オリゴ糖は糖尿病でも食べられる?血糖値との関係や注意点を解説

糖尿病や血糖値の上昇を気にする方にとって、甘味料選びはとても大切です。その中で注目されているのがオリゴ糖です。自然由来で腸内環境を整える働きがある一方で、血糖値に影響はないのか、糖尿病でも本当に大丈夫かなど、疑問を抱く方も少なくありません。この記事では、オリゴ糖と血糖値の関係から糖尿病に与える影響について解説していきます。

もくじ

オリゴ糖は糖尿病でも食べられる

オリゴ糖とヨーグルト

糖尿病の方や血糖値を気にする方は、オリゴ糖は本当に食べたも問題ないのか、血糖値は上がらないのかと、不安を抱いているのではないでしょうか。

結論、オリゴ糖は血糖値を上げにくい甘味料であり、糖尿病の方や血糖値が気になる方でも取り入れることができます。ここでは、オリゴ糖が血糖値に及ぼす影響について解説していきます。

オリゴ糖は血糖値を上げにくい

オリゴ糖は、一般的な糖類と比較して血糖値を上昇させにくい性質を持つ甘味料です。その理由となるのが、消化吸収のプロセスです。

通常の糖質、例えばブドウ糖やショ糖などは、小腸で素早く吸収され、血中に取り込まれることで血糖値を急激に上昇させます。一方で、オリゴ糖は難消化性糖質と呼ばれ、小腸では消化されず、そのまま大腸まで到達します。大腸で腸内細菌により発酵・分解されることでエネルギー源として利用されるものの、血中への糖の直接的な供給はごくわずかにとどまります。

この性質により、オリゴ糖を摂取しても血糖値の急激な上昇を招きにくく、インスリンの分泌刺激も抑えられると考えられています。実際、フラクトオリゴ糖やガラクトオリゴ糖を使用した食品において、摂取後の血糖値上昇が非常に緩やかであることが確認されています。

また、腸内環境を整えるプレバイオティクスとしての効果も報告されており、インスリン感受性の改善に寄与する可能性も示唆されています。ただし、すべての人に同様の反応が出るとは限らず、製品によって含有量や配合成分が異なるため、成分表示をよく確認することが大切です。

参考:
Galactooligosaccharide-Metabolism-Related Genes of Bifidobacterium pseudocatenulatum Contribute to the Regulation of Glucose and Lipid Metabolism in Type 2 Diabetic Mice
Fructo-oligosaccharide effects on blood glucose: an overview
Effects of oligosaccharides on the markers of glycemic control: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials
独立行政法人 農畜産業振興機構「プレバイオティクスとフラクトオリゴ糖~シュガーリプレイスメントから免疫改善まで」

オリゴ糖のGI値は低い

血糖値への影響を判断する際の指標としてよく使われるのがGI値(グリセミック・インデックス)です。これは、ある食品を摂取した後にどれだけ血糖値が上昇するかを示すもので、ブドウ糖を100としたときの相対値で表されます。

例えば、白米や食パンはGI値が70前後、砂糖は60〜65程度とされており、これらは血糖値を比較的速く上昇させる食品です。これに対し、オリゴ糖はGI値が非常に低く、種類によっては0~30程度といわれています。

この低さの理由は、オリゴ糖が消化酵素によって分解されにくく、体内で糖として吸収されにくい構造によるものです。これにより、血糖値の上昇を抑えながらも、適度な甘さを感じることができます。

さらに、低GI食品は血糖値の急上昇と急下降を防ぎ、インスリン分泌の過剰な負担を減らすことが期待され、糖尿病や糖尿病予備群の方にも安心して取り入れやすい食品群といえます。

参考:独立行政法人 農畜産業振興機構「プレバイオティクスとフラクトオリゴ糖~シュガーリプレイスメントから免疫改善まで」

糖尿病の人がオリゴ糖を摂るときの注意点

オリゴ糖シロップ

オリゴ糖は血糖値を上げにくい甘味料として注目されていますが、糖尿病の方が摂取する際には注意すべき点もあります。ここでは、糖尿病の人がオリゴ糖を取り入れる際に押さえておきたい注意点を具体的に解説します。

腸に負担がかかる可能性がある

オリゴ糖はプレバイオティクスとして腸内環境を整える効果が期待される一方で、過剰摂取すると腸に負担をかけてしまう可能性があります。特に糖尿病の人は食事管理に神経を使っていることが多く、腸内バランスが崩れやすい傾向があるため注意が必要です。

