃です。
- 種菌によりますが、約10時間でヨーグルトができあがります。しっかり固まったのを確認し、冷蔵庫で保存してください。
ヨーグルト作りにおすすめの種菌
ヨーグルトサポーターがない場合は?
ヨーグルトサポーターとは、牛乳パックに巻きつけてスイッチを入れるだけでパックの温度を適切な温度帯に保ってくれる器具です。
発酵温度の細かな調整はできませんが、場所もとらず、清潔に使えるために人気があります。
ヨーグルトサポーターがない場合は、別の方法で保温する必要があります。
保温ボックスや発泡スチロールの箱の中に牛乳パックを立てて入れ、その中に熱源(カイロや湯たんぽ、お湯の入った瓶など)を入れて、温度が40~45℃になるよう保ちます。
あまり早く冷めてしまうとうまく固まりませんが、熱くなりすぎると菌が死んでしまいますので、内部の温度を定期的にチェックしてください。
温度管理はばっちり!ヨーグルトメーカーで作るヨーグルトの作り方
細かな温度管理ができ、好みのヨーグルトを作りやすいのがヨーグルトメーカーです。
さまざまな温度帯に対応しているので、作れる菌種も多様なのが大きな魅力。
時間も自動で管理してくれるので、セットしたらすべて機械におまかせでできてしまいます。
雑菌対策については煮沸消毒する必要がありますが、レンジ加熱で消毒できるタイプならば簡単。消毒の手間が気にならない方、さまざまな種類のヨーグルトや甘酒などを作ってみたいという方におすすめです。
ヨーグルト作りに最適なヨーグルトメーカーはこちらでご紹介しています。
ヨーグルトメーカーで作るヨーグルト
材料
- 牛乳 1 L
- 種菌 ※商品により発酵可能な牛乳の量が異なるため、商品に記載されている分量を確認して使用してください。
- 清潔なスプーン
- ヨーグルトメーカー(保温器具)
作り方
- 容器の洗浄・消毒ヨーグルティアの 内容器とスプーンに 雑菌が入らないように、熱湯で消毒します。 消毒したあとは 自然乾燥で水分が残らないように乾燥させます。もしくは水を入れて電子レンジで加熱消毒してもOK。 電子レンジに入れ、500wで1分30秒加熱してください。ポイント 容器をきちんと消毒しないと雑菌が繁殖し、 できあがったヨーグルトが変色したり、おかしな匂いになる事があります。 安全でおいしいヨーグルトを作るために、殺菌・消毒はきちんと行いましょう。消毒したあとの容器内の水滴を、ふきんなどで拭くと雑菌がついてしまいます。 水気を軽くきる程度で置いておき自然乾燥させましょう。
- 容器にヨーグルトの種菌と牛乳を入れ、よく混ぜるまずは容器に牛乳を200ml程度いれます。 そこにヨーグルト種菌1包を入れ、よくかき混ぜます。 種菌がしっかり溶けたのを確認してから残りの牛乳を入れます。ポイント ここで 菌がしっかり混ざっていないと 牛乳が固まらず、 失敗の原因になりますので、注意が必要です。
- ヨーグルトメーカーで保温・発酵させる種菌と牛乳をよく混ぜたら、蓋をしっかり閉め、 ヨーグルティアの中に入れます。 一般的なヨーグルトであれば40℃、7時間にセットしましょう。ポイント ヨーグルトメーカーは直射日光のあたらない場所に置いてください。
- 発酵が終了したら冷蔵庫に入れて冷やすしっかり固まったのを確認できればできあがりです。冷蔵庫で保存してください。1~2時間程で冷たくて口当たりの良いヨーグルトになります。 冷えて程よく固まったら、美味しいヨーグルトの出来上がりです。固まりが弱い場合は、 さらに1~2時間程保温してみてください。
市販のヨーグルトから作りたい場合と「植え継ぎ」についての注意点
自家製ヨーグルトは、市販の生菌の入ったヨーグルトから作ることも可能です。
つくり方
- 1
- 封を開けた直後のヨーグルトと牛乳とを1:10の割合で用意します。
- 2
- ヨーグルトを直接牛乳全量に入れるとよく混ざらないため、あらかじめ煮沸消毒した別容器で少量の牛乳に溶いてから入れます。
- 3
- 種菌を使用した場合と同様に保温します。
「植え継ぎ」について
作ったヨーグルトはまた次回のためのスターターとして使うことができますが、こうした「植え継ぎ」は雑菌の混入の心配があること、ビフィズス菌が弱ってしまうことなどから、長期的に行うことは推奨されていません。
繰り返すのは2~3回にとどめ、定期的に粉末の種菌または購入したヨーグルトから作り直すことをおすすめします。
失敗してしまった時のチェックポイント
ヨーグルトづくりは、消毒や温度管理がきちんとできていれば失敗することはほとんどありません。
