ギー(ghee)は体に悪い?おすすめの摂取量や使い方を紹介

油といえば体に悪いイメージがありますが、「質の良い」油は体に良いという認識が広まってきました。
体に良い油といえば亜麻仁油や菜種油、オリーブ油などの植物油を思い浮かべますが、動物性の油である「ギー(ghee)」も体に良いと評判です。
この記事では、「ギーってそもそも何?」「本当に体に悪くないの?」「正しい使い方は?」といった疑問にお答えします。
記事の監修

管理栄養士
安藤
老人保健施設の管理栄養士を経て、健康を維持するためには若いうちからの食生活の大切さを実感。2016年フリーランスとして活動を開始。レシピ開発や栄養指導、料理教室、食に関するコラムの執筆などを行っている。
ギー(ghee)はバターからつくる純度の高いオイルのこと

ギーはバターが原料です。バターを加熱し、たんぱく質や水分を除いた純度の高いオイルがギー(ghee)。
バターももともと油の仲間ですが、植物油のように栄養素は脂質のみではありません。原料である牛乳由来のたんぱく質や乳糖など脂質以外の栄養素も含んでいます。しかしギーは、ほぼ脂質で構成されています。
もともとはインドを中心としたアジア地方で用いられていたギーは、ナンやカレーなどに使われていました。またインドの伝統医学「アーユルヴェーダ」では、ギーを「黄金の秘薬」と言い、さまざまな効果を謳っています。食品としてだけでなく、マッサージオイルとしても使用されるなど、幅広く愛されているオイルなのです。
ギーは家庭でも作ることができます。気になる方はぜひこちらをご覧ください。

ギーは本当に体に悪くない?

「ギーはバターを加熱するだけで作られる!?バターは体に悪いって聞くけど、それならやっぱり体に悪いんじゃないの?」と思いませんか?
ギーは摂取量を守れば体に悪いということはありません。
では、なぜバターは「体に悪い」のに、ギーは「体に良い」のでしょうか。
答えは原料の違いにあります。
ギーが体に良い理由
ギーはバターを加熱したバターオイルのことを言いますが、原料であるバターは「無塩」で「発酵」タイプの「グラスフェッドバター」を使用します。
「グラスフェッドバター」とは、牧草のみをエサにした「グラス(牧草)フェッド(エサ)」で育てられた牛が出す牛乳だけを用いて作られたバターのこと。牧場を自由に動き回れるグラスフェッドの牛は、ストレスフリーで健康的に育ちます。さらに、穀物を含んだ「グレインフェッド」で育てられた牛よりも、牧草を食べて育ったグラスフェッドの牛が出す牛乳の方が、栄養価が高いと言われています。
このグラスフェッドバターには不飽和脂肪酸などが豊富に含まれています。
ギーが体に良いとされる大きな理由はこの豊富な良質な油脂と栄養分と言えます。

バターが体に悪いと言われる理由
一方一般的なバターは飽和脂肪酸を多く含み、これは体内で悪玉のLDLコレステロールを増やす作用があると言われています。
悪玉コレステロールが増えると動脈硬化性疾患、特に心筋梗塞のリスクが高まると言われています。
また一般的に体に悪い油というと人工的な「トランス脂肪酸」と「酸化した油」。
「トランス脂肪酸」の有害性は広く認識されるようになってきましたが、こちらも悪玉コレステロールを増やすと言われています。
100gのバターに対し約2gのトランス脂肪酸が含まれていると言われているので、農林水産省が推奨している「トランス脂肪酸の摂取量は、総エネルギー摂取量の1%に相当する量」は守った方がよいでしょう。
また、天然由来のトランス脂肪酸が体に悪影響を与える可能性は低いとも言われています。
ギーはバターよりも油脂の質が良い