オリゴ糖は消化酵素で分解されず、大腸に到達してから腸内細菌によって発酵されます。このときにガスが発生しやすく、人によっては腹部膨満感や下痢、腹痛を引き起こすことがあります。特に腸内環境が乱れている場合やもともと便秘・過敏性腸症候群を抱えている人は、少量でも影響を受けることがあります。

また、オリゴ糖の発酵により一時的に腸内の浸透圧が上昇し、水分が腸内に引き込まれることで軟便や下痢につながる可能性もあります。こうした作用は個人差が大きいため、身体にいいからと大量に摂取するのではなく、まずは少量から試すことが基本です。

オリゴ糖配合が血糖に優しいとは限らない

オリゴ糖配合と表示された製品は一見すると糖尿病に優しい印象を受けますが、必ずしも血糖値に配慮されているとは限りません。多くの市販品は風味やコストの都合上、オリゴ糖にブドウ糖や果糖といった他の糖類が混ざっているケースもあります。

特にシロップ状のオリゴ糖製品では、甘さを補うために高GIの糖類が添加されていることが多く、実際の血糖負荷は見た目以上に高くなることがあります。これに気付かずに摂取し続けると、血糖に優しいはずのオリゴ糖なのに血糖値が上がってしまうという状況になりかねません。

また、商品パッケージに砂糖不使用や低カロリーなどの記載があっても、糖質量やGI値に関する具体的な情報が書かれていない場合は注意が必要です。

製品選びでは、成分表示を確認し、純度の高いオリゴ糖、糖類無添加、低GI表示などが明記されているものを選びましょう。

見た目やキャッチコピーに惑わされず、血糖管理の観点から適切な甘味料を見極める目を持つことが、糖尿病との上手な付き合いにつながります。

オリゴ糖はあくまで補助的な甘味料

オリゴ糖は血糖値を上げにくく、腸内環境にも良いとされる甘味料ですが、血糖管理を任せられる万能食材ではありません。糖尿病の方がオリゴ糖を取り入れる際には、あくまで補助的な存在として扱うことが大切です。

甘味料に頼りすぎると、食事全体のバランスが崩れやすくなります。例えば、砂糖をオリゴ糖に置き換えたからたくさん食べても大丈夫と考え、菓子類や加工食品の摂取量が増えてしまっては本末転倒です。いくら血糖値を上げにくいとはいえ、オリゴ糖にもエネルギーは含まれており、摂りすぎればカロリー過多や腸への負担を招きます。

また、オリゴ糖単体では栄養バランスを整えることはできません。タンパク質や食物繊維、ビタミン、ミネラルをバランスよく摂取することが、糖尿病の食事療法においては基本中の基本です。オリゴ糖はあくまで甘味を楽しみたいときの選択肢の一つとして考え、使用量を意識的にコントロールするようにしましょう。

糖尿病の人向けのオリゴ糖の摂り方

オリゴ糖とヨーグルト

オリゴ糖は血糖値に与える影響が小さく、腸内環境の改善にもつながることから、糖尿病の人にも取り入れやすい甘味料です。しかし、どんなに優れた特性を持つとはいえ、摂取方法を間違えると体調を崩したり、思わぬ血糖値の上昇を招いたりする可能性もあります。

ここでは、糖尿病の人がオリゴ糖を安心して活用するための具体的な摂取方法について詳しく解説します。

少量から始めて体調を観察する

オリゴ糖を糖尿病の食生活に取り入れる際には、まず少量から始めることが基本です。オリゴ糖はプレバイオティクスとして腸内細菌のエサとなり、善玉菌の増加や腸内フローラの改善に役立つ一方で、大腸で発酵されやすいため、摂りすぎるとガスの発生や腹部の張り、軟便、下痢などの症状を引き起こすことがあります。

特に腸内環境が乱れている人や、過敏性腸症候群などの持病を持っている方は反応が強く出る可能性があるため注意が必要です。また、糖尿病の方は薬物治療によって腸の働きが変化していることもあり、一般的な人よりも繊細に反応する場合があります。

そのため、初めてオリゴ糖を取り入れる場合は、1日あたり2g〜3g程度のごく少量からスタートするのと安心です。ヨーグルトやお茶、スムージーなどに混ぜて自然な形で取り入れ、腹部の調子やお通じの変化、血糖値の動きなどを1週間ほどかけて観察しましょう。

体調に問題がなければ、少しずつ摂取量を増やしていくことができますが、それでも1日あたり5g〜10gを上限とするのが一般的な目安です。少量から始めて、自分の体に合う量を見つけることが、糖尿病と上手に付き合いながらオリゴ糖を活用する方法になります。

