セージの効能と使い方。料理だけじゃない!暮らしの中の活用法

セージ

「セージは人間を長生きさせることができる」―中世後期の書物に記された一節です。

セージの効能は古来より広く知られ、中国やペルシャ、ヨーロッパ各地でも「長生きしたければ庭にセージを植えるように」という諺が存在したとか。
多くのハーブと同様に料理にも使われますが、他の素材を圧倒してしまう強い香りの持ち主で、使うのが難しいハーブのひとつでもあります。

今回はそんなセージの効果・効能を中心に、料理や暮らしの中での使い方、レシピなどをご紹介していきます。

セージとは

セージとは

セージ(英語:Common Sage、学名:Salvia officinalis)とは地中海原産のシソ科の常緑小低木で、古くから食用、薬用、儀式用などに使用されてきたハーブのひとつです。

学名の”Salvia”には健康、治癒、救いといった意味があり、その治癒力の高さが古来より知られてきたことが伺えます。
花言葉は「知恵」「尊敬」「幸福な家庭」など。銀色の葉に紫色の花がうつくしく、観賞用として植えられることも多いようです。

セージの香りは、樟脳のようなスッとした香り。
味も少々苦みがあるため「薬くさい」と感じる方もいるようですが、脂っぽいメニューと相性がよく、料理をさっぱりさせてくれる独特の魅力があります。
薬効もさまざまで、料理やティーだけでなく暮らしの中でも多様な利用法をもつ代表的メディカルハーブです。

セージの種類

セージ(Salvia officinalis)は観賞用に植えられるサルビア(Salvia splendens)と近縁で、セージと名の付く植物はたくさんあります。
ただしハーブとして食用や薬用に利用できるのはその中の一部。名前に「セージ」とついていても食用には使えないものもあるので注意してください。

<ハーブとして利用できるセージ>

これらのセージはハーブとして食用・薬用に利用することができます。

種類 特徴
コモンセージ 最も一般的な品種。
スパニッシュセージ ホウセンカのような香り。ティーに向いている。
トリコロールセージ 半耐寒性。ピンクの斑点があり、まろやかな香り。
プロストレイトセージ ホウセンカの香りが強い。
パープルセージ 葉の香りが強く、喉の痛みに効くといわれる。
ゴールデンセージ コモンセージよりもまろやかな香り。
クラリーセージ 葉に大きな刻みがある。花が美しく園芸用としても。
パイナップルセージ パイナップルの香りがする。

<その他のセージ>

「セージ」と名前はついているものの、ハーブとしては利用できないので注意してください。
この他にもさまざまな園芸種があります。

  • ・メキシカンセージ…紫の大ぶりな花が美しい園芸品種。アメジストセージとも。
  • ・ブルーセージ…さまざまな品種がこの名で流通しているので注意が必要。ハーブとして利用できるものとできないものとがある。
  • ・コバルトセージ…清楚なコバルト色の花が咲く園芸品種。
  • ・チェリーセージ…赤と白の花を咲かせる園芸品種。さまざまな品種がある。

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セージの効果・効能

世界中で愛されてきた長寿のハーブ、セージ。
その多岐にわたる効能をご紹介します。

効果・効能1 殺菌効果

殺菌効果

セージには強い殺菌効果があり、風邪や扁桃腺炎などに効くといわれています。
のどの痛み、口内炎、歯肉炎などをはじめとする軽い感染症にもどうぞ。古くは床にまいて疾病の予防に使う習慣もあったそうです。

 

効果・効能2 消化促進

消化促進

セージには消化を促す効果があります。
消化器の筋肉をリラックスさせて腸内ガスを緩和するため、食後のティーとしておすすめです。

 

効果・効能3 更年期障害の症状改善効果

更年期障害の症状改善効果

女性ホルモン様作用があるセージは、生理不順や更年期障害の治療に使われてきました。
更年期障害によるほてりなどに悩んでいるときに。

 

効果・効能4 アルツハイマー病予防・記憶力改善効果

アルツハイマー病予防・記憶力改善効果

セージには、記憶力や脳の能力を改善する効果があると認められています。
アルツハイマー病の患者を対象にした実験では、セージの抽出物により記憶力の向上が認められたほか、認知機能・気分評価においてもいくつかの項目で向上が認められたそうです。

 

