酵素玄米の計画的な食べ方と保存方法|冷凍保存のコツも紹介【管理栄養士監修】

小豆・玄米・塩を炊き上げる酵素玄米は、保温熟成することで栄養・味・風味が高まります。しかし、熟成期間が長ければ良いというわけではありません。おいしく食べられる期限があるため、計画的に準備し食べ進める必要があります。
また、保存方法を間違えるとおいしく食べられなかったり、食中毒のリスクが出てきたりするため、注意が必要です。
本記事では、酵素玄米を計画的に食べるためのスケジュールと保存方法を詳しく解説します。後半では食べ切れなかった分を冷凍する際のコツと解凍方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
記事の監修
管理栄養士
鶴田 ようこ
調理師・管理栄養士。2つの資格を生かし食用油脂製造会社にて品質管理に従事。菜種油、オリーブ油の品質に関する分析、衛生管理等を行う。幼い頃から野菜作りの手伝いをしていたことから、季節の野菜料理が得意。
酵素玄米を計画的に食べるためのスケジュール

お米を十分に浸水させてから炊くのがおいしく仕上げるコツです。1日目の夜に準備しておきましょう。保温熟成期間を経て、食べ始めるのは3日目からです。以降、4日程度は保温熟成で食べ進めていきます。
食べ進める期間と同時進行で、5日目の夜には継ぎ足し用のお米を準備しておきましょう。このローテーションを繰り返すと、空白期間なく酵素玄米を続けられます。
なお、保温熟成期間中は毎日手早くかき混ぜることが大切です。乾燥を防ぎつつ、空気に触れさせることで酵素をはたらかせるためにおこないます。
酵素玄米は保温熟成期間で味・食感が変化する
炊飯器または保温ジャーに入れ、72~74℃をキープしたまま3~4日保温熟成させると、玄米のクセが抜けてもっちりとした食感に仕上がります。ここでは、熟成期間ごとの違いを紹介します。
保温・熟成1日目
保温・熟成2日目
保温・熟成3日目
保温・熟成4日目
酵素玄米の保存方法と注意点

酵素玄米の保温熟成・保存方法には注意点があります。作る前に確認しておきましょう。
再加熱可能な炊飯器・保温ジャーを使う
酵素玄米の保温熟成期間中は、72~74℃をキープしましょう。70℃を下回ると雑菌が繁殖し食中毒になるリスクがあるため注意が必要です。
しかし、蓋を開けたり、かき混ぜたりすると温度が下がるため70℃を下回ることがあります。低い温度で放置するのは危険なので、再加熱をおこないましょう。
酵素玄米を作り始める前に、再加熱および長期保温が可能な炊飯器・保温ジャーであるかどうか確認することをおすすめします。製品によっては、自動再加熱で設定温度をキープし続けられるものもあります。逆に、再加熱や長期保温不可の製品は酵素玄米に向いていません。

5日目以降で食べ切れなければ冷凍保存
継ぎ足ししない場合、5日目以降は熟成が進みすぎて食感がべちゃっとしてくるため、おいしく感じられないことがあります。5日以上保存したいのであれば、冷凍保存に切り替えましょう。
なお、常温・冷蔵保存はNGです。常温の場合は腐敗しやすく、冷蔵はでんぷん質が変化して味や食感が悪くなることがあります。酵素玄米が熱いうちに冷凍しましょう。詳しくは次の項目で解説します。
酵素玄米の冷凍保存・解凍のコツ

ここでは、酵素玄米を冷凍するためのステップと解凍時のコツを解説します。
酵素玄米の冷凍保存法
STEP1
お茶碗1杯分(150g)を上限として小分けにしましょう。
ラップを敷き、厚さが均一かつ薄めになるように酵素玄米を広げるのがコツです。
こうすることで、レンジで解凍しても熱ムラが生じにくくなります。なお、150g以上にするのは中心部が温まりにくくなるため、おすすめしません。
STEP2
STEP3
ラップで包んだら、粗熱がとれるのを待ちます。ただし、冷ましすぎないのがコツです。
アツアツの状態のまますぐに冷凍庫に入れると劣化が早くなります。しかし、完全に冷めると米の水分が抜けてパサついた食感になってしまいます。あたたかさが残っているときに冷凍庫へ入れましょう。
冷凍保存可能な期間は1カ月が目安です。
解凍のコツ
冷凍しても機能性成分が失われる心配はありませんが、解凍方法によってはおいしさが損なわれることがあります。おすすめの解凍方法は次のとおりです。
- 電子レンジ
- 蒸し器で蒸す
- 袋に入れて湯煎する
- 料理に使う(スープご飯、雑炊など)
自然解凍はNGです。べちゃべちゃしたり、水分が抜けきって硬くパサパサした部分ができたりして、おいしく食べられなくなります。冷凍庫から取り出したら、上記の方法で素早く加熱するよう心掛けましょう。
酵素玄米を使ったレシピは次の記事をご覧ください。
自分で作るのが大変なときはレトルトがおすすめ

