うんちがよく出る人は病気?排便回数の悩みはこうして解決する
この記事は医師の方に監修していただいています。
監修医師
久保田なお
2014年、久留米大学医学部卒業。現在、美容クリニックに勤務。
美容に関して、身体の外側からだけではなく内側からのアプローチも大切と考えており、患者様が生活に取り入れやすい、無理なく継続しやすい治療の提案を心がけている。
「外出先で何度もトイレに駆け込んでしまう」「通勤電車の中でトイレに行きたくなる」「1日に5回以上便が出ることがあって心配」
こんな排便回数や便意を感じる頻度の悩みを抱えている方が増えています。
体質的にお腹が弱いから、と諦めていたその症状、実は病気のサインかも?
今回は、1日に何度も便が出て困っているという方のために、可能性のある原因や緩和するための対策などをご紹介します。
うんちがよく出る人は病気?
排便の回数が増えてきたときに心配なのが、「命にかかわる病気なのではないか?」ということ。単にお腹の調子が悪いのか、それとも医療機関の受診が必要な病気なのか、うんちの回数が多い時ってどんな時なのか、そこの見極めが肝心です。
排便の回数が増える、下痢の症状があるといった場合に考えられる病気には、次のようなものがあります。
排便の回数が増える病気
可能性のある病気 | 特徴的な症状 |
---|---|
感染性胃腸炎 | 下痢、発熱、嘔吐など |
潰瘍性大腸炎 | 腹痛、下痢、粘血便、下血、倦怠感、貧血、発熱、体重減少 |
クローン病 | 腹痛、下痢、下血、貧血、発熱、体重減少 |
虫垂炎 | 腹痛、下痢、発熱、嘔吐、食欲低下 |
大腸がん | 下痢と便秘を繰り返す(中高年になってから急に症状が出た場合に注意)、血便、めまいや動悸、残便感、便が細くなる |
過敏性腸症候群 | 下痢、便秘、お腹の張り、腹痛 |
参考:渡邊昌彦『おなかが弱い!が治る本』(中経出版)
こうした症状が見られた場合は、まずは医療機関で診断を受け、原因をはっきりさせることが大切です。
しかし、日常的なセルフケアをお探しの方も多いでしょう。そうした方々へは、健康管理の一環として「乳酸菌の摂取」を提案いたします。
乳酸菌は、お腹の調子を整える助けとなり、理想的な便を排泄することが期待できます。
特に、日本人のお腹に合う発酵食品から抽出された「植物由来の乳酸菌パウダー」がおすすめです。
この乳酸菌パウダーは、日本の伝統的な発酵食品に含まれる特定の乳酸菌を使用しており、日本人の腸内フローラに特に適しています。
理想的な便と改善が必要な便
自分の便について正常なのか異常なのかわからない、という方は、回数・色・形などのポイントを次の表で確認してみてください。
理想的な便と改善が必要な便(回数・色・形・におい)
理想的な便 | 改善が必要な便 |
---|---|
便の回数 | |
個人差があるが、1日1~2回から3日に1回まで (スッキリと出ている) |
個人差があるが、 ・4日以上便がでない状態 ・1日4回~5回以上便が出る (残便感がある) |
便の色 | |
黄色~黄土色 | 茶色~黒色(便秘、悪玉菌が多い) コールタールのような黒(病気の可能性が高い) |
便の形 | |
バナナ状 | コロコロ、カチカチ、ベタベタ 日によって形状が違う |
便のにおい | |
あまりにおわない | 悪臭がある |
回数だけでなく、においや血がついていないかといった点もチェックして、可能であれば日記をつけてみると良いでしょう。
受診の目安になります。
便の悩みのサポートに
うんちの回数の増加とストレスの関係
統計では、日本人の5~10%が、しょっちゅうお腹の調子を崩すことに苦しんでいるのだそうです。
下痢や便秘、お腹の張りといった症状がメインで他の症状がない場合は、「過敏性腸症候群(Irritable
Bowel Syndrome=IBS)」かもしれません。
過敏性腸症候群は、もともと腸が過敏な体質をもっている人たちがストレスや生活環境によって調子を崩している状態。
