腸もみの方法と効果。危険性や副作用はないの?

記事の監修

この記事は管理栄養士の方に監修していただいています
管理栄養士

安藤ゆりえ

老人保健施設の管理栄養士を経て、健康を維持するためには若いうちからの食生活の大切さを実感。2016年フリーランスとして活動を開始。レシピ開発や栄養指導、料理教室、食に関するコラムの執筆などを行っている。

腸もみ

女性の半数以上が悩んでいるともいわれる便秘。
直接命にかかわる病気ではないとはいえ、生活の質を大きく左右し、放置すると全身に影響が出る厄介な病気です。

食事や生活習慣の改善が大切とされる便秘対策ですが、これまであれこれ試してもなかなか良くならなかった、という慢性便秘の方も多いのでは?

そんなしつこい便秘をすっきり解消できると話題なのが「腸もみ」です。
今回は、「驚くほど改善した」「信じられないほどの便が出た」という声もあるという腸もみの方法をご紹介。
危険性やさまざまな疑問についてもお答えします。

腸もみとは

腸もみとは

人が便秘になる理由はひとつではありません。

運動不足によって腸への刺激が少ない、筋力不足でいきめない、食事に含まれる食物繊維が不足していて便の量が少ない、トイレを我慢する癖のせいで便意を感じにくくなっている、ストレスで自律神経のバランスが崩れて腸のはたらきが安定しない、腸内環境が悪化して善玉菌が少なくなっている…。
さまざまな原因が便秘につながります。

ところが、こうした原因を取り除こうと努力してもなかなか治らずに悩んでいる方も多いのが現状。
「自分なりに生活を改善しているのに便秘が治らない」という方の中には、体質だと諦めていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?

日本人は便秘になりやすい?

実は、日本人にはねじれた形の腸をもつ方が多く、とても便秘になりやすいのだそうです。
ねじれた腸は便が引っ掛かって詰まりやすく、そのような形の腸をもった方は生まれつき便秘や過敏性腸症候群になりやすいそう。
なんと日本人の約8割がこうした腸を持っているともいわれています。

さらに、出産や運動不足、長期間の便秘が原因で、腸がのびて骨盤にまで垂れさがっている状態の方も。
この場合は腸の動きが悪くなって便秘やガスだまりの原因になるだけでなく、「下腹ぽっこり」の原因にもなります。

こうした、腸の形が原因の便秘に特に有効なのが「腸もみ」や「腸マッサージ」。
外から触ったり、硬い部分をもみほぐしたりして詰まりを取るという便秘解消法です。
「これまでどんなことを試してもダメだった便秘が改善した!」という声も多く、子どもの頃から便秘だった方など、長年慢性便秘に悩む方にこそ効果的であるといわれています。

内側からも腸内を整えたい方に


腸もみに危険性はないの?痛みや副作用は?

副作用

「直接腸をもみほぐすなんて、ちょっと怖い…」
「腸もみをしても危険なことはないの?」
間接的に腸に刺激を与えるエクササイズとは違い、身体の外からとはいえ腸を直接もみほぐす「腸もみ」。
問題がないのかどうか心配になる方もいらっしゃるでしょう。

「ねじれ腸」を発見し、多くの便秘・IBS患者の診療を行っている水上健医師による著書『Dr水上のねじれ腸マッサージ』(メディアファクトリー)によると、次のような方はかかりつけの主治医との相談が必要とのことです。

<マッサージ前に医師と相談すべきケース>
・大動脈瘤や腹部腫瘤などの腹部疾患がある場合
・妊娠している場合
・腰が悪い場合

また、次のようなケースはマッサージを控えた方がよいという情報も。

<マッサージを控えた方がよいケース>
・月経痛がある場合
・お腹に痛みがある場合

参考:日経ヘルス編『腸スッキリバイブル』(日経BP社)

あくまでご自身の体調と相談しながら、無理をせずに行っていきましょう。

腸もみをして痛い箇所・固い箇所は?

痛い箇所

腸もみをしていて気になるのが、痛みを感じる箇所と硬い箇所。
「悪い病気なのでは?」「このまま続けても大丈夫かな?」と不安になりますよね。

お腹を押したとき、部分的に硬い箇所には、便が溜まって詰まっている可能性が高いのだそう。
その部分を重点的にほぐしていくといいようです。
また、腸が垂れている人は下腹部が硬くなりやすいとのこと。
下腹部がぽっこりしている方は、垂れた腸を引き上げるマッサージと合わせてやってみましょう。

注意したいのが、お腹を押したときに強い痛みを感じる場合。
この場合は婦人科系の臓器に異常がある可能性もあるそうです。
医療機関の受診をおすすめします。

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腸もみをするとこんな効果が!

効果

腸もみでは、腸の詰まりやすい場所をもみほぐし、腸を揺らして詰まりを取ります。
腸もみの効果としては、次のような体験談が寄せられているようです。

マッサージを続けたところ、2日でへそまわりが2㎝減、5日目には下腹が3㎝痩せた。下腹ぽっこり解消と便秘解消が同時に実現

メンタルが原因といわれていた長年の便秘が改善、薬に頼らなくても済むようになった

ガス(おなら)と便がたまり、下剤が手放せずに苦しんでいた長年の便秘が、マッサージとエクササイズ、整腸剤等で下剤なしでも便が出るように

残便感と腹痛をともなう便秘だったのが毎日出るようになり、腹痛も解消

参考:日経ヘルス編『腸スッキリバイブル』(日経BP社)
水上健『Dr水上のねじれ腸マッサージ』(メディアファクトリー)

