基本のあんこ(粒あん)の作り方|健康やダイエットとの関係は?
記事の監修

管理栄養士
川野 恵
フリーランスの管理栄養士としてレシピ開発や栄養のコラム作成のほか、外食チェーン店でのダイエットを意識した食べ方を紹介。現在はクリニックにて、生活習慣病などに悩む方々へ栄養指導を行なっている。

和菓子には欠かせないあんこ。
上品な甘さで美味しい粒あんがを、自宅で簡単に作れるレシピをご紹介します。
※当レシピはかわしま屋が和菓子製造者のアドバイスのもとにまとめたものです。
作り方の一例としてご覧ください。
基本のあんこ(つぶあん)の作り方

つぶあん
材料
- 小豆 200 g
- 砂糖 200 g
- 水(砂糖を煮溶かす用) 70 ml
作り方
- 小豆をたっぷりのお水でやさしく洗います。
- 小豆にたっぷりの水を加えて中火で煮ます。小豆は水を吸うと2.4倍ほどに膨れるので大きめの鍋を使用しましょう。小豆は浸水は必要なくそのまま炊き始められます。
- 沸騰したら火を止め、蓋をして20分ほど放置して蒸らします。
- 蒸らし終えたら煮汁を捨てます。ここまでの工程を渋切りと呼びます。
- 渋切りをした小豆と水を入れて煮ます。ここでの水の量は小豆が水にひたるぐらいです。
- 鍋を中火にかけ、沸いたらアクをすくい取ります。お湯の中で豆が踊るとつぶれてしまうので、踊らないように火加減に気を付けます。煮ている最中、小豆が湯から出ないように時々さし水をします。
- 40~50分煮て一度豆の煮具合を確かめます。指で豆をつぶし、軽い力でつぶれる状態が良い煮具合です。小豆の品種などによって1時間以上かかることもあり、大きさによって煮えムラも出てくるので、いくつかの豆をみて煮えている状態になったら火から外します
- 蓋をしたまま30分蒸らします(この蒸らしで煮えムラをなくします)。
- 鍋に水70mlを入れ、弱火にかけて砂糖を溶かします。 完全に溶かす必要はありません。
- 砂糖を溶かした鍋に小豆を入れて強火にかけます。豆をつぶさず焦がさないよう、なべ底から手早く混ぜます。仕上がり直前に塩をひとつまみ程度入れると味がひきしまります。
- あんは冷めると少し硬くなるので、好みのかたさよりやや柔らかめくらいに練りあがったら、速やかに別容器に移し変えて冷まします。鍋のまま放置すると砂糖が熱によって変質し、後味がくどくなってしまいます。
- 美味しいつぶあんの完成です。
動画
ミキサーで簡単!つぶあんからこしあんを作る方法

つぶあんをミキサーにかけてしまえば、こしあんは簡単に作ることができます。
つぶあんを滑らかになるまでミキサーにかけてこしあんにするので、含まれている栄養素は変わりません。
皮をこした場合よりも食物繊維・サポニン・ポリフェノールなどが摂れるので「小豆の栄養素をしっかりと補いたい」というこしあん好きさんにとてもおすすめ。
ミキサー以外にも、ブレンダーでも上手に美味しくできあがりますよ。
あんこを使ったアレンジレシピ
あんこはそのまま召し上がるだけではなく、お料理の材料としてもお使いいただけます。
ここではあんこを使ったお料理レシピをご紹介いたします。

どらやき
材料
- あんこ 250 g
- 薄力粉 100 g
- 砂糖 80 g
- ベーキングパウダー(小さじ1) 4 g
- 卵 2 個
- 水 50 cc
- 油(適量)
作り方
- 薄力粉、砂糖、ベーキングパウダーを袋に入れてよく混ぜ合わせる。
- ボウルに卵と水を入れて、よく混ぜる。
- 1をボウルに入れダマにならないようによく混ぜ、約15分生地を休ませる。
- フライパンを一度温めたら、濡れ布巾に底を当てて温度を下げる。
- 再びフライパンを温めて油をひき、大さじ2の生地を高めの位置から一直線に流し込む。
- 弱火~中火弱で焼き、表面がプツプツとしてきたら反対の面を焼く。
- 同じように残りの生地を焼き、あんこを挟んだら完成です。

