マカの効能と副作用|妊活・更年期…女性にうれしい効果とは
栄養豊富なアンデスの滋養食「マカ」。
日本では精力剤のイメージが強く、女性の中には少し近寄りがたい雰囲気を感じている方も多いかもしれませんが、その正体はカブに似たアブラナ科野菜。
男性の性機能を高めるだけでなく、女性ホルモンのバランスも整え、更年期障害や女性不妊にも効果が期待されている食品なんです。
今回はそのマカの具体的な成分や効果、摂取量や効果の持続時間などについて分かりやすくご紹介します。
マカとは
マカ(Maca/学名:Lepidium meyenii)とは、ペルーのアンデス高地で栽培されるアブラナ科の植物です。紀元前1600年から栽培され、アンデスの人々に利用されてきました。
標高4000〜4500 mの厳しい寒さや強風、日照りの中で育つマカには豊富な栄養が含まれており、多くの健康機能があると考えられています。
中でも、性欲や精力の増強など生殖機能の改善に有効であるという説についてはさまざまな研究が行われており、日本でも粉末やエキスなどがサプリメントとして市販されています。
現地では食料として長い歴史をもっているマカ。
その根茎は、見た目はカブに似ていますが、食べるとジャガイモに似てでんぷん質です。
現地ではゆでてマッシュにして食べたり、ローストやスープにしたり、乾燥させて粉にしてパンやケーキを作るのに使用したりと、大切な食材のひとつとなっています。
マカの成分
マカには炭水化物、タンパク質、脂質、食物繊維が含まれているほか、鉄、マグネシウム、セレン、カルシウムなどのミネラルも豊富に含まれています。
特徴的なのは豊富なアミノ酸。
ロイシン、アルギニン、フェニルアラニン、リジン、グリシン、アラニン、バリン、イソロイシン、グルタミン酸、セリン、アスパラギン酸など、さまざまな種類のアミノ酸が含まれています。
マカにはグルコシノレート、ステロール、アルカロイド、ポリフェノール、サポニンといった成分も含まれており、『サプリメント・機能性食品事典』(講談社)によれば、有効成分としては特に芳香性グルコシノレート類や、マカにしか含まれないという不飽和脂肪酸「maceane(マカエン)」とそのアミド「macamide(マカミド)」が挙げられるようです。
マカの効果・効能
マカには黄色、赤色、黒色など13色もの種類が存在しており、研究の結果、それぞれの色によって効果が異なることが分かってきています。
マカといえば日本では男性の精力ドリンクというイメージですが、男性だけでなく女性にもさまざまな効果が期待できそうです。
効果1 性欲を高める効果
いくつかの研究により、マカには性欲を高める効果があることが報告されています。
実験は健常な21歳~56歳の成人男性のほか、健康な閉経期の女性でも行われ、男性だけでなく女性についても性欲改善効果が認められました。
効果2 男性の生殖能力を高める効果
マカの摂取により、男性の精液の量、1回の射精液中の精子数、運動性精子数、精子運動性が増加するという効能が報告されており、男性不妊の改善効果が期待されています。
軽度の勃起不全(ED)についても有意な効能が認められているそうです。
マカの色については、黒いマカが最も効果があり、赤いマカでは効果がみられなかったという研究があります。
効果3 前立腺肥大予防効果
マカには、前立腺の大きさを縮小させる作用があるという報告があります。赤いマカは前立腺肥大を予防し、黄色いマカは中程度の効能をもち、黒いマカにはこの効能はみられなかったそうです。
効果4 更年期障害の症状改善効果
マカは、女性ホルモンの減少にともなって表れる更年期障害に対する効能があると考えられています。
研究の数は多くはありませんが、知覚異常や不眠、気分のむらやめまい、倦怠感や頭痛、動悸といった不快症状の軽減に効果を示したという報告があります。
効果5 うつ・不安の軽減効果
オーストラリアの研究では、マカが不安や抗うつなどの心理症状を軽減する効能があると報告しています。
マカは伝統的に気分を高める力があるとされてきましたが、特に閉経後の女性に対して、不安・抑うつの症状を軽減する効能があるようです。
女性にうれしいマカの効果
アンデスでは伝統的にマカを貧血や不妊症、女性ホルモンのコントロールなどの目的で使用してきたそうです。
ここに挙げた以外にも、マカは月経周期の乱れを改善させる効果や女性の黄体形成ホルモンの分泌を促進させる効能が報告されており、排卵機能を改善する効果が期待されています。
動物実験においては、マカの抽出物を投与されたマウスの子どもの数が増えるという効果も確認されているそうです。
日本ではマカの効能の一部だけが強調されていますが、実は女性にとっても「妊活に」「更年期対策に」と幅広い年齢で役立ちそう。
夫婦で妊活のために飲むのもいいかもしれませんね。
マカの気になる副作用と摂取量
「マカを飲んでみたいけど、ちょっと怖い…」
カブに似た野菜と聞けば安全そうですが、強壮剤に使われると聞くと刺激が強すぎるイメージもありますよね。
毒性や副作用はないのでしょうか?
