塩麹の作り方と使い方&レシピ
記事の監修
管理栄養士
安藤ゆりえ
老人保健施設の管理栄養士を経て、健康を維持するためには若いうちからの食生活の大切さを実感。2016年フリーランスとして活動を開始。レシピ開発や栄養指導、料理教室、食に関するコラムの執筆などを行っている。
近年、テレビCMや雑誌などでも取り上げられ日本全国に普及しつつある塩麹。
一般家庭やレストラン・定食チェーン店などでもメニューに加えられていたりなどしています。
その使い勝手の良さと、やみつきになる美味しさから塩麹は万能調味料ともいわれています。
今回の記事では、誰でも簡単にできる塩麹の作り方と、塩麹作りにおすすめの商品をご紹介いたします。
塩麹の作り方
塩麹の作り方
必要な道具
- はちみつ容器またはガラス容器
材料
- 米麹 100 g
- 水(浄水またはミネラルウォーター) 200 ml
- 塩 40 g
作り方
- 容器に米麹を100g全て入れます。容器の大きさは米麹・塩・水を入れても少し余裕があるくらいの大きさの容器を選びましょう。
- 容器に塩を40g全て入れます。
- フタを閉めてしっかりと振ります。米麹と塩がしっかりと混ぜ合わさるように振りましょう。
- そこに、水200cc全て入れます。水は30~35度程度にしておくと塩が素早く溶けてくれます。※熱すぎるお湯を入れると麹が死んでしまうので、必ず60℃以下のお湯にしましょう。
- フタを閉めてしっかりと振ります。
- 容器を常温で5~7日間置いて熟成させます。熟成中は発酵して容器が破裂する恐れがあるので、フタを完全に閉めずに置くようにしてください。1日1回はフタを閉めて容器を良く振って、麹を混ぜます。
- 舐めてみて、適度な塩気と旨みを感じたら塩麹の出来上がりです。保存は冷蔵庫の中で行なって下さい。3ヶ月程度で使い切るようにしましょう。
動画
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失敗しない塩麹作りアドバイス
材料も工程もシンプルな塩麹づくりですが、初めて作るときにはいろいろと迷うこともあるはず。
失敗しないためのポイントを、よくある疑問にお答えする形でご紹介します。
- 〇完成したかどうかの見極めができません
- 塩麹は完成すると麹の形が崩れてきます。麹の粒がしっかりしている時はもう少し置いてからいただきましょう。
また、甘い麹の香りもできあがりのサインです。
- 〇どんな容器がおすすめ?
- どんな素材の容器でもかまいませんが、かき混ぜる必要があるので深さのあるものがおすすめです。
密封できる容器がいいでしょう。
- 〇塩麹が茶色や黒になってきてしまいました
- 熟成が進むことで茶色くなったり、酸素に触れたために黒ずんでくることがあります。
味には特に影響はありません。
- 〇生の米麹を使うのと乾燥米麹を使うのとはどう違いますか?
- 生の米麹の方が麹菌の酵素のはたらきがよく、甘みや旨味などの味わいが深い塩麹になります。
手に入る場合は生の米麹で作るのがおすすめです。
- 〇この味でいいのかどうかわかりません
- 塩麹の味わいは、あっさりとして塩の味が強い「できたて」→生でも加熱でも使いやすいベストなバランスの「1~2ヶ月」→熟成がすすみ、香りが強くなる「2~3ヶ月」と、時期によって味わいが変わります。
最初は塩気が強くても、熟成にしたがってマイルドになりますので様子をみましょう。
調理法別・塩麹の使い方
塩麹は、調理で使うと次のようなはたらきをします。
- ・塩味をつける
- ・甘みをつける
- ・旨みを引き出す
- ・たんぱく質をやわらかくする
- ・しっとりとパサつきのない食感にする
これらの特徴を活かし、さまざまなメニューで活用してみましょう!
