はじめてのぬか床づくり・腸内環境を改善するぬか漬けワークショップ
醸しカフェ店長の品田和義さんによる
「はじめてのぬか床づくり・腸内環境を改善するぬか漬けワークショップ」 に参加をしてきました。
「ぬか床づくりにチャレンジしたけど挫折した」
「ぬか漬けをはじめてみたいけど、難しそうでまだ踏み切れない」
そんな人のためのワークショップです。
ぬか床の魅力、ぬか床の基礎知識、管理の仕方など、最低限押さておきたいポイントを判りやすく説明してくれました。
ワークショップの内容を詳しくまとめましたので、これからぬか床をつくりたい、家でぬか漬けをはじめたいという方は是非ご参考にしてください。
ワークショップ講師のご紹介
ワークショップの開催場所は西荻窪にある「醗酵食専門カフェ 釀(かもし)カフェ」。
先日は干し野菜のワークショップにも参加させていただきました。
プロフィール
◎品田 和義さん
西荻窪駅から徒歩10分位のところにある醗酵食専門カフェ「釀(かもし)カフェ」店長。
カフェスペースだけでなく、発酵関連のワークショップなども開催しています。
▼公式facebook
https://www.facebook.com/pg/kamoshi.cafe
ぬか床とは
ぬか床とは、米ぬかに塩と水を入れて乳酸菌発酵させて作った漬物を入れる床のことです。
食材(主に野菜)を一晩程度、ぬか床に漬けておき、ぬか漬けをつくります。
元々は、夏に大量に採れた野菜を保存させておくための術として利用されていたようです。
ぬか床を美味しくしてくれる3つの微生物があります。
- 乳酸菌
- 酪酸菌
- 酵母
この3つの微生物(菌)が美味しいぬか床の重要な要素です。詳細は記事の後半でお伝えします。
「この三つの微生物をぬか床の中で上手く飼育をする」という感覚が大切です。
醸しカフェのぬか床は、必要最低限の材料で無理なくつくる事を大事にしています。
つくったぬか床に思いを込めすぎず、上手く行かなくなったら
ためらわずに新しいぬか床をつくりなおすのが
良いでしょう。
頑張りすぎず、程よい加減で継続するのが大事だと考えています。
ぬか床についてはこちらの記事でも詳しく紹介しています。
ぜひ合わせてご覧ください。
ぬか漬けの作り方とお手入れ方法
失敗しないポイントも徹底検証。
旬の野菜をより楽しめる、ぬか漬けの作り方や使い方、メリットなどをまとめています。
ぬか漬けの作り方の記事を見る
ぬか床の魅力
ぬか床の魅力1 保存性が高まる
ぬか床の中は発酵をしています。
ぬか床hが酸っぱいのは、乳酸菌の働きが原因。乳酸菌の働きが強いと、他の菌が入りづらくなります。
発酵は食材を保存する知恵。微生物(特に乳酸菌)がバリアを張り、ぬか床の外部から他の腐敗菌の侵入を防いでくれます。
ぬか床の魅力2 消化が良くなる
発酵によって微生物が消化酵素を出します。
人間が消化吸収しにくい食べ物を分解し、身体の負担が少なく栄養が吸収されやすくなります。
ぬか床の魅力3 味わいが深まる
酵素の働きでタンパク質から甘みや
うま味(アミノ酸)が生成され、味もまろやかになります。
ぬか床の魅力4 栄養が添加される
ぬか漬けは野菜のビタミンを保持したまま、
乳酸、酪酸、ビタミンB1などが浸透し、滋養が高まります。
ぬか床の魅力5 免疫力を高める