酵素玄米は準備から、おいしく食べ始められるまでに3日はかかるため、継続が難しいと感じることもあるでしょう。そんなときは、レンジであたためるだけのレトルト酵素玄米がおすすめです。
炊飯器を占領しなくて済むほか、常温保存可能なものであれば、冷凍庫のスペースを圧迫する心配もありません。いつでも食べたいときに手軽に食べられます。
かわしま屋ではレンジ内で自立するパウチ型のレトルト酵素玄米を販売しています。もち麦入りや豆入りなどのバリエーションもあるので、ぜひご覧ください。
・管理栄養士からのコメント
玄米のプチプチとした硬めの食感が苦手な方も多いのではないでしょうか。 酵素玄米は、保温熟成する事でメイラード反応(糖化現象)が進み、甘味と旨味が増し、味わい深くなります。 酵素玄米のモチモチした触感は、よく噛むことによって腹持ちがよくなります。 食生活が乱れがちな方や毎日スッキリされたい方等、健康維持のために普段の食事に取り入れてみてはいかがでしょうか。
管理栄養士プロフィール
鶴田 ようこ
調理師・管理栄養士。2つの資格を生かし食用油脂製造会社にて品質管理に従事。
菜種油、オリーブ油の品質に関する分析、衛生管理等を行う。
幼い頃から野菜作りの手伝いをしていたことから、季節の野菜料理が得意。
酵素玄米のQ&A
- 酵素玄米は土鍋や圧力鍋でも作れますか?
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土鍋や圧力鍋で玄米を炊くことは可能です。ただし、保温機能がついていないため、別途、保温器を使う必要があります。
- 酵素玄米を作るには何日間寝かせる必要がありますか?
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酵素玄米は、炊飯後3~4日程度保温すると、発酵・熟成が進み食べ頃になります。
- 酵素玄米は冷凍保存できますか?
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酵素玄米は冷凍保存が可能で、1か月程度保存できます。解凍する時は、袋に入れて湯煎解凍するか蒸し器で蒸す、または炊飯器の保温機能で温めると美味しく召し上がれます。
- 酵素玄米を炊飯器で炊くデメリットはありますか?
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酵素玄米を炊飯器で炊くと、白米と比べて炊くのに手間がかかる、作っている数日間は炊飯器を占領してしまうことがデメリットデメリットとして挙げられます。特に忙しい現代の生活様式の中では酵素玄米を頻繁に作ることが難しいかもしれません。時間がなくて作るのは難しいという方には、調理済み(レトルト)の酵素玄米がおすすめです。
- 酵素玄米の保温は専用の炊飯器やジャーがないと難しいですか?
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玄米を炊く機能が付いた通常の炊飯器でも酵素玄米の保温は可能ですが、塩を加えたものを長時間保温させるため、内側の加工を傷める可能性があり注意が必要です。
- 酵素玄米を保温しているとだんだん乾燥してきてしまうのですが。
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保温中にしっかりとかき混ぜることで、一箇所が乾燥してしまうのを防げます。また、乾燥が気になる場合は雑菌のついていないしゃもじを流水で濡らしてからかき混ぜるとよいようです。
- 酵素玄米の注意点は?
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酵素玄米が炊飯器の中で腐らないのは高温で保温しているからで、常温の環境に置けばすぐに腐ってしまいます。すぐに食べない場合は冷凍保存したり、お弁当などに入れる場合は白米ご飯の場合と同様に腐敗しないよう気遣ってください。
- 酵素玄米には食中毒の危険性はないの?
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酵素玄米にも食中毒の危険性があります。酵素玄米を作るときにかき混ぜるためのしゃもじに雑菌が付着しているなどということもありますので、衛生管理に注意しましょう。しかしながら、主な食中毒の原因(病原性大腸菌、カンピロバクター、サルモネラ)などの食中毒菌の多くは、75℃以上、1分間の加熱でほとんど死滅するので、酵素玄米を熟成するときの温度では、病原菌は繁殖しにくい温度のため、酵素玄米で食中毒が発生する可能性は高くありません。
- 酵素玄米おにぎりを作ってから冷凍するのと、解凍してからおにぎりにするのはどちらがおすすめ?
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ご飯を解凍してからおにぎりにするとべたついて作りづらく、おにぎりにすることが決まっているのであればおにぎりを作ってから冷凍した方がおいしくいただけます。
- 冷凍した酵素玄米ご飯を解凍するときに栄養が失われてしまいませんか?
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酵素玄米ご飯はすでに加熱調理済みの食品であり、通常の加熱方法であれば解凍による栄養の損失は気にする必要はないでしょう。油での長時間調理などの場合はGABAが失われる可能性がありますので注意してください。