調味料として「和える・かける」
そのとろみを活かしてドレッシングやソース、和え衣として使います。
蒸し野菜にかけたり、ディップの材料として使っても。
お肉や魚をいただくときのタレにしてもおいしくいただけます。
<例>塩麹ドレッシング
材料をよく混ぜるだけ。やさしい甘みがあり、どんな野菜にもよく合います。
(材料)
・塩麹…大さじ2
・オリーブオイル…大さじ1
・酢…大さじ1
・塩…ひとつまみ
・ブラックペッパー…少々
だし代わりに「入れる」
焼うどんやパスタのソースに入れたり、カレーやシチューに加えたり。
塩麹を一匙プラスすることで「旨味」がグッと増して全体の味が調和します。
ハンバーグや煮物、炒め物などに加えても。
<例>塩麹おにぎり
ふんわりとやさしい味のおにぎりは家族みんなの大好物。
特別な具材がないときに重宝します。
(材料)
・ご飯…1合
・塩麹…大さじ1
・ゴマやシソなど好みの材料…適量
・焼き海苔
素材を「漬ける」
肉や魚などタンパク質の素材を塩麹で漬けると、酵素のはたらきでやわらかく、旨みの濃い仕上がりに。
保存袋などに入れて空気を抜き、冷蔵庫で2~3日置いてから使います。
鶏肉、豚肉、牛肉など、どんな肉でもOK。魚ならぶりや鮭、カツオやマグロなどもしっとり漬かります。
さっとマリネしたいような場合は数時間漬けるだけでもいいでしょう。
もちろんきゅうりや大根などの野菜を漬けても。
べったら漬けなど甘めの漬物が好きな方には特におすすめです。
数時間で甘く味わい深く浸かります。
<例>豚肉のしょうが焼き
☆のたれで2~3日漬け込んだお肉を軽くふいてからフライパンで焼き、最後に残った調味液をからめるだけ。砂糖やみりんなしでも塩麹の甘みでまろやかに仕上がります。
(材料)
・豚肉…200g
☆塩麹…大さじ2
☆酒…大さじ2
☆ショウガ…大さじ1(すりおろしたもの)
☆しょうゆ…大さじ1
塩麹を使った人気レシピ
塩麹は肉・魚・野菜など様々な素材と相性の良い調味料です。
鶏肉との相性が特に良く、塩麹と鶏胸肉を使ったレシピが多く紹介されています。
鶏胸肉の塩麹焼き
材料
- 鶏胸肉 1 枚
- 塩麹(大さじ1)
- 片栗粉(大さじ1)
- 黒コショウ(適量)
- 青ネギ(お好み)
作り方
- 鶏胸肉の皮を除いて1口大サイズに切る。
- ボウルに鶏胸肉と塩麹を入れて揉み込む。1時間ほど冷蔵庫に置いて味を染み込ませる。
- 片栗粉を入れて混ぜる。油を引いたフライパンで中火で焼く。
- 火が通ったら、黒胡椒、ネギを入れ、火を止める。
- フタを閉めてしっかりと振ります。
- お皿に盛り付けて完成です。
鶏胸肉のサルサソースがけ
材料
- 鶏胸肉 300 g
- 塩麹 30 g
- サルサソース(適量)
作り方
- 1口大サイズに切った鶏胸肉を、タッパーに入れ塩麹と混ぜ、蓋をして2時間位冷蔵庫に入れておく。
- 塩麹をキッチンペーパーで軽くふき取り弱火で焼く。油はひかないで焼きます。
- 両面を焼いたら、蓋をして弱火で蒸し焼きにする。
- 器に盛り付けサルサソースをかけて出来上がり。
豚とネギの塩麹蒸し焼き
材料
- 豚もも肉 250 g
- しめじ 1 株
- しいたけ 2 個
- 長ネギ 1 本
- 玉ネギ 1/2 個
- 塩麹(適量)
- にんにくチューブ(適量)
- 酒(フライパン1周)
- 黒コショウ(適量)
作り方
- 豚肉・塩麹・ニンニクをビニール袋に入れ、もみあわせて冷蔵庫で30分ほど漬け込む。
- 豚肉・玉ねぎを食べやすい大きさにカット。フライパンにいれる。長ネギは輪切りにして、よけておく。
- 玉ねぎの上に、漬けておいた豚肉を満遍なく広げる。酒を回し入れ、蓋をして火をつける。
- 弱火で7〜8分ほど蒸し焼きにする。
- 一旦蓋を取り、長ネギを投入。再び蓋をして2分ほど蒸し焼きにする。
- 蓋を開け、黒胡椒をふり、軽く混ぜ合わせる。(味見をし、薄いようであれば塩を追加)味が整えば完成。
鶏もも肉の塩麹焼き
材料
- 鶏もも肉 300 g
- 塩麹(大さじ1)
- 万能ネギ 100 g
- サラダ油(大さじ2)
作り方
- 鶏もも肉の全面に塩麹を塗り一晩寝かします。
- 一晩寝かせた鶏もも肉と小口に切ったネギを炒めます。フライパンを弱火で温め、サラダ油を入れて炒めます。
- 鶏もも肉の余分な塩麹をキッチンペーパーで拭き取って、皮目を下にして2のフライパンに入れて両面を5分ずつ焼く。
- フライパンの火を止めて、蓋をして5分ほど休ませる。
- フライパンを再度弱火で温めてから、両面を2分ほど焼く。
- 鶏肉を取り出して一口大に切り、平皿に盛り付けたら出来上がり♪
鶏の唐揚げ塩麹風味
材料
- 鶏もも肉 2 枚
- 塩麹(大さじ4)
- ショウガのすりおろし(大さじ1)
- にんにくのすりおろし(大さじ1)
- オールスパイス(少々)
- 卵 1 個
- 片栗粉(適量)
- 揚げ油(適量)
作り方
