クマリンとは?シナモンの種類による含有量の違いと、耐容量の考え方
シナモンについて調べると、「クマリン」「肝臓」という言葉をよく目にします。クマリンとは何で、どのくらいなら気にしなくてよいのでしょうか。
先に結論をまとめると、クマリンは植物に含まれる天然の香り成分で、シナモンの中でもカシアに多く、セイロンにはごくわずかです。ふだんの料理や飲み物の香りづけ程度なら心配しすぎる必要はないと考えられていますが、カシアを毎日たくさん使う習慣やサプリメントの併用には注意が必要です。
この記事のポイント
- 東京都の調査では、クマリンの平均はセイロン14µg/g、カシア3,300µg/g(約200倍以上の差)
- 耐容一日摂取量(TDI)は体重1kgあたり0.1mg。体重60kgなら1日6mgが目安です
- カシアの場合、体重60kgの大人で1日約2g、体重15kgの子どもで約0.5gでTDIに届くとされています(BfR)
- セイロンならTDIに届くのは数百g規模で、香りづけの量で超えることは考えにくい量です
- 持病がある方・服薬中の方・肝臓の病気を指摘されたことがある方は、医師に相談してください
クマリンとは
クマリンは、多くの植物に含まれる天然の香り成分です。干し草のような甘い香りがあり、シナモンのうち「カシア」と総称される種類に比較的多く含まれるほか、クルマバソウ(ウッドラフ)やトンカ豆、スイートクローバー(メリロート)などにも含まれます。合成したクマリンは化粧品の香料にも使われています(BfR)。
EUでは、単体のクマリンを食品に加えることは認められていません。一方で、シナモンのようにクマリンを含む植物を香りづけに使うことは認められており、シナモンを使った一部の食品にはクマリンの上限値が設けられています。
とりすぎると、なぜ注意が必要なの?
BfRによると、クマリンを医薬品として使った経験から、特に感受性の高い一部の人では、比較的少ない量を数週間とり続けただけでも肝臓に障害が起こることがわかっています。軽い場合は血液中の肝臓の酵素の値が上がる程度で、多くは元に戻るとされています。
なお、BfRは同じ資料の中で、シナモンを食べたことによる肝障害の報告は(資料の時点で)科学文献に見当たらないとも述べています。また、動物実験で非常に多い量を長期間与えた場合にがんが見られましたが、人で腫瘍が起こるという兆候はないとしています。
シナモンの種類によるクマリン含有量の違い

東京都健康安全研究センターは、国内で売られているシナモンパウダー・スティック15製品、菓子類10製品、シナモンサプリメント5製品のクマリン含有量を調べています。結果は次のとおりです。
| 種類・産地 | 製品数 | クマリン含有量 | 平均 |
|---|---|---|---|
| セイロン(スリランカ) | 7 | 11〜17µg/g | 14µg/g |
| カシア(ベトナム) | 4 | 4,500〜6,700µg/g | 5,400µg/g |
| カシア(インドネシア) | 1 | 1,900µg/g | ― |
| カシア(マレーシア) | 1 | 1,300µg/g | ― |
| カシア(中国) | 2 | 310、850µg/g | 580µg/g |
| カシア 計 | 8 | 310〜6,700µg/g | 3,300µg/g |
セイロンとカシアでは平均で200倍以上の差があり、カシアの中でも産地によって大きな差がありました。BfRも、カシアのクマリンは平均でシナモン1kgあたり約3,000mg、高いものでは約10,000mgに達すると紹介しています。
お菓子やサプリメントには、どれくらい入っている?