「うまく固まらなかった」「変な匂いがする」といった場合には、次の要素がないかをチェックしてみてください。
- ①衛生的に作れなかった場合
- ・きちんと煮沸消毒できず、容器に雑菌がついていた
- ・煮沸消毒はしたが、その後布や手で触れてしまい、雑菌がついた
- ・作業が長引き、長時間蓋を開けたまま放置していた
- ・くしゃみやホコリなど、雑菌が入る環境だった
- ②温度が適正でなかった場合
- ・種菌を入れる牛乳の温度が高すぎた(45℃以上)
- ・保温の際に温度が高くなりすぎた
- ・保温の際に温度が低くなりすぎた
- ③その他の原因
- ・保温時間が足りなかった
- ・スターターヨーグルトの量が牛乳に対して多すぎた、または少なすぎた
- ・新鮮な牛乳と種菌を使用していなかった
- ・途中で開けてしまった、揺らしてしまった
- おいしいヨーグルトを作るコツ
- ヨーグルトは、発酵時間や温度を変えることで味や口当たり、ホエイの量が変わります。
- 一般的には、
- 発酵時間が短い…やわらかくて酸味がマイルド
- 発酵時間が長い…固めで酸味が強い
となります。
ご紹介した作り方で口に合わないと感じた場合は、発酵時間の設定を変えてみるのもいいですね。
ヨーグルトの種類と作り方の違い
ヨーグルトは、種菌の種類によって温度や発酵時間が変わります。
使う種菌に合わせて設定するようにしてください。
比較的低温で発酵するヨーグルトの場合は「常温で放置」などとしているレシピも見かけますが、外気温などの条件によって出来上がりが大きく左右されるため、ヨーグルトメーカーなどで保温すると上手に作れます。
作りながら好みの味になる温度と時間を見つけてください。
ヨーグルトの種類 | 温度と時間(目安) | 備考 |
---|---|---|
・一般的なヨーグルト種菌 ・一般的な市販のヨーグルト |
40~43℃ 6~10時間 |
R-1、L92、ガセリ菌sp株など市販の機能性ヨーグルトも植え継ぎで作ることができます。 |
・カスピ海ヨーグルト | 27℃ 6~48時間 |
30℃を超えると菌が弱るので注意してください。 |
・ギリシャヨーグルト | 40~43℃ 6~10時間 |
できあがった後に水切りすると濃厚な食感になります。 |
・ケフィア | 20~30℃ 24~27時間 |
通常のヨーグルトよりさらっと柔らかな食感です。発酵させすぎないよう注意してください。 |
・その他のヨーグルト | 温度・時間は種菌の種類に合わせます | ココナッツヨーグルト、豆乳ヨーグルトなど植物性の材料を使って作る場合は、植物性の素材でも増殖する菌を使用する必要があります。 種菌の表記をよく確認してください。 |
- 手作りヨーグルトと牛乳の種類
- 一般的なヨーグルトは「成分無調整牛乳」で作られていますが、「低脂肪牛乳」や「無脂肪牛乳」でもヨーグルトを作ることができます。味はあっさりとしています。
- 似た外見でもパッケージの「種類別名称」欄が牛乳ではなく「乳飲料」のものではうまく作れないので注意しましょう。
効果倍増?!「ホットヨーグルト」の作り方
「ホットヨーグルト」とは、その名のとおり温かいヨーグルトのこと。
ヨーグルトといえば冷たい状態で食べるのが一般的ですが、毎日の食習慣にするのであれば、身体を冷やすなどのデメリットのない食べ方でいただきたいですよね。
ホットヨーグルトの簡単な作り方とメリットをご紹介します。
ホットヨーグルトの作り方
- ホットヨーグルトの作り方はとっても簡単!
- ・小鍋に入れて弱火でかき混ぜながらあたためる
- ・ヨーグルト(200g)を器に入れ、ラップをせずに電子レンジ500Wで1分半程度加熱する
どちらの方法でも作ることができます。加熱しすぎると分離してしまうので、様子をみながら熱を加えるようにしてください。
また、乳酸菌は死んでいても効果があると言われていますが、熱に弱いため、乳酸菌を生きたまま摂りたい場合は40℃以上にならないよう気をつけましょう。
- できあがったホットヨーグルトは、次のような食べ方でいただくのがおすすめです。
- ・シンプルにはちみつやオリゴ糖と
- ・フルーツのコンポートやジャムなど、加熱フルーツと
- ・ドライフルーツやナッツ、スパイスと
- ・ココアパウダーと
- ・シナモンやショウガを加えて「温め」効果をアップ
ホットヨーグルトはどこがすごいの?
ホットヨーグルトの最大のメリットは「胃腸を温めてくれる」ことにあります。
冷えは便秘や美容、ダイエットの大敵!