いちご大福
材料
- あんこ 150 g
- 白玉粉 100 g
- 砂糖 30 g
- 水 150 cc
- いちご 6 個
- 片栗粉(適量)
作り方
- いちごは洗って水けをきり、へたを取っておく。
- あんこを6等分にして丸くして少し平らにし、いちごをくるむ。
- 白玉粉、砂糖、水をボールに入れ混ぜておく。
- 混ぜたものにラップを軽くしてレンジで600Wで2分加熱し、取り出したらばやく混ぜる。
- もう一度軽くラップをしてレンジで600Wで1分加熱し、取り出したら混ぜ、片栗粉を広げたバットに出す。
- 温かいうちに6等分にして、いちごをくるんでいるあんこを包むと完成。
「つぶあん」と「つぶしあん」の違いやあんこの種類

小豆から作るあんこには「つぶあん」「こしあん」の他に「つぶしあん」と呼ばれるものもあります。
- ・つぶあん
- 小豆を潰さないように柔らかく炊いたあんこ
- ・つぶしあん
- 小豆がやや潰れた状態のあんこ
- ・こしあん
- 炊いた小豆を裏ごしして皮を取り除き練り上げたあんこ
これらはお菓子によって使い分けられ、生菓子などにはつぶあん、どら焼きやたい焼きなどにはつぶしあんが使われます。
また小豆だけではなく、枝豆で作る「ずんだあん」やグリンピースで作る「うぐいすあん」なども、あんこの仲間です。
実はあんこの歴史はとても長く、はるか昔の弥生時代から食べられてきました。
当時は塩辛いあんこが主流であり、今のように甘いものは江戸時代から食べられ始めたようです。
「つぶあん」と「こしあん」のカロリーや栄養価の違い

カロリーは同じくらい
こしあんとつぶあんのカロリーは、ほとんど同じです。
あんこのカロリーは、こしあんかつぶあんかではなく砂糖の量が大きく影響してきます。
小豆をそのまま使うつぶあんと皮をこして作るこしあんでは、カロリーではなく、栄養素が少し異なってきます。
つぶあんの方が栄養価が高い
つぶあんは小豆をそのまま使用しているので、小豆の皮に含まれている次の栄養素の量がこしあんよりもつぶあんの方が多くなります。
・サポニン
・ポリフェノール
・食物繊維
サポニンやポリフェノールは抗酸化作用があり、血液中のコレステロールや脂質を酸化から守ります。
サポニンとポリフェノールは、食べ物の代謝をするために毎日働いている肝臓をサポートする力があることも分かっています。
また、食物繊維は便量を増やして腸を刺激し、外に出すように促します。
あんこが健康に良いと言われる理由

あんこが健康に良いと言われる理由は、材料である小豆にあります。
栄養素が豊富に含まれる小豆は、次のような効果が期待されます。
・便通を整える
・コレステロールを抑える
・余分な塩分を排泄する
どのような栄養素による効果なのか、それぞれ詳しく確認してみましょう。
効果1 便通を整える

小豆に含まれる食物繊維はとても多く、ゆで小豆100g中に約11gも含まれています(※1)。
これは茹でたごぼうの2倍近い食物繊維に値する量です。
さらに小豆にはマグネシウムも含まれているため、便の水分量を増やしてスムーズに排泄できるようサポートします。
マグネシウムは便秘薬にも使用されているくらいなので、効果を実感しやすいです(※2)。
また、腸内細菌のエサとなるオリゴ糖も含んでいて、善玉菌を増やす効果も期待できます。
効果2 コレステロールを抑える

小豆にはコレステロールを抑える力もあります。
これは、豊富は食物繊維と小豆ポリフェノールの働きによるものです。
食物繊維は血中コレステロールや脂質を抑え、小豆ポリフェノールはコレステロールの酸化を防いでLDLコレステロールの増加を抑えます。
効果3 余分な塩分を排泄する

小豆は身体の中の必要ない塩分を外に出す効果もあります。
小豆は鉄や亜鉛、マグネシウムなどいくつものミネラルを含んでいますが、とくに多いのはカリウムです。
カリウムは身体の水分量を調整するミネラルであり、ナトリウム(塩分)が増えると腎臓に働きかけて排泄を促します。




あんこを食べる適量は?