血糖値を上げにくい食材と組み合わせて使う

オリゴ糖をより効果的かつ安全に活用するには、血糖値を急激に上げにくい食材と一緒に摂取することが重要です。単独でオリゴ糖を摂るよりも、他の低GI食品や血糖値上昇を抑える食材と組み合わせることで、さらに安定した血糖コントロールが期待できます。

具体的には、野菜、海藻、きのこ類といった食物繊維が豊富な食材や、豆類、卵、魚といった消化吸収がゆっくりなタンパク質と一緒に摂るのがおすすめです。例えば、朝食に無糖ヨーグルトと一緒にオリゴ糖を加えたオートミールを摂る、野菜スープに少量加えるようにすると、自然な形で取り入れることができます。

また、オリゴ糖は加熱に強いため、煮物やスープ、ホットドリンクなどの温かい料理にも問題なく使用可能です。ただし、長時間の高温調理などの過度な加熱は一部の機能性を損なう場合もあるため、最後に加えるなど工夫するようにしましょう。

食事全体のバランスを意識しながら、低GI食材とオリゴ糖をうまく組み合わせることで、糖尿病の方でも無理なく甘さを楽しみつつ血糖値を安定させることができます。

1日の摂取上限とタイミングを意識する

オリゴ糖は血糖値を上げにくい甘味料ですが、摂りすぎは危険です。特に糖尿病の方にとっては、摂取量とタイミングをしっかり管理することが血糖コントロールの重要になります。

一般的に、オリゴ糖の1日あたりの摂取目安は5g〜10gとされ、製品によって異なるためパッケージの表示も確認が必要です。また、摂取するタイミングとしては、食後や間食のタイミングで活用するのが望ましいとされています。空腹時に甘味料を単独で摂取すると、体への影響が大きく、不調をきたす可能性があります。

例えば、食後にヨーグルトに混ぜて摂る、野菜を使ったスープに加えるなど、他の食品と一緒に摂ることで吸収が緩やかになり、胃腸への刺激も抑えられます。特に食事に炭水化物が含まれる場合、オリゴ糖の組み合わせによって血糖値の急上昇をやわらげる働きも期待できます。

なお、摂取量については多ければ多いほど腸に良いというわけではなく、むしろ過剰摂取はお腹を壊す原因になることもあるため、医師や管理栄養士に相談しながら進めるのが理想です。毎日の血糖値の変化も確認しながら、体に合ったタイミングと量を見極めていきましょう。

オリゴ糖と血糖値のQ&A

オリゴ糖は糖尿病でも安心して摂取できますか?

オリゴ糖は消化吸収されにくい甘味料なので、基本的には糖尿病の方でも安心して摂取することができます。ただし、体質や治療状況によっては影響が異なるため、不安な場合は医師に相談するのが安心です。

オリゴ糖を摂ると本当に血糖値は上がりませんか?

完全に上がらないわけではありませんが、血糖値の上昇幅は非常に小さいとされています。オリゴ糖のGI値は低く、通常の砂糖やブドウ糖に比べて血糖値を穏やかに保つ傾向があります。ただし、体質や摂取量、食事全体の内容によって個人差があるため、食後血糖値をチェックすることで自分に合っているかを確認するのが最も確実です。

「オリゴ糖配合」と表示された商品ならどれを活用してもいいですか?

オリゴ糖配合と表示されていても、ブドウ糖や果糖などの糖類が多く含まれている商品もあるため注意が必要です。特に液体タイプのオリゴ糖製品は甘味を補う目的で高GIの糖が加えられている場合もあります。購入前には必ず糖類無添加、純度○%、などの表示と、栄養成分表示をチェックしましょう。

糖尿病の人がオリゴ糖を摂るときの注意点はありますか?

まずは少量から摂取し、自身の血糖値や体調への影響を観察しましょう。また、薬を服用している場合は、医師に相談することをおすすめします。

血糖値が高めでも甘味を楽しみたいときにオリゴ糖は適していますか?

砂糖に比べて血糖値を上げにくいオリゴ糖は、甘味を控えたい糖尿病予備軍や高血糖傾向の方に適しています。ただし、摂取量や製品選びは慎重に行いましょう。

オリゴ糖で糖尿病の食事制限は緩和できますか?

オリゴ糖を取り入れることで、甘味を楽しみつつ血糖値への影響を抑えることは可能ですが、食事制限自体が不要になるわけではありません。糖尿病の食事管理は、総カロリー・炭水化物量・栄養バランスなどを総合的にコントロールする必要があります。オリゴ糖はその中の甘味対策の一助として使う補助的な存在と考えましょう。

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この記事を書いた人

コンテンツ担当。趣味は海外サッカー観戦。イギリスで思う存分サッカー観戦をするのが夢です。

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