夕食の後に摂ればホットミルクなどと同様、安眠を誘う効果も期待できます。
また、冷たい状態では活動が停滞していた乳酸菌も、温めることで活発になるとか。冷えに悩んでいる方やお腹の調子を整えたい方は、ヨーグルトを食べる時の選択肢のひとつに「ホットヨーグルト」を加えてみてください。
作ったヨーグルトでさらに楽しむ!レシピ集
さて、おいしく経済的に食べられる自家製ヨーグルト。
飽きずに毎日おいしくいただくために、ヨーグルトのさまざまなアレンジレシピをご紹介します。
フローズンヨーグルトの作り方
材料
- ・ヨーグルト
- 200g
- ・生クリーム
- 100g
- ・レモン汁
- 大さじ1
- ・砂糖
- 40g
つくり方
- 1
- すべての材料を混ぜてなめらかにします。
- 2
- バットなどに1を入れ、ラップをして冷凍庫で冷やし固めます。
- 3
- 固まったら取り出してブレンダーにかけ、なめらかな状態にしてできあがりです。
マシュマロヨーグルトの作り方
ムースのようなとろける食感で、美しく盛ればおもてなしにも使えます。
材料
- ・ヨーグルト
- 200g
- ・マシュマロ
- 50g
- ・好みの果実系ソース
- 適量
つくり方
- 1
- タッパーにマシュマロを並べ、その上にヨーグルトをかけて、1~2日冷蔵庫で保存します。
- 2
- 器に取り分け、好みのソースをかけてできあがりです。
ヨーグルトソースの作り方
ハンバーグや揚げ物をさっぱりいただくためのソースとしてどうぞ。
材料
- ・ヨーグルト
- 200g(水切りしたもの)
- ・にんにく
- 1かけ
- ・レモン汁
- 好みで
- ・塩
- 少々
つくり方
- 1
- 一晩水切りしたヨーグルトににんにくをすりおろして入れ、塩少々を加えます。
- 2
- 好みでレモン汁を入れ、なめらかに混ぜてできあがりです。
飲むヨーグルトの作り方
材料
- ・ヨーグルト
- 130g
- ・牛乳
- 100ml
- ・レモン汁
- 小さじ1
- ・オリゴ糖
- 小さじ1~好みで
つくり方
- 1
- ヨーグルト、レモン汁をコップの中で混ぜます。
- 2
- 牛乳を注ぎなめらかになるまで混ぜて、好みの量のオリゴ糖を加えてできあがりです。
カッテージチーズの作り方
カッテージチーズは牛乳からも作れますが、ヨーグルトで作ると短時間でコクのあるチーズを作ることが可能です。
材料
- ・ヨーグルト
- 400g
つくり方
- 1
- ヨーグルトを鍋に入れ、火にかけて分離するまで加熱します。もしくはラップをせずに電子レンジ600Wで2分ほど加熱します。
- 2
- 水分と固形分が分離してきたらザルやコーヒーフィルターにあげて水を切り、できあがりです(出来上がり量100g)。
●管理栄養士からのコメント
ヨーグルトは自家製できると容器のゴミなども出ず、エコにもなりますね。ホットヨーグルトは冬でも食べやすいのでおすすめです。
管理栄養士プロフィール
◎安藤ゆりえ
老人保健施設の管理栄養士を経て、健康を維持するためには若いうちからの食生活の大切さを実感。
2016年フリーランスとして活動を開始。レシピ開発や栄養指導、料理教室、食に関するコラムの執筆などを行っている。
また「食を見直すならまずは毎日使う調味料から」をコンセプトに地元愛知県三河のみりんや味噌などの伝統的な調味料の素晴らしさを伝えるセミナーなども開催。
食や栄養に関すること全般ですが特に
・調味料について(みりん、味噌や醤油などの製法やどんなものを選ぶと良いかなど)
・体に優しいスイーツの選び方、作り方
・ダイエットレシピの考案
・時短レシピの考案を得意としています。
ヨーグルトの作り方についてのQ&A
- 失敗ヨーグルトの見分け方を教えてください。
- 時間をかけても固まらない、不快な匂いがするといった状態である場合は、雑菌が繁殖している可能性があるため、食べないことをおすすめします。
- 自家製ヨーグルトから植え継ぎでヨーグルトを作り続けることはできますか?
- 可能ですが、徐々に菌叢が変ってゆき、オリジナルのヨーグルトとは別のものになってしまうようです。
雑菌繁殖のリスクも高まりますので、定期的に種菌から作り直すことをおすすめします。
- どんな牛乳でも作れますか?
- パッケージ裏の「種類別名称」欄が「牛乳」のものであれば作ることができます。
- 手作りヨーグルトの賞味期限について教えてください。
- ヨーグルトができたらすぐに冷蔵庫に保存し、1週間くらいで食べきってください。
- 家庭で作りやすいヨーグルトの菌種を教えてください。
- カスピ海ヨーグルトやケフィアなどは、発酵に必要な温度が低いため、ヨーグルトメーカーなしでも作りやすいといわれています。
ヨーグルトメーカーをお持ちの場合はどの菌種でもかわりません。
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