強酸性の植物性乳酸菌類は胃酸をくぐり抜けて
腸まで届き、ビフィズス菌などの善玉菌を増やし、悪玉菌を抑制してくれます。
ぬか床のしくみ
ぬか床の構成要素
ぬか床は、米ぬか、塩、菌類(乳酸菌・酵母・酪酸菌)、そして野菜などから出てきた成分などから出来ています。
野菜を漬けるとぬか床の塩分が野菜に染み込み、野菜内部の水分や栄養分が引き出され、水分が抜けた分、野菜自体の味が濃くなります。更に発酵で作られたビタミンB1などの栄養素が吸着、浸透します。
ぬか床に出た栄養分(糖分)をエサにして乳酸菌が繁殖し、乳酸菌は栄養を食べて乳酸を出します。乳酸は他の雑菌を死滅させ、保存性を高めます。
ぬか床には乳酸菌、酵母、酪酸菌の働きが重要です。いずれの菌も30~40度が最も活動が活発になる温度帯です。その温度帯では菌たちは基本的には勢力争いをしています。
以下に3つの菌について説明します。
ぬか床に大事な菌1 植物性乳酸菌
条件付き嫌気性(酸素があまり好きではない)菌。
植物性乳酸菌は、まろやかな酸味の乳酸をつくり、食品の腐敗を防ぎます。
また、生きたまま腸まで届き、ビフィズス菌などの善玉菌を増やし、大腸菌などの悪玉菌を抑えて腸内の環境を整えて消化吸収機能をアップするなど、人の健康には欠かせない存在です。
植物性乳酸菌は栄養が少なく、塩分や酸度の高い状況でも育ちます。過酷な環境にも耐えられる強い植物性乳酸菌は、人体に入っても免疫力を高めるパワーは失われません。
植物性乳酸菌は野菜の表面にも付着しています。
ぬか床を冷蔵庫に入れておくと、乳酸菌だけが活発に働き、酸味のつよく、雑味のないスッキリした味になります。
ぬか床に、菌のバランスを活かした複雑な味わいを求める方は、ぬか床は冷蔵庫に入れないほうが良いでしょう。
ぬか床に大事な菌2 酪酸菌
嫌気性(酸素が嫌いな)菌。
酪酸菌は増殖の際に酪酸、酢酸、プロピオン酸などの有機酸を作る、腐敗防止土壌細菌で人の腸管内にも常在しています。
酪酸菌は100℃にも耐え、増殖ができない場所、例えば強酸・強アルカリ、あるいは乾燥条件下にて活動を停止(休眠)し、環境が良くなると改めて生育を開始します。そのため動物の腸内に生きたまま届くことができます。
酪酸菌は腸内のビフィズス菌、乳酸菌の発育を助ける働きを持っています。
また、酪酸や酢酸、プロピオン酸は腸の粘膜の傷を修復して小腸の繊毛運動を活性化し、健康な状態に戻す働きがあるのです。
更にオリゴ糖、ビタミン B、Cを作り出すことが確認されています。
欠点は酪酸の匂い。「
蒸れた靴下の匂い」と表されることもあります。
ぬか床に大事な菌3 産膜酵母
好気性(酸素を好む)菌。
産膜酵母は、いわゆる「酵母菌」の一種です。ビールや日本酒の発酵、天然発酵パンの製造などに使われる酵母菌と同じ仲間に分類される微生物です。
酵母は強酸性で乳酸菌と共生の関係にあるため、乳酸のバリアで守られながら生育しています。
酸素があると各種のアミノ酸(うまみ)などを合成し、酸素が薄い環境では糖を代謝してアルコール、炭酸ガス、うま味になる脂肪酸などの有機酸を出します。
産膜酵母が増えすぎるとシンナーやカビのような臭いがするようになります。
ぬか床の手入れ
ぬか床はなぜかき混ぜるのか?
混ぜないで微生物が増えすぎると、ぬか床はどうなるのか?