| 食品 | クマリン含有量(東京都調査) |
|---|---|
| ビスケット(4製品) | 2〜5µg/g |
| 焼八ッ橋(2製品) | 40、81µg/g |
| 生八ッ橋(2製品) | 25µg/g(もう1製品は検出せず) |
| ニッキ飴(1製品) | 4µg/g |
| シナモンベーグル(1製品) | 13µg/g |
| シナモンサプリメント(5製品) | 2,300〜2,900µg/g(平均2,600µg/g) |
同じ調査では、菓子類はふつうに食べる量ならTDIを超えることはないと考えられる一方、シナモンサプリメントは表示どおりの量を飲むと1日のクマリン量がTDIの44〜74%になり、ほかのシナモン入り食品と合わせるとTDIを超える可能性があると指摘されています。
耐容一日摂取量(TDI)とは
耐容一日摂取量(TDI)とは、一生涯毎日とり続けても健康への影響が見られないと考えられる量のことです。クマリンのTDIは体重1kgあたり1日0.1mgとされています。BfRは2006年にこの値を設定し、感受性の高い人にも当てはまる値だとしています。欧州食品安全機関(EFSA)も同じ値を算出しています(BfRによる)。
TDIは体重で変わるので、体重が軽い子どもほど少ない量で届きます。また、BfRは、1〜2週間ほどTDIをわずかに超える程度であれば健康上の問題はないとしています。「1日でも超えたら危ない」という基準ではなく、長く続く習慣を見直すための目安と考えるとよいでしょう。
体重別:クマリンのTDIと、シナモンでいうと何gか
| 体重 | クマリンのTDI(1日) | カシアなら | セイロンなら |
|---|---|---|---|
| 15kg(幼児) | 1.5mg | 約0.5g | 約107g |
| 30kg | 3.0mg | 約1g | 約214g |
| 50kg | 5.0mg | 約1.7g | 約357g |
| 60kg | 6.0mg | 約2g | 約429g |
カシアの場合、小さじ1杯(約3g)弱で大人のTDIに届く計算です。一方セイロンでは、TDIに届くのは数百gと、香りづけに使う量とはかけ離れた量になります。
ちなみに東京都の報告では、平成17年の国民健康・栄養調査で「香辛料・その他」の摂取量は1日0.2gでした。これをすべてシナモンでとったとしても、クマリンはカシア平均で1日0.66mg、セイロンで0.0028mgで、ふつうの食事でTDIを超えることはないと考えられる、とまとめられています。
クマリンが少ない種類を選ぶ
BfRは、カシアは節度をもってとること、そして家庭で頻繁にたくさんシナモンを使う人は、クマリンの少ないセイロンを使うことをすすめています。コーヒーやヨーグルトに毎日シナモンを使う方は、種類を意識して選ぶとよいでしょう。
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- 種類を確かめる:家にあるシナモンの原産国・種類名を確認。分からなければ、毎日たっぷり使う用途には避けておく
- 毎日の量を見直す:カシアを毎日小さじ1杯近く使っている場合は、量を減らすかセイロンに切り替える
- サプリメントとの重複に注意:シナモンサプリメントを飲んでいる場合は、ほかのシナモン入り食品と合わせた量を意識する
- 子どもの分は控えめに:体重が軽い子どもは少ない量でTDIに届くので、シナモンシュガーやシナモン入りのおやつを毎日たっぷり、という習慣は見直す
- 化粧品からも入る:BfRは、クマリンを含むボディローションやボディオイルなど、化粧品から体に入る分もあると指摘しています
BfRの例では、体重15kgの子どもがシナモン0.5g(クマリン3,000mg/kgのカシア)を使ったミルクがゆを週2回食べても、TDIの29%にとどまるとしています。たまに食べるお菓子や料理まで神経質になる必要はなく、「毎日・たくさん」が重なる習慣に目を向けることが大切です。
なお、フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)は2021年、肝臓の病気の既往がある人はシナモンを多く含む食品やクマリンを含むサプリメントをとらないよう呼びかけています(食品安全委員会「食品安全関係情報」より)。厚生労働省の情報サイトeJIMでも、カシアの長期摂取は肝疾患のある人など感受性の高い人では問題となる可能性があると紹介されています。持病がある方、薬を飲んでいる方、肝臓の数値を指摘されたことがある方は、シナモンを習慣的にとる前に医師に相談してください。
EUの上限値(参考)