- 調味料を混ぜ合わせます。
- 鶏肉をひと口大に切り、混ぜ合わせた調味料とともにジッパー付き保存袋に入れます。
- 袋の上からよく揉みこみ、空気を抜いて密封して冷蔵庫で2~3日保存します。
- 冷蔵庫から2を出して常温に戻し、取り出した肉に片栗粉をまぶします。
- 170~180℃の揚げ油でカラリと揚げ、網にのせて油をきってできあがりです。
シンプル塩麹鍋
材料
- 豚肉 300 g
- 白菜 1/4 玉
- ごぼう 1/2 本
- 長ネギ 1 本
- 塩麹(大さじ4)
- 酒 50 cc
- 塩、こしょう(適量)
作り方
- 豚肉と白菜は一口大に、長ネギは2㎝幅に、ごぼうは斜め切りにそれぞれ切っておきます。
- 鍋に1を並べ、酒と塩麹、水(分量外)を入れて火にかけます。
- 弱火で15分ほど煮込み、仕上げに塩こしょうで味を調えてできあがりです。
塩麹とは
塩麹とは、麹に水と塩を混ぜ合わせ発酵させた調味料の事を指します。
東北地方の伝統的な三五八漬け(麹で漬けた漬物)の漬け床がルーツと言われています。
三五八漬けの漬け床は塩・米麹・米を混ぜ合わせて作られています。
この漬け床の材料から米を抜き、より手軽に漬け床を作ろうという考えから塩麹が生まれたそうです。
塩麹の歴史
塩麹が初めて日本の歴史上に登場したのは江戸時代。
江戸時代の文献「本朝食鑑」という書物に塩麹について記されていたそうです。
江戸時代から日の目を浴びなかった塩麹ですが、平成になって大分県の麹蔵から家庭向けの塩麹が生まれ、瞬く間に全国に広がりました。
日本の代表的な調味料となった塩麹
現在塩麹は、魚や肉・野菜にも使える調味料として全国的に広まっています。
使い勝手が良く、食材の旨味をより引き出すことのできる塩麹は各家庭で万能調味料として重宝されています。
発酵食品を手掛けるメーカーも塩麹に関連した商品を多く発売していきました。
塩麹は、日本国内でも非常にポピュラーな調味料となっていきました。
手作り塩麹の流行
また、近年では大手のレシピサイトや、発酵食品メーカーなどでも「手作り塩麹」というワードをしばしば見かけます。
実はこの塩麹、材料さえあれば簡単に家庭でも作る事ができます。
市販の塩麹よりも多く安く作れるので、コストパフォーマンスも良く、「手作り塩麹」は今とても注目されています。
手軽でお得な塩麹の作り方も、今回の記事でご紹介させていただきます。
●管理栄養士からのコメント
旨味があり、お肉や魚をやわらかくするなど料理を美味しくしてくれ、さらにビタミン豊富な発酵食品と健康や美容にも効果のある塩麹。市販の塩麹も良いですが、流通の過程で腐敗などしてしまわないよう出荷前に加熱殺菌されているものもあります。
家で作れば、良い菌がそのまま残っているので効果も大きく期待できます。
鶏肉をつけたり、コンソメ代わりにスープの味付けに使ったり、ドレッシングにしたり万能調味料なので、私も定期的に作って料理に活用しています。
管理栄養士プロフィール
◎安藤ゆりえ
老人保健施設の管理栄養士を経て、健康を維持するためには若いうちからの食生活の大切さを実感。
2016年フリーランスとして活動を開始。レシピ開発や栄養指導、料理教室、食に関するコラムの執筆などを行っている。
また「食を見直すならまずは毎日使う調味料から」をコンセプトに地元愛知県三河のみりんや味噌などの伝統的な調味料の素晴らしさを伝えるセミナーなども開催。
食や栄養に関すること全般ですが特に
・調味料について(みりん、味噌や醤油などの製法やどんなものを選ぶと良いかなど)
・体に優しいスイーツの選び方、作り方
・ダイエットレシピの考案
・時短レシピの考案を得意としています。
塩麹についてのQ&A
- 完成した塩麹はどこに保管すれば良いでしょうか?
- 冷蔵庫が良いと思います。冷蔵保存で1ヶ月、冷凍保存で半年ほど保存が可能です。 冷凍しても麹菌が死滅することはありません。
- 塩分控えめにしたいので塩麹を作る際の塩の量を減らしたいのですが
- 塩分は雑菌の繁殖を防ぐ効果もあります。レシピ通りの分量にするのが無難です。塩分が気になる場合はお料理に使う塩麹の量を減らすなどして調整してみてはいかがでしょうか?
- 熟成期間中、塩麹が黒茶色っぽくなってきたんですが
- 色が茶色くなるのは塩麹が正しく発酵し熟成が進んでいる証拠です。旨みがどんどん強くなっていくので安心してお召し上がりください。
- 塩麹づくりで使う調理器具は殺菌が必要ですか?
- 塩分が殺菌を行ってくれるので特に煮沸消毒やアルコール消毒は必要ありません。ただし同じ場所で他の菌(納豆菌など)を使うなどした場合は殺菌を行った方が良いでしょう。
- 塩麹の臭いが気になります。
- できたての塩麹の香りは、栗のような甘い香りです。熟成するにつれ、香りも強くなっていきます。 腐敗臭がする場合は傷んでいる可能性がありますので、食べないことをおすすめします。