以前は「お腹が弱い体質だから」と諦められていたこうした状態は、現在では症状が出る仕組みがある程度解明され、症状を軽快させるためのさまざまな方法が明らかになっています。
<過敏性腸症候群の3つのタイプと症状>
過敏性腸症候群には3つのタイプがあるとされ、次のような症状があるかどうかが診断の基準となっています。
- ①下痢型…腹痛を伴う下痢を繰り返す
- ②便秘型…便秘が慢性化する
- ③交代型…下痢と便秘を数日間繰り返す
- ④4 分類不能型…4 上記のいずれにも分類できないもの
- ・痛みや不快感が排便によってやわらいだり、治まったりする
- ・痛みや不快感を感じるようになったあと、排便回数が増える
- ・痛みや不快感を感じるようになったあと、硬便、あるいは軟便になる
過敏性腸症候群自体は命にかかわる病気ではありませんが、他の病気が隠れていないことは確認しておく必要があります。
医療機関で検査を受けると安心でしょう。
<過敏性腸症候群になる原因>
過敏性腸症候群と診断された場合は、生活習慣の改善やストレスの軽減が大切です。
また、腸のはたらきを支配している自律神経のバランスも大切です。
興奮するようなシーンで優位になる「交感神経」とリラックスするシーンで優位になる「副交感神経」とがうまく入れ替わりバランスをとることで、身体のサイクルが整い、腸も正常なリズムではたらきます。
交感神経 | 副交感神経 |
---|---|
優位になる場面 | |
・激しい運動をする ・精神的に興奮する |
・のんびり過ごす ・睡眠をとる |
関係する精神状態 | |
・怒り、不快感 ・緊張、不安 |
・安らぎ ・平穏 |
はたらき | |
・心拍数を上げる ・呼吸の回数を増やす |
・心身をリラックスさせる |
優位になると腸のはたらきは | |
抑制される | 活発化する ぜん動運動や腸液の分泌が盛んになる |
優位になりやすい時間帯 | |
日中 | 夜間 |
ところが精神的なストレスを受け続けたり不規則な生活を送ったりしていると、副交感神経がうまくはたらかず交感神経ばかりが優位になり、下痢や腹痛などの症状につながってしまうことに。
さらに腸内フローラの状態、生活習慣、遺伝的なものなどが複雑に影響して、過敏性腸症候群の症状が出ると考えられています。
過敏性腸症候群と診断された場合は、生活習慣を改善していくことが大切です。
次章でご紹介する内容を参照して、自宅でできることをしていきましょう。
お腹の調子を優しくケアしたい方には、日本の発酵食品から抽出した植物由来の乳酸菌パウダーがオススメ。
腸内環境を整えて快便を目指すには
お腹が弱いことに悩む方に心がけていただきたい生活習慣や食習慣をご紹介します。
① 食習慣
食事は1日3食を決まった時間に摂り、間食はしないのが基本です。
嗜好品の摂りすぎも過敏性腸症候群の発症の原因となるといわれているので、アルコールやカフェイン、ニコチンなどもなるべく控えるようにしましょう。
積極的にとりたい食材:食物繊維の豊富な食材(野菜や果物、海藻など)や発酵食品(ヨーグルトや漬物など)
避けたい食材:唐辛子など、腸粘膜を刺激する香辛料
② 運動
適度な運動も腸のはたらきと自律神経を整えるのに有効とされています。
中でもウォーキングは脳のストレスを減らすことがわかっているそうです。
1日30分以上を目安に歩く習慣をつけるとよいでしょう。
③ 睡眠
睡眠不足はそれ自体がストレスとなり、自律神経を乱します。
夜眠る前はパソコンやスマートフォンから離れ、リラックスして入眠できるようにしましょう。
ぬるめのお風呂に入るのもおすすめです。
ストレスに気づいて無理をしない生活を
ストレスは過敏性腸症候群を悪化させる主な要因とされています。
「自分が一体何に対してストレスを感じているのか」に気づくことは、改善のための第一歩。