EUでは2011年から、シナモン入りの伝統的・季節の焼き菓子は食品1kgあたり50mg、シナモン入りデザートは5mgといった上限値が設けられています。一方、スパイスとしてのシナモンそのものには上限値はありません(BfR)。
管理栄養士のコメント
管理栄養士 山田
耐容一日摂取量(TDI)は「一生涯毎日とり続けても健康への影響がないとされる量」で、体重によって変わります。大人と同じ量を子どもに当てはめないこと、そして「1日だけ」ではなく「毎日の習慣」で考えることがポイントです。
シナモンを毎日の飲み物やヨーグルトに使っている方は、一度、家にあるシナモンがセイロンかカシアかを確かめてみてください。カシアをたっぷり使う習慣があるなら、量を減らすか、クマリンの少ないセイロンに切り替えるのが現実的な見直し方です。
持病のある方や薬を飲んでいる方、肝臓の数値を指摘されたことがある方は、自己判断で量を増やさず、主治医に相談してください。シナモンは香りを楽しむスパイスなので、健康のためにたくさんとるものではありません。
シナモン利用者の声
クマリンを気にして選んだ方の声
★★★★★ 2022年8月の投稿(有機セイロンシナモンパウダーをご購入のお客様)
肝臓に負担が少ないシナモンが有ればと思って購入。安心して食べられる。
★★★★★ 2023年12月の投稿(有機セイロンシナモンパウダーをご購入のお客様)
シナモンが大好きで毎日ヨーグルトに欠かさずいれてます。…ただカシアは肝臓障害を起こす可能性もある事から購入はしません。セイロンでオーガニックなものはなかなか手に入りにくいため助かります。
★★★★★ 2026年5月の投稿(有機セイロンシナモンパウダーをご購入のお客様)
セイロンシナモンはいつものスーパーには置いてないことが多く 利用させて頂きました シナモンはセイロンのほうが安心と聞いたので 毎日コーヒーに入れたり ヨーグルトに入れたりしています。
※かわしま屋でご購入いただいたお客様のレビューを原文のまま抜粋しています(「…」は中略)。感想は個人のものです。
よくある質問
Q. セイロンシナモンにはクマリンが入っていないのですか?
A. まったく含まれないわけではありません。東京都の調査ではセイロン7製品で11〜17µg/g(平均14µg/g)が検出されています。ただしカシアの平均(3,300µg/g)と比べるとごくわずかで、TDIに届くのは数百g規模です。
Q. クマリンの「µg/g」と「mg/kg」は違うのですか?
A. 同じ値です。1µg/g=1mg/kg。たとえば3,300µg/gは3,300mg/kg、つまりシナモン1gあたり3.3mgです。資料によって単位が違うので、比べるときは注意してください。
Q. 桂皮(ケイヒ)が入った漢方薬を飲んでいます。シナモンは控えるべき?
A. 生薬の桂皮はカシアの樹皮で、クマリンを含みます。漢方薬を処方されている方は、シナモンを習慣的にとってよいか、処方した医師や薬剤師に相談してください。
Q. 子どもにシナモンを使っても大丈夫?
A. 体重が軽い子どもは少ない量でTDIに届くため、特にカシアは控えめにしましょう。BfRによると、体重15kgの子どもは約0.5gのカシアでTDIに届きます。香りづけのひと振り程度にとどめ、毎日たっぷり、という習慣は避けるのが安心です。
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参考文献
- 東京都健康安全研究センター「シナモン含有食品のクマリン分析法及び実態調査」東京都健康安全研究センター研究年報 第59号(2008)
- Bundesinstitut für Risikobewertung (BfR) "FAQ on coumarin in cinnamon and other foods"(2012年9月27日更新版)
- 食品安全委員会 食品安全関係情報「ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)、高濃度でクマリンを含有するシナニッケイ(別名カシアシナモン)に関して節度ある摂取を推奨」(2012年)
- 食品安全委員会 食品安全関係情報「フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)、クマリンを含む植物のサプリメントの過剰摂取に対して注意喚起」(2021年)
- 厚生労働省 eJIM「シナモン[ハーブ – 医療者]」




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