玄米の魅力とは?医学博士の渡邊 昌先生に聞きました。
Well Beingでは玄米のレシピや美味しい炊き方、生産者のインタビューなど沢山の記事を公開してきました。今回は医学博士の渡邊 昌先生から見た、玄米の魅力や効果的な食べ方などをお聞きしました。


プロフィール
渡邊 昌
(わたなべ しょう)1941年生まれ。慶応義塾大学医学部大学院修了。医学博士。アメリカ国立がん研究所 (NCI)研究員、国立がんセンター研究所がん情報研究部長、内閣府食育推進評価専門委員会前座長、東京農業大学教授を経て2005年より現職。国立健康・栄養研究所理事長・医と食編集長兼発行人。
Q1.今では一般的にも「玄米は体に良い」と周知されていますが、玄米が体に良いと言われ始めたのはいつ頃からですか?
明治時代に*石塚左玄の*食養会が提唱したのがはじまりです。
*石塚左玄(いしづかさげん):明治時代の医師。玄米と食養の提唱者で玄米の普及活動を行った。
*食養会:1907年(明治40年)に創設された、玄米を基本とした食養を普及・実践する団体。

Q2.渡邊先生が玄米に注目し始めたきっかけはなんですか?
内閣府の食育推進委員になった時に石塚左玄の食養会を知ったのがきっかけです。
また綜合医学会の会長を六年引き受け、その後もマクロビオテイックの人たちとつきあって玄米の生活を知りました。その後は*「医と食」という雑誌に、玄米について沢山の記事を書いてきました。
*医と食:管理栄養士に医学知識を普及することで、食事による疾病予防の効果をあげようと2009年4月に創刊された雑誌。

Q3.玄米を食べると良い理由を教えて下さい。
色々あるのですが、*メディカルライス協会では「玄米七徳」というのをとなえています。
* メディカルライス協会:米の魅力を伝えるために渡邊先生が立ち上げた協会
*玄米七徳
- 咀嚼機能をたかめる
- 便秘を解消する
- 健康長寿
- 日本食の代表的食品である
- 家計に役立つ
- 食育・地域農業に役立ち、水田・環境を維持できる
- 日本の食料安全保障の土台となる

Q4.「玄米には強い排出作用があるフィチン酸があるため、体に必要なミネラルも排出してしまう」という主張があります。この点について、渡邊先生の意見をお聞かせください。
玄米自身にミネラルが多いので、フィチン酸の影響は無視してよいと思います。
このような批判を唱える人たちは試験管の実験や頭で考えていると思います。
実際にヒトで欠乏するというエビデンスはありません。

Q5.「玄米にはアブシジン酸という毒素があって、身体に良くないという」意見も良く耳にします。玄米を食べる際にどう気をつければよいのでしょうか?
アブシジン酸は玄米を炊くときに壊れるので、問題ありません。

Q6.玄米は消化に悪いと聞きますが、小さな子どもには食べさせない方が良いでしょうか?
幼稚園で給食に玄米を出している所もあります。みな健康で小学校にあがったあとも問題なく育っています。

Q7.また、玄米を毎日食べるのは良くないとも聞いたことがあるのですが、実際のところどうでしょうか?
食べ方に問題があるのでしょう。10回ずつ100回噛むという食べ方をしていれば問題ありません。
Q.8妊娠中に「妊娠糖尿病の一歩手前だよ」と言われたのをきっかけに色々調べていたところ、渡邊先生が監修された「玄米のエビデンス」を知り玄米を食べ始めたのですが、おかげさまで問題なく出産を終え、現在は何事もなく過ごしています。そのとき、もしかして食は病気を予防するだけでなく治すこともできるのでは?と思ったのですが…実際にそんなことはあり得るのでしょうか?
まったくその通りです。メディカルライス協会では「治未病」という目標を据えています。病気になって治すより健康な体を維持する、という発想の転換で医療費節約にもなることを示しています。
Q9.玄米食を習慣にしている人は腸内環境が整っているというのを聞いたことがあるのですが本当でしょうか?
本当です。便秘がなく、便の形もバナナ型で悪臭がありません。
Q10.玄米は腸内環境によい影響を与えるということでしょうか?
玄米は、100兆個もいる腸内細菌のバランスを整え、短鎖脂肪酸は腸管免疫にも重要な影響を与えています。
Q11.私自身、食生活が乱れるとイライラしやすくなったり、元気が出ない日が続いたりするのですが、食と精神状態には何か関係があるのでしょうか?
腸内細菌の産生する短鎖脂肪酸、とくに酪酸が脳機能に影響がある、という論文が増えています。
Q12.玄米はどのように生活に取り入れるのがよいですか?毎食食ベた方が良いのでしょうか?
毎食が理想的ですが、1日2食でもOKでしょう。昼食だけ玄米おむすびにかえてもそれなりの効果はあります。
玄米とともに副食も肉をたべない(食べたくなくなってくる)状態や、どちらかというと菜食主義にかたよってくる(フレキシタリアンといいます)ような状態がよいと思います。
歩くなどの運動も大切です
。

Q13.玄米の効果をより高めるためのおすすめの食べ方などはありますか?
よく噛んで食べること、これに尽きます。
Q14.玄米を選ぶときにどのような点に気をつければよいでしょうか?
多少高くても生産者が誇りをもってつくっているようなのが良いですね。あとは食べてみて美味しいものを選ぶことです。
Q15.玄米のおすすめの炊き方はございますか?
このごろよい電気釜が出ていますから、電気釜でも、土鍋でもどれでもかまいません。むしろ良い玄米を選ぶ方が大事です。メディカルライス協会では有機の棚田米を推薦しています。

Q16.玄米と一緒に食べると、より体に良くなるおすすめの食材はございますか?
大豆食品です。具のおおい味噌汁と一緒に玄米を食べればそれだけで完全食になります。宮沢賢治の賢治食です。
Q17.玄米を食べるときに気をつけるべき点はありますか?(食べる量や時間帯など)
朝昼晩茶碗に一杯ずつ(約150g)食べると9単位になります。(1単位80カロリー)一日に必要なエネルギーは成人で体重x0.4単位ですから60kgの人なら24単位、
3食に分けると8単位ずつになります。あとはおかずで、「まごわやさしい」を適量とれば必要な栄養はとれます。過不足はときどき体重を図って安定していればよいことになります。玄米が消化に悪いというひとはたいてい十分噛んでいないことが多く、コメ粒を感じなくなるまでよく噛めば問題ありません。餅米とのまぜ炊きなどもたべやすくなります。
玄米は一日一食(たとえば玄米おむすび)でもそれなりの効果はでますが、どれだけ食べればよいのか、という研究はまだ途上です。

Q18.最近では酵素玄米を食べる方が増えています。一般的な玄米と酵素玄米は栄養に違いはありますか?
酵素玄米は炊いた玄米を3日ほどおいたものですか?酵素が分解しただけ消化吸収がよくなっているとおもいます。


Q19.渡邊先生は玄米を広めるためになにか活動されていることはありますか?かわしま屋のお客様は健康意識が高いお客様が多いので、ぜひ渡邊先生の活動を知っていただきたいです。
メディカルライス協会を通じて玄米普及を図っています。ホームページをご覧ください。
*メディカルライス協会
渡邊先生のお話を活かして、是非上手に玄米を生活に取り入れてみてください。お忙しい中、取材にご協力くださいました渡邊 昌先生、ありがとうございました。



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