小豆には多くの栄養素が含まれていますが、あんこは砂糖もたくさん使用しているので食べすぎには要注意です。
糖質が多くなるので小豆だけの場合と比べると血糖値が上がりやすくなります。
そこで、あんこを食べるおすすめの適量は、カレースプーン一杯分くらい。
これくらいであれば、100kcal前後・糖質20~30gとなり、健康に大きく影響を与えることは少なくなります。
トーストに塗ったり、ヨーグルトにかけたり、普段の食事にチョイ足しすれば食べ過ぎも防ぎやすくなります。
あんこについてのQ&A
- あんこはたくさん食べたら太りますか?
- 砂糖を多く使用している市販のあんこでは、食べ過ぎると太る可能性はあります。
大福などは餅の糖質も一緒になってとても高カロリーなので気をつけましょう。
- つぶあんとこしあんで栄養は異なりますか?
- つぶあんとこしあんでは多少栄養価は変わってきます。
皮をとりのぞくこしあんの方が、食物繊維やポリフェノールなどは少ないです。
- 小豆は一晩水につけなくても大丈夫ですか?
- 浸水させなくても大丈夫ですが、渋抜きのために、煮る前に小豆とひたひたの水を鍋に入れ強火にかけて沸騰したら一度ざるにあげます。
- あんこの保存方法は?
- 粗熱をとり、小分けにして冷蔵庫や冷凍庫に保管してください。
冷凍庫では約2~3ヶ月間保存可能です。
- あんこの砂糖をパルスイートなどの甘味料に置き換えても作れますか?
- あんこは砂糖の代わりに甘味料を使っても作れます。
糖質を制限したい方はぜひお試しください。
おすすめ商品
かわしま屋取り扱いのおすすめ商品をご紹介いたします。

きたろまん小豆 500g|北海道 渡部農場 渡部信一さんの無農薬・無化学肥料の小豆-2023年秋収穫分
渡部農場の「きたろまん」は北海道十勝平野の豊かな土壌と澄んだ水を使って自然農法で作られています。小豆本来の風味を存分に堪能できるとても豊かな味わいが魅力です。
917 円(税抜)
●管理栄養士からのコメント
老若男女問わずに好かれるあんこには、栄養がたくさん詰まっています。
ミネラルやビタミンB群、食物繊維など、身体の調子を整えるのに欠かせないものばかりです。
ただ、小豆の栄養以外にも、既製品のあんこの中には砂糖の糖質もたっぷり入っているのが気になるところ。
せっかくだったら、小豆の栄養と美味しさを罪悪感なく楽しみたいですよね。
今回紹介したレシピを参考にしながら好みで砂糖の量を調整すれば、ヘルシーな自分だけのあんこを作ることができます。
また、小豆を茹でた汁にも栄養素が溶けだしているので、捨てずに使うようにしましょう。
茹で汁と少しのお塩を一緒にご飯を炊いてみると、美味ですよ。

管理栄養士プロフィール
◎川野 恵
給食委託会社や仕出し弁当屋での献立作成を経験後、出産を機にフリーランスとして活動。
フリーランスの管理栄養士としてレシピ開発や栄養のコラム作成のほか、外食チェーン店でのダイエットを意識した食べ方を紹介。現在はクリニックにて、生活習慣病などに悩む方々へ栄養指導を行なっている。
身体は食べ物でできている事を意識し、健康で過ごせるよう多くの方を支えていける管理栄養士になりたいと日々活動しています。
SNSやブログを通して、
・管理栄養士として栄養指導に携わりたい!
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