酢酸菌ってなに?効果と含まれる食材、作り方も紹介

健康と美容を意識する人たちの間で話題のキーワードの1つが「菌活」。その中でもひそかに注目を集めているのが酢酸菌です。
「酢酸菌ってなに?」「酢酸菌の効果効能は?」「酢酸菌はどんな食品に含まれているの?」
この記事では、酢酸菌の気になる情報をまとめて解説します。
もくじ
酢酸菌とは?

酢酸菌とは、アルコールをお酢に変化させる細菌(微生物)の総称であり、乳酸菌や納豆菌と同じ、食用の発酵菌の仲間です。
酢酸菌は空気中や果物、花など自然界のさまざまな場所に存在しています。
お酢をつくるのに必要不可欠であることから、英語では「Mother of vinegar(お酢の母)」とも呼ばれている酢酸菌。実はさまざまな働きをしているのです。
酢酸菌の働き
酢酸菌の働きは、次に示す2つの酵素でアルコールを酢酸へと変換することです。
- ・アルコール脱水素酵素
- ・アルデヒド脱水素酵素
これらの酵素は酢酸菌酵素とも呼ばれ、協力し合うことでお酢をつくりだしています。
酢酸発酵のメカニズム
酢酸菌のアルコール脱水素酵素とアルデヒド脱水素酵素によって、アルコールを酢酸へと変換させることで酢酸発酵が進みます。酢酸発酵が進むにつれて食品の酸性度が上がるので、菌を寄せ付けず腐りにくくなります。
酢酸菌が作る強い酸性状態を利用している食品は、ピクルスや漬物など、どれも保存性の高いものばかりです。
酢酸菌の種類
酢酸菌は主にアセトバクター属とグルコナセトバクター属に分けられます。
アセトバクター属の酢酸菌は、エタノールを酸化酵素によって酢酸に変化させる力があります。純米酢やワインビネガーなどの食酢のほとんどは、この属の酢酸菌によってつくられます。アセトバクター属の中には、ココナッツ水などを発酵させてナタデココをつくるナタ菌も含まれています。
一方、グルコナセトバクター属の酢酸菌は、アセトバクター属と同様にエタノールを酢酸に変える能力と、一部の糖を酸化して糖酸に変える力をもっています。この属の酢酸菌は、米や大豆などを原料とした黒酢や甘酢などをつくるのに用いられています。
酢酸菌と乳酸菌の違い
酢酸菌と乳酸菌は、ともに食用の発酵菌ですが異なる特徴をもっています。
酢酸菌は、アルコールを酢酸に変える働きがあり、お酢をつくるのに欠かせない細菌です。酢酸菌は好気性で、液体の表面に膜を作って成長します。
乳酸菌は、糖を乳酸に変える細菌で、ヨーグルトやチーズなどの乳製品や、漬物や味噌などの発酵食品の製造に関与しています。乳酸菌は嫌気性で、液体の中や固形物の表面で成長します。
酢酸菌の効果
酢をつくるのに欠かせない酢酸菌ですが、健康をサポートする効果があることも明らかになってきています。どのような健康効果が期待できるのでしょうか。
効果3.飲酒時のアルコール濃度の低減

普段からお酒を飲んでいる成人男性を対象とした試験で、酢酸菌酵素を摂取すると、しない場合と比べて体内の血中アルコール濃度が有意に低下したというデータが存在します。
酢酸菌が酵素によってアルコールを分解するプロセスは、私たちの肝臓で行なわれるアルコール代謝のプロセスと同じ。
酢酸菌酵素を摂取することで、肝臓の負担を和らげる効果が期待できるでしょう。
効果4.アレルギー症状を和らげる

酢酸菌は体のアレルギー反応を和らげる作用があります。例えば次のような症状に改善のきざしが確認されているようです。
- ・花粉による鼻のかゆみ
- ・ハウスダストによる鼻の違和感
- ・ダニによる皮膚の違和感
一定期間において継続して摂取をすることで効果が認められた場合もあるようなので、酢酸菌は適量を継続して摂ることをおすすめします。
参考文献:
酢酸菌(Gluconacetobacter hansenii GK—1)は健常者の鼻の不快感を軽減する―無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験
Oral Administration of Lipopolysaccharide of Acetic Acid Bacteria Protects Pollen Allergy in a Murine Model