お腹の調子が悪いときには、心や身体に無理がかかっていないかどうかを見つめなおしてみましょう。特に次のような癖のある方はストレスを感じやすいので注意です。
- ・完璧主義で100%の出来を目指してしまう
- ・他人に言われたことやどう思われているかが気になる
- ・過去の失敗を責め続けてしまう
- ・まだ起こっていないことに対して不安になる
考え方を変えるのはなかなか難しいものですが、気持ちを楽にもつようにし、受けてしまったストレスが溜まらないように自分なりのストレス解消法を見つけましょう。
お腹の調子を整える薬&サプリメント
過敏性腸症候群は現在のところ薬で治すことはできませんが、症状を抑えることはできるとされています。
排便の回数が多くて日常生活に支障がでている、排便の回数が多いことがストレスになっているという方は、医療機関で相談してみましょう。
市販薬の長期利用は、副作用の可能性があるためおすすめできません。
薬は医師の管理の下、使用しましょう。
過敏になっているお腹を穏やかな状態に戻すために、腸内環境を意識することも方法のひとつです。
食物繊維や発酵食品、オリゴ糖などを積極的に摂取するほか、乳酸菌などのサプリメントを利用して腸内の善玉菌を増やすのもいいでしょう。
●監修医師からのコメント
「うんちで健康状態が分かる」と昔から言われています。
腸で作られたうんちは身体の負担も心の負担も敏感に察知し繊細に反応するため、うんちの状態を良好に保つことは健康でいるためにとても大切なポイントです。
うんちの異常は腸の異常。
その原因は一時的なものから大腸癌など命に関わるものまで様々で、医療機関で治療が必要なものや自分で対処できるものまで様々です。
自分でできる改善法は、乳酸菌を摂取したり、生活リズムを整えたり、ストレスを軽減したりが挙げられます。まずは取り組みやすい方法から始めましょう。
また、腸は免疫を担当する臓器であり健康の要でもあります。免疫を高めることで病気を予防できるので、より日頃から積極的にケアしたいですね。
◎久保田なお医師
専門分野は美容。
美容に関して、身体の外側からだけではなく内側からのアプローチも大切と考えており
自身も日々食事や生活スタイルの工夫を行っている。
また、ボトックス/ヒアルロン酸注射資格を有し、患者様が理想の姿に近づくサポートも行っている。
診療では、専門用語は用いず分かりやすい説明を心がけており、親しみやすく丁寧なカウンセリングが好評である。
自身も美容と健康に興味を持ち、日々食事や生活スタイルの工夫を行っている。
▼公式サイト
監修サイト:ライフスタイルWEBマガジンmavie
排便回数についてのQ&A
- うんちの回数は1日何回までが正常ですか?
- 通常は1日3回程度までといわれています。
1日に4回以上便が出る場合は、その他の症状がないかどうかをチェックしてみましょう。
- 排便の回数が多くて下痢気味です。病気でしょうか?
- 下痢や排便回数の増加に関係する病気はたくさんあります。
単にお腹の調子を壊している状態なのか、深刻な病気が隠れているのかを明らかにするため、下痢が続く場合は症状をチェックして医療機関に相談しましょう。
- 1日に何度もトイレに行ってしまい外出時に困ります。
- 排便回数をコントロールする薬があるので、医師に相談しましょう。
- 便の回数が多いことで周囲に迷惑をかけていないか心配です。
- 日本人の2割は過敏性腸症候群だと言われています。会社などでトイレに行く回数が多いことが気になるという方は多いものです。
言いにくいかもしれませんが、あらかじめ上司に伝えておくなどして、あまり気にしないようにしましょう。
- 過敏性腸症候群に使われる薬にはどのようなものがありますか?
- 現在使われている薬には「消化管機能調整薬」「自律神経調整薬」「抗うつ薬」「抗不安薬」などがあり、体調や置かれている状況などを検討して処方されます。
参考文献:
日経ヘルス編『腸スッキリバイブル』(日経BP社)
渡邊昌彦『おなかが弱い!が治る本』(中経出版)