マカの安全性
アンデスでは何世紀にもわたって食用・薬用として使用されているマカ。
ペルーの先住民族は、生のマカは健康に悪影響を与える可能性があると考え、マカを煮沸してから食べるようにと伝えているそうですが、煮沸させて摂った場合については毒性効果は報告されていません。
動物試験ではさまざまな色のマカに毒性がないこと、慢性的な摂取でも安全性が高いことが認められています。
また、ペルーの高地でマカを摂取している人としていない人を比較すると、マカを摂取している人の方が健康状態、骨折の割合、慢性高山病の症状などについて良好なスコアであったそうです。
マカの副作用
マカの副作用としては、ある実験でメタボリックシンドローム患者に対して0.6 g /日のマカを90日間投与した際に「拡張期血圧とASTの上昇」がみられたことが報告されています。
その他の実験では報告されておらず、健康な男性では逆に収縮期血圧と拡張期血圧を低下させるという効果が報告されているようですが、気になる方は控えましょう。
マカの摂取量
摂取量については、「マカ乾燥物1,500mg~3,000mg/日」とされています。(参考文献:『サプリメント・機能性食品事典』講談社)
実験では、例えば精子数の増加などについてはマカの摂取量は効果と無関係だったというような結果も。
たくさん摂ればいいというものではないようです。
過剰摂取は控え、サプリメントやドリンクの記載に従ってください。
おすすめマカサプリと色による違い
市販のマカサプリについては、「マカと亜鉛」「マカとクラチャイダム」「マカとシトルリン」「マカと葉酸」などなど、マカに他の成分を配合したものが多く出回っています。
そのようなサプリメントは一見効果が高そうですが、実際は「効果のある成分とない成分」「自分の身体に必要な成分と必要ない成分」が見分けづらく、自分には必要ない成分を長期間摂ってしまうことにつながりがち。
身体に合わなかった場合など、気になる症状が出た場合にも何が原因なのかが分かりづらいというデメリットがあります。
おすすめは、マカ100%の商品。
男性、女性ともに使え、用途を限定しないので「夫婦で妊活したい」という方や「母と娘で飲みたい」といった方にもぴったりです。
マカの色と効果の違いについては次のとおり。
黄色いマカは毎日の利用に、赤や黒のマカはより治療の目的をもって使われるようです。
マカの色 | 報告されている特徴的な効果 |
---|---|
黄色 | ・最も一般的なマカ。安価。 ・性欲や男性生殖機能に関する効果(効果:中) ・前立腺肥大の予防(効果:中) ➡バランスがとれたマカ。長期の使用に。 |
赤色 | ・抗酸化物質を多く含む ・前立腺肥大の予防(効果:高) ・マウスの胚の質を改善 ・骨密度の減少に効果的(効果:高) ・精子に関する改善効果はない ➡女性、前立腺肥大に悩む男性におすすめ |
黒色 | ・精子の数や運動性改善(効果:高) ・学習と記憶の改善 ・骨密度の減少に効果的(効果:中) ・前立腺肥大予防効果はない ➡性的機能を改善したい男性におすすめ |
マカの摂取期間と飲むタイミング
さまざまな効果をもつマカですが、即効性があるわけではないようです。
いくつかの研究論文によると、マカを摂取してから効果が出るまでの時間については、次のような報告があります。
効果 | 摂取開始から効果が表れるまでの時間 |
---|---|
性欲改善効果 | 6週間~ |
勃起不全改善効果 | 6~12週間 |
閉経後の女性の性機能障害 | 6~12週間 |
精子量の増加効果 | 4ヶ月 |
数ある実験の中には「2~4週間の摂取では効果が見られなかった」というものもあり、せっかくマカを飲んでも継続しないと効果なしとなる可能性も。
精子量や精子運動性の増加については4ヶ月と長期の使用となっており、たとえ効果が感じられなくてもしばらくは飲み続ける必要がありそうですね。
気になる「飲むタイミング」ですが、科学的な根拠がある「ベストなタイミング」は特にないようです。続けやすいタイミングを選ぶのがいいでしょう。
マカについてのQ&A
- マカは日本でも栽培できますか?
- マカは日本でも栽培できますが、元は標高の高いアンデス生まれの作物。日本での栽培には技術が必要なようです。
- 「黒マカ」とは何ですか? 他のマカとどう違うのですか。
- 黒マカ(Black maca)とは、数種類あるマカのひとつ。男性の性機能の強化に最も優れた効能をもつといわれています。
- マカは男性ホルモンのテストステロンを増加させるのですか?
- 研究の結果によれば、マカの摂取は男性の血清中テストステロン濃度を増加させることはなかったそうです。マカは男性の性機能改善効果があることで知られていますが、それはホルモン量の変化によるものではないと考えられています。
- 妊娠中にマカを摂取しても安全ですか?
- 妊娠中にマカを摂取しても安全かどうかについては、現在のところ明らかになっていないようです。妊婦の方は医師の指示に従うようにしてください。
- マカは女性ホルモンにも影響を与えるって本当ですか?
- マカは女性ホルモン量をコントロールし、生殖期および閉経期の女性のホルモンバランスを維持する効能をもつと考えられています。