特に効果が高いといわれているのが次のような方。
・子どもの頃から便秘だった
・腹痛を伴う便秘がある
・便秘の後、下痢・軟便になる
・運動量が減ると便秘になる

上記のような症状がある方は「ねじれ腸」である可能性が高く、他の方法を試して解決しなかった場合にも改善効果が期待できそうです。

内側からも腸内環境を整えたい方に

腸もみのやり方

便が溜まりやすいのは腸の四隅。便の出口付近である左下腹だけをマッサージしてもあまり効果はなく、左下腹、右下腹、右わき腹、左わき腹の四か所をマッサージするのがいいようです。
腸もみは、起床前や就寝前、入浴中に行うのがおすすめ。
特に入浴中は腹筋の力がかからないため、腸を揺らしやすいそうです。
また、身体を温めてから行うとより効果的であるといわれています。
その意味でも入浴中や入浴後に行うのがおすすめです。

ねじれ腸マッサージ

腸がねじれて便が通過しづらくなっている人のためのマッサージです。

左腹部のマッサージ

マッサージ

マッサージ

  • 1.床にあおむけになり、腰の下にクッションなどを当てます。
  • 2.お腹が硬くならないようにリラックスして全身の力を抜きます。
  • 3.左腹部に両手の指をあてて、へそのあたりから骨盤までを上から下へ、下から上へとマッサージします。
  • 4.指が少し沈むくらいの深さまで小刻みに押し、1分間ほど腸が揺れているのを感じながらやさしくマッサージしてください。

② 中央のマッサージ

マッサージ

マッサージ

  • 1.床にあおむけになり、腰の下にクッションなどを当てます。
  • 2.お腹が硬くならないようにリラックスして全身の力を抜きます。
  • 3.へその左右に両手の指をあて、へその下から骨盤までを上から下へ、下から上へと小刻みに押してマッサージします。
  • 4.腸が揺れているのを感じながら、1分間ほどやさしくマッサージしてください。

①と②を行ったあと、上体をひねるエクササイズを加えるとさらに効果的。
腸がねじれて便が詰まりやすい箇所を重点的にもみほぐしてみてください。

出典:水上健『Dr水上のねじれ腸マッサージ』(メディアファクトリー)

「腸下垂」補正マッサージ

出産や筋肉の衰え、便秘が続くなどの原因によって腸が下がってしまった方のためのマッサージです。
気持ち良いと思う程度に数回行ってください。

マッサージ

  • 1.仰向けに寝て、身体の力を抜いた状態でひざを立てます。
  • 2.ひざを閉じたまま腰をゆっくりと持ち上げます。横から見たときに膝から胸までが一直線になるように姿勢を保ち、肩だけで身体を支えます。
  • 3.骨盤の方に垂れ下がった腸をすくい上げるようなイメージで、手で下腹から胸の方に向けてマッサージします。
  • 4.数回行ったら腰を下ろします。

参考:『日経ヘルスお腹ぺたんこ腸スッキリバイブル』(日経BP社)

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腸もみについてのQ&A

腸がねじれていたら必ず便秘になるのですか?
腸がねじれていても、しっかりと運動をする習慣がある方などは便秘になりづらいようです。
腸もみをして効果があったら、やめてもいいのでしょうか?
腸もみを続けて便のつまりが解消されると、のびていた腸が短くなったり、腸がねじれにくくなったりすることで便秘になりにくくはなるようです。
ただし、すぐに腸もみをやめてしまうとまた便秘になってしまうこともありますので、様子をみて頻度を調節してみてください。
腸が垂れているのかどうかを知りたいです。
腸が下垂している時の症状としては、便秘がちである他、食後に下腹が出る、下腹に張った感じがある、下腹が硬いなどといったものがあります。
腸を引き上げるマッサージで改善するかどうか様子を見ましょう。
外出先などでもできる簡単な腸もみのやり方が知りたいです。
お腹に手を当て、腹式呼吸をしながらへその周りを時計回りに押してマッサージする方法は、簡単なのでトイレなどでも行えます。
腸もみをしても効果なし。どうなっているのでしょうか?
腸もみをしても排便の頻度が変わらなかったり、3~5日続けても便通がなかったりする場合は、便秘の原因が腸の形以外のところにある可能性も。
血便や体重減少などの症状がないかどうかを確認し、必要であれば医療機関に相談してみましょう。

●管理栄養士からのコメント

便秘の改善というと食事や運動がまず思い浮かぶ方も多いかもしれませんが、マッサージも取り入れてみるといいですね!
腸の健康のためできそうなことから始めてみましょう。

安藤ゆりえ
安藤ゆりえ

管理栄養士プロフィール

◎安藤ゆりえ

老人保健施設の管理栄養士を経て、健康を維持するためには若いうちからの食生活の大切さを実感。
2016年フリーランスとして活動を開始。レシピ開発や栄養指導、料理教室、食に関するコラムの執筆などを行っている。
また「食を見直すならまずは毎日使う調味料から」をコンセプトに地元愛知県三河のみりんや味噌などの伝統的な調味料の素晴らしさを伝えるセミナーなども開催。

食や栄養に関すること全般ですが特に
・調味料について(みりん、味噌や醤油などの製法やどんなものを選ぶと良いかなど)
・体に優しいスイーツの選び方、作り方
・ダイエットレシピの考案
・時短レシピの考案を得意としています。

▼公式サイト
https://ameblo.jp/yurieand/entry-12461592747.html

参考文献・Webサイト:
日経ヘルス編『腸スッキリバイブル』(日経BP社)
水上健『Dr水上のねじれ腸マッサージ』(メディアファクトリー)
小林弘幸『読む便秘外来』(集英社)

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この記事を書いた人

パン作りと温泉をこよなく愛する2児の母。老後は伊豆で大きな犬と暮らすのが夢です。豆乳が好き、猫は苦手。