キシリトールの効果。おすすめガムはどんなもの?副作用はある?
歯を健康に保つとして、トクホの対象になっている商品もある「キシリトール」。
摂取を推奨する歯科医師も多く、子どもから大人まで虫歯予防に役立てることができると人気です。
この記事では、キシリトールの具体的な効果やおすすめの商品、副作用についてなどご紹介していきます。
キシリトールとは
キシリトール(xylitol)とは自然界に存在する糖アルコールの一種です。
カバノキに含まれ北欧諸国で多用されていることで有名ですが、果物や野菜にも含まれる天然の甘味料で、ショ糖と同じ程度の甘さがあるといわれています。
キシリトールの大きな特徴は、なんといっても虫歯を予防するということ。
その効果は厚生労働省のWebサイトにも記載されているほか、世界保健機関(WHO)や 国連食糧農業機関(FAO)でも認められています。
そのほかの特徴は次のとおりです。
① ひんやりとした甘さ
キシリトールには、水に溶ける時に「吸熱反応」を起こして水の温度を下げるという性質があります。
キシリトールの含まれる飴やガムを口に入れた時に感じる冷涼感、清涼感はこのためです。
② 低カロリー
キシリトールのカロリーは3kcal/gと、砂糖(4kcal/g)の75%。
甘さが同程度なのにカロリーが低いのが特徴です。
③ 血糖値を急激に上げない
キシリトールは体内に吸収される速度が遅いため、血糖値を急上昇させることがないといわれています。
また、代謝するためにインスリンを使わないため、糖尿病の患者さんも安心して摂取できる甘味料です。
こうした特徴が好まれ、日本でもガムやタブレット、グミ、飴、チョコレートなどさまざまな食品で利用されています。
参考文献・Webサイト:厚生労働省e-ヘルスネット|キシリトール
キシリトールの虫歯予防効果
キシリトールは厚生労働省のWebサイトにも「虫歯予防効果が実証されている」と記載があり、一部の商品では特保でも次のような記載が許可されています。
- ・むし歯の原因にならない甘味料(キシリトール)を使用しています
- ・歯の再石灰化を増強するキシリトールを配合しているので、歯を丈夫で健康に保ちます
キシリトールの特徴は、虫歯菌と呼ばれるミュータンス菌に分解されないこと。
虫歯の原因は糖分が分解されてできる酸ですが、キシリトールはこの酸の原料にならないばかりか、ミュータンス菌の増殖やプラーク(歯石)の形成を抑える効果もあるとされています。もちろんほかの糖類と同様、味覚を刺激することで唾液の分泌を促進し、口の中を虫歯になりにくい環境に整えるはたらきもあります。
キシリトールのもうひとつの大きな特徴は、歯の再石灰化を促すこと。実験において、初期虫歯のエナメル質の再石灰化(カルシウムとリン酸によって歯のエナメル質を修復する現象)を促すことがわかっています。
参考文献・Webサイト:
・厚生労働省e-ヘルスネット|キシリトール
・関野愉、相羽玲子、田代俊男、塚原武典、岡本浩(2001)「キシリトールのプラーク沈着抑制効果に関する研究」(日歯周誌43巻)
・佐藤宏和、伊藤弘、村樫悦子、関野愉、沼部幸博(2008)「キシリトール含有ガム摂取によるプラーク形成および唾液成分に及ぼす影響」(日歯周誌50巻)
・佐伯洋二、 高橋満、上川新吾、徳本匠、見明康雄、山田了、奥田克爾、柳澤孝彰(2000)「フノリ抽出物と第2リン酸カルシウムを配合したキシリトールチューインガムの実験的初期齲蝕エナメル質に及ぼす再石灰化促進効果」(歯科基礎医学会雑誌42 巻)
おすすめのキシリトール商品は?
では、キシリトールが入っていればどのような商品でも同様の効果があるのでしょうか?