それでは、具体的に「バター」と「(グラスフェッド)ギー」に含まれている脂肪酸の種類を比較してみましょう。
ギーとバターの飽和脂肪酸の違い
ギーとバターの違いをチェックしてみましょう。
エネルギー(kcal) | 中鎖脂肪酸 | 一価不飽和脂肪酸 | 多価不飽和脂肪酸 | |
---|---|---|---|---|
ギー | 895 | 9.0 | 32.2 | 4.6 |
無塩バター | 763 | 7.4 | 18.5 | 2.1 |
※100g中
※ギーはグラスフェッドの栄養成分値(自社調べ)
※バターは文部科学省「食品データベース参照」
ギーはバターよりも中鎖脂肪酸・不飽和脂肪酸が多いです。中鎖脂肪酸や不飽和脂肪酸については次を参考にしてください。
・中鎖脂肪酸・・・吸収されやすく、良質なエネルギー源。体脂肪になりにくい。
・不飽和脂肪酸・・・体に必須なものが多い。コレステロールの抑制に前向き。
ギーが注目を集め出したのは、この2つがバランスよく含まれているため。バターの脂質源としてのメリットを効率よく摂取できるのです。
ギーとバターの飽和脂肪酸の違い
さらにバターに含まれる脂溶性ビタミンA・Eをしっかり摂れるのもギーとバターの違いのひとつです。ギーはバターの脂質が凝縮したオイルなので、油との親和性が高い脂溶性ビタミンが豊富。
バターに含まれる脂溶性ビタミンと言えば、ビタミンAとEです。どちらも抗酸化作用があり、肌や粘膜などの健康をサポートしています。
ギーはバランスの良い脂肪酸や脂溶性ビタミンが補給できる良質な油なのです。
詳しいギーの栄養素はこちらをご覧ください。

ギーの3つの効果効能

中鎖脂肪酸やビタミンを補えるギー。普段摂る油をギーにすることで、どのような効果があるのでしょうか?インドでは1000以上の効果があると言われていますが、ここではとくに注目したい3つに絞ってお伝えします。
腸内環境をサポート
ギーは腸内環境を整えるサポート役として活用できます。
飽和脂肪酸のひとつである短鎖脂肪酸「酪酸」が大腸に働きかけ、運動を促進。また、酪酸は腸内粘膜の血流を増やすことで大腸の活動を支えます。
乳製品を摂るとお腹を崩しやすい方も、乳糖をほぼ含まないギーであれば症状が出にくいです。
エネルギーになりやすい
ギーは体のエネルギーとして利用されやすいです。これは短鎖脂肪酸・中鎖脂肪酸が多く含まれるためであり、オリーブオイルやアマニ油のような長鎖脂肪酸よりも吸収しやすいです。
そのため、ギーはダイエット中のエネルギー源としても使えます。
体の酸化を防ぐ
ギーは抗酸化作用をもつビタミンA・Eを含むので、体の酸化を防ぐ力もあります。
体の酸化は、肌や髪の毛の潤いがなくなるなど、細胞が劣化することを想像すると分かりやすいです。血液中の脂質であるコレステロールや中性脂肪が酸化されれば、血管の壁にくっついて血流を邪魔したりします。
ギーのおすすめの摂り方と摂取量

せっかく毎日の食事にギーを取り入れるのであれば、美味しく摂りたいですよね。そこで、おすすめの摂り方・飲み方を紹介します。
摂取量は1日大さじ1~2杯
バターよりも脂肪酸のバランスが整っているギーですが、摂り過ぎは体にとって負担になります。
ギーは短鎖脂肪酸や中鎖脂肪酸など体脂肪になりにくい脂肪酸が多いですが、必要以上のエネルギーは中性脂肪として蓄積。つまり太ってしまうのです。
目安は1日大さじ1~2杯程度です。
いつも使う油をギーに置き換えるようにするなど、全体の油の使用量が多くなりすぎないよう意識してくださいね。
スムージーに
緑黄食野菜や果物などでつくるスムージーに入れれば、エネルギーをしっかり摂れる高栄養なドリンクに変身します。緑黄色野菜にはβカロテンが多く、油との相性が良いのでギーが入ることで吸収率がアップ。βカロテンもビタミンA・Eと同じように抗酸化作用があります。
バターコーヒーとして
大幅な減量ができると話題になったバターコーヒーに使うオイルをギーで代用することができます。ギーはMCTオイルほど中鎖脂肪酸が多いわけではないので、代用するならグラスフェッドバターの置き換えがいいですね。