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酢酸菌を摂るときの注意点
多くの健康効果が期待できる酢酸菌ですが、ただ摂取すればいいというわけではありません。摂るときに注意するべき点もチェックしておきましょう。
大量に摂取しない
酢酸菌は、適量を摂取する分には安全ですが、一度に大量に摂取してしまうと、胃や食道の粘膜にダメージを与え炎症を引き起こす恐れがあります。お酢を原液で飲むのも危険なので控えてください。
インスリンが分泌される
酢酸菌には、血糖値を下げる効果がありますが、同時にインスリンの分泌も促します。そのため、糖尿病の方は血糖値の変化に注意しましょう。また、糖尿病の薬と一緒に摂取する場合は医師に相談してください。
アルコールの影響をなくす働きはない
酢酸菌には、アルコールを分解する働きがありますが、それは肝臓への負担を軽減するという意味であって、アルコールの影響をなくすということではありません。つまり、酢酸菌を摂っても摂取したアルコールの濃度が変わるわけではないため、運転や仕事などに影響が出る可能性があります。
免疫機能を大きく活性化させる働きはない
酢酸菌には、免疫機能を向上させる効果がありますが、それは免疫細胞のバランスを整えるという意味であり、免疫機能に強く働きかけ活性化させるということではありません。自己免疫疾患がある方や免疫抑制剤を服用している方は、医師に相談したうえで酢酸菌を摂るのが望ましいです。
酢酸菌の効果的な摂り方
酢酸菌が花粉症などのアレルギーに効果を発揮するのは、マクロファージという白血球の1種を活性化しているためです。
このマクロファージをさらに活性化させるためには、乳酸菌を併用するとよいことが分かっています。
酢酸菌と乳酸菌を併用することにより、乳酸菌単体よりも倍以上のマクロファージが活性化されることも確認されています。
私たちの身の回りに存在する発酵菌は大きく分けてグラム陽性菌とグラム陰性菌の2種類。酢酸菌はグラム陰性菌に、乳酸菌はグラム陽性菌にそれぞれ分類されます。
タイプの違う2つの菌を摂取することで相乗効果が生まれ、マクロファージが活性化されているのかもしれません。
なお、グラム陽性菌に分類される発酵菌は、乳酸菌のほかにもビフィズス菌や納豆菌が挙げられますが、グラム陰性菌で安心して口にできるのは酢酸菌だけだと言われています。
参考文献:酢酸菌(Gluconacetobacter hansenii GK—1)のTLR4反応性と乳酸菌との抗アレルギー相乗効果
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酢酸菌を含む食ベ物

ここまで酢酸菌の持つ健康効果について取り上げてきました。この章では、酢酸菌を含む食品をご紹介します。
1.にごり酢
酢酸菌を含む、もっとも代表的な食品といえるのが「にごり酢」。
酢酸菌で発酵させて製造する醸造酢のうち、製造過程で酢酸菌をろ過せずに仕上げたお酢をにごり酢と呼びます。

2.コンブチャ(紅茶キノコ)
コンブチャ(紅茶キノコ)とは、紅茶や緑茶に糖を加え、酢酸菌などを入れて発酵させたもの。
多くの健康効果があるとして、アメリカでは2015年ごろにセレブを中心に大流行し、その後、健康志向の人たちの間で定着した発酵飲料です。このコンブチャにも酢酸菌が含まれています。

3.ナタデココ
ナタデココにも酢酸菌が含まれています。ナタデココは、ココナッツミルクをアルコール発酵させた後に、酢酸菌の一種である「ナタ菌」を加えてつくられます。
4.カスピ海ヨーグルト
一般的なヨーグルトはサーモフィラス菌とブルガリカス菌という乳酸菌の発酵によってつくられます。それに対して、カスピ海ヨーグルトは酢酸菌(アセトバクター菌)と乳酸菌(クレモリス菌)が発酵に関与しています。
酢酸菌は買える?
酢酸菌自体が販売されているケースは非常に稀ですが、前章で紹介した通り、酢酸菌を含む食品はいくつかあることがわかりました。
その中でも手に取りやすいのが、お酢でしょう。しかし、市販のお酢には酢酸菌が入っていない場合が多いです。また、酢酸菌入りのお酢は手づくりすることもできます。
これらの点について解説します。
市販のお酢には酢酸菌が入っていない?
市販されている大半のお酢には酢酸菌が含まれていません。
というのも、酢酸菌はお酢が濁る原因になるため、製造・商品化する際にろ過して捨てられてしまうケースがほとんどだからです。
しかし、酢酸菌のもつ健康効果に注目が集まりだしてからは、酢酸菌をろ過せずにあえて残したにごり酢の商品が少しずつ増えてきました。
酢酸菌入りのお酢はつくれる
酢酸菌入りのお酢をつくってみたいという方も多いのではないでしょうか。
酢酸菌を含むお酢をつくるのは、そこまで難しくありません。そのつくり方をご紹介します。

酢酸菌の作り方
材料
- 純米酒 100 ml
- 水 100 ml
- 米酢(穀物酢など、食酢であれば可) 100 ml
- リンゴ 50 g
作り方
- 使う瓶をアルコールなどで殺菌消毒します。
- ガラス瓶などの容器に純米酒、水、米酢を入れてよく混ぜます。
- リンゴを皮ごと薄切りにし、容器の中に加えて全体を混ぜます。種も入れて問題ありません。
- 容器の上部を「さらし」(ペーパータオルでも代用可)で覆い、輪ゴムで留めてフタをします。※酢酸発酵には酸素が必要なため、瓶のフタは少しスキマが開くようにして乗せましょう
- 早ければ3~5日程度で酢酸菌の膜が張り始めます。膜が壊れないように、混ぜずにそっとしておきます。
- 3週間ほど経ったら味見をし、十分に酸っぱければリンゴを取り出して完成です。
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お酢を使ったレシピ
酢酸菌入りのお酢が手に入ったら、おいしいレシピでいただきましょう。料理に使うのはもちろん、お酢ドリンクとして飲むのも手軽でおすすめです。

酢納豆
材料
- 納豆 1 パック
- 酢 大さじ 1
作り方
- 納豆にお酢を入れます。
- 50回ほどしっかり混ぜます。
- ふわふわクリーミーになったらでき上がりです。
動画
コツ・ポイント

酢大豆
材料
- 乾燥大豆 100 g
- 酢 200 cc
作り方
- 大豆をよく洗いざるにあげます。
- 大豆をフライパンに入れ、弱火で20分ほど炒ります。
- 大豆が茶色っぽくなってきたら火を止めます。
- 大豆の粗熱がとれたら密閉容器に入れ、大豆の数cm上までお酢を注ぎ蓋をします。
- 1~2日で大豆が膨らんでお酢から出たら、もう一度酢を大豆の数cm上まで足します
- その後、3日ほど漬けたら完成です。
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酢タマネギ
材料
- 玉ねぎ 1 個
- 塩 少々
- 酢 50 ml
- はちみつ 大さじ 1
作り方
- 玉ねぎをスライスし、水に1分ほどさらします。
- 玉ねぎの水をきり、塩をもみ込みます。
- 玉ねぎを、保存瓶に入れます。
- 玉ねぎが漬かるまでお酢を注ぎ入れます。
- はちみつを加え混ぜます。
- 冷蔵庫で保存します。
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酢キャベツ
材料
- キャベツ 400 g
- 塩 小さじ 1
- 酢 400 cc
作り方
- キャベツを千切りにします。
- 切ったキャベツをボウルに入れ、塩をまぶして軽く塩もみをし10分ほど置きます。
- 10分たったら、キャベツを保存容器に移します。
- キャベツを入れた容器に、キャベツが漬かるまで酢を注ぎ入れます。
- 蓋をして半日ほど置いたらできあがりです。
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コツ・ポイント
カロリーは低いのに食べ応えはあるのでダイエットにぴったりの一品です。 常備菜としてはもちろん、しっかり水分を切ればお弁当に入れられる、いつでも手軽に食べやすい副菜です。
ダイエットや日々の野菜不足解消にも役立つので、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。 【監修:管理栄養士 安藤 ゆりえ】

酢飯
材料
- 米 3 合
- 水 500 cc
- 昆布 1 枚
- 酒 大さじ 3
- <すし酢>米酢 大さじ 6
- <すし酢>砂糖 大さじ 3
- <すし酢>塩 小さじ 2
作り方
- 米をといでざるに上げて、30分おいておきます。
- 米、水、昆布、酒を入れて炊きます。 いつものご飯よりかために炊き上げる分量です。
- ご飯を炊いている間にすし酢を作ります。
- 飯台をしめらせておきます。
- ご飯が炊けたら昆布を取り出します。
- ご飯を飯台に移し入れ、さっと広げます。
- 合わせたすし酢をご飯全体に回しかけます。
- しゃもじで切るように手早くご飯を混ぜます。うちわであおぎながら混ぜるとご飯がつやよく仕上がります。
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フルーツビネガーの豆乳ドリンク
材料
- お好みのフルーツビネガー 大さじ 1
- 豆乳 150 cc
作り方
- フルーツビネガーと豆乳をグラスに入れて、混ぜ合わせれば完成です。
コツ・ポイント

リンゴ酢豆乳
材料
- リンゴ酢 大さじ 1
- はちみつ 大さじ 1
- 豆乳 150 ml
作り方
- グラスにリンゴ酢とはちみつを入れます。
- 豆乳を注いでよく混ぜます。 お酢にはタンパク質を凝固させる性質があるので、トロッとしてきます。
コツ・ポイント

はちみつ黒酢のソーダ割り
材料
- 黒酢 大さじ 1
- はちみつ 大さじ 1
- 炭酸水 150 ml
作り方
- コップに黒酢とはちみつを入れます。
- 炭酸水を入れて混ぜたら完成です。
「酢酸菌」についてのQ&A
- 酢酸菌とは何ですか?
- 酢酸菌とは、アルコールを酢酸に変える細菌の総称です。酢酸菌は食用の発酵菌の一つで、空気中に浮遊しているほか、梅・ぶどうなどの果実や、柿・りんごの皮、花やはちみつなどに存在しています。
- 酢酸菌はどのような食材に含まれますか?
- 酢酸菌は、食酢やナタデココなどの発酵食品に含まれています。食酢は、ワインや日本酒などのアルコール飲料に酢酸菌が作用してできます。また、ナタデココは、ココナッツ水にグルコースとナタ菌と呼ばれる酢酸菌を加えて発酵させてつくられます。ほかにも、コンブチャ(紅茶キノコ)やカスピ海ヨーグルトなどにも酢酸菌が含まれます。
- 酢酸菌はワインや日本酒に含まれますか?
- 酢酸菌はワインや日本酒に含まれることがあります。ワインや日本酒は、ぶどうや米などに含まれる糖分を酵母によって発酵させ、アルコールを生成することでつくられますが、その過程で空気中の酢酸菌が混入する場合があるためです。酢酸菌は、ワインや日本酒に含まれるアルコールを酢酸に変えてしまうので、それを防ぐためには低温殺菌などの処理が必要です。
- 酢酸菌には、どのような健康効果がありますか?
- 酢酸菌には、胃腸の働きを整える、血糖値や血圧を下げる、コレステロールや中性脂肪を減らす、免疫力を高める、アレルギー症状の緩和といった健康効果があります。
- 酢酸菌には、ダイエット効果がありますか?
- 酢酸菌は、ダイエットに効果があると言われています。その理由としては、酢酸菌が生成する酢酸には、脂肪の分解や燃焼を促進する作用があるためです。また、酢酸菌が含まれる食品には、食物繊維や乳酸菌などの食べ物が多く満腹感を得やすい、ビタミンB群やクエン酸などの栄養素が豊富で代謝を高めるといった作用が期待できます。
- 酢酸菌を摂りすぎると副作用がありますか?
- 酢酸菌を摂りすぎると、胃や歯に負担がかかったり、アレルギー反応を起こしたりする可能性があります。特に、胃が弱い人や歯が弱い人は注意が必要です。酢酸菌をお酢ドリンクで摂る場合は、1日あたり大さじ1~2杯(15~20ml)を目安に薄めて飲むようにしましょう。
おすすめの酢酸菌入りのお酢
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