実は、一口にキシリトール入りといってもその含有量は商品によってさまざま。
厚生労働省のWebサイトでは、虫歯予防のためにはキシリトールが50%以上配合されているガムやタブレットを5~10g、毎食後に摂取することを継続するのがよい、と紹介されています。
ただし、せっかく口の中を酸性にしないといわれるキシリトールが原料に入っていても、砂糖など口の中のpHを下げてしまうものが一緒に使われていたら虫歯の原因になってしまいます。
キシリトール入りで虫歯予防におすすめできるお菓子は次のようなものです。
- ・成分表示を確認して、糖類が含まれていないこと(シュガーレス表記があること)
- ・成分表示を確認して、キシリトールの割合が50%を超えていること
- ・口の中に長くとどまるガムやタブレットであること
キシリトール入りのお菓子にはチョコレートやジュースなどもありますが、口の中に長くとどまらないものは虫歯予防の効果は期待できないそうです。
ガムやタブレットは、歯科医院やインターネット販売などでキシリトール濃度の高いものが取り扱われていることもありますのでチェックしてみましょう。
摂取の目安としては、「食後に1日3回」「分量は5~10g」「3か月以上継続して摂る」ことで効果が得られるとされています。
もちろん、歯磨きの代わりにはなりませんので、ブラッシングはしっかりと行うようにしてください。
キシリトールを食べると下痢になる?
キシリトール入りのお菓子のパッケージに「一度に多量に食べると、体質によりお腹がゆるくなる場合があります」とあるのをご覧になったことがある方も多いでしょう。
キシリトールには、大量に摂取することでお腹が緩くなる作用があります。これは他の糖アルコールにも共通してみられる性質で、オリゴ糖などと同様に小腸で吸収されないために起こることです。
キシリトールを摂っていてお腹が緩くなるのが気になる場合は、量を少なくして様子をみてみましょう。
そのほかには大きな副作用のない食品として知られており、FAO/WHO合同食品添加物専門家委員会 (JECFA) においても安全性が確認されています。
参考文献・Webサイト:国立健康・栄養研究所
犬がキシリトールを食べるとどうなる?
さて、人の場合は大きな副作用も毒性もないキシリトールですが、実はすべての動物にとってそうであるというわけではありません。
人間とは異なり、犬がキシリトールを摂るとインスリンというホルモンが大量に放出され、血糖値が急激に下がります。
すると低血糖症状として意識の低下や下痢、嘔吐、脱力、痙攣や急性の肝障害を起こす可能性があるのです。
危険な用量については報告によって異なります。低血糖が原因であるため、同時に食べている食べ物などによっても異なるようです。
体重10kgあたり1gの摂取で重篤な症状が出るという報告もあります。
犬が誤って口にしないよう、キシリトールは管理に気を付けるようにしてください。
もしも食べてしまった場合は、低血糖を防ぐためにこまめに食事を与えておくとよいようです。
大量に食べてしまったなど、心配な場合は獣医師の診察を受けましょう。
キシリトールについてのQ&A
- キシリトールは妊婦でも食べられますか?
- キシリトールは妊娠中の方が食べても問題ないとされています。
妊娠中は虫歯になりやすいので、虫歯予防に役立てている方も多いようです。
- キシリトールは歯磨き後に食べても大丈夫ですか?
- キシリトールは虫歯にならない甘味料ですが、キシリトール入りの商品の中には砂糖など虫歯の原因となる他の糖類が入っているものも。
キシリトール100%のものであれば歯磨き後に食べても大丈夫です。
- キシリトールガムのカロリーはどれくらい?
- キシリトールガムのカロリーは、商品にもよりますが1粒で約3kcalです。
- キシリトールを摂るときのポイントは?
- 口の中に長い間入れておくことがポイントなので、タブレットなどは噛まずにゆっくりと食べましょう。
また、食後に摂ること、継続して摂ることで虫歯の予防ができるといわれています。
- 犬がキシリトールを食べてしまいました。どうしたらいいですか?
- 体重10kgあたり1gの摂取でも症状が現れたという報告もあります。心配であれば獣医師の診察を受けましょう。
また、食事や砂糖の入った食品をこまめに与えておくのもよいようです。