微生物が増えたぬか床は以下のような状態になります。
- 酸素があまり好きでない乳酸菌は、酸素の乏しいぬか床の内部で活発に活動し、ぬか床を酸っぱくする。
→ぬか床を混ぜて、乳酸菌を酸素の多いぬか床の表面へ動かす事で活動を抑えて、酸っぱくなりすぎることを防ぎます。 - 酸素が大好きな産膜酵母はぬか床の表面に繁殖し、シンナーやカビのようなニオイを発する。
→ぬか床の表面で活発に活動をはじめた産膜酵母(酸素が大好きで、ぬか床の表面で活発に活動している)の活動を抑えて、シンナーやカビのようなニオイを抑える。産膜酵母は酸素の乏しいぬか床の底部へ動かすことでアルコール、炭酸ガス、うま味になる脂肪酸などの有機酸を出させます。
- 酸素が嫌いな酪酸菌はぬか床の底で繁殖し、蒸れた靴下のようなニオイを発する。
→酸素の嫌いな酪酸菌を酸素の多いぬか床の表面へ動かし、活動を抑制する。
上記のような状態を防ぐ為に、ぬか床をかき混ぜることによって「ぬか床の上下を入れ替える」のが大事なのです。
活発になりすぎた3つの菌の活動を抑制し、ぬか床の状態をバランスの良く保つ事ができるのです。
上下の入れ替えが終わったら、酸素が嫌いな酪酸菌、乳酸菌のために、ぬか床内の空気をしっかり抜きましょう。
*産膜酵母(白カビ)も酪酸菌も食べても無害です。酪酸菌は人間の腸内に生育する善玉菌の一つで、最近ではその健康効果も研究されています。
どちらの菌も増えすぎるとぬか床を臭くするというだけで、人間の身体には有益です。
ぬか床は必ずしも毎日混ぜる必要はありません。発酵が旺盛な時(夏場の気温が高いときなど)は、ぬか床が不味くならないように頻繁に混ぜる必要があります。
*長期間外出するときや、混ぜる時間が取れない期間は冷蔵庫に入れておきましょう。
白カビ(産膜酵母)を利用しよう。
乳酸菌が減ったぬか床は、雑菌が繁殖しやすくなります。
しかし、米ぬかと塩を足し、かき混ぜずに放置すると、米ぬかの栄養分をエサにして、酸素を嫌う乳酸菌が急速に増殖します。
すると、乳酸菌が出す乳酸で、酸に弱い他の雑菌が抑えられます。
それを待って、ぬか床表面に現れるのが、酸に強い「産膜酵母」です。その名の通り、ぬか床表面に「白い膜」を張るように繁殖します。
つまり、産膜酵母の白い膜は、ぬか床内部に「乳酸菌が増えた証拠」なのです。
ぬか床の表面にでてきた産膜酵母をそのままにしておくと、増殖してシンナー臭いニオイを出し始めます。
ところが、この産膜酵母を酸素の乏しいぬか床の底部へ動かすと、産膜酵母の活動が一変します。
嫌なニオイを出す代わりに、ぬか床らしい芳醇な香りのもとになるアルコールや脂肪酸を作り出すようになるのです。
ぬか床に入れて効果の有るもの
菌の働きを緩める材料
- 塩
- 鷹の爪
- 山椒の実
水分吸着と香り付け
- 昆布
- 干し椎茸
- 切り干し大根
ぬか床づくりの注意点
ぬか床は諦めが肝心
ぬか床を維持していくと香りや味が気にならなくなる場合も出てきます。
目に見えない菌のバランスが崩れているのが原因です。
ぬかと塩を追加して様子をみても納得行かない場合はぬか床を少量残して作り直すことをおすすめします。
ぬか床で大事なのは、美味しいと思えるぬか漬けを無理せず継続的に食べ続けて、腸内環境を良い状態に維持することです。
ぬか床は米ぬかとお塩と水があればすぐに出来ます。
失敗してしまった時は、今のぬか床に執着しすぎず潔く新しいぬか床を作り直しましょう。
ぬか床を美味しく仕上げるために
表面から出た野菜から、雑菌が入ってくる可能性もあります。
ぬか床をつくってみましょう
ぬか床の材料
- 米ぬか: 1kg
- 粗塩:80g(米ぬかの8%程度。お好みで加減してください。)