トーストに塗って
いつものトーストに塗るバターをギーにするのも取り入れやすいです。オリーブオイルを使っている方も、吸収が優れているギーに変えてみるのもおすすめ。オリーブオイルよりビタミンが摂取できるので、いろいろな油を上手に組み合わせてみてください。
肉や魚のソテーに
ギーは熱にも強いので、ソテーなどにも使えます。中鎖脂肪酸が多いことで人気が高いMCTオイルは熱に弱く、加熱調理には使用できないというデメリットがありますが、ギーであれば可能です。
カロリーを抑えたい方は、焼きあがってから小さじ1ほどをかけるだけでもok。コクが出て美味しいメイン料理ができますよ。
ギーを使ったレシピ3選
管理栄養士考案のギーを使ったレシピを3つ紹介します。とても簡単かつ栄養も満点なので、ぜひ試してください。

ギーのスムージー
材料
- 小松菜(1株~2株)
- バナナ(1/2本)
- 豆乳 100 ml
- ギー(大さじ1)
作り方
- 材料をすべてミキサーに入れてミキシングすれば完成

鮭のギーとガーリックの漬け焼き
材料
- 鮭(1切れ)
- ギー(大さじ1)
- おろしにんにく(1㎝~好きなだけ)
- バジルなど香草(お好みで)
作り方
- 材料をすべてポリ袋に入れて1時間以上漬ける
- 1をフライパンでじっくり焼けば完成

ギーでしっとりサラダチキン
材料
- 鶏むね肉(1枚)
- ギー(大さじ1)
- 粗塩(3つまみくらい)
- 乾燥バジル(たっぷり)
作り方
- 鶏むね肉が分厚い場合は開いておく
- 耐熱のポリ袋に1とギー・塩・バジルを入れてしっかり揉んで半日以上漬ける
- 沸騰したお湯(加熱はしない)に2を入れ、蓋をして20~30分放置したら完成※必ず火が通っているか確認してください
●管理栄養士からのコメント
健康によいとされるオメガ3系のオイルは加熱に弱いものが多いですが、ギーは加熱可能で、酸化にも強いので、万能に活躍してくれますね。


管理栄養士プロフィール
◎安藤
老人保健施設の管理栄養士を経て、健康を維持するためには若いうちからの食生活の大切さを実感。
2016年フリーランスとして活動を開始。レシピ開発や栄養指導、料理教室、食に関するコラムの執筆などを行っている。
また「食を見直すならまずは毎日使う調味料から」をコンセプトに地元愛知県三河のみりんや味噌などの伝統的な調味料の素晴らしさを伝えるセミナーなども開催。
食や栄養に関すること全般ですが特に
・調味料について(みりん、味噌や醤油などの製法やどんなものを選ぶと良いかなど)
・体に優しいスイーツの選び方、作り方
・ダイエットレシピの考案
・時短レシピの考案を得意としています。
ギーのQ&A
- 乳製品にアレルギーがありますが、ギーは食べても大丈夫ですか?
- 原材料が乳製品であるバターのため、おすすめできません。ダイエットを目的に中鎖脂肪酸を取りたいという場合は、MCTオイルなどをご利用ください。
- MCTオイルを含むギーは炒め物などに利用できますか?
- ギーは加熱しても酸化しにくいのですが、MCTオイルは高温での加熱には弱いので、飲み物に入れたりトーストなどに塗ったりして摂取してください。
- ギーの香りが苦手でした。利用方法はありますか?
- しょうがやにんにく、味噌やスパイスなど、香りが強いものを合わせると、ギーの香りはある程度気にならなくなります。
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