セージには上に挙げた以外にも、
・抗酸化効果
・コレステロールをコントロールする効果
・がんを予防する効果
・口腔内の衛生を保つ効果
・制汗効果
・下痢を止める効果
・せき・風邪の初期症状をやわらげる効果

などがあるとされています。

セージの使い方

ハーブの使い方といえば、ハーブティーやお料理? いえいえ、セージの使い道はそれだけではありません!
ティーの淹れ方、料理での使い方のポイントから、暮らしの中での利用法までをまとめました。

セージを料理に使う

セージを料理に使う

強い香りをもつセージの葉。少量を使えば食欲をそそる香りですが、使いすぎると一気に料理を食べにくくしてしまいます。
他のハーブと比べてもほんの少量を使うのがポイントです。

<生葉の場合>

バジルやシソのように使えますが、葉に厚みがあるので、火は長めに通した方がいいようです。
そのまま天ぷらにしたり、細かく刻んでバターやビネガー、クリームチーズなどに混ぜることも。

<ドライの場合>

生葉よりも香りが強いので量に注意します。
肉のソテーなどに気軽にふりかけて使えます。
パウダーではなく大きめのリーフの場合は食べると口の中に残るため、肉の下味を付けるのに使ったり、ローリエのようにスープ等に入れたりした後取り出すのがよいでしょう。

<相性のよい素材>

「ソーセージ」という言葉の元にもなっているセージ。肉との相性は抜群です。
豚肉、マトン、カモなど、脂肪分が多い、または香りの強い肉類と合わせて使います。
また、チーズやレバーなど、臭いの強い素材の臭い消しとしても優秀です。

<いろいろなセージ料理>

セージ料理

  • ・花をサラダにふりかけて食べる
  • ・花を香りのあるティーに浮かべる
  • ・鶏肉の詰め物として使う
  • ・豚肉のソテーや炒め物に
  • ・肉団子やハンバーグなど、ひき肉料理に
  • ・シチューやホワイトソースに入れて
  • ・スープの香りづけに、他のハーブと
  • ・若葉をクリームに入れ、砂糖やオレンジと一緒に食べる

<セージのハーブティーの淹れ方>

  • 1. ティーカップ1杯分(150ml)につきティースプーン1杯のドライセージをポットに入れ、熱湯を注ぎます。
  • 2. ティーポットの蓋をして3~5分蒸らし、茶こしを使って一気に注ぎ切ればできあがりです。

暮らしの中でのセージ利用法

セージ利用法

〇うがい薬
飲み残したハーブティーをそのままうがい薬として使えます。
風邪の予防に。

〇マウスウォッシュ
沸騰したお湯300mlに乾燥セージ・タイム・ペパーミントの葉を小さじ1杯ずつ加え、蓋をして5分ほど抽出すると殺菌作用のあるマウスウォッシュに。口臭予防にも。

〇歯磨き粉
セージパウダー大さじ1に天然塩パウダー大さじ3を加えると、抗菌性と収れん性のある歯磨き粉に。大粒の塩を使うと歯茎を傷めてしまうので注意しましょう。

〇足浴
洗面器一杯の熱湯に大さじ1杯のセージを入れた足湯を作り、ちょうどよい温度になったらくるぶしの上あたりまで足をつけます。
清潔を保つことで水虫の予防に。

〇防虫サシェ
リネン類の防虫のために、セージのサシェが使えます。
抗菌性があるので、シューズキーパーとして使うのもおすすめです。

セージで「浄化」って?

浄化

ヨーロッパでは神聖なハーブとして儀式などでも使われてきたセージ。
燃やしたり、熱湯の中に入れたりすることでその成分を含んだ煙や湯気を立たせ、室内の消毒に役立たせるという使い方もされてきました。
ネイティブアメリカンの文化にも同じセージの使い方があり、セージを燃やして室内を浄化しようとする行為を「スマッジング」と呼ぶそうです。

特にホワイトプレーリーセージ(Artemisia ludoviciana)とホワイトセージ(Salvia apiana)は抗菌性で昆虫を寄せ付けない効果があり、スマッジングによく使用されます。
ホワイトセージにはまた、ストレスを軽減したり痛みを緩和したりする効果のある成分が含まれていることがわかっており、そのような効果を期待して行われることもあるようです。

焚き方は簡単。
耐熱性の器と乾燥したセージの葉を用意し、セージの葉に火をつけて、炎が燃え始めたら消し、器に置いて煙を出すだけです。
燃えやすいものを近くに置かないよう気をつけ、必ず燃え尽きたのを確認してから処分しましょう。