- 水:900g(米ぬかとほぼ同量)
- 鷹の爪:1本
- ジャガイモ(生のジャガイモ。菌の餌になります):1個
ぬか床づくりの手順
米ぬか1kgに塩80gをいれます。
水900gをいれます。
鷹の爪を小さく切り、種を取り除き、ぬか床に加えます。
よくかき混ぜれば、基本のぬか床は出来上がりです。
最後にジャガイモを1個と、漬ける用のにんじんを入れます。
漬ける時間は一晩が目安。お好みで調整してください。
湯がいたジャガイモやゆで卵、アボカド、ばらばらにした玉ねぎ(3日ぐらいつける)などもおすすめです。
お好みで色々と試してみてください。
醸しカフェでは、捨て野菜は漬けず、すぐに食べる用の野菜を漬けます。
漬けてしばらくは、糠の香りと塩の味しかしませんが、野菜をつけ続けているうちに
野菜についている菌が増えて、徐々に酸味とうま味が加わった美味しいぬか床が出来上がります。
美味しくぬか漬けをつづけるために
ぬか床の容器はいろいろありますが、混ぜやすいサイズの物を選んでください。
混ぜやすく、自分(とその家族)が食べる分が入る容量のものが良いでしょう。
収穫した野菜にも菌はついています。特に植物性の乳酸菌が付着しています。
良い土壌でつくった野菜を、軽く洗ってぬか漬けに使うのが理想的です。
慣行農法ではなく、無農薬で栽培された野菜が手に入ると良いでしょう。
ぬか漬けを食べる際は、ついたぬかは洗わずにそのまま食べるのがおすすめです。
また、ぬか漬けの管理のために、ぬかを定期的に食べてみて美味しいと感じるかどうかを判断しましょう。
しばらく野菜を漬けていると、ぬか床が水っぽくなってきます。
これは野菜から滲み出た汁によるものです。捨てるのももったいないので、干ししいたけや切り干し大根を入れて
水分を吸着させるのがおすすめです。ぬか床の水分を吸い取った干し椎茸や切り干し大根はそのまま使えます。
ぬか床出来上がりの目安
→産膜酵母が増えてきている。
→乳酸菌と酪酸が増えてきている。
ぬか床は常に菌目線で管理、維持をすることが大事です。
ぬか漬けを食べ続けて、免疫システムの核、バランスの良い腸内環境を維持し、
「病気をしないカラダづくり」を目指しましょう。
ぬか床のワークショップ概要
一度はぬか床づくりにチャレンジされた方は多いのではないでしょうか?
続いてますか?【混ぜるのが面倒】,【かびが生えてしまった】など断念したり理由は様々でしょう。
しかし、ぬか漬けに含まれる乳酸菌、酪酸菌、酵母は人体の免疫システムを司る腸内環境を整えてくれるすばらしい発酵食品なのです。
毎食少しでもぬか漬けを食べることで病気をしないカラダを作ることができるのです。
ワークショップはぬか漬けの基、ぬか床をつくる、管理のしかた、そしてぬか漬けを食べてみましょう。
釀(かもし)カフェのぬか床を少しお分けします。
さあ、おいしいぬか漬け食べましょう。
概要
場所 | 醗酵食専門カフェ 釀(かもし)カフェ杉並区西荻北4ー35ー6 カーサ藤江1階 |
---|---|
電話 | 03-6913-5888 |
開催日 | 2019年4月28日(日) |
時間 | 10:30―13:00 |
ぬか床関連のおすすめ商品
手軽に乳酸菌が摂取できるかわしま屋の取り扱い商品をご紹介いたします。
【お1人様1個限り】日本の発酵食品からとれた「オーガニック腸活乳酸菌パウダー」(100g)【送料無料】*メール便での発送*_t1
期間限定キャンペーン実施中!今だけ50%OFFで購入できます。日本古来の発酵食品のみを原材料とした、植物性乳酸菌のパウダーです。飲みやすい微粉末。毎日続けて腸から健康に!
2287 円(税抜)