フェンネル|種類や特徴、4つの効能と美味しいレシピと活用法とは
アニスのような甘い香りと、細くて繊細な見た目が魅力的なフェンネル。
フェンネルシードはスーパーのスパイス売り場などでもよく見かけますが、最近はネットショップなどを通して農家から直接購入できる、野菜としてのフェンネルも見られるようになりました。
今回かわしま屋では、そんなフェンネル について大調査!
フェンネルの魅力や効果・効能とともに、おすすめのレシピもご紹介します。
フェンネルとは
誰しも名前は聞いたことのあるフェンネル。
しかし意外と、フェンネルがどういう植物・野菜なのかをご存知ない方も多いのではないでしょうか?
フェンネルは、地中海沿岸が原産の、セリ科の植物。
学名はFoeniculum vulgare(フォエニクルム・ヴルガレ)ですが、地域ごとに「茴香(ういきょう)」、「小茴香(しょうういきょう)」、フヌイユ、フィノッキオなどさまざまな別名があり、なんとその数100以上の名前があると言われています。
古代ギリシャ・ローマ時代から長い間、葉や茎部分が食用・薬用として使われてきた歴史があり、最近は植物化学の進展により、その薬効が正式に認められつつあります。
料理においても地域ごとにバラエティ豊かなレシピがあり、茎をメインにグリルしたものから、葉を飾りとして添えたもの、種を香り付けや臭み消しに利用したものなどさまざまです。
フェンネルの種類
フェンネルの種類は大きく分けて2種類。
種類ごとに葉や茎の色・形状が異なり、料理や観賞用など、用途ごとに使い分けられます。
ブロンズフェンネル
その名の通り、葉がブロンズの色をしている、寒さに比較的強いフェンネルです。他のフェンネルと同様に甘い香りがありますが、その色味から観賞用として利用されることも多い品種です。
白ワインビネガーなどに漬け込むとルビー色のハーブビネガーができるため、料理やお茶のほか、染色などにも利用されます。
フローレンスフェンネル
別名スイートフェンネルとも呼ばれるこの品種は、株元が肥大する野菜「フィノッチオ(イタリア語)」としても知られています。生でも加熱しても美味しく食べられる、セロリのような野菜です。
品種改良がなされ、市場にはとう立ちしにくいものも出回っています。
ディルやセージとの違い
フェンネルは日本であまり馴染みのない野菜のせいか、ディルやセージと勘違いされます。
セージは、シソ科の多年草。葉はオーバル型をしており、フェンネルとはその見た目も香りも全く異なります。
ハッカのような爽やかな香りを持っているため、ローズマリーやパセリなどと一緒に肉料理のくさみ消しなどに使われることが多いハーブです。
一方、ディルはフェンネルと同じくセリ科。味や香りも食べ比べないと分からない程と言われており、ガーデニングショップなどで名前が表示されていないと、素人にはなかなか見分けがつきにくいです。
北米の動植物に関するオープンアクセスリファレンスISC(Invasive Species Compendium)によれば、フェンネルとディルはその香りと実で見分けられると言います。
フェネルの方はリコリス(甘草)のような少し甘い香り、ディルはほろ苦く、微かな刺激臭があり、また実には幅広の羽部分があることで見分けられます。
そのほか、茎や葉の重なり方などで見分けられますが、素人には少し分かりにくいですね。
参考文献:・NCBI|Effects of Anethum graveolens L. (dill) on Oocyte and Fertility of Adult Female Rats
セージの効能と使い方。料理だけじゃない!暮らしの中の活用法
今回はセージの効果・効能を中心に、料理や暮らしの中での使い方、レシピなどをご紹介していきます。
フェンネルの効果・効能
胃腸薬など、特に漢方方剤の材料としてよく目にするフェンネル。
安中散(あんちゅうさん)や、太田胃散、仁丹などにも使われていますね。
では具体的にどのような効果があるのでしょうか。
健康効果1 健胃作用
フェンネルは、食欲増進や消化酵素の分泌促進効果があるとされ、食べ過ぎ・飲み過ぎ、胃のもたれなどに効くとされています。
健康効果2 口臭予防
フェンネルはその芳香から、口臭予防としても利用されています。インド料理屋さんなどに置いてある「ムクワス」というカラフルなスナックの中にも、フェンネルシードが入っています。
健康効果3 ダイエット効果
フェンネルには利尿・発汗作用があると言われており、水分の排出を促すことでむくみの改善効果が期待できます。また、血の巡りが良くなることで冷え性改善も期待でき、ダイエット中の方は最適です。
健康効果4 更年期障害の緩和など
フェンネルの甘い香りの成分は女性ホルモンを活発化させる作用があると言われており、更年期障害の緩和や、母乳の出を良くする効果・効能があると言われています。
フェンネルの活用法
フェンネルは部位や加工方法により、さまざまな利用方法や効果・効能があると言われています。
飲食に
フェンネルの発祥地は地中海。そのことから、西洋料理によく利用されています。特に肉・魚料理の香り付けとして葉が利用されており、鮮やかな見た目が料理に華を添えます。
種は、インドではカレー料理に、中国では五香粉(ウーシャンフェン)という香辛料の原料として利用されているほか、種から蒸留した精油は、食べ物やリキュールの風味づけにも利用されます。
薬用に
漢方薬などの材料表記を見ると、フェンネルは茴香(ウイキョウ)という名前で、生薬として利用されていることがわかります。
芳香性のある健胃剤として使われることが多いですが、種で入れたお茶は内服で消化不良に、外服で洗口剤に使われることもあります。
趣味やリラックスに
観賞用としてガーデニングでの人気が高いフェンネル。実はその甘く独特な香りから、精油としての利用も盛んです。石けんなどのほか、歯磨き粉やトイレタリー化粧品など、芳香剤としても利用されます。
フェンネルを使ったレシピ
フェンネルは葉や種子と同じくハーブとして、また、株元が大きくなるフローレンスフェンネルは玉ねぎなどの野菜として広く利用されています。
今回は、フェンネルの葉や茎を使ったレシピをご紹介しましょう。
最近はミニフェンネルといった、日本生まれの扱いやすい品種も市場に出回っていますので、ぜひ料理一度はトライしてみてください。
フェンネルの処理方法
1. 葉のついたフェンネルは、まず茎部分切り落とし、株部分と分けます
2. 株についている固い根の部分を切り落とし、根の部分を下にしたら球根を縦半分に切ります
3. 断面から斜めに包丁を入れ、固い芯の部分を取り除きます
4. スープや炒め物などに利用する際は、フェンネルの層を分け、好みの厚さや大きさに切ります。グリルにする場合は、そのままくし切りにしても良いでしょう
フェンネルティーの作り方
フェンネルは、葉も実(種)もハーブティーとしていただけます。
お家でフェンネルを栽培している場合は葉からも抽出できますが、フェンネルシードの方が味も香りも格段に上です。最近はECサイトなどでもフェンネルシードが出回っていますので、ぜひ試してみてください。
葉から抽出する際は、一掴みほどでOK。痛んだ葉っぱを取り除き、洗って水気を切ったらティーポットにハーブを入れ、3〜5分ほど蒸らします。お好みの濃さでお召し上がりください。
一方フェンネルシードを利用する際は、小さじ山盛り1杯ほどを乳鉢などで潰して10分置いてから濾して飲むと良いでしょう。
フェンネルシードは葉よりも甘くスパイシーな香りが強いため、少し強すぎると感じる方は、ローズヒップやカモミール、レモングラス、はちみつなどを混ぜても美味しくいただけます。
白身魚のピカタフェンネル添え
材料
- お好みの白身魚
- 4切
- フェンネル(葉付き)
- 2株
- オリーブオイル
- 大さじ3+適量
- レモン
- 1個
- 卵
- 2個
- 粉チーズ
- 大さじ4
- 薄力粉
- 適量
- バター
- 60g
- 塩・胡椒
- 適量
つくり方
準備:フェンネルは下処理を済ませ、株部分は幅1.5cmほどのくし切りにして茹で、葉はみじん切りにしておきます。レモンは絞っておきます。
- 1
- 白身魚に塩・胡椒で下味をつけ、フェンネルの葉みじん切り半量、レモンの絞り汁、オリーブオイルでマリネします
- 2
- ボウルに卵と残りのフェンネルの葉、粉チーズを合わせます
- 3
- 白身魚の水気を拭き、薄力粉をまぶしたら2の衣につけ、オリーブオイルを敷いたフライパンで焼きます
- 4
- フライパンにバターとフェンネルのみじん切りを加え、少し色がつく程度に熱したら、塩・胡椒で味付けをして焦がしバターを作ります
- 5
- 白身魚を盛った皿に茹でたフェンネルを散らし、4で作った焦がしバターソースをかければ完成です。
フェンネルのスープ
材料
- フェンネル
- 1個
- 人参
- 1/2個
- 玉ねぎ
- 1/2個
- オリーブオイル
- 大さじ1
- 水
- 800cc
- コンソメキューブ
- 2個
- 塩・胡椒
- 適量
つくり方
準備:フェンネルは下処理を済ませ、茎は玉ねぎ、人参と共に1センチ角のさいの目切りに、茎は小口切りに、葉っぱはざく切りにして分けておく
- 1
- 鍋にオリーブオイルを熱し、フェンネルの株・茎・玉ねぎ・人参を入れ火にかけます
- 2
- 野菜がしんなりし、フェンネルや玉ねぎが透き通ってきたら、水・コンソメキューブを加え煮立たせます
- 3
- 野菜のしんがなくなったようであれば、塩・胡椒で味を整え器に注ぎ、フェンネルの葉っぱをトッピングしたら完成です
フェンネルのについてのQ&A
- フェンネルはどの部分が食べられますか?
- フェンネルは、基本的に根の固い部分以外は生でも食べられます。茎や株の部分は筋が気になる場合がありますが、固い場合には株の外側をピーラーで剥き、茎は繊維を切るようにして小口切りにすると気になりません。
- フェンネルを食べてはいけない人はいますか?
- フェンネルはセリ科に属する植物のため、ヨモギや人参など、セリ科の植物にアレルギーがある方は摂取を控えましょう。また、てんかんの持病を持つ方も、フェンネルによって発作が引き起こされるという報告がされているため、間違って摂取しないように気をつけてください。
- 妊婦や子どもはフェンネルを食べても良いですか?
- フェンネルは女性ホルモンに影響する作用があるため、妊婦の方や婦人科系の疾患がある方は使用を控えたり、摂り過ぎに注意しましょう。また、まだ身体が未発達な子どもや思春期の子どもが摂取する場合にも注意が必要です。
- フェンネルとディルの違いは?
- フェンネルとディルは見た目がよく似ており、一見すると違いが分かりません。一般的に、フェンネルは甘い香り、ディルはほろ苦くツンとした香りと言われています。また、ディルの実はフェンネルと比べて幅広の羽部分があります。