セージの副作用について

通常食品として適切に摂取すればおそらく安全であるといわれているセージですが、過剰摂取には注意が必要です。
セージを使用する際は、次のことに気をつけて摂取してください。

  • ・定められた量(1日4~6g)を超えないこと。
  • ・高用量の長期(3週間以上)の連続使用は避けること。
  • ・妊娠中、授乳中は使用しないこと。
  • ・高血圧・糖尿病の薬を飲んでいる人は、医師に相談すること。
  • ・てんかんをもつ人は使用しないこと。

魅惑のセージレシピ

セージは肉や油と相性がよく、少量を使うととても品のよい味にまとまります。
フレッシュのセージが手に入らないときは、1/3量の乾燥セージで代用してください。

サルティンボッカ

「口に飛び込む」という名前のイタリア・ローマ生まれの料理です。
子牛肉の代わりに豚ヒレ肉でもおいしく作れます。
材料2人分
調理時間30

サルティンボッカ

 材料

・子牛肉切身
2切れ
・生ハム
2枚
・セージ
4枚
・小麦粉
適量
・バター
大さじ1
・サラダ油
大さじ1
・白ワイン
50ml
・塩、こしょう
適量

 つくり方

1
子牛肉を肉たたきでたたいてのばし、片面に塩、こしょうをふります。
2
1にセージ、生ハムの順で載せ、小麦粉をまぶします。
3
フライパンにバターとサラダ油をあたため、ハムの側から2を焼きます。
4
片面が焼けたらひっくり返して白ワインを加え、強火にてアルコールを飛ばします。
5
肉を取り出し、フライパンをゆすりながら乳化させ、塩、こしょうで味を調えます。
6
肉を持った器に5のソースをかけてできあがりです。

バターサルビア

いつものポークソテーが、セージを加えるだけでお店の味に。
作り方も簡単なイタリアの家庭料理です。
材料2人分
調理時間30

バターサルビア

 材料

・豚ロース
2切れ
・小麦粉
適量
・サラダ油
大さじ1
・白ワイン
大さじ2
・セージ
6枚
・バター
大さじ1
・塩、こしょう
適量

 つくり方

1
豚肉に塩こしょうをし、小麦粉をまぶします。
2
フライパンをあたためてサラダ油を入れ、豚肉を両面焼きます。
3
白ワインを加えて強火でアルコール分を飛ばし、肉を取り出します。
4
3のフライパンにバターとセージを加え、フライパンをゆすって乳化させます。塩こしょうで味を調えます。
5
肉に4のソースをかけてできあがりです。

セージバターソース

バターとセージは相性の良い組み合わせ。
あっという間にでき、パスタにも、肉や魚のソースにも使えます。
材料2人分
調理時間5

セージバターソース

 材料

・生クリーム
200ml
・バター
大さじ2
・セージ
6枚
・塩
適量
・ブラックペッパー
適量
・パルメザンチーズ
大さじ3

 つくり方

1
すべての材料をフライパンに入れ、かき混ぜながら弱火であたためます。
2
バターが溶け、セージの香りが立ってきたら塩で味をつけて火を止めます。
3
2にパルメザンチーズ、ブラックペッパーを加えてできあがりです。

セージについてのQ&A

セージの保存方法を教えてください。
乾燥した場所に密封して保存します。フレッシュのセージは密封して冷蔵庫で保存しますが、使い切れない場合は乾燥させてしまうといいでしょう。
セージは妊娠中でも摂取できますか?
セージには女性ホルモン様作用があるため、妊娠中の方は摂取できません。
セージは授乳中でも摂取できますか?
セージは授乳中の方は摂取しないことをおすすめします。母乳の出も悪くなるといわれています。
セージの育て方を教えてください。
日当たりからやや日陰になる場所で、水はけのよい土で育てます。耐寒性はありますが、寒い地域では防寒対策も必要。美しい葉をもつので、鉢植えにしてキッチンで育てるのもいいですね。
収穫は花が咲く前に行います。
セージの花も料理に使えますか?
セージの花は、飾りを兼ねてサラダに散らしたり、スプレッドに混ぜたり、スープに浮かべたりして使うことができます。

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この記事を書いた人

パン作りと温泉をこよなく愛する2児の母。老後は伊豆で大きな犬と暮らすのが夢です。豆乳